衆院予算委員会で「イラン革命防衛軍によるホルムズ海峡での自衛隊艦船追尾資料の黒塗り」問題を追及

2020年02月10日

棚橋委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
きょうは、自衛隊の中東派遣問題について聞きます。
初めに、河野防衛大臣に伺いたい。
河野大臣は、これまでの質疑で、中東地域の情勢について、米国とイランの双方とも、これ以上のエスカレーションを回避したい意向を明確にしている、そういう認識を示してまいりました。今もこの認識に変わりございませんか。


河野国務大臣

現時点においても、米国、イラン双方ともに、これ以上のエスカレーションを回避したい意向を明確にしている、その情勢に変わりはないと認識しております。


穀田委員

そこで、配付資料の一枚目を見ていただいて、茂木外務大臣にお答えいただきたいんですけれども、配付資料の一枚目の外務省の資料にあるように、イランの最高指導者ハメネイ師は、一月八日の演説で、アメリカによるイラン司令官暗殺への報復攻撃について、このような形での軍事的行いでは満足しない、重要なことは地域における腐敗に満ちた米国のプレゼンスを終わらせることだと述べています。このハメネイ師の発言は、いわば、イランが時を移して更に報復攻撃を行う可能性を示唆したものだと指摘されています。
茂木大臣、ハメネイ師は、その後、こうした姿勢を変えたと認識しておられますか。


茂木国務大臣

米国、イランともに、国内向けにさまざまな発言をすることはあると思っておりますが、米国、イランともに、事態のエスカレーションを避けたい、この姿勢は変わっていないと思っております。


穀田委員

それは、どちらかというと楽観的。そういう発言その他自身についてそういう側面があることは確かです。私は、だからわざわざこれを出したわけであります。私は、最高指導者のハメネイ師が、米国によるイラン司令官暗殺に対する一月八日の報復攻撃では満足しないという姿勢がその後変わったのかと聞いたわけですよね。
ハメネイ師は、一月十七日に行った演説でも、我々は横暴な大国に平手打ちを食らわす力があると述べて、一月八日の米国への報復攻撃を誇示しています。
一方、米国はどうか。
国務省でイラン担当を務めるフック特別代表は、一月二十三日付のアラビア語の日刊紙インタビューで、暗殺された司令官の後任司令官に対し、米国人を殺害する同じ道を歩めば同じ運命に見舞われることになると述べ、米国の脅威とみなせば暗殺の対象になり得ると発言しています。
さらに、一月三十日には、エスパー国防長官とミリー統合参謀本部議長がそろって記者会見をし、イランへの対抗措置として地対空ミサイルのパトリオットを新たにイラク国内に配備する計画さえも明らかにしています。
トランプ大統領も、二月四日の一般教書演説で、イラン司令官の暗殺に関して、米国の正義から逃れることはできない、米国人を攻撃すれば命はない、こう言って一般教書でも演説をしています。
河野大臣、こうした米、イラン双方の言動を見れば、事態のエスカレーションを回避したいという意向を明確にしているなどと断定できるとはとても言えないんじゃないかと私は思うんです。現実は、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことで生まれた両国間の軍事的緊張が依然高まったままであって、一触即発の危機は消え去っていないと私は考えます。むしろ、これから先何が起きても不思議でない危険な状況にあるということではないでしょうか。その辺を河野大臣にお聞きします。


河野国務大臣

アメリカとイランの間である程度の緊張関係があるというのはそのとおりだと思いますが、両方とも、恐らく国内向けにさまざまな発言を指導者がされておりますが、両国とも、これ以上事態のエスカレーションは避けたいという認識であるというふうに私は思っております。


穀田委員

今、大臣は、緊張状況にあるということについては、そうだと。それで、それぞれ国内向けにとおっしゃっていますけれども、やはりそういう意味でいいますと、先ほどパトリオットのそういう配備も言いましたけれども、単に国内向けではないわけです。動いているわけですよね。そして、不測の事態があるということに対してきちんと捉まえておかないと、私は大変なことになると思うんです。
茂木大臣に聞きますけれども、政府として、米軍による一月三日のイラン司令官の暗殺について、想定内の事態だったと言えるのか。茂木大臣、安倍総理は、一月二十三日の参院本会議で、イランの司令官の暗殺に関して、政府には米国から事前通告はなかったと答えていますが、違いますか。


茂木国務大臣

昨年来、中東地域、イランそして米国の関係、緊張関係にあったわけでありまして、あらゆる事態を想定しながら、日本としても外交努力等々を続けてきたところであります。
どこまでが具体的に想定外、そして想定内と申し上げるのは難しいところでありますが、いずれにしても、一月の三日、ソレイマニ司令官の殺害があって以降、緊張感が高まったのは確かでありますが、八日のイランによります攻撃以降、お互いが、少なくとも、言葉の上では別にして、行動としては自制的な行動をとって、事態のエスカレーションを避けようとしている、これは間違いないわけでありまして、私も直接、先月、アメリカでポンペオ長官とお会いしまして、事態のエスカレーションは避けるべきである、このことでは完全に意見が一致をいたしております。イランのザリーフ外相とも近々お会いして、同じような形で確認もとっていきたいと思っています。


穀田委員

まず、二つあると思うんですね。
あらゆる事態を想定しているということですから、私は、先ほど言いましたように、イランの司令官の暗殺について想定内だったかということでいいますと、少なくとも安倍総理大臣は、この暗殺に関して、正式な答弁で、事前通告はなかったと答えている。だから、そういう認識は、はっきり言って、なかったという論証だと思うんですね。しかも、今お話があったように、エスカレーションしないと、外務大臣、あちらの側の外相もそう答えていることは事実です。しかし、私が今申し述べたのは、最高指導者がそういった発言を相変わらずしておられるという問題を提起しているわけですね。
だから、改めて言えば、米軍の暗殺というのは、まさに想定できない事態だったと私は思うんですね。先ほどありましたように、あらゆる事態を想定したと言いましたけれども、そこは想定したとは言っていませんので、それはないんだと思うんです。
したがって、幾ら現時点で、軍事衝突が起きる状況にないと言ったところで、何の保証もない。そっちだと思うんですね、私は。保証はない。
だから、そういう意味でいいますと、米国それからイランの間の緊張が、先ほど来、防衛大臣も、緊張状況にあるということについてはおっしゃっているわけですから、その意味でいいますと、高まったままである以上、偶発的な衝突や、予期せぬ形で軍事衝突が起こり得る危険性があるという可能性について、しっかり見ておかなければならないというふうに思います。うなずいておられるので、その辺は認識は一致しているんでしょう。
そこで、そうした軍事的緊張下にある中東地域に向けて、海上自衛隊の護衛艦「たかなみ」が今月二日に出航しました。国会承認を必要としない、防衛省設置法の調査研究を根拠に、さきに派遣されたP3C哨戒機とともに、一年間の任務につくとされています。
そこで、自衛隊が活動する地域、これは、資料二枚目を見ていただきますと、防衛省の資料があります。ここでは、オマーン湾、アラビア海北部、バブエルマンデブ海峡東側の公海となっています。これに加えて、河野大臣は、海上警備行動を発令した場合、ペルシャ湾の公海も排除しないと、二月三日の本委員会などで答えておられます。
他方、米国主導の有志連合、海洋安全保障イニシアチブがセンチネル作戦を行う対象海域はどこかといえば、配付資料三枚目、これは外務省の資料ですけれども、ここには、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、バブエルマンデブ海峡、オマーン湾の公海と書かれています。
茂木大臣、これは間違いないですね。


茂木国務大臣

米国を中心にしましたオペレーション・センチネル、番人作戦とでも呼ぶんだと思うんですが、対象海域は、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、そしてバブアルマンデブ海峡、オマーン湾における公海だ、そのように承知をいたしております。


穀田委員

河野大臣、今お話があったように、私が指摘したことは事実だと。まあ、そのとおり書いてんねんから。
そこで、これを見ても、自衛隊が活動する海域というのは、ほとんどが米国主導の有志連合の作戦地域と重複するのではありませんか。


河野国務大臣

今回の自衛隊の護衛艦が情報収集する海域は、委員おっしゃったとおり、オマーン湾、アラビア海北部が情報収集の海域となります。
海上警備行動が発令された際にどこかの海域を排除するかといえば、理論的には排除されないわけでございますが、ホルムズ海峡はほぼ全てが領海でございますので、ここで海上警備行動をするというのはおよそ考えにくいということになります。また、ペルシャ湾も論理的には排除されておりませんが、総理が予算委員会でも繰り返し答弁されたように、このペルシャ湾に海上警備行動で行くかどうかというのは極めて慎重に判断をするということでございます。
オペレーション・センチネルと自衛隊の情報収集活動、このオマーン湾、アラビア海北部というところは重なっておりますが、これは、日本として日本船籍あるいは日本関係船舶の航行の安全に必要な情報収集をやろうということで、IMSCと海域がたまたまダブっていても特に問題はないというふうに思っております。


穀田委員

大臣は今、二つのことを言われて、排除しないと言っていた発言はそのとおりだということを認めた。だから、排除しないということなんですよね。もう一つは、重なっている部分が明確にあるということですから、この二つを私はずっと今指摘してきたわけで、この問題は極めて大事だと思うんですね。
何でこんなことを言っているかというと、イランは、米国主導の有志連合をイランへの敵対行為とみなしています。この有志連合と自衛隊が事実上、あれこれ言ったとしても、同じ海域で活動することは、有志連合とイランの間で仮に軍事衝突が起きた場合、自衛隊がいや応なく戦闘に巻き込まれることになるんと違うかというのは誰もが心配することじゃないでしょうか。どう思われます。


河野国務大臣

イランのロウハニ大統領が十二月に訪日をされまして安倍総理と会談をされたときに、イランは、地域の緊張緩和に向けた日本の外交努力を評価する、みずからのイニシアチブにより航行の安全確保に貢献しようという日本の意図を理解する、さらに、日本が透明性を持ってイランに説明していることを評価するという発言がございました。
イランとしては明確に日本のイニシアチブがIMSCと別物だということを認識しているわけでございますので、IMSCの行動と日本の護衛艦の情報収集活動が一体のものであるというふうに混同されることはないというふうに認識をしております。


穀田委員

それは勝手な解釈だと思うんですね。おっしゃっている大統領と首相の会談は十二月の二十日だったと思いますけれども、それ以後なんですね、司令官暗殺が起こったのは。報復が起こったのも一月八日ということですから、その後の事態の発展といいますか、緊張激化という問題と前段の話を一緒にしたのでは、私はだめだと思うんですね。
現実、米中央海軍のマロイ司令官は昨年十一月、有志連合司令部の発足式典で、有志連合の作戦運用は脅威ベースであり、脅威ですね、ベースであって、攻撃を受ければ軍事的反撃を行う立場、これを表明しています。昨年七月のロイター通信は、有志連合について欧州諸国からは、攻撃の抑止よりも軍事的緊張を高めるとの懸念が出たと伝えています。このことからも、有志連合の作戦が武力行使を伴わないと言えないことは、私は客観的には明らかだと思います。
そこで、角度を変えて聞きますけれども、河野大臣は、一月十五日にエスパー米国防長官と行った共同会見で、日本が有志連合に参加しない理由について、憲法上の制約があると述べられておられます。その大臣がおっしゃる憲法上の制約とは具体的に何ですか。


河野国務大臣

日本がIMSCに参加をしないのは、憲法を始めとする法令、あるいはこれまでの我が国の外交努力、ペルシャ湾岸の情勢、こういったものを総合的に勘案をして、IMSCには参加せず独自に派遣をする、そういうふうに決めたものでございます。


穀田委員

私が尋ねたのは、今お話あったのは、始めとする、それから外交努力とおっしゃっていましたけれども、当時、一月の十五日に行った会見では憲法上の制約と言っているわけですよね。だから、憲法上の制約というのはどういう意味なのかということをもう一遍聞いているわけであります。


河野国務大臣

日本の自衛隊は憲法を始めとする法令の枠内で行動する、そういうことでございますし、今回独自のイニシアチブをとるということにしたのは、これまでの外交努力との整合性をとる、あるいは中東の状況、そうしたことを総合的に勘案をして、独自のイニシアチブでいく、そういうことを決めたわけでございます。


穀田委員

どうも、その憲法上の制約という議論の中身がもう一つ。誰が考えたかて、今の話だと、始めとすると言うだけで、どういうものがあるのかということは、はっきりした、まあ、後ろから文書が回っているから、そういうことを聞かれたらもう一遍答えるのかもしれませんけれども。
私、総合的に勘案したと言っておられますけれども、これではやはり極めて曖昧でして、むしろ、逆に言うと、イランと対立する米国が主導する有志連合に参加すれば、やはり自衛隊は米国の指揮統制のもとで行動することになる。したがって、その結果、米、イラン間で武力衝突が起きれば自衛隊が戦闘に巻き込まれ、憲法九条が禁じる武力行使に至るおそれがあるからだ。これが事態の本質だと思うんですよ。
そうでなければ、憲法上の制約というのは何なんだということをしっかり言ってくれないと。何か、憲法を始めとするじゃなくて、私は憲法上の制約とは何かということを聞いているわけですからね。
私は、その意味で、今、河野大臣からお話ありましたように、日本は有志連合に参加しないと言ったとしても、自衛隊が、先ほど述べたように、有志連合と事実上同じ海域で活動することには変わりはありません。そうである以上、自衛隊が武力衝突に巻き込まれ、武力行使に至る危険性を、本当に、あらゆることを想定してと外務大臣もおっしゃっていましたけれども、そういう排除できないということを強調しておきたいと思います。
次に、軍事的緊張が高まる中東地域で自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれる危険は本当にないのかということについて議論したいと思います。
資料の四ページ目に、昨年十二月三十日付の朝日新聞の一面記事を配っています。報道によれば、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」と掃海艇「たかしま」が、ペルシャ湾での米国主催の国際海上訓練に参加するため、昨年十月二十三日から二十五日の間、オマーン湾からホルムズ海峡付近を航行中、イランの革命防衛隊と見られる船舶から追尾されたとあります。
これにそういうふうに書いているわけですけれども、これは、河野大臣、事実ですか。


河野国務大臣

報道は承知をしておりますが、自衛隊の部隊の運用に関することでございますので、逐一詳細を申し上げるのは差し控えます。


穀田委員

運用にかかわることだから答弁を差し控えるということですか。
私は、この報道が事実ならば、「ぶんご」と「たかしま」がイランの革命防衛隊と見られる船舶から追尾された、追っかけられたという時期というのは、菅官房長官が昨年十月十八日に、日本は有志連合に参加せず、先ほど大臣が何回も言っているように、日本独自にということをおっしゃっていました、日本独自に自衛隊を中東派遣する方針を発表した後のことなんですね。政府がそうした立場を表明していたにもかかわらず革命防衛隊が自衛隊の艦艇を追尾したとすれば、その意図は一体何だったのか。それから、事実関係を曖昧にすることはできない。だから聞いているんですけれども、どうなんですか。


河野国務大臣

繰り返しで恐縮でございますが、報道は承知をしておりますが、部隊の運用について逐一詳細を申し上げることは差し控えます。


穀田委員

やはり記事によれば、二隻の追尾された場所はオマーン湾からホルムズ海峡付近ということでっしゃろ、この記事は。そうなれば、今回派遣された自衛隊が活動する海域に当たるわけで、到底見過ごすことはできない、看過できない、そういう問題じゃありませんか。記事には、革命防衛隊と見られる船は海上自衛隊の艦艇だと伝えると離れていったとあるが、本当にそうだったのかということをはっきりさせる必要がありますよね。
記事によれば、二隻が追尾された場所はオマーン湾からホルムズ海峡付近だったということですし、それならば、先ほど述べたように、派遣された自衛隊が活動する領域にはなるわけですね。私は、今も申しましたように、海上自衛隊の艦艇だと伝えると離れていった、これ自身が本当だったのかはっきりさせる必要があるんじゃないか。それで聞いているわけです。


河野国務大臣

繰り返しで恐縮でございますが、部隊の運用の詳細についてはお答えを差し控えます。


穀田委員

こんなことが起こっているのか起こっていないのかということについて、運用問題だなんという話じゃないと私は思うんですよね。だって、海自が派遣される地域でそのことが前に起こっていた、追いかけられたということについてどうやねんと聞いたら、運用上の話だということでは済まぬと私は思うんです。
海上自衛隊の訓令第十四号では、全ての艦船に対し、実施した業務などを毎日記録する航泊日誌の記載が義務づけられています。そこで、先日報道で指摘された「ぶんご」と「たかしま」が追尾されたという昨年十月二十三日から二十五日までの日誌を私は防衛省に要求し、ようやく提出を受けました。
防衛省が提出した「ぶんご」と「たかしま」の航泊日誌を見ますと、問題の三日間のうち、十月二十四日の日誌の記載がほぼ一日黒塗りになっています。それが、今皆さんにお配りしている配付資料の五枚目と六枚目です。これは防衛省が提出した資料です。
具体的に言えば、朝六時台から、見えますやろ。ホルムズ海峡に入ると書いてますやんか。黒いところに見えますやろ。そしてホルムズ海峡に入るまでの時間帯が真っ黒だ。続いて、ホルムズ海峡を出てから夜に至る時間帯が全て黒く塗り潰されている。
この箇所を黒塗りにした理由は何か。この部分に追尾を受けた事実を示す記載があるからではありませんか。


河野国務大臣

海上自衛隊の艦艇の運航に当たりましては、その周辺の状況に応じて、見張りを増員するといったことを始めとする航行の安全確保に必要な各種の措置を講じます。この「ぶんご」「たかしま」も同じようなことをとるわけでございます。これは、ホルムズ海峡のみならず、状況に応じてさまざまな海域で同様に講ずることがございます。
これらの措置を対外的に明らかにするということは、海上自衛隊の艦艇の運用体制を明らかにしてしまうということになり、今後の任務遂行あるいは安全確保に支障を生じるということから、不開示とさせていただいております。


穀田委員

そうすると、そこだけが支障があるということになりますわな、今の話でいうと。ほかは全部出とるのやから。ほかのところは出て、ここだけは真っ黒なんですよね。私は、それをもらって、見て、おかしいなと思ったから言っているわけです。しかも、運航は周辺の状況、安全確保のために全部書いているというわけですから、それを知らしめたらまずいことがあるということで消したということに、逆に、大臣の答弁からはなるんじゃないですか。
しかも、この「ぶんご」の日誌を見ると、これはなかなかおもしろくて、ホルムズ海峡を出ると書いていますやんか。その下に、解散、そして、通常航海直とすると書かれていますよね。これは、逆に言うと、通常航海直とする、戻っているわけですよね、通常航海のところに。ということになると、この時間帯というのは、今大臣もおっしゃったように、安全確保のために我々に言うことができないような事態、つまり通常でない航海体制だったということになる。まあ、語るに落ちるというのはこのことでして。
海上自衛隊の訓令第四十四号、旗章規則では、自衛隊の艦船は、航海中に自衛隊艦旗を常時掲げることを義務づけています。海上自衛隊では、自衛艦旗を、国連海洋条約上、日本国籍を示す外部標識と位置づけています。したがって、「ぶんご」と「たかしま」も、この日の航海では当然のこと、自衛艦旗を掲げていたはずですよね。違いますか。


河野国務大臣

確認をしているわけではございませんが、当然に掲げていたと思います。


穀田委員

後ろに聞かぬかて、大体、これは海上自衛隊が動いているときはやっているんですよ。それは常識であって、そんなことを一々、後ろから出てこなくてもいいんですって。(発言する者あり)いや、聞かなくていいじゃなくて、そういう……


棚橋委員長

御静粛に。与党も野党も御静粛にお願いいたします。


穀田委員

はい。わかってないね、相変わらず。
そこで、河野大臣は、中東地域でも日本の自衛隊とわかって攻撃されることはないと答えてきました。安倍総理も同じ趣旨の答弁をしてきました。ところが、「ぶんご」と「たかしま」は、この日、自衛隊の艦艇であることを示す旗を掲げて中東海域を航海していた。それにもかかわらず、革命防衛隊と見られる船舶から追尾されている。これは極めて重大なことですよね。
大臣は、十月二十四日の日誌の黒塗り部分を開示すれば、先ほどありましたように、自衛隊の運用にかかわることだからということで言ってはりますけれども、本当にそうなんでしょうかね。つまり、運用にかかわる、だからそういうものについては公開できない、黒塗りで出しているんだ、仕方ないんだと。もう一回お答えください。


河野国務大臣

繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、海上自衛隊の艦艇の航行に当たりましては、その周辺の状況に応じ、見張りの増員といった航行の安全確保のために必要な各種措置を講じているところでございまして、こうした海峡を通る際には、ホルムズ海峡にかかわらずさまざまな海域で自衛艦の艦艇がそういう措置をとるわけでございます。「ぶんご」「たかしま」も、ホルムズ海峡を通航する際にそうした航行の安全確保に必要な措置を当然にとるということになります。
その詳細についてつまびらかにすることは、海上自衛隊のそうした際の対応を外に教えてしまうことになりますので、差し控えさせていただいているところでございます。


穀田委員

そうしますと、この資料をいただいたわけですけれども、ほかの部分は、あるんですけれども、全部黒塗りじゃないんですよね。だから、この部分だけが安全走航にかかわる事態として認識しておられる、そういう意味ですな。


河野国務大臣

ホルムズ海峡というのは、狭い上に船の航行が非常に多い、そういうところでございますから、当然に、海上自衛隊の艦艇も、安全確保のために見張りをふやしたり、さまざまな措置をとるということになるだろうと思います。


穀田委員

そうおっしゃいますけれども、本当に、自衛隊の運用にかかわる問題だとおっしゃいましたけれども、ほんまにそうなんかということなんですね。
海上自衛隊のホームページを見ますと、十月二十四日の活動として十一枚の写真が公開されています。これです。
これには、インド洋方面における海上訓練ということで、十月二十五日、洋上補給などということで、今度は、十月二十四日、これですけれども、こんなふうに写真が、十月二十四日の活動内容を記しているわけですよね。海上自衛隊のホームページは公開されています。
そこにはどういうのがあるかといいますと、これが写真を拡大したもので、きちんと見れば見えるんですけれども、これは、写真に写った自衛隊員のネームプレートには「たかしま」とはっきり書かれています。その活動ぶりを紹介していまして、さらに、いろいろな写真があるわけですけれども、望遠レンズを構えた写真とかが出ています。十一枚、全部、二十四日の活動として書いているんですね。
要するに、そのホームページに掲載された複数の写真が、十月二十四日、まあ自分のところで書いていますから、そういうもので「たかしま」の活動を紹介したものであることは疑いない。
そうしますと、河野大臣、ホームページでは活動ぶりを写真で公開しておきながら、なぜ日誌は黒塗りで隠すのか。おかしいんと違いますか。


河野国務大臣

外に出して差し支えない分を公開しているんだと思います。


穀田委員

それは理屈が通らぬでしょう。
つまり、黒塗りの部分を開示すれば自衛隊の運用にかかわると言うけれども、差し支えないと、これは。ということは、二十四日の活動の中で、写真を公開していることは差し支えないとしたら、活動内容を列記したことについても差し支えないということになるじゃありませんか。
しかも、これは、見たらわかりますように、多分、相手の艦艇がどんな船かというやつを一生懸命に探しているんだと思うんですよね、このページは。私は、推測ですから余り言いたくはないけれども。そして、あわせて、望遠レンズとそれからビデオでずっとやっているわけですよね。
ですから、そういうことからしますと、掲載された写真の中には、結局、複数の隊員が海上に向けて望遠レンズだとかビデオカメラを構えて何かを撮影している。だから、これこそ、追尾してきたイラン革命防衛隊と見られる船舶を撮影、記録している写真ではないのかというふうに思うのが当然だと思うんですが、いかがですか。


河野国務大臣

自衛隊の艦艇の乗組員が望遠レンズで海を眺めるというのは常に行われていることでございますから、それが公開をされたからといって、何か問題になるとは思っておりません。
公開できるものと体制として隠さなければいけないものと、そこはしっかりと切り分けをしなければいかぬと思います。


穀田委員

切り分けをしなければならないという言い方は、それはおかしいと思うんですね。
私は、海自のホームページでは、一連の活動の内容をみずから十一枚の写真で公開しておきながら、その日の航泊日誌については黒塗りで出す、これは明らかに、誰が考えたかて、そういう問題の可能性があるんじゃないかということで質問してずっとやってきている問題について、だから出してくれと言っているわけで、そうすると、両方は違うんだと。結局のところ、海自のホームページでは写真を公開しているけれども我々には黒塗りを出しているということでいうならば、全く国会を愚弄する態度だと言わなければなりません。
しかも、先ほど、ついでに言いますと、ホームページに掲載された、さらに十月二十二日付の写真を見ると、「たかしま」が航海中、自衛艦旗を掲げたこと、これまたはっきり写っているんですね。これがこういうふうになっているわけですやんか。だから、明らかにこれは自衛隊の、日本の船だということがわかる仕事をしているということが誰の目にも明らかなわけですね。それで追尾されるということについて、いや、それは知らぬでと言うわけにはいかないんじゃないですか。


河野国務大臣

今のペルシャ湾あるいはオマーン湾のあたりで、日本の艦艇だということを把握した上で、それを侵害するような行為をとる国があるとは認識をしておりません。
さまざま報道はされておりますが、部隊の運用にかかわることを公開するのは差し控えます。


穀田委員

そこが問題でしてね。認識していないというのは、それは防衛大臣のそういう自分の認識であって、客観的事実として、追尾されているんと違うか、これは黒塗りにしているわけやから、そういう可能性がないのかと。そうしたら、それは運用にかかわる問題ですということで逃げるというのは、明らかに国会を無視していることだと思うんですよね。
つまり、本人が認識しているのは勝手でっせ。だけれども、この問題が、この可能性があるんじゃないかと、追尾という事態が報道されている。しかも、それについて同じ時刻に隠されている、一方、平気で海自のホームページは出している。こういう関係を見ますと、ここのところだけは隠したいということが誰の目にも、ああ、そうなのかということになるん違いますか。


河野国務大臣

公開して構わないものをホームページで出すのは何ら問題ないと思っておりますし、部隊の運用にかかわることは、これは残念ながら公開することはできないということでございます。


穀田委員

結局、同じこと、部隊の運用だからだめだと言うわけですやんか。しかし、部隊の運用という問題じゃないんですよ、一つは。つまり、追尾されたか否かという問題は、部隊の運用じゃないんですよ。
つまり、部隊がどういうふうに行動したかということは、それは運用という問題が、百歩譲ってですよ、あるかもしれません。追いかけられたんと違うか。追いかけられた、追尾というのは追いかけるわけでしょう。何か、黙ってお互いに交差しているのは関係ないんですよ。しかも、日本の自衛隊だという旗を掲げていて、それを追いかけられたとなると、違うんじゃないのか。
だから、それは運用じゃなくて、その事実について記載したものがあるんじゃないか。だから、運用だと言うのやったら、運用じゃなくて、追尾されたという事実がここには書いてないと言えるんですか。


河野国務大臣

部隊の運用については公にできないというのは、繰り返しで恐縮でございますが、そのとおりでございます。
現時点において、日の丸あるいは自衛艦旗を掲げた船に対してどこかの国が侵害行為を行うということはないというのが変わらない認識でございます。


穀田委員

侵害することはない、そういう認識は変わらないと。それは、大臣がそうおっしゃるのはいいですよ。だけれども、追尾されたという事実があるんと違うか。そうしたら、追尾された自衛隊艦、船はどうなるんです。あなたがそういう認識をしていないということで、実際には追尾されたという事実があったとすれば、重大な問題じゃないですか。その運用はどうかなんという話を、それは次の話ですよ。
追尾されているという事実について、この資料がそのことを示しているんじゃないか。示していないと言うんだったら、明らかにしていいじゃないですか。そして、この内容とこれは、今お話しした写真と、それから今お示しした航泊日誌について無関係だと言ったら、その内容を明らかにしたらいいじゃないですか。
だから、いつも、運用という話を大臣はするわけですよ。追尾というのは運用じゃないんですよ。相手の出方について、事実かと聞いているんですよ。


河野国務大臣

さまざまな報道があることは認識をしておりますが、部隊の運用でございますので、それについてお答えをすることは差し控えます。


穀田委員

何度も言いますけれども、部隊の運用って、追尾も運用なんですか。追尾された、追いかけられた、それにどう対応した、それは運用でしょう。追尾されたというのは事実か否かと私は聞いているんですよね。
私は、改めて言いたいんですけれども、自衛隊の艦艇がイランの革命部隊から追尾されたのが事実なら、まさに今回の自衛隊派遣が地域の軍事的緊張を高めるばかりか、自衛隊員を危険にさらすことは明白であります。こんな重大な事案があったにもかかわらず、国会や国民に一切隠して中東派遣を行った政府の責任は極めて重大です。しかも、運用と称して、追尾されたのかされないか、重大な事実まで隠すということは、私は許されないと思うんです。
したがって、委員長に申し上げたいと思うんですが、「ぶんご」「たかしま」の昨年十月二十四日の航泊日誌の黒塗り部分の開示はもちろん、追尾された事実に関する全ての記録を本委員会に提出するよう、強く求めます。


棚橋委員長

後刻、理事会で協議をいたします。


穀田委員

私は、日本のそういう船舶の安全のためにも、中東地域の緊張緩和のためにも、今、日本政府がなすべきことは何か。そのときに、運用だ何だとごまかさずに事実をありのままにすべきだと私は思いますし、自衛隊を出すべきことではない。トランプ大統領に対してイランの核合意への復帰を説く外交努力が求められていると思うんですね。河野さんは外務大臣もお務めになったんだから、その意味では、そういう立場で努力されていただいて、派遣部隊は直ちに撤収させるべきだ。そのことを強く求めて、終わります。


棚橋委員長

これにて穀田君の質疑は終了いたしました。