「思いやり予算」特別協定に対する反対討論

2022年03月11日

城内委員長

 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員

 私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定、いわゆる思いやり予算特別協定に反対の立場から討論を行います。  日米地位協定第二十四条は、在日米軍の維持経費は日本国に負担をかけずに合衆国が負担すると定め、日本に負担義務はありません。にもかかわらず、政府は、一九七八年に思いやりと称して基地労働者の福利費などの負担に踏み切り、一九八七年には特別協定を締結しました。  それ以来、暫定的、特例的、限定的な措置としながら負担を継続するとともに、負担対象を隊舎や家族住宅等の施設整備、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと拡大させてきました。本特別協定では、新たに、訓練資機材調達費として、米軍が訓練で使う最新鋭の資機材の調達を支援するという費目が設けられています。  政府は、駐留経費負担の通称を同盟強靱化予算にするとしていますが、日米地位協定上、米側が負担すべき経費を日本側が肩代わりするという思いやり予算の本質に変わりはありません。こうした道理のない負担を更に続けることは断じて認められません。  日米両政府は、昨年十二月の本特別協定に係る合意で、二〇二二年度から五年間の日本側負担を総額一兆五百五十一億円とすることで一致しましたが、この額は、現行の一六年度から五年間の負担総額九千四百六十五億円に比べて一一%もの増額となっています。  このうち、提供施設整備費では、抗堪性の強化を名目に、米軍機用の掩体整備など米軍施設の改修事業費を計上し、訓練資機材調達費では、米軍が本土で行う訓練に自衛隊が日本から参加するためのシステム整備費を、また、米軍機の訓練移転先として、従来のグアムに加えてアラスカを対象に広げる訓練移転費を負担することとしています。  これらは、昨年の三月の日米2プラス2で、実践的な二国間、多国間の演習、訓練が必要としたことを受けたものであり、米本土の広大な訓練空域を活用し、実践的な大規模訓練を行うためのものです。とりわけ、質疑を通じて、この訓練が敵基地攻撃能力の保有を見越したものであることが明らかになったことは重大です。  岸防衛大臣は、本特別協定に係る合意に関し、中国や北朝鮮の軍事力強化を挙げ、日米両国が厳しい安全保障環境に肩を並べて立ち向かっていく決意を示すことができたと強調しました。本特別協定は、まさに自衛隊と米軍が肩を並べて戦争するための体制づくりの一環であり、到底認められません。  以上を述べて、反対討論とします。