免震ゴム偽装問題 参考人質疑

2015年05月8日

今村委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
まず、東洋ゴムの山本社長に聞きます。
不正の対象となった最初の五十五件の一つ、独立行政法人国立病院機構舞鶴医療センターに対してどういう対応を行ったのか、まずお答えいただきたいと思います。


山本参考人

個々の対応の詳しいところは把握しておりませんが、今現在、交換に向けて相談しておる状況と伺っております。


穀田委員

私は、この五十五件というものの中で、医療機関や、また地方自治体を初め、いわば、いざというときの人命にかかわる機構、またはそういう司令塔になる部分について、どういう説明を行ったかについて一々把握していないというのは困ると思います。
少なくとも、我々だって全員の数の名前を覚えるということはできませんよ。しかし、五十五件のうち、医療機関は何ぼある、そして、自治体に関係するのはなんぼやという話について知らぬようでは、本当は反省しているのかということをまず言わなければならない。
私は聞いてまいりました、だと思ったから。五月一日に、その舞鶴医療センターを私どもの党の本村伸子委員とともに訪問し、院長に話を伺ってきました。
院長は、最初にマスコミから偽装免震ゴムが使われているのかの問い合わせがあり、何のことかわからなかったと。次に、三月十六日、京都府の土木事務所から免震ゴムの偽装についての報告があり、同日、東洋ゴムに説明を求めたとのこと。東洋ゴムが来たのは翌々日の十八日、説明資料もなく、元担当者がと個人の責任であるかのような説明だった、無理やり謝らされている感じだったと、そのときの東洋ゴムの対応を振り返っておられました。また、地震の際に医療機器が保持でき、一時間後には、いや、すぐにでも医療行為が再開できること、地域医療に責任を果たす上で免震構造がどうしても必要、免震が頼りとの話でした。
その免震ゴムの性能が偽装されていた。レベル2、揺れるが倒れないで済まされる話じゃない。そういう問題を順番を含めて一つ一つ調べて、頭の中に入れてくるというのがあなたの仕事と違うのかと私は言いたい。どう思います。一言。


山本参考人

まずは、大変申しわけございません。
特に初動の連絡体制のおくれがございまして、当初、三十名弱で連絡体制を組んだのでございますが、これが、私どもの予測が甘く、人数不足でありました。今現在は、この対応メンバーは百五十四名、総勢二百二十名で対応させていただいております。
今後は、そういった情報の不徹底がないように進めてまいりたいと思います。申しわけございません。


穀田委員

情報の不徹底じゃないんですよ。情報をしっかりつかんで、みずから物にし、会社の責任者として、どういう被害があるかということをしっかり見定めてここに来ていないということを言っているんですよ。今言いましたように、みずから連絡していない、直接の説明がない、今後の対応についての説明がない、こういう点で極めて不誠実と言わなければならない。
そして、医療センターの職員の方々からも私は話を伺いました。
職員が知ったのは新聞報道によってで、課長の説明は、東洋ゴムから何の情報もなく、移転が延びることのみ。移転延期の影響として、患者さんにとっても、現施設の老朽化で震度四から五で倒壊の危険を感じておられる、そういう不安の中にいる、働いている方もそういう事態が生まれることによってストレスを感じておられる。古い空調で、もともとこれは建て直すから新しい空調は待ってねということなんですよね、患者さんに我慢してもらっている状況だというふうに述べておられるわけであります。そして、新病棟への移転が待ち望まれている。工事のめども立たず、方向性も定まっていないことに怒りがある、補償、賠償をきちんとしてほしいと訴えておられました。
舞鶴医療センターに対して、東洋ゴムとして補償、賠償はきちっと対応しますね、一言。


山本参考人

きちんと御相談の上、対応させていただきます。申しわけございません。


穀田委員

私に謝ってもだめなんですよ。
そこで、東洋ゴムは、二〇〇七年にも断熱パネルの偽装が発覚し、再発防止策を講じています。そして、免震ゴムと同じ、建築基準法に基づく大臣認定案件であります。
そこで、確認しますが、断熱パネルの偽装は何年から何年まででありますか。そしてもう一つ、社長が免震偽装を認識したのはいつか、正確にお答えください。


山本参考人

断熱の問題は九二年から二〇〇七年の問題と承知しております。
それから、私が今回の問題の最初の報告を受けたのが七月下旬から八月でございますが、この際はまだ不明瞭な説明で、次に報告を受けたのが八月十三日、このときも、やはり内容を質問しましても的確な返答がなかったので、再度調査するということをお願いいたしました。
以上です。


穀田委員

あなたの言い方も、先ほど述べた、わからないから再度やらせた、再度やらせたという話と同じじゃないですか。あなたはいつ認識したのかと私は聞いているんですよ。経過を聞いているんじゃないんですよ。いつですかと聞いているんです。


山本参考人

はっきりこれが不正の問題であると認識したのは一月三十日でございます。


穀田委員

二〇一五年、ことしの一月三十日、それほどまでずっとかかっていたということがはっきりした。先ほどは八月十三日だの何なのといろいろ言ったけれども、結局、起点となるのは一月三十日だということですね。それは今おっしゃった。あなたが認識したのは一月三十日だということですよね。いいですね。


山本参考人

二〇一五年一月三十日でございます。


穀田委員

免震ゴムは二〇〇二年から二〇一五年までの十三年間やっています。そして、断熱パネルは十五年間ということになりますよね。
そこで、断熱パネルを偽装し、みずから認めた再発防止策の実施中に今回の免震ゴムの偽装を行っていた、重なっているというところがまた特徴なんですね。実施中にもかかわらず、それ以降も、要するに再発防止の決定に基づいてやっている最中にも八年間継続していたということであって、全く自浄作用がないというのが特徴だ。
二〇〇七年の断熱パネルの偽装問題の教訓がなぜ生かされなかったのかということですよね。
一つは品質、先ほど随分言ってはりましたわ、品質監査室による全出荷品の云々かんぬんということで、これは深掘りが足りなかったと。あとは、コンプライアンスの研修は随分やったという話をされているわけですね。これらのいずれかが確実に実施されていたら、今回の不正事案は生じ得なかったというふうに考えておりますというのが、国交省の橋本さんの答弁だ。ところが、あなた方は、一は深掘りはなかった、しかし、二は随分やったということをおっしゃっておられるわけですよね。
みずから決めた再発防止策が、同じ大臣認定案件の免震ゴムの偽装防止へどう実行されたのか、なぜ再発防止ができなかったのか、社長の見解を聞きたい。


山本参考人

二〇〇七年十一月に品質監査室を社長直轄で設置いたしまして、全社の品質総点検を実施いたしました。
この品質監査につきましては、残念ながら、規格値と出荷成績書との突き合わせを行っており、今回問題となりましたデータ測定の作業時のフローまで至っておらないという点が、発見できなかった一番のポイントであると思います。


穀田委員

それは、確かに、自分のところの社のそういう考え方からするとそうなんだけれども、どういう経過でやっていたかというのはそのとおりなんですよ。しかし、あなた方が出した文書との関係でどうなのかということを言わなあきませんのやわ。
あなたのところはこう言っているんですよ。原因についての報告概要によりますと、まず、事業化検討の不足ということを言っているんですよね。次に言っているのは、経営判断の甘さと監査機能の不足と言っているんですね。ここでは、商品開発のおくれが市場参入の障壁となるとの判断が、不正をしてでも事業を継続しようとする動機となったと言っているんですよね。
となると、不正をしてでもやるということがあったということからして、それを厳しく反省しているという項目を言っているということは、不正をしちゃならぬということについて徹底したかということが問われているんじゃないんですか。そこはどうなんですか。


山本参考人

不正をしてはならないのはもちろんのことで、その不正をいかに見つけ出すかということで活動いたしておったつもりですが、残念ながら見つけることができなかったということでございます。


穀田委員

それでは済まぬですよ。多くの方々が納得しませんよ。
その前に何と言っているかという問題が次にあるんです。では、言いましょうか。
自社の人的、技術的対応力を含めた検討が不十分なまま事業を開始したと言っているわけですやんか。そして、今度の中間総括の中にもそういう文言が書かれている。
つまり、あなた方のところでいうと、少なくとも不正をしてでもという、もうけるためには仕方がないということがある。それからもう一つは、人的、技術的対応力がないにもかかわらずやってしまったという二つの欠陥がある。その二つの欠陥を取り除くためにとことん努力したのかということが問われているということなんです。
これは私が言っているんじゃないんです。あなた方が総括した文書の中にそう書いているんですよ。そのとおりやったのかと聞いているんですよ。


山本参考人

不正をしてでも事業をやるというようなことを防止するために、例えば投資検討会に監査部が入るであるとか、そのようなことは実施しておったのでございますが、今回の問題を、既に起こっていた問題を引っ張り出すということには、残念ながら効果がなかったということでございます。


穀田委員

これ以上やっていても本当に無駄だなという感じがしますね。効果がなかったんじゃないんですよ。そういう角度から物を見ていなかったということが起きているんですよ。同じことをやっているんですから。その原因の本質をあなた方が総括した内容に基づいてどないしたかという角度が欠けていると私は言っているんですよ。そこがないとだめなんですよね。
では、国交省がこの問題を指摘しているわけですけれども、この問題について、再発防止策の実施状況について国交省から点検や指導はありましたか。


山本参考人

当時の御指導があったかどうかは、申しわけございません、私にはちょっと記憶がございません。


穀田委員

これほど大事な問題が、再発防止策も提出し、それを翌年の一月の段階で国交省が通知をし、それを教訓として学び、全社に徹底する体制をとっているにもかかわらず、それらの項目についていかような点検があったかも知らない。これは困りますよね。では、後で国交省に聞きます。
だから、この点で、私は、中間報告がありますけれども、規範遵守の意識の鈍麻と言うほかはない。問題は、そういう鈍麻がなぜ起こったのかということなんですよね。先ほど言った二つの点、すなわち、自分のところの会社の能力を超えている問題、そしてまた安全よりも利益を優先する、少々の不正をしてでももうけたらいいじゃないかという考えがあるというのがここに書いてある内容だということを改めて言っておきたいと思います。
そこで、指定評価機関並びに有識者の方々に、せっかくですから、各党が私に聞けと言うものですから、聞いていきましょう。
それでは、高山参考人と沢田参考人にお聞きします。
まず、大臣認定制度の問題はどこにあると考えるか。先ほども高山参考人は問題があると言っていますけれども、中身についてもう少し踏み込んで、どれが問題だということを言っていただければよいし、どうしたらいいのかということについて、お二方からお聞きしたいと思います。


高山参考人

まず、今の現状の大臣認定制度ですけれども、先ほどから議論にもなっておりますが、基本的には書類審査だけですので、我々としましては、メーカーさんといいますか申請者側から出てきた資料に基づいて、その資料が妥当なものであるか、あるいは申請されている内容が妥当なものであるかということを評価するということになります。ですので、実地審査とかもやっておりませんし、そういった意味では、大臣認定制度は、あくまでメーカーさんが真面目にというか、ちゃんとした試験をやって正しくデータを評価して申請されるという前提に立っておるということになります。
今回こういった不正な事案が出てきたわけですけれども、これにつきましては、今の大臣認定制度をそのまま生かすとすれば、我々が出向いて、どんな試験をしているのかとか、どんなデータの処理をしているか、やはり見に行くしかないかもしれませんが、審査時はそれでも結構かもしれませんが、今度、出荷するとき、実際製品を納めるときに、それはどうなるんですかということまでは、では、我々は全部出荷するところまで見に行くんですかというと、僕は別の仕事をせざるを得なくなってしまいますので、それは現状の制度では難しかろう。
ですので、今の体制のままやるというのは、僕らがそれにかかり切りになるのかということになってきて、ちょっと難しいかなという気はしておりますが、現状を維持するのであれば、何がしかの、そういった体制といいますか、変更は必要かなというふうには思っております。
以上です。


沢田参考人

高山先生のおっしゃったことの繰り返しはいたしませんが、それにプラス、やはり、私どもとしては性善説に立っている。いわゆる書類だけの審査というのは基本的に性善説なんですが、効率がいいことは効率がいいんですが、性悪説に立った場合、開発時の試験、それから出荷時の試験、もう我々が一緒になって開発するみたいな、そういうものに全て立ち会って、データ処理についても立ち会うとか、そういう手間をかければ見抜けたかなという考えはあります。
ですから、どこまでやるか。人間というのは、やはり見ているところではちゃんと正しくやるんだけれども、見ていないところでやらない。そうすると、結局、性悪説に立って全部見なくちゃいけない。そこら辺に非常にジレンマがあるのと、やはり出ていく製品を時々チェックするというのが一番効率的にはいいのかなと考えております。
以上でございます。


穀田委員

そうしますと、今、偽装をやっていないと言われている二十六社について、これまた検査をしているわけですけれども、自主検査の結果、問題ないということだけれども、今度は可児参考人に聞きましょう。
東洋ゴム以外の二十六社について、自社検査で問題ないということなわけだけれども、問題ないということで考えていいんですかね。そして、本来、今、第三者機関として、そういうものについて、二十六社についてでも、これが一つの大きな話題になっているもとで、どのように関与していったらいいのかということをちょっと。


可児参考人

今のお話ですけれども、二十六社は、これは免震の積層ゴムだけなんですよね。積層ゴムをやって認定をとった方々なんですけれども、そこへ質問して、自分の会社を全部自分たちで調べて、その報告をしたということで、それにつきましては、性能評価機関として我々が立ち会ったわけじゃないので詳しくはわかりませんが、国交省の報告によりますと問題なかったということなので、我々も、書類だけで見るのであれば、それは問題なかったと思います。ただ、今後、もし本当に中まで立ち入るようなことができるとすれば、最初の一つの試験データをつくるところまで、やはり一度、目で確認するという必要はあると思います。
それから、その後、一番効果的なのは、できた実機を抜き取りで試験をする。これは、メーカーとしては、実機で確認されてしまえば何も隠すことはないわけですから、できないんですよ。だから、本当のところがわかる。だから、抜き取りによるそういう確認は一つやった方がいいというふうに思っております。
以上です。


穀田委員

貴重な御意見、ありがとうございました。
いずれにしても、今の東洋ゴム以外の二十六社についても、私は、国交省が安心だ、大丈夫だというだけでは、ちょっと、別に大臣を疑っているわけちゃいますねんで、今の事態のもとで起こっていることからすれば、やはり二十六社が自社検査して大丈夫でっせというような話をそのまま信用するわけにはいかへんかなと思っています。
そこで、評価機関の問題に少し行きたいんですけれども、もともと国民の安心、安全のために基準を守らせることが、今回の問題を考える上で基本的立脚点としなくちゃならぬ、これは当然なんですね。
建築基準法というのは、御承知のとおり、第一条において、「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」こう書いているわけですね。だから、これはあくまでも国民の命と健康及び財産の保護のための最低の基準なんですよね。
この最低の基準のところが破られているということの結果について、基準のある意味では番人としておられる経験豊かな可児さんはどういうふうにお考えですか。


可児参考人

基準法の第一条、今お話しされたとおりなんですけれども、ここが一番大事なところであります。やはり、国民の生命と財産を守るという、そこに帰するわけですね。ただ、最低の基準だということは書いてありますので、こういうのだけは少なくとも守ってほしいということを言っているわけですね。
ですから、我々も、何かをつくるとき、物をつくるときは、そこは必ずキープしますけれども、やはり最終目的である生命と財産の保護というのはもうどんなことがあってもやらなきゃいけないというふうな心があれば、今回のようなメーカーさんが不正なデータをもって大臣の認定を得るなんてことはあり得なかった。だから、我々エンジニアの倫理といいますか、そういうものが全くなかったのではないかというふうに思っていまして、我々エンジニアとして情けないというふうには思っております。
以上です。


穀田委員

では次に、北村参考人にお聞きしたいと思います。
免震ゴムの性能評価についてちょっと聞きたいんですけれども、天然ゴムに比べ、高減衰ゴムというのは製品ごとにばらつきやすいとおっしゃっていますよね。また、高山さんは、高減衰積層ゴムの場合は速度によって特性が変化するので係数による補正では本当かどうかわかりにくい、こうもおっしゃっています。そうであれば、先ほど来ありましたように、実大実験、実物実験、また、抜き取り検査というものなどを行うことが不正を見逃さないためにも必要じゃないかと思うんですね。
私は、その意味で、何かというと免震先進国と、この問題についてのいろいろな書類を見ますと割と書いていますわ。先ほど高山先生からは、アメリカとイタリアにそういうのがあるということで、実大の検査機器があるという話がありましたけれども、二十億から三十億かかるということなんです。だけれども、いわば、何かというと、東日本大震災以降、この問題についての免震という問題が新たな課題として提起され、そのことで日本では大きな分野であって、しかも、東洋ゴムさんも比率を、確かに比率はほんのちょっとかもしれないけれども、それ自身の売り上げはばんばんと伸ばしている、今後の未来における重大な問題だとまで言っておられる。
こういうもとで日本のチェック体制としてはどうだったとお考えか、そして今後どうすべきかということについてもお聞かせ願えればありがたいと思います。


北村参考人

なかなか難しい御質問なんですけれども、ちょっと考えていることを御説明いたします。
まずは、日本には動的な大きな試験機がないということで、二〇〇三年の長周期地震動問題、十勝沖地震以降、長周期地震動問題が出てきまして、二〇一一年でも長周期が出てきました。それで、国土交通省の方で、建築基準整備促進事業というので、実大の積層ゴムを動的に評価をしよう、特に長周期地震動に対する能力を評価するよというのをやっています。
そのときは、三木のE―ディフェンスの振動台を使って、あれに治具をつくりまして、それで、高減衰積層ゴム、それから鉛プラグ入り積層ゴムとか、滑り支承とか、鉛ダンパー、オイルダンパー、そういったものの長周期に対するチェックを動的に行いました。
それで、そこの製品はよく流通しているものから選んでチェックしまして、メーカーが言っているような指標を出しましたし、長周期についても大きなデータが得られたということで、免震構造に使っている積層ゴムとかダンパーについてはある程度の性能を持っていると僕自身は思っていました。今回こういうのが出てきまして、そういえば、東洋ゴムの積層ゴムは全然試験していなかったなというのが、ちょっと後悔はしています。
ただ、国のお金とかでやる場合ですから、やはり多く使っているものに対して性能を確かめるというのがいいだろうというので、母数の多いものから選んでいる。それに対しては、そういう性能が確認できているというのをやっています。
そういう意味では、そういった試験機があってやるというのはいいんですけれども、実は、基準整備事業も国の税金でやっていますので、使命が終わったら、一応、加力治具を解体してしまうということをやっています。ですから、現在はないところであります。これから、今後、いろいろな地震とか考えると、先生がおっしゃるように、そういうのがあればもっといい技術が生まれるという余地はあるかと思っております。よろしいでしょうか。


穀田委員

貴重な意見を本当にありがとうございました。
大臣、今ありましたけれども、国のお金も大変だけれども、これがあったら将来に大きな発展が遂げられるということも、現に調査をし、今後もということがありましたし、入れませんか、あの例の試験台。


太田国務大臣

振動台自体は私が実験をしていたときからあるんですが、免震ということで、上から圧をかけて、そして地震動と同じような周期で二秒というようなことではかるというようなことについて、なかなか、それが今日本にはないということについては、どうやって検査をするかという、全てをやるかどうか、どういう場面でやるかということはあるんですが、免震のための振動台がきちっとそろうということは私は大変いいことだと思っておりますし、それにかかわった人間としては欲しいと私は思っています。


穀田委員

貴重な答弁ですよね。必要だ、欲しいということですから、これは、きょうはみんな聞いたから、いいなということで承認していただくということにしたいと思います。
そればかり言っていたのではまだだめなものですから、そこで、今度の問題でいいますと、国交省の対応とその責任についても一言しなければなりません。
最初に、私は舞鶴医療センターのお話をさせていただきました。本来の機能が発揮できる免震ゴムへの交換のめどが全くない。大臣も、一刻も早く免震ゴムの交換ができるようということで、今工事中のものなどを初めとしたいろいろなことをおっしゃっています。私は、東洋ゴム任せにせず、他社にも協力を求め、国が責任を持って取り組むべきではないのかと思うんですが、お考えをお示しください。


太田国務大臣

今原因究明とともに、まず、この段階でやらなくてはならないというのは、交換への工程表とかスケジュールは具体的に動くことだというふうに思っています。今までは、三月の段階では、すぐさま倒れないかどうかということで、三月末までにという指令を出しまして、もうちょっとかかるというのはもっと前に倒せということで、三月いっぱいかけて、震度五強ということに耐えられる。そして、四月に入りまして、六強から七ということにも耐えられる。震度ということからいきますと、最大の震度七ということで、それ以上ありませんので、それに耐えられるということで、まず、そこまでやらせていただいて、今の段階、現段階では、まさに免震の交換ということ、それと原因究明、二つが一番大事なことだというふうに思っています。
多くの方、特に工事中というのが十二ほどあります。それで、長野市とか御前崎とか、あるいは舞鶴もそうなんですが、そこは私の方から、直接国交省が入っていって、いわゆるゼネコン等の業者、そして役所とかそういう方、そして東洋ゴム、全部を引き合わせる役に立って、それで、早くこれを進めなくてはいけないということで、主導的に今やらせていただいておりまして、工事中というのが十二ほどあるんですが、庁舎と病院ということについて、まず国交省が入って、そうした調整をして、動きが始まっているという状況にございます。
工事がおくれたらどうしようとか、さまざま、一番迷惑をかけているのは工事中のところだと思いますので、そこには直接、今申し上げたように国交省が入ってやり、そしてスケジュール等も持っていったり、あるいは、他社の免震材を使うというようなことについては、今、力を注いで、間に入ってやっているということでございます。


穀田委員

お話しのとおり、その点は積極的に頑張っていただきたいと私どもも思います。
そこで一つ、国交省が、先ほど橋本局長がおっしゃっていました三つの点のいわばフォローアップということについて、この間も、十五日でしたか、私が質問したときに、耐火偽装の再発防止について六年前にそういうことをやったと。その後、フォローアップはどないやと聞いたらば、橋本さんは、市場から調達した試験体を用いたサンプル試験も調査して、その結果、性能がないことが確かめられたものについては改修を指示しているところであります、こう答えたんですね。私、この答弁をどこかで聞いたことがあるなと思って見ていたら、二〇〇九年の、この事件が起きた後の参議院の国土交通委員会で同じ答弁をしているんですよね。
だから、どうも、そのときに起きた、いわば耐火パネルという問題が流布している、それを追いかけているという点は私わかるんですよ。だけれども、あのとき質問したのは、先ほどありましたよね、社長はそういうことは記憶にないと言ってはるわけですわな。私は、どんな点検とどんな監査や検査でいいけれども、やったのかということをもう一遍聞きます。


橋本政府参考人

防耐火の不正事案があった後の再発防止策については、前回も答弁申し上げましたとおり、不正な試験体が試験に使われないようにちゃんとチェックをすることと、サンプル調査、いわゆる抜き取り調査を行うということを実施いたしました。
抜き取り調査、サンプル調査につきましては、毎年七十件程度でございますけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、だんだん減ってはきております。
ただ、今回の反省点として、製品のチェックというのを今まで我々は一生懸命やってまいりましたけれども、品質管理とかあるいは製造、検査の現場のシステムのチェックということに関しては、今まで我々としてはやってこなかった。この点に関しては、今回、大臣認定制度の見直しに当たって、再発防止策も一つの品質管理のシステムだと思いますので、そういうことも今後取り入れていかなければいけないと考えております。


穀田委員

橋本さん、あなたの報告は、前はこうした、今度からこうすると。この間がないねんね。わかりますか。
私が言っているのは、あなた方が三つあると言ったことの一番目の品質管理というのは、当然の必要な仕事なんですよ。今後だけではないんですよ。この数年間に再発が出てきている、再発しないと言ったけれども起きたという問題の責任との関係で、何してきたんやと言っているわけですよ。
一般論として、私、わかりますよ。一万何千件あったような耐火パネルについて追いかけている、それは否定していないですよ。問題は、その会社がそういう約束をしたことについて、受ける側は聞いたことがないと言っているけれども、おたくは行ったのかと聞いているんですよ。


橋本政府参考人

東洋ゴム工業の再発防止策について、現場に入ってチェックをしたという事実はございません。


穀田委員

つまり、そこなんですよ。あれほどの大事件を起こして、建設業界に大きな波紋を投げかけ、その後も何年間も追わなければならないという事象に対して、その出された総括報告、そして原因究明報告を何ら手本にしていないというところに問題があるんじゃないかということを私は前回言いたかったわけですよ。
それで、私、だからどうも話がおかしいなと思って、もう一遍議事録を読んで、待てよと思って見たら、同じことを言っているなということに気がついて、この調子じゃ、そりゃあかんでと思ったわけですよ。
だから、本当にここは心して、そういうせっかく、会社も会社なら、言っていることはさっぱり覚えてへんし、それから国交省は国交省で出されたら聞きっ放しということ、両者があかんということを我々は言っておきたいと思います。
そこで、私は、最後にこの議論をしたいのは、大臣認定制度そのものを考えなければならないというところに来ているんだと思うんです。
二〇〇七年の耐火パネル偽装の問題の際も、当時、冬柴大臣は、もう一度こちらから検査するとか、そういうことで国民に御不安をかけないような手をとらなければならないと答弁をしているんですね。ところが、国民の不安を払拭するどころか、さらに不信を倍増する事態になった。
それで、先ほども、いわば学識経験者のお二方からはそういう問題提起もあったということですから、大臣認定そのものが建設業界全体の不信の大もとに結果としてはなった。したがって、前回も提起しましたけれども、制度そのものの根本的な再検討が必要な時期に来ているんじゃないでしょうか、大臣。


太田国務大臣

今回、品質管理という、技術開発とかそうしたことは日本の企業はもう本当に力を注いでやってきたのに、ここはやれていないということが一番問題だったと思います。
そして、同じ業界でいえば、例えばタイヤならタイヤというものを考えても、これは実際に車で走ってみて、いいものか悪いものかというのはそこの現場の中からはね返ってくる。しかし、免震というのは、なかなか、きいているのかきいていないのか、物すごい地震がないとよくわからないというようなものがあると思います。
そうしたことからいいますと、一つは、安全に直結する製品かどうかということが非常に大事なことだと思います。それから、検証が現場でされないというものには、特別この認定ということについてはきちっとしておかなくてはいけないということ。そして、過去に不正を行った企業かどうかというような点。三つ私申し上げましたが、そこでのチェックのあり方というものをほかのものと変えるべきだ、このように考えています。
具体的には、性能評価機関によるISO9001、品質マネジメントシステムも活用して、製造、検査や品質管理システムのチェックを強化すること。性能評価機関により生産現場、品質管理現場の実地調査を行うこと、今参考人からもお話があったとおりです。そして、認定後においても国や性能評価機関が一定のチェックを行うこと。これらについてどうしたらいいかということを、これらを柱にして第三者委員会の意見も伺いつつ検討したい、このように考えているところです。


穀田委員

その御意見は御意見として、私はある意味で当然だと思うんです。ただ、先ほど来ずっと三つの、例えば安全に直結する商品、これは私前回も提起しましたし、せめて何万件とあるような中でそういうものは特別にということも提起しました。それはそれでわかりますし、現場の検証もそうだし、過去に不正というチェック、それもそうだと思うんですね。
ただ、問題は、例えば建築と住宅ジャーナリストの細野透さんは、大臣認定制度のシステム設計に致命的欠陥があると指摘しているんですね。だから、国民の安全にかかわる大臣認定が、認定試験というときと、それから出荷という二回にわたって、二重に欺かれた。このことからどういうふうに反省すべきかということが我々に問われているんだと思うんですね。これは、立場の違いを超えて、どういう問題があるかということはお互いに議論する必要があるんじゃないかなと率直に思うんですね。
私は、結局、当時、この一連の作用がずっと起こった根本に、規制緩和の名のもとに、自社の検査で事足りるという制度の根本が問われているんだと思うんです。何回も私、二〇〇〇年、一九九〇年代の後半に議論しましたけれども、規制緩和のもとで、悪いものは市場がチェックし、退場を促す、結果はそうなるんだということをずっと言ってこられました。しかし、十九年も十五年も見逃して見抜けなかったということは、このことが実際は機能していないということを示していると思うんですね。
しかも、ここには何があったかということで再度私は社長にも見てほしいんですけれども、耐火パネルのときには、先ほど述べたように、事業拡大のため、早く大臣認定をとるように現場に指示していた、他社との競争もあり、開発現場はプレッシャーを感じていた。ここで、消費者への配慮ではなく、利益を優先する気持ちがあった。これは誰の発言か。これは、ニチアス、当時問題になった片側の方の記者会見での発言です。
今回の偽装で東洋ゴムの幹部は、国交省の立ち入りに対して、営業からの納期のプレッシャーがあり、焦りがあったのではないかということを発言しています。
つまり、建築材料を売る側は安全よりも利益優先、それを使ってつくる側も、コストパフォーマンスがよいと称して、安かろう悪かろうが事実上まかり通っている事態もある。
したがって、自主検査を前提とせずに、偽装を見抜く力をどう強くするかが私は改革の鍵だと思っています。その上で、不正を起こさせない、起こしにくい制度設計が必要だと思っています。したがって、建築材料の大臣認定制度の穴、設計、試作、実験、製造などの各段階で重層的に外部のチェックする仕組みが必要だ、こういう点も含めて提案して、きょうのところは終わります。