ウクライナ情勢/カジノのための「インフラ整備」は見直せ

2022年03月16日

穀田委員

 日本共産党の穀田恵二です。  ロシアのプーチン政権によるウクライナ侵略は、国連憲章に反するだけでなく、民間人に対する攻撃など、どんな戦争でも遵守すべき国際人道法に反する戦争犯罪の様相を色濃くしています。原発への攻撃はジュネーブ条約の追加議定書で禁じられており、病院への攻撃はジュネーブ文民法で禁じられています。いかなる理由であれ、絶対に許してはならないと考えますけれども、この辺の大臣の考え方をお聞きしたいと思います。

林国務大臣

 委員がおっしゃられたとおりでございまして、この度のロシアのウクライナに対する侵略、明らかな国際法違反であり、また、国際秩序の根幹を揺るがす行為でございまして、断じて許容することはできない行為でございまして、厳しく非難をするところでございます。

穀田委員

 ロシアの攻撃によってウクライナから国外退去を余儀なくされた人々は三百万人を超え、そのほとんどが女性や子供たちであります。今こそ、人道支援が急がれると考えます。我が党も独自に募金活動を行い、第一次分をUNHCRとユニセフに届けました。政府としても、非軍事の人道支援に手だてを尽くしていただきたいと思います。  そこで、ロシアのウクライナ侵略に、国連総会において、即時無条件撤退を求める決議が百四十一か国の賛成で採択をされました。この意義については、三月四日の本委員会で大臣と議論しました。侵略を止める上で最も重要なのは、国際世論による包囲だと考えます。世界各地で、ロシアはウクライナへの侵略やめよ、軍事行動を直ちに中止せよの声が上げられています。残念ながら、国連決議の採択に棄権が三十五か国、退席が十二か国ありました。日本政府として、この合計四十七か国に対して、侵略を非難し、軍事行動の中止を求める立場に立つよう働きかけるべきではないか、そういう外交活動こそ憲法九条を持つ国の政府がやるべきことではないか、その点の大臣の考えをお聞きします。

林国務大臣

 委員からお話がありましたように、国連総会の緊急特別会合、ロシアによるウクライナへの侵略を最も強い言葉で遺憾とし、ロシア軍の即時、完全、無条件の撤退を求めること等を内容とする決議を百四十一か国という多数の賛成によって採択をしたところでございます。  我が国は決議案に賛成し、共同提案国入りをしたわけでございますし、更に多くの国々が賛成し共同提案国入りするよう働きかけてきたところでございます。  今委員からお話がありましたように、反対が五か国、これは、ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリア、こういう国でございます。そして、棄権が三十五、これが、中国、インド、ベトナム、ラオス、モンゴル等、そういうことでございますので、こういった国々にも粘り強い外交努力を続けてまいらなければならないというのは当然のことでございますが、我が国がそれぞれの国とどういう関係にあるのかということ等も踏まえて、粘り強い外交努力、いわばこれでそれぞれの国のこの時点におけるスタンスというものが示されたわけでございますので、それにしっかり対応してまいらなければならないと思っております。

穀田委員

 努力をしていただきたいと思います。総理も今度インドに出かけたり、また、大臣も関係の国に出かけますから、そういう意味合いをしっかり強めていただければと思います。  この私たちの提案は、私たちだけではありません。日本国際ボランティアセンター、JVCの代表理事の今井高樹氏は、憲法九条を持つ日本政府は、国連総会でロシア非難決議の採択に棄権した国々、特に中国やインドに声をかけ、ロシアによる戦争をどう食い止めるかを協議するなどの外交努力を強めるべきですと述べておられます。  今ありましたように、様々な働きかけを是非していただきたいと思います。  次に、この万博法案についての関係を質問します。  大臣に一言だけ。この大阪・関西万博の政府代表設置法案、提出された本法案は、二〇二五年に大阪の夢洲での開催が決定した国際博覧会に関し、政府代表を設置して、その任務や給与を定めたものであります。  まず、大臣に一つだけ。大阪万博の総予算額は幾らですか。端的に。

林国務大臣

 二〇二五年日本国際博覧会協会が作成しております二〇二五年日本国際博覧会基本計画では、大阪・関西万博の開催に必要となる資金、二千六百五十九億円と見込んでいると承知をしております。

穀田委員

 それらを含めて、全部合わせますと総額は大体三千百億円というのが公式見解だったと思います、若干のずれはあるんでしょうけれども。  政府は、昨年八月二十七日、第二回国際博覧会推進本部において、夢洲を開催地とする大阪・関西万博に向けてインフラ整備計画を決定しています。この整備計画に盛り込まれると、工期の前倒しなど国の支援が認められるとしています。  インフラ整備計画は、大阪府、大阪市などの要望を受けて作成したもので、大阪市は、要望した夢洲のインフラ整備などの事業費は約四千五百億円だと明らかにしています。当時の菅首相は、推進本部会議に出席し、大阪、関西全体の成長基盤にもなるよう、必要な予算措置を含め、計画の実現に取り組んでいくと述べ、事業費を国としても負担することを明言してきました。  皆さんにお配りしている資料一、これにありますように、インフラ整備計画は、会場へのアクセス向上として、淀川左岸線二期整備が含まれています。淀川左岸線二期工事とは、大阪市の一級河川の淀川左岸沿いにトンネルを埋め込んで、堤防の中に高速道路を造るという前例のない構造物であります。一九九六年に都市計画決定されたもので、元々は阪神高速道路公団の事業だったものが、民営化の際、会社だけでは負担できないということになり、二〇〇六年から大阪市の街路事業と阪神高速道路株式会社の有料道路事業との合併施行で事業化されています。高速道路会社が管理運営する有料の道路を国と自治体が一部を税金で負担して建設するものであります。  そこで、国交省に聞きます。  この淀川左岸線二期工事にこれまで国として幾ら負担してきたのか、また、今後、国の負担として幾らかかると見積もっているのか、端的にお答えください。

渡辺副大臣

 淀川左岸線は、近畿圏の広域ネットワークの強化を担う重要な路線であり、平成十八年度より、大阪都心北部地域の交通混雑の緩和と市街地環境の改善を図ることを目的に事業が開始され、大阪市の要望を受けて予算の範囲内で補助を行っております。  そこで、現時点における全体事業費約千九百十八億円のうち、平成十八年度から令和三年度補正予算までに国が大阪市に措置した補助金等の総額は約四百四十八億円となっております。  また、今後、更に事業費が増額する可能性があるが、今後の国の見込みをお尋ねいただきましたけれども、淀川左岸線事業につきましては、事業主体であります大阪市からは、地盤改良の工法の見直しや地中障害物の撤去等が必要となり、施工方法の見直しを含めた対応策を今検討中と伺っております。  国としては、大阪市より工法の変更や増加する事業費について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、必要な支援について検討してまいります。

穀田委員

 内容を精査した上で、今後は必要な議論を行うということですけれども、先ほども自民党の委員からも指摘がありましたが、この淀川左岸線二期工事は、計画が進むにつれて工事費がどんどん拡大していくということになっています。当初の総事業費は千百六十二億円だったものが、土壌汚染対策や地中障害物の撤去費用がかかるとして、二〇二〇年十一月には、七百五十六億円増の、今あった千九百十八億円になりました。  さらに、二一年九月、地盤沈下や液状化対策のために地中にくいを打つ工事で周辺の民家の地盤に異常が発生。軟弱地盤が原因と見られ、周辺自治体への影響を防ぐための地盤改良工事の変更によって、更に追加で一千億円増がある、総事業費が二千九百億円になることを、今年既に、三月に入って大阪市が明らかにしているわけですね。それを言わなあきまへんで。見込みというのは、だから、こういう見込みもありまっせと言ってくれな、何か少なめ少なめと言っていたらあきまへんで。  そこで、二〇二一年一月十四日に開かれた大阪市建設事業評価有識者会議の議論で、土壌汚染対策等の費用増について、大阪市は計画のずさんさを次のように述べています。  そこで、資料二を見てほしいんですね。これを見たらよく分かる。読み上げます。  「計画時点で既存のデータだけではなく、もう少し積極的にデータを集めることによって、この事業にどれぐらいの費用がかかるかということを早めに掴み、それを計画に反映させていくといったことが、実際にはあまりできておらず、非常に粗かったというところは真摯に反省しているところでございます。 土壌汚染に関しましては、自然界にもともとあったもので、これにつきましても、文献等でわかってる範囲については反映をしておりましたが、現地での調査を、早い段階で進めていれば、わかったものにもなるかと思います。」こう発言しているんですね。  これを見て、ほんまひどいなと思いませんか。こんな常識外れな、工事をやるときにこんなこともやってへんのか、何やというのが普通の考えちゃいますか。  こうした説明を、政府は大阪市から聞いているはずですよね。こんなでたらめな計画に国として税金をつぎ込んできたということなわけです。余りにもひどい計画だと思いませんか。答弁をお願いします。

渡辺副大臣

 まず、多額の事業費増についてでございますけれども、大阪市においては、地盤改良の変更や地中障害物の撤去などについては、工事が進捗するにつれて詳細な現場の状況が明らかになってきたものであるが、計画の段階でより詳細な調査を行っていくことで一定程度事業費として見込むことができたと認識しており、真摯に反省していると伺っております。  国土交通省といたしましては、この淀川左岸線は、近畿圏の広域ネットワークの強化を担う重要な路線であると認識をしております。大阪市から、今後、工法の変更や増加する事業費について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、必要な支援について検討してまいります。

穀田委員

 内容を確認した上でと言っているわけだけれども、今私が言ったのは、そちらにも配られておるんだが、こういう話が通用するかと。通用しますか、こんな話が。副大臣、どう思わはる。通用する、こんな話。

渡辺副大臣

 先ほどもお答えをいたしましたけれども、大阪市においては、見通しについては真摯に反省していると伺っております。  国交省としては、引き続き、大阪市より工法の変更や増加する事業費等について報告があった際には、内容をしっかりと確認した上で、検討してまいりたいと思っております。

穀田委員

 今後はそういうことについて、こんなことがあったからやるなんて、それは当たり前の話。そんなこと何回も言うたってあきませんで、そんな、二回も同じことを答弁して。問題は、こういうことをやっているということに対して何のおとがめもないのかと。そう思えへんか、あんた。あんたと言ったら怒られちゃうけれども。  ほんま、しかも、大事なことは、有識者会議で大阪市はさらに、今後は増額は考えにくいと発言しているんですよね。それにもかかわらず、今年に入って一千億円もの増額という事態を招いている。ずさん極まりない計画を更にずさんな計画にしている。何が真摯に検討するだ、何がそっちも正しくそれを精査するだ。そんなことをやってこんなことが通るのやったら、役人もどれも要らぬわな。まさに青天井じゃないですか。  左岸線のそういう工事について、私は二〇〇四年の四月二十一日の国土交通委員会で実は質問しているんですよね。そのときに、高速道路建設の大本で、採算性が無視され計画した路線は採算が合わなければ税金で造る、国も地方も採算性のない道路に税金をつぎ込む、こうしたやり方をやめるべき時期に来ているということを私は指摘しているんです。二〇〇四年でっせ。まさにそのとおりになっていて、青天井になっていて、しかも、今度は増額までせえへんといって、またやる。こんなふらちなやり方について、そのとおりになっているじゃないですか。だから、やめるべきだと思いませんか。

渡辺副大臣

 本件につきましては、まずは事業主体である大阪市において適切に判断すべきものと考えております。

穀田委員

 この調子やから、注意もして、どないするかというようなことも、国が金を出さへんのやったらええよ。国民の税金を使ってやっているんでしょう。俺のところの税金はそれやったら出さへんでぐらい言ったらどないやねんと私は思いますわ。せやから、やめるべきだぐらい言って、やっていただきたい。  最後に、ちょっと時間がないから急ぎます。カジノの問題について聞きます。  この淀川左岸線の二期工事というのは、万博のためのアクセスルートとして万博開催に間に合わせるために前倒しで工事が行われているけれども、先ほど述べたように、全通がこのままでいくと困難になっておって、自民党の委員も質問されたように、仮設の代替路線整備を検討している。ずさん極まりない計画に大量の税金をつぎ込み、しかも、万博のためと言いながら万博に間に合わない。整備するのは、まさに万博開催後に開業が狙われているカジノのための整備だからじゃないのかというふうに思うんですが、一言。

渡辺副大臣

 淀川左岸線につきましては、万博開催時には元々シャトルバスのアクセスルートとして暫定的に通行させることとしており、当初の予定どおり利用ができるよう準備を進めていると大阪市から伺っております。

穀田委員

 そんなことを現地で言ったら、そんなこと言うているかいなと言うで、みんな。それはあきませんで、本当。そんなことをやっていたんじゃ、点検もできへんということになりますやんな。  大体、カジノは賭博ですよ。簡単に言えば、ばくちですやんか。日本共産党はこの問題について一貫して反対の立場を明らかにしています。整備法、実施法にも反対してきました。地方議会においても、大阪府、大阪市議会はもちろんのこと、申請予定とされる和歌山県、長崎県でも反対の態度を貫いています。  カジノ誘致を言い始めて以来、松井市長はカジノに税金は一切使わないと何度も明言してきました。しかし、この言葉をほごにし、大阪市は夢洲の土壌汚染、液状化対策に七百九十億円を投入するとした予算案をこの二月議会に提出しています。  我が党の寺戸月美市議は、七百九十億円もの積算根拠も不明で、更に工事費が膨れ上がり、市の負担が際限なく増えるおそれもあると警告し、これまで大阪市が埋立地で液状化対策費を出したことはない、カジノ業者に言われるままに負担するものであり、土地の問題点が明らかになった今、夢洲へのIR建設そのものの是非を含めて問い直すべきだと主張しています。  更に整備費が膨らむことも指摘されており、自民党の大阪市議団からも異論の声が上がって、IR誘致についていろいろな疑義があり、会派として賛否を決することができない、住民に情報公開して信を問うべきだとして、二月十日にIR、カジノ誘致についての住民投票条例案が提出されました。我が党は、経費が次々と膨らんでいく以上、市民に是非を問うのは当然だとして賛成しましたが、大阪維新の会と公明党会派の反対で否決されました。  しかし、カジノに関しては、これまで住民アンケートでも反対の声が強く、ギャンブル依存症などの心配の声も上がっています。カジノ、IRの契約は三十五年契約。契約延長も可能で、最大六十五年の契約となる。一旦契約すれば、幾らギャンブル依存症が増えようが、犯罪が増えようが、大阪府、市の負担が増えようが、やめられるものではない。長年にわたり自治体を縛り、住民の暮らしに大きな影響を与える巨大事業だ。したがって、住民の意思をしっかり確認するのは当然のことではないですか。

渡辺副大臣

 国は、各自治体から申請されましたIRの計画について認定の可否を判断する立場にありますので、御指摘のような申請を予定している個別自治体をめぐる状況についてコメントすることは、今後の計画の公正かつ中立的な審査に影響を与えるおそれがありますので、差し控えさせていただきますが、その上で、一般論として申し上げれば、IRの整備に当たっては、その必要性について地域の理解を得ることは重要であります。  このため、IR整備法においては、都道府県等は区域整備計画を作成し国に申請するに当たり、地域の理解を得るための手続が定められています。具体的には、都道府県等は、区域整備計画を作成する際には公聴会の開催その他の住民の意見を反映させる措置、国に申請する際には議会の議決が義務づけられております。  都道府県等から区域整備計画の申請がされた場合には、こうした地域における手続が適正に行われたかどうかについてしっかりと確認してまいりたいと考えております。

穀田委員

 今、後半の方はそのとおりです。ただ、行われている公聴会は極めてずさんなものだという、これまた明らかになっていることも見ておく必要があると思います。公聴会の形式でやられただけではあきません。  先ほども述べたように、警告しておきますよ。公聴会の数だけではありません。そこの中での反対の数だけ、賛成の数だけではありません。内容的にもしっかり盛られたのかということも含めて、どれほど住民の意見が反映されたのか。そういう意味で、私は、住民投票というのは大きな内容だと思います。  そういうことについて、きちんとした内容を踏まえて今後やるべきだということを申し上げて、終わります。