ウクライナ情勢/アラスカ実践訓練は「敵基地攻撃そのもの」

2022年03月11日

穀田委員

 日本共産党の穀田恵二です。  今日は、三月十一日、東日本大震災十一年に当たります。改めて、お亡くなりになった方々に哀悼の意を表し、同時に、被災者と被災地の復興、とりわけ生活となりわいの再建に向けて、憲法十三条に基づく幸福追求権の立場で努力することを改めてお誓いしておきたいと思います。  今日は、日本が在日米軍駐留経費を負担する、いわゆる思いやり予算の特別協定について聞きます。  今回の協定では、訓練移転費として、今後五年間に毎年度百十四億円を日本が負担することに加えて、米軍機の訓練移転先として、新たにアラスカを対象にすることを定めています。  そこで、林外務大臣、一つ一つお聞きしますし、一つ一つお答えいただきたいんですけれども、新たにアラスカを訓練移転先の対象にする理由は一体何かということを端的にお答えいただければと思います。

林国務大臣

 日米間では、日米2プラス2の機会や日米ガイドラインを含めて、実践的な演習及び訓練の重要性を確認してきております。  また、沖縄の負担軽減、これは政府の最重要課題の一つでありまして、嘉手納飛行場等に所属する航空機の訓練移転等に取り組んできたところでありまして、引き続き地元の負担軽減に取り組んでいく必要があります。  こうした観点から協議を行った結果、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転先の対象とすることについて日米間で一致をしたところでございます。  これにより、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るための訓練移転を更に促進することが可能になると考えております。

穀田委員

 アラスカを訓練移転先に加えることが沖縄の負担軽減を図るためだと言われました。  しかし、米軍機の日本国外への訓練移転をめぐっては、これまでグアムが対象でした。一体、どれだけ負担が軽減されたというのでありましょうか。お答えいただきたいと思います。

林国務大臣

 航空機の訓練移転は、在日米軍の抑止力の維持向上と在日米軍飛行場周辺における訓練活動の影響を軽減する観点から大きな意義を有しておりまして、政府としても積極的に取り組んできております。  特に、沖縄の負担軽減、先ほど申し上げましたように、政府の最重要課題でございまして、嘉手納飛行場等に所属をする航空機の訓練移転等に取り組むことによりまして、嘉手納飛行場等周辺の住民に対する騒音の影響は一定程度軽減されるものと認識をしております。  そうした認識の下で米側と協議を行った結果、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転先の対象とすることで、米軍による訓練の日本国外への移転を更に拡充することで一致をしたところでございます。  これによりまして、米軍の抑止力を維持しながら、沖縄等の地元の負担軽減を図るための訓練移転が更に促進されることになると考えております。

穀田委員

 一昨日もこの問題は議論がされました。  沖縄県の嘉手納町議会は、今年二月九日と三月三日の二度にわたって、米軍機の騒音激化と相次ぐ外来機に抗議する意見書と決議を全会一致で可決しています。外来機の飛来の禁止などを総理や外務大臣、防衛大臣、在日米軍に要請しています。このことは大臣も御存じかと思います。  日本政府宛ての意見書は、嘉手納基地では、今年一月中旬から米軍機の騒音が激化し、MC130特殊作戦機など、エンジン調整音が昼夜を問わず鳴り響き、連日の戦闘機による離発着や基地上空での旋回飛行に加えて、ヘリコプターが居住地の上空を低空飛行するなど、米軍の傍若無人な基地運用及び騒音などの基地被害は我慢に我慢を重ねてきた町民の受忍限度をはるかに超えており、怒りは頂点に達しつつあると強調しています。  こうした中、沖縄防衛局から、嘉手納飛行場で実施予定だった航空機訓練をグアムのアンダーセン基地へ移転する、一月三十一日から二月十八日にかけて、嘉手納基地配備のF15戦闘機十二機などが参加予定との計画が発表されました。一時的とはいえ、騒音が軽減すると期待したとあります。  ところが、一月二十七日から二月三日にかけて、横田基地のCV22オスプレイや岩国基地のF35戦闘機など計十六機が相次いで飛来し、九十四・一デシベルの激しい騒音を記録しました。このような事態を受けて、意見書は、嘉手納における負担軽減のための訓練移転期間中に外来機が相次いで飛来し騒音を増大させている実態に対し、激しい憤りを禁じ得ないと記しています。  林大臣、訓練移転は抑止力の話と沖縄の負担軽減を図るためだ、そして嘉手納基地所属の米軍機の訓練移転に取り組んでいると何度も言いますけれども、これが実態ではないですか。嘉手納の町議会のそういう意見書、決議、どんなふうに思われますか。

林国務大臣

 今お話がありましたように、防衛省からお答えすべきところではあろうかと思いますけれども、日米両国が、嘉手納飛行場における一層の騒音軽減を図るため、航空機の訓練移転を行う期間中に嘉手納飛行場における米軍の訓練活動の影響について配慮するということとしておりまして、グアム等への訓練移転について、防衛省からも、移転期間中における嘉手納飛行場周辺の騒音軽減が図られるように、米側に対し配慮要請を行っているというふうに承知をしております。  いずれにしても、今後とも、米側に対して、嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減、これが図られるように一層の協力を求めるとともに、訓練移転を積み重ねるなど、可能な限り地元の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。

穀田委員

 防衛省が答えるという話じゃないんですよね。外務大臣にも要請は行っているはずなんです。していますやろ。しているんですよ。だから、政府は、こういうことを言うと必ず、地元からの要請は伝える、協力を求める、こういうふうに言うんだけれども、米側は運用上の自由を損なわれると難色を示して、結局、こうした外来機の飛来は常態化しているのが実情だと私は思うんですね。  意見書は、二月十九日と二十一日の両日、アラスカのアイルソン空軍基地から計十二機のF35Aステルス戦闘機が飛来、基地周辺では九十から百デシベルの騒音が確認されたと指摘しています。百デシベルというのは電車が通るときのガード下の騒音に匹敵し、会話などがほぼ不可能なレベルであります。  林大臣、嘉手納町では、所属機の通常訓練に加えて早朝から鳴り響く外来機の爆音に、まさに住民は普通の生活ができないと悲鳴を上げているわけであります。負担軽減というんだったら、何よりも、こうした外来機の飛来については規制するということこそ行うべきではありませんか。

林国務大臣

 今委員が御指摘になったように、防衛省のみならず、我々にも御要望書をいただいているということでございます。そうしたことを受けて、先ほど申し上げましたように、グアム等への訓練移転について、移転期間中における嘉手納飛行場周辺の騒音軽減が図られるように、米側に対して配慮要請を行っております。  いずれにしても、今後とも、この嘉手納飛行場周辺における騒音の軽減が図られるよう一層の協力を求めるとともに、元々の御質問でありました訓練移転、これも積み重ねてまいらなければならない、こういうふうに考えております。

穀田委員

 何回言っても配慮要請と言うんですよね。せめて、外来機については規制するというぐらいのことをしたらどうだと私は思うんですね。  嘉手納町の意見書は、嘉手納基地では二月二十八日から三月十二日にかけて、サイレン音や拡声器放送、模擬爆発装置や発煙筒を使用する即応訓練が行われ、空が白む早朝から夜遅くまでエンジン調整音を鳴り響かせ、町じゅうに排気ガスの悪臭を漂わせるとともに、轟音を立てて戦闘機が離発着及び飛行訓練を繰り返している、しかも、この当該期間内には県立高校の入試、町立中学校の卒業式が執り行われる、ここまで強調しているわけですね。そして、平常な日常生活に大きな悪影響を与えていると訴えています。  私は、今、配慮要請とかそんなのを言って、周辺住民に与える影響とかを本当に考えるんだったら、外務大臣として実際に直接視察して、周辺住民の切実な訴えを聞いたらどうですか。

林国務大臣

 沖北特で同様の御質問をいただきまして、私も防衛大臣のときに、実は普天間周辺等々、視察に行ったわけでございます。普天間のすぐ近くに小学校がございまして、私は非常に、臭いについて、強い臭いがするなという思いがあったわけでございますが、小学校にいらっしゃるお子さん方は余り気にしておられない、普通に走り回っておられるということで、もう慣れてしまったのかなという思いを、少し前になりますが、持ったことがございます。  そういった経験から持っております思いというものはしっかりと生かしていかなければならないと思っておりますので、しっかり米側に対しては配慮要請等々を行ってまいらなければならないというふうに思っております。

穀田委員

 臭いの話もありましたし、私も普天間、宜野湾には何回も行っています。本当に爆音はすさまじいもので、小学校にも保育園にも幼稚園にもいろいろなものがおっこちるようなというとんでもないことが起こっている。だから、配慮要請と、結果としてどうなったんだということについてきちんと責任を持っていくということがお互いの立場ではないかなと私は思います。  しかも、ウクライナ情勢が緊迫する中で、嘉手納基地では外来機の飛来が一層増大しています。私は、外来機の規制というのは、主権国家の最低限の要求だと思います。私は、今度の米軍の行動の自由勝手なやり方には、断固たる姿勢で臨むのが日本政府の本来の役割ではないかと思います。それもせずに、外来機の飛来を事実上、要請、要請と称して容認し続ける。そればかりか、今回の協定では、グアムに加えて、新たにアラスカでの訓練にまで国民の血税を投入する。対米従属極まれりとの批判が上がるのも当然だと思います。私は、訓練移転先の拡大を基地負担の軽減の名で合理化することは、今の議論を通じてもおよそ通用しないということを言っておきたいと思います。  次に、アラスカでの問題について聞きます。  林大臣は、アラスカを新たに訓練移転先に入れる理由の第一に、日米間では、日米2プラス2の機会を含め、実践的な演習及び訓練の重要性を確認してきていることを挙げられました。  昨年三月の日米2プラス2の共同発表では、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題へ対処するための実践的な二国間及び多国間の演習及び訓練が必要と改めて表明したとあります。  アラスカでは一体どのような実践的な演習、訓練を行うのか、明らかにされたい。

林国務大臣

 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力、対処力を強化するためには、より高度な、また、より実際の対処の場面に近い形での訓練、演習を通じ、自衛隊と米軍双方が即応性や相互運用性を更に向上させていく必要があると考えております。  二〇二一年三月の日米2プラス2におきまして、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題に対処するための実践的な演習及び訓練の必要性を確認し、二〇二二年一月の2プラス2においても、実践的な訓練、演習の深化について歓迎をしております。  その上で、ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所、これを前提としたものではございませんが、引き続き、各種訓練等を積み重ねて、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員

 じゃ、防衛省に聞きます。  今お話がありましたけれども、昨年三月の2プラス2の当日に行った記者会見で、岸防衛大臣は、中国や北朝鮮、特に中国と強調し、日米同盟の諸課題として、日米同盟の抑止力、対処力を高めるためには、より高度な訓練等を通じて、自衛隊と米軍の双方が即応性を強化していくことが重要だと述べています。  その上で、岸大臣は、東シナ海での航空自衛隊と米空軍の共同訓練を挙げ、自衛隊と米軍はこれまで尖閣諸島周辺を含む南西方面において共同訓練を多数実施してきている、このような取組を今後も着実に積み重ねて、日米が共に行動している姿を示していきたいと述べておられます。  つまり、昨年三月の2プラス2で確認された、将来的な課題に対処するための実践的な二国間、多国間の演習、訓練とは、こうした訓練のことを指しているのですね。

鬼木副大臣

 お答えします。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を強化するためには、より高度な、また、より実際の対処の場面に近い形での訓練、演習を通じ、自衛隊と米軍双方が即応性や相互運用性を更に向上させていく必要があります。  こうした認識の下、昨年三月及び本年一月の日米2プラス2において、実践的な訓練、演習の必要性や関連する協力の深化を確認してきております。  ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所を前提としたものではございません。  引き続き、各種訓練等を積み重ね、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員

 今聞いていて、分かりますやろ、外務大臣が言っていることと防衛副大臣が言っていることは大体同じで、同じフレーズを使っているだけなんだよね。もうちょっと、そして、しかも、2プラス2の声明を簡単に言うと読み上げて、最後何を言っているかというと、特定していないとだけ言っているだけなんですよね。それは、二人とも同じことを言っているわけですわな。情けないことにならへんか。  岸大臣は、当日の記者会見で、その前の日の十五日に行った、那覇北西の東シナ海海上の空域で実施した航空自衛隊と米空軍との共同訓練を例に挙げています。  これまで航空自衛隊と米空軍は東シナ海の空域で度々の共同訓練を行っており、その中には、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機との訓練も繰り返しています。  昨年三月の2プラス2の開催以降、東シナ海の空域でB52戦略爆撃機との共同訓練はどのぐらい行っていますか。

鬼木副大臣

 航空自衛隊は、航空自衛隊の戦術技量の向上や日米空軍種の連携強化等を図るため、米空軍の戦略爆撃機が我が国周辺に飛来する機会を捉えて共同訓練を実施しています。  これらのうち、昨年三月十六日の日米2プラス2以降、米空軍のB52爆撃機と航空自衛隊の戦闘機が東シナ海を含む空域において実施した共同訓練は、公表した範囲で申し上げますと、令和三年四月二十七日、令和三年八月三十一日、令和三年九月二十一日、令和三年九月二十四日の合計四回でございます。

穀田委員

 四回だと。  私は、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機と航空自衛隊との共同訓練について、本委員会で二〇一七年十二月六日と二〇一八年三月二十三日の二度にわたり質問してきました。今やこれが常態化しているということが分かる。しかも、これまでアラスカではB52爆撃機による爆撃を航空自衛隊が援護するといった共同演習が行われていたことが明らかになり、集団的自衛権の行使を先取りした訓練だと国会では問題になった経緯があります。  林大臣、協定に基づくアラスカへの訓練移転では、こうした核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機との訓練も対象になるのですか。

林国務大臣

 今、具体的な内容についてのお尋ねがございましたけれども、先ほど既にお答えしたかもしれませんけれども、この訓練の具体的な内容については、詳細は差し控えさせていただきたいと思っております。

穀田委員

 特定はしていないと言っているので、まあ、差し控えると言っているんだけれども、このB52がずっと一緒にやっていることは、東シナ海でやっているわけですよね、何回も私、これは指摘しているわけですわね。  それで、林大臣は、アラスカを訓練移転の対象に加えることについて、先ほどありましたように、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するからだと答弁されました。安保法制の下、今後は、アラスカの空域で、集団的自衛権の行使を想定した実践的な訓練が米軍との間で大っぴらに行われるということになると思います。  そこで、鬼木さんに聞きます。  アラスカでは、米空軍が実施するレッドフラッグ・アラスカと呼ばれる大規模演習が毎年行われています。嘉手納や三沢などの在日米軍の航空機が参加している。このレッドフラッグ・アラスカをめぐっては、二〇一四年七月十四日の衆議院予算委員会で、当時の小野寺防衛大臣が次のように説明している。読み上げたいと思うんです。  「アラスカで行われますレッドフラッグ・アラスカというのは、実は航空機の訓練というのは、大変広い空域と、それから大変広い、例えば地上が必要になります。日本国内ではそのような場所がありません。ということで、同じような環境を持つ国がアメリカに行って訓練をするということであります。 航空自衛隊だけではなくて、例えば我が国の防衛をするミサイル防衛のさまざまな部隊も、実は、日本国内で発射する、そういう広いレンジがありません。それをアメリカのところで活用させていただく、そういうことがございます。」このように答弁しております。  そこで、防衛省、航空自衛隊はこのレッドフラッグ・アラスカでどのような訓練を行っていますか。

鬼木副大臣

 航空自衛隊は、平成八年度から、アラスカにおいて米空軍が実施する演習、レッドフラッグ・アラスカに参加してきており、昨年参加した分を含め、これまでに二十四回参加してきております。  昨年六月の本演習は、アラスカ州アイルソン空軍基地及びエレメンドルフ・リチャードソン統合基地並びに同周辺空域等で行われ、航空自衛隊から、例年と同様に、戦闘機と早期警戒管制機が参加いたしました。具体的には、那覇基地に所在する第九航空群のF15DJ戦闘機六機、浜松基地に所在する警戒航空団のE767早期警戒機一機が参加いたしました。  航空自衛隊は、本演習のうち日米共同訓練の部分に参加し、例年と同様に、防空戦闘訓練、戦術攻撃訓練、対戦闘機戦闘訓練及び空中給油訓練を行っております。  本演習への参加は、広大で良好な訓練空域を有するアラスカにおいてより実践的な訓練を行うことができる点で、航空自衛隊の戦術技量の向上にとって大変有意義なものであり、また、米空軍と共同訓練を行うことにより、日米の連携の強化に資するものであります。

穀田委員

 在日米軍司令部が二〇一七年六月に発表した文書があります。これを見ると、レッドフラッグ・アラスカは、「空軍力を統合し、共同攻勢対航空訓練を行い、擬似戦闘環境における近接航空支援を実践するように設計された太平洋空軍の実動演習」とあります。  攻勢対航空とはどういうものですか。

鬼木副大臣

 米空軍は、レッドフラッグ・アラスカについて、米太平洋空軍司令官が主催する米軍のための実動訓練であり、戦闘を模した環境下での統合攻勢対航空、航空阻止、近接航空支援及び大規模部隊訓練を提供するものである旨、公表しているものと承知しております。  他方、航空自衛隊は本演習の全てに参加しているわけではなく、その一部において日米共同訓練を実施しているにすぎません。したがって、お尋ねの点についてお答えすることは困難でございます。

穀田委員

 私が聞いているのは、攻勢対航空というのはどういうものか。もう一度言ってください。

鬼木副大臣

 防衛省・自衛隊として攻勢対航空の定義を定めたものはございませんで、お答えすることは困難であります。

穀田委員

 定めていないという発言ですよね。それはないんじゃないですか。  私は、航空自衛隊基本ドクトリンというのを持ってきました。そこにはどう書いているかということですよね。「航空優勢を獲得するためには、二種類の方法がある。一つは、敵の航空戦力をその根拠地周辺で撃破する「攻勢対航空」であり、」こうちゃんと書いているんですよ。  先ほど私は言いましたけれども、二〇一七年に発表した文書がある、ここにはそう書いているということを言いましたけれども、問題は、航空幕僚監部は、一九七三年当時、米空軍作成のベーシックドクトリンと題する教範を翻訳し、航空自衛隊の訓練資料にしていたことがあります。  我が党の松本善明議員は、一九七六年二月二十七日の衆議院予算委員会で、国会に提出されたこの航空幕僚監部が翻訳した訓練資料に、攻勢対航空について次のように記されていると指摘しました。今述べましたけれども、若干触れましたが、「攻勢対航空作戦は、通常、敵国領土内の空地における敵航空機、ミサイル及び高射砲陣地、航空基地、指揮統制組織、燃料貯蔵施設、並びに敵国の航空戦力組織を構成するか、又は支援するその他の目標を捜索し、これらを撃破するために、実施される。」と書いているんですね。  航空自衛隊では、攻勢対航空をこのように翻訳してありました。だから、先ほども、何かもごもご言って、それは公式にはないみたいな話をしましたけれども、攻勢対航空とはそういうものですね。

鬼木副大臣

 平成三十年六月に作成された航空自衛隊基本ドクトリンでは、第一章第三節、航空戦力と航空作戦において、航空作戦の要諦として、主として空において、大きな被害を受けることなく諸作戦を遂行できる状態である航空優勢について記述をしておりますが、その中で、御指摘の攻勢対航空については次のとおり記述しております。  すなわち、航空優勢を獲得するためには二種類の方法がある、一つは、敵の航空戦力を自ら求めて撃破する攻勢対航空であり、もう一つは、侵攻する敵航空戦力を撃破する防御対航空である、以下略いたしまして……(穀田委員「分かりました。言わなくていい、もう」と呼ぶ)済みません、まだ続きを言わせてください。  航空自衛隊基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際して準拠すべき事項や考え方を共有するために、航空幕僚監部が部内向けに作成した文書でありまして、防衛省の見解をまとめたものではありません。

穀田委員

 よくそういうことが言えるね。さっきはないと言って、今度は説明して、これは準拠するという、そんなあほなこと言ったらあきまへんで、あなた。  ちゃんとそれは国会に提出された資料の中にあるんですよ。それを最初から言えばいいじゃないですか、それだったら、国会に提出された資料はこう言っていますと。何でそう言わへんの。情けないと思わへんか。あきませんよ、そんなこと。  今お話があったように、攻勢対航空というのは、敵国の領域内で、敵の航空機やミサイル、基地、航空戦力などを撃破するということを示しているんですね。これはつまり、政府が言う敵基地攻撃と同じじゃないかと。いかがですか。

鬼木副大臣

 先ほどと同じ答弁になるんですが、航空自衛隊基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際しての考え方を共有するための部内の作成文書でありまして、防衛省の見解ではないということでございます。

穀田委員

 見解ではないって、準拠する指針なんでしょう。そんなこと、やるに決まっているやないの。要らぬのやったら、そんなこと、作る必要ないわけで、問題は、私が言ったのは、要するに、これらを撃破するということを書いている、これは敵基地攻撃と同じことじゃないかと言ったわけですよ。全然答えていないと思いませんか。  そこで、もう時間がないから行きますけれども、じゃ、指摘しましょう、航空自衛隊の幹部学校が二〇〇六年三月にまとめた航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究と題する文書があります。これです。我が党の資料要求に対して防衛省が提出したものですけれども、そこには、攻勢対航空を敵基地攻撃と記しています。そうじゃないんですか。

鬼木副大臣

 航空自衛隊ドクトリン等に関する調査研究については、最終的に航空自衛隊ドクトリンとして結実していることから、その記述内容の一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきます。  いずれにしろ、あくまで調査研究の目的で作成されたものであり、特段問題があるものではございません。

穀田委員

 特段問題があるものではありませんというようなことにならぬよ。調査研究しているということは、今後そういうことについて考えるということじゃないですか。  先ほどは、そういう文書については分からぬとか言って、今度は、言われたら、持ってきて、それは準拠するものだ、防衛省の見解じゃないと。見解でないものが出回って、これは作戦をする人たちが言っているんですよ。読みましょうか。  「攻勢対航空・戦略攻撃 敵基地攻撃については、これまでの国会答弁等において、完全に否定はしていないこと、与党国防部会において検討すべきことを提言されていること等から、研究は実施すべきと判断する。」研究しているんじゃないですか。「ただし、平成十六年七月二十七日の防衛庁長官会見において、敵基地攻撃については現時点で考えていないとの発言があることから、現時点での文書化は相応しくないと判断した。」えらい御丁寧に書いていますやんか。  そういうことを知っているんでしょう。だから、準拠する文書じゃないなんていろいろなことを言っているけれども、差し控えたいとか言っているけれども、そうはいかぬわけですよ。  しかも、鬼木さん、この文書は、じゃ、どういう文書かということで、誰がそういう問題について答弁したか、覚えてはりますか。覚えていないなら覚えていないと言ってくれたらいいですよ。知らぬなら知らぬでええし。

鬼木副大臣

 済みません、どなたの発言か存じません。

穀田委員

 この文書は、安保法制を審議した二〇一五年六月一日の衆議院特別委員会で私が取り上げ、当時の中谷防衛大臣が、「航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料である」と、航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料だと認めているんですよ。  先ほど言いましたよね。ドクトリン等に関する調査研究、説明しましたね、読みましたよね。ここには、攻勢対航空というのを敵基地攻撃のことだと説明し、その上で、「敵基地攻撃については、これまでの国会答弁等において、完全に否定はしていないこと、与党国防部会において検討すべきことを提言されていること等から、研究は実施すべきと判断する。 ただし、平成十六年七月二十七日の防衛庁長官会見において、敵基地攻撃については現時点で考えていないとの発言があることから、現時点での文書化は相応しくないと判断した。」と。そこに書いた、さっき言いましたよね。それが、今日、岸田政権になって、敵基地攻撃能力の保有の検討を進めるに至ったということなんですね。ずっと内部で検討して、それを表に出してはまずいなとやっていたということじゃないですか。  そこで、聞きますけれども、防衛省は、敵基地攻撃に必要な一般的なオペレーションについてどう答弁してきたのか、お答えください。

鬼木副大臣

 敵基地攻撃についての、どのようなオペレーションかという御質問にお答えします。  政府としては、これまで、いわゆる敵基地攻撃のためには、あくまで一般論として、他国の領域において移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握するとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握し、まず防空用のレーダーや対空ミサイルを攻撃して無力化し、相手国の領空における制空権を一時的に確保した上で、移動式ミサイル発射機や堅固な地下施設となっているミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化し、攻撃の効果を把握した上で更なる攻撃を行うといった一連のオペレーションを行うことが必要である旨、答弁しております。  他方で……(穀田委員「それでいいです」と呼ぶ)よろしいですか。

穀田委員

 相手国の領域で対空ミサイルを攻撃して制空権を一時的に確保し、ミサイル基地を破壊してミサイル発射能力を無力化する、攻撃効果を確認して更に攻撃を行う、これはまさにレッドフラッグ・アラスカで行われている攻勢対航空そのものではありませんか。  岸防衛大臣は、二月十六日の衆議院予算委員会分科会で、政府が保有を検討する敵基地攻撃能力について、自衛隊機が相手国の領空内に進入し、爆撃することも排除しないと明言しました。レッドフラッグ・アラスカで行われている攻勢対航空訓練は、まさにそうした攻撃を行うための実践的な訓練ということだと言えます。  林大臣、今回の協定でアラスカを訓練移転先に加えたのも、敵基地攻撃能力の保有を見越したからではないんですか。

林国務大臣

 アラスカにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、同盟の対処力、抑止力の強化と、それからもう一つは沖縄の負担軽減、こういうことから考えたところでございます。

穀田委員

 結論を言ってくれな困りますがな。  要するに、私が言っているのは、こういう事実をずっと積み重ねていくと、しかも、岸さんもそう言うてはる、それで、攻勢対航空というのはこういうものやないか、文書にもこう書いている、そして、これ自身は敵基地攻撃能力というところからきていると順序立てて言ってきたわけじゃないですか。  せやから、そういう意味でいうと、この訓練先に加えたというのも、さっきから言っているように、対処力それから負担軽減、その二つのキーワードを使わぬと、そうじゃない話を聞いているわけですやんか。それは関係ないというんだったら関係ないと言ってくれたらいいし、それが議論というものとちゃいますか。

林国務大臣

 アラスカを航空機訓練移転の対象とする理由については、先ほど申し上げたとおりでございます。  一方で、いわゆる敵基地攻撃能力の検討につきましては、総理の指示もございましたので、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化に取り組んできておるところでございます。外務省としても、議論に積極的に参画をしております。  背景は、もちろん委員も御承知のとおりでございますが、我が国周辺において相当数の弾道ミサイルが開発、配備されておりまして、それらは、一たび発射されれば極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命財産に甚大な被害を与えるおそれがございます。  また、極超音速滑空兵器、変則軌道で飛翔するミサイル、こうしたものなど、ミサイルに関する技術が急速なスピードで変化、進化しており、迎撃が困難になってきている、これは事実でございますので、まさに総理の指示の下であらゆる選択肢を検討している、こういう状況でございます。

穀田委員

 それも一連の答弁パターンの中の一つですよね。それは分かっているんです。  私が言っているのは、やはりこの間ずっと見てきたように、一連の流れの中で、ほんまにこれは重大な事態に立ち至っているんじゃないのか、敵基地攻撃能力の保有というのはそういう意味でずっと考えられてきて、やってきているということになるんじゃないかということを指摘したわけですよね。  今年の一月七日の2プラス2で、林大臣、日本は、ミサイルの脅威に対抗するための能力、今お話があったように、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討すると表明しています。そのときに、林大臣は同日の記者会見で、この表現には敵基地攻撃能力も含まれると説明されています。つまり、敵基地攻撃能力の保有の検討を対米公約したというところに大きなポイントがある。  そうした日本政府の態度表明の下で今回の協定は署名が行われたことを見れば、協定に基づく実践的な訓練、演習というのが敵基地攻撃能力の保有を踏まえたものになるというのではないか、それは明らかじゃないかと思うんですが、いかがですか、林外務大臣。

林国務大臣

 突然のお尋ねで、私がそのとき申し上げたものがございませんので、前後の文脈等もちょっと記憶が、最近年を取って記憶力が落ちてきたものですからあれでございますが、2プラス2で実践的な訓練、演習というものを強調しておりますが、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持して、将来的な課題に対処するための実践的な演習及び訓練の必要性を確認し、二〇二二年、先ほどのは二〇二一年三月の日米2プラス2ですが、この一月の2プラス2においても、実践的な訓練、演習の深化について歓迎をしております。  その上で、ここで言う実践的な訓練、演習については、特定の訓練や場所を前提としたものではございませんが、引き続き、各種訓練等を積み重ねて、日米同盟の抑止力、対処力を不断に強化していく考えでございます。

穀田委員

 頭脳明晰な林大臣が忘れるとはとても思えません。一番、敵基地攻撃の問題、今ホットな話題になっている、その問題について私は質問しているわけであります。  今大臣はるる答弁されましたけれども、私の指摘を否定しなかっただけではありません。実践的な二国間、多国間の演習、訓練を二度にわたる日米2プラス2の共同発表文に記載しているわけですよね。この演習、訓練が敵基地攻撃能力の保有を見越したものであることが、この審議を通じて、こういうことがあったのかということが明らかになったことは重大と言わなければなりません。  岸防衛大臣は、昨年十二月の記者会見で、今回の協定に係る合意に関し、中国や北朝鮮の軍事力強化を挙げ、日米両政府が厳しい安全保障環境に肩を並べて立ち向かっていく決意を示すことができたと強調しています。アラスカを訓練移転先の対象にする今回の協定は、まさに自衛隊と米軍が肩を並べて戦争するための体制づくりの一環にほかならない、そのことを指摘して、質問を終わります。