産業空洞化進める RCEP承認案 穀田氏が反対討論

2021年04月14日

あべ委員長

 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、順次これを許します。穀田恵二君。

穀田委員

 私は、日本共産党を代表して、地域的な包括的経済連携協定に反対の立場から討論を行います。  本協定は、二〇一三年五月の交渉開始から七年半にわたり、国民生活に一体どんな影響があるのかを国会や国民に一切知らせないまま交渉、署名されたものです。農林水産品への影響についても、国内農業に特段の影響はないと、試算すら行っていません。  しかし、本協定には、発効五年後に協定全体を見直す規定が盛り込まれています。また、参加国のうち、オーストラリアやニュージーランドなどとは既にTPPが発効済みであり、本協定にかかわらずTPPの関税率や輸入枠が適用されます。このことは、我が国の輸入関税措置を際限なく撤廃していくものです。  本協定が発効されれば、冷凍総菜や乾燥野菜などで、中国から安い輸入品が流入し、国内農業に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。皮革や繊維製品にしても、国内の生産者は、安価な輸入品の攻勢にさらされることになります。  政府は、これまで、ASEAN諸国と経済連携協定を結び、多国籍企業の海外進出のための環境整備を行ってきました。本協定を通じて、日本は、新たに中国、韓国とEPAを締結することになります。このことは、日本企業のASEAN諸国への海外進出を一層推進するとともに、中国などに生産拠点を移す動きを加速させ、地域経済の衰退など、国内産業の空洞化を更に強めるものとなることは明らかであります。  国連貿易開発会議は、本協定が発効された場合、参加国の中で最も輸出が伸びるのは日本であり、中国や韓国も輸出増となる一方、ASEAN参加国の貿易収支は、発効前に比べ、軒並み悪化すると試算しています。このことからも、本協定が東アジアの互恵的な協定となり得るのか、検証が必要です。  菅総理は、本協定の署名式で、コロナ禍で世界経済が低迷し、内向き志向も見られる中の自由貿易の推進がより一層重要だと強調しました。しかし、新型コロナの感染拡大に伴う国内需給の逼迫は、グローバル化したサプライチェーンに依存する食料自給などの脆弱性を浮き彫りにしました。TPP11や日欧EPA、日米貿易協定など、貿易自由化一辺倒、外需頼みの政策が危機に弱い社会経済をつくり出したことに何の反省もないまま、多国籍企業の利益を最優先に、本協定で一層の市場開放を推進することは断じて許されません。  今求められているのは、経済主権や食料主権を尊重する方向での見直しであり、国内生産基盤の抜本的強化や食料自給率の向上など内需を拡大し、危機に対応できる強い経済づくりにかじを切ることであります。  以上を指摘して、反対討論とします