在日米軍コロナ感染 米軍文書「検査なし入国」昨年9月に公表 

2022年03月23日

穀田委員

 日本共産党の穀田恵二です。  在日米軍の新型コロナの感染拡大問題について今日は質問します。  政府は、昨年十二月二十二日、沖縄県の米軍キャンプ・ハンセンで新型コロナのクラスターが発生したことに関し、日本側からの要請で米側がオミクロン株の検査を行い、結果を共有する、米国に検体を送り、ゲノム解析を実施することを明らかにしました。それから三か月が経過しましたが、ゲノムの解析は依然として示されていない。  林大臣、その理由は何でしょう。

林国務大臣

 このゲノム解析の結果判明の時期につきましては、今のところ確定的な見通しを申し上げる段階にはございませんけれども、昨年十二月末の時点で、キャンプ・ハンセンにおける変異株PCR検査の結果が変異株陰性であった検体については、オミクロン株であるものとみなして、その前提で対応していくことで既に日米で一致をしております。  政府としては、引き続き、二月八日以降継続的に開催されております検疫・保健分科委員会の場も含め、新型コロナを含む感染症対策について日米で連携していけるように、保健当局を交えて議論を深めてまいりたいと考えております。

穀田委員

 既に三か月も経過しているのに、今のところ確定的な見通しを得る段階にはないと。そんな、いつ結果が判明するのかも、見通しも立たないというのは非常に重大じゃないでしょうかね。ゲノム解析なんかどうでもいいと言わぬばかりの話になっては私はいけないと思うんですよね。  林大臣はこの間の答弁で、ゲノム解析の結果が得られたとしても、それだけで在日米軍基地が感染拡大の由来と推定するのは困難だとも述べています。ですから、さっき私が言いましたように、どうでもいいとは言わぬけれども、ゲノム解析の結果など得ても得られなくてもどちらでもいいという姿勢じゃないかと思うんですね。そうした政府の姿勢が米軍から見透かされているとしか考えられない。  これまで政府は、オミクロン株の感染拡大で、在日米軍施設・区域内の感染状況がその原因の一つだった可能性は否定できないとしてきました。その上で、岸田総理は二月十七日の記者会見で、ゲノム解析が原因究明に必要なもちろん一つのポイントだと答えています。そうであるならば、結果判明の見通しも立たない現状をこれ以上放置することは許されないのではないでしょうか。その辺の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣

 私の答弁で、在日米軍のゲノム解析の結果が得られたとしても、ゲノム情報のみをもってその由来を推定することは困難であると承知をしておりますが、これは、二月一日の衆議院の予算委員会で厚生労働大臣からこのお答えがあったものを、私としても同様の御答弁を差し上げたところでございます。  この意味は、まさにこの結果とそれから由来を推定するということが難しいということでございまして、これをもってゲノムの結果を、何といいますか、遅くてもいいというニュアンスで申し上げたわけではないことは申し上げておきたいというふうに思います。  先ほど申し上げましたように、検疫・保健分科委員会というのが今回新しく設置をされましたので、しっかり、この場を含めて、保健当局を交えて日米で連携をしてまいりたいと考えております。

穀田委員

 大臣は、必ずこの例の、日米合同委員会に新設した検疫・保健分科委員会のという話をされまして、それで、緊密に米側と連携していきたい、こう必ず言われるんですよね。  しかし、日米合同委員会は、中身は全て非公開、議事録一つ公表されない、いわば秘密会議ではないかと。だから、自分としてはそれはきちんとやるつもりだと言うんだけれども、そこに振ってしまうということは、結局、国民に対する説明責任に背を向けることになる、結果としては。だって、そっちに行っちゃえば話にならないんだもの。  だから、大臣の口でどうなっているかということを直接やはりお話しいただくことが大事かなと私は思います。  林大臣は、これまで、在日米軍が昨年九月三日から出国前検査を免除していたことを確認したのは昨年十二月二十四日で、在日米軍が九月の時点で日本政府に出国前検査の免除を通知していたとの認識は誤りだと説明してきました。  それでは、在日米軍は外務省に対してどのような形で出国前検査の免除を通知したと説明しているのか、お答えいただきたいと思います。

林国務大臣

 この新型コロナ感染症の発生以来、日米合同委員会を含む様々な機会を捉えて、日米間で、日本側の措置の説明をし、同感染症への対応について緊密に連携してきたところでございます。  この出国前検査の免除につきまして、二月二日に報道がございまして、在日米軍からは、新型コロナ対策に関して日本側と緊密に連携する中、出国前検査の免除について外務省に通知していたとの認識であるとの説明がありましたが、日本側としてそのような認識は持っておらず、その旨を米側に明確にしたところでございます。  その上で、両者の認識にそごがあったことを踏まえて、今後はこうした状況が生じないよう、より一層緊密に連携していくことで米側と一致したところでございます。  こうした状況が発生しましたのは、米側の水際措置が日本側の措置と整合的に実施され続けているかといった点を外務省の側から確認する努力、ここに不十分な点があったためであるということは否定できないところでございます。  大事なことは、今後はそうした状況が生じないようにすることでございまして、日米合同委員会の下の検疫・保健分科委員会の場を含めて、より一層緊密に米側と連携してまいりたいと考えております。

穀田委員

 外務省の努力が不十分だったということはお認めになった、それは何回も言っているんですけれども、私が聞いているのは、どのような形で通知したかということを聞いているんですよね。  既に在日米軍司令部は、メディアの取材に対して、「責任の所在を明らかにすることは利益をもたらさない」との立場を示しているんですね。こんな責任逃れの立場に立つ米側と幾ら緊密に連携していくといったところで、真相は何も明らかにならないと思います。  そこで問題は、外務省が在日米軍による出国前検査の免除を確認したのは本当に十二月二十四日なのかということなんですね。  在日米軍司令部が出した「軍公衆衛生保護令」と題する命令書があります。この後ろの方のページには、この命令は、二〇二一年九月三日に発効し、取り消されるまで有効とするとあります。在日米軍司令官のラップ空軍中将の名前が書かれています。つまり、この命令書は、問題の昨年の九月三日にラップ司令官によって出されたものだということなんですね。  命令書では、日米地位協定が適用される米軍関係者に対して出国前検査も入国直後の検査も義務づけておらず、ワクチン接種者については到着から十四日間は行動が米軍施設内に制限され、五日以降、抗原又はPCR検査を実施するとしているだけであります。しかも、ワクチン接種者の場合、米軍施設の屋外でのマスク着用は不要と定めており、十四日間の行動制限中も施設内の全ての施設を利用できるとあります。このように、命令書には問題になった米側の行動が記されています。  林大臣、外務省では、この昨年九月三日の時点でラップ司令官がこの命令書を出していたことを把握していたのではありませんか。

林国務大臣

 九月三日に、在日米軍は、米軍のワクチン接種が進んだことや世界的な感染状況の緩和を受け、米国防省の方針に基づき、ワクチン接種済みを条件として出国前検査を免除した、これは今委員がお示しになった文書のことであろう、こういうふうに思っておりますが、一方で、我々は、感染の拡大に伴いまして、十二月二十四日に確認作業をいたしました結果、出国前検査が行われていなかったのは、キャンプ・ハンセンのみではなく、全ての施設・区域についてであったということが確認されたことから、松野官房長官と私の記者会見でその旨を発表するとともに、在日米軍が日本の水際措置を踏まえて措置を変更することとした旨、発表をしたところでございます。

穀田委員

 経過は何回も、大臣、おっしゃっているんですよ。私が聞いたのは、命令書を出していたことを知っていたんじゃないかと聞いているんですね。  つまり、この文書ですよね、昨年九月三日の命令書は、在日米軍司令部が公式ホームページでアップし、公表しているものなんです。つまり、誰でも入手可能な文書ということ、私が突然何か引っ張り出してきたというものじゃないんですよ。これはちゃんと公式ホームページに載っているわけですよね。  だから、その存在を、何回も言うように、すぐ、その文書のことであろうというようなことを言っているんじゃなくて、大臣は見はったかと。その存在を外務省が昨年十二月二十四日まで知らなかったということはあり得ないんじゃないのかと思うんですが、いかがですか。

林国務大臣

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、九月三日に米国防省の方針に基づき、ワクチン接種済みを条件として出国前検査を免除されたということは、そういう文書が出たということで、経緯として、先ほど申し上げたとおりでございますが、我々が確認をしたというものは十二月二十四日であったということでございます。

穀田委員

 もう一言だけ聞きます。  この文書を公式ホームページで見られるわけですよね。誰でも見られるんです。だから、じゃ、外務省が全くこの文書は知らなかったということでいいんですか。

林国務大臣

 何度も繰り返しになって恐縮でございますが、我々として把握したのは十二月二十四日ということでございます。

穀田委員

 そうすると、誰もが見られる公式のホームページで、コロナ対策の問題をめぐる出入国管理に関わる問題で、一般の方々よりも、外務省は十二月二十四日に初めて知ったということでいいんですね。

林国務大臣

 先ほど申し上げましたように、二十四日にこの確認作業を行いまして、出国前検査が行われていなかったのは全ての施設・区域であったということが確認をされたということでございますので、この時点で我々としてはこのことを承知をしたということでございます。

穀田委員

 ちょっと、違う話を一生懸命この十二月二十四日説に持ってこようとしているんだけれども、私が言っているのは、相手の米国はこういう文書を出してやっているじゃないかと。さっき、具体的な中身についても言っているわけで、それを見たのか、知っていたのか、知らないのかと言うと、いろいろな状況を十二月二十四日に発しましたって、そんなずれた話をしたらあきませんで。  林大臣は、結局、先ほど言っていましたが、米軍のワクチン接種が進んだことや世界的な感染状況の緩和を受けたという説明をしていたわけです。さっき述べていましたよね。しかし、この命令書には、日米地位協定入国許可書と題する附属書があるんですね。文書の上段に英文、下の段には日本語訳が記されており、ここには次のとおり記載されています。そのまま読み上げます。  関係各位   本邦への上陸の申請日前十四日以内に指定された国における滞在歴がある外国人の本邦への上陸を拒否するという日本政府の措置にかかわらず、米軍関係者(この書簡の所持者を含む。)は、在日米軍が当該者を本邦に上陸した空港又は港から在日米軍の施設及び区域に移動させる手段を提供するとともに、在日米軍の施設及び区域に到着後直ちに、当該者を十四日間隔離するという理解の下、日米地位協定第九条の規定に基づき、本邦への上陸を認められる。  令和二年四月一日        外務省北米局日米地位協定室長        川埜 周  直筆のサインもあります。  このように、川埜地位協定室長の二〇二〇年四月一日の書簡は、地位協定第九条に基づく入国許可の条件として、あえて、一つは公共交通機関の使用禁止と、二つは十四日間の行動制限の二つを挙げていたのであります。  昨年九月三日の命令書は、この川埜室長の書簡を入国許可書として附属していたわけで、米側は、入国に当たりこの二つさえ遵守すればよいと理解していたのではないですか。

林国務大臣

 先ほど申し上げたように、我々が確認をしたというのは二十四日であったわけでございますが、米側がどういう理解を、今先生がおっしゃったように、その時点でおっしゃっていたかというのは、我々はお答えするものを持ち合わせていないわけでございますけれども、二〇二〇年の七月二十九日に日米で共同プレスリリースを発出しておりまして、九月一日に、日本側の水際措置として、上陸拒否対象地域からの全ての外国人入国者に対し、出国前七十二時間以内のPCR又は抗原定量検査を義務づけ、こういうことになっておるところでございます。

穀田委員

 一方的に自分のところの行政がやったことだけ述べたのでは困るんですよね。私が言っているのは、相手の側がそういうことを言っているよ、公式にホームページにも出しているよ、それを知らなかったのかと。十二月二十四日だ、こう来るから、そうすると、その文書全体の中にまた附属書というのがありますね、その文書の中にこうしたら行けるよということまで書いている、そのことをずっと引き継いでいるんじゃないかということを私は言っているわけですよね。  だから、川埜室長の書簡を、政府の、今言いましたよね、入国禁止の措置の下でも、あえて、公共交通機関の使用禁止と十四日間の行動制限の二つを入国許可の条件にしていたわけですよ。昨年九月三日のラップ司令官の命令書は、その川埜室長の書簡を、これをちゃんと全部附属させているんですよ。だから、附属していたわけで、これが出国前検査を免除した根拠になった可能性があるんじゃないかということを、事の流れから、発行している文書から、ついている附属書から、公式に発表されているホームページから引き出して、私は聞いているわけですよね。  だとしたら、今、すれ違いの話、いろいろしてはるけれども、私が言っている内容についていいましたら、そういう関係の事実関係を調査してはどうでしょうか。

林国務大臣

 今、先生から御提示のあった文書についてはちょっと、御通告もありませんでしたので、つまびらかに今、答えられるものは持っておりませんけれども、そうした文書について、今、御提示があったわけでございますから、どういう文書であったかというのは確認をさせていただきたいと思います。

穀田委員

 そうしますと、確認していただくということはありがたいと思います。  そこで、じゃ、一言だけ聞きますと、通告がなかったからと言っているんだけれども、私は、この問題は、九月三日の関わり合いで非常に重要な文書として、これ、九月三日と十二月という。九月三日というのはあっちが言っていることじゃないですか。そのときに出ている文書ということで、しかも、十二月二十四日まで全然知らなかったというのが、大体、そういうことで聞きますと、余り知らへんなんだというような感じだから、要するに、突然の通告だからということでいいますと、記憶にあれば、この文書を和訳したものでもいいんですよ、見たら、誰だってそれは見たよというふうに言えるわけで、ちょっとそれは、私は解せないと思うんですね。  だから、調べていただくということは結構かと思います。  事は、日本の国民の命と健康に関わる重大問題で、先ほど答弁の中にあった、そごがあったの一言で片づけられる問題ではないということを述べておきたいと思います。  外務委員長、先ほどありましたように、事実を、経過を調査され、そして、本委員会に報告するように求めたいと思います。

城内委員長

 後刻、理事会で協議いたします。

穀田委員

 最後に、ウクライナの問題について、私、一言述べておきたいと思うんです。  前回も私、質問しましたけれども、ロシアによるウクライナ侵略をめぐって、今、何が問題かということで、世界的な働きかけを私は大臣に提起しました。棄権の国、それから退席した国、四十七か国ある、そこに対しての努力をすべきだということについて訴えました。  私ども日本共産党としては、独自にベトナムの大使をお招きして、そういう意見交換も行っているところであります。  問題は、そのときに、ずばり正確に何が問題かということを明らかにすることが大事だということについて、私たちの意見を述べておきたいと思います。  それは、三つのやはり無法な行為がある。この前も言いましたけれども、一つは、国連憲章をじゅうりんした侵略であるということ。二つは、原発や病院や民間人への攻撃は、国際人道法に背く戦争犯罪だ。三つに、核兵器大国を誇示し、核の先制使用で世界を威嚇する、こういうものが鮮明になっていると思うんですね。  したがって、これらに対して、きちんとした的確な批判を行いつつ、国際世論でプーチン政権を包囲する取組こそ大事だと思っています。  その点について、最後に所感をお伺いしておきたいと思います。

林国務大臣

 この度のロシアのウクライナに対する侵略、これは国際法違反で、明白な違反であり、許容できないことであり、強く非難するということは度重ねて申してまいったところでございます。  まさに委員から御指摘のあったような民間人への攻撃、軍事目標でないわけでございますから、これは人道法違反でございます。  したがって、最後の三つ目でおっしゃいましたように、G7を始めとして、普遍的な価値を共有する国々、多くの国々と連携しながら、しっかりとこれには対応してまいらなければならないと考えております。

穀田委員

 今ありましたように、私どもとしては、既にベラルーシの大使館ともお話合いをして、意見交換をしています。なかなかかみ合わへんというのはあるんだけれども、やっています。  ですから、大臣自身がこの間外遊されたところでどういう話合いがあったか、また、インドにおける総理大臣の話合いがどうだったかということをつまびらかにしていただく必要があろうかと思いますけれども、時間がありませんので、またそれは個別にもお聞きするとして、そういう努力が今大切だと。  その意味で、政党としての、私たちとしては独自の努力も続けたいということを述べて、終わります。