日英EPAに関連して貿易自由化が日本農業に与える影響

2020年11月18日

穀田委員

 日本共産党の穀田恵二です。  日英EPAについて質問します。  茂木大臣は、十二日の本会議で我が党の笠井亮議員の質問に対し、日英EPAの合意内容について、基本的に英国に対して日欧EPAを超える市場アクセスを与える内容とはなっていないと答弁しています。果たして本当にそうなのか。  九月十九日付の日本農業新聞は、菅首相が安倍前首相の自由貿易の旗手として立つとの方針を継承するなら、農産物の市場開放が一層進むとの危機感を持たざるを得ないとしています。さらに、TPP以来の大型貿易協定の影響について、国内対策で生産も農家所得も維持されるとした政府の立場を、楽観的過ぎると批判しています。  農産物の市場開放への危機感は農業従事者の共通の思いであることは、御承知かと思います。私も同様に考えています。  そこで、農業への影響について具体的に聞いていきたいと考えます。  本協定には、発効五年後に米を含む全ての農産品について見直す再協議規定が盛り込まれています。なぜ米を再協議の対象から除外しなかったのか、お答えいただければと思います。

茂木国務大臣

 日英EPAの再協議規定、これは、TPPなど他の協定においても設けられている一般的な規定を英国との間でも置くことにしたものであります。  御案内のとおり、英国は、米の生産そして対日輸出国ではないと理解をしております。また、私の考えでは、急にイギリスが米をつくり出して、物すごい量の米を日本に輸出してくる、そんな時代が来るとは考えられませんが、いずれにしても、政府としては、国益に反するような交渉、合意を行うつもりはございません。

穀田委員

 大体、この種の話をすると、国益に反する合意をすることはない、これはいつも言うんですよね。  私が聞いているのはその前の話で、確かに生産の問題についても知っていますよ。だけれども、それは政府間の協議ですから、この問題というのは。要するに、なぜ米が再協議の対象になったのかと逆に聞いているわけですね。  茂木大臣は、本会議でも私どもはこのことを質問しています、余り明確にお答えになっていない。米は、日欧EPAでは再協議の対象とされなかった、そういうものです。なのに、なぜ日英EPAの再協議規定には米が含まれているのか、もう一度お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣

 見直し規定、一般的な規定を置いたということであります。そこで本当に米のことが気になるのならば、除外しています。  ところが、私は、どう考えても、イギリスが巨大な米の生産国そして輸出国になるということを、近い将来において想定することができない。かんがいをどうつくるんでしょうか、イギリスにおいて。あの寒冷気候の中で、どうやって麦と違う作物をつくり始めるんでしょうか。とてもそんな、私の考え得る頭の中では、イギリスが米の大生産地になっていくということは想定しておりませんので、何らの問題になることではないと思っております。

穀田委員

 交渉事の話ですから、現在の状況についてどうなるかというんじゃなくて、規定の問題を私は聞いているわけですよね。だから、そこの書きぶり、つまり、今お話あった現況がこうというんじゃなくて、一つの考え方、協定に対する厳密性、そういう立場から議論をしているわけです。  逆に、ちょっと別の角度から聞いてみたいと思うんです。  米を再協議規定の対象にすることは、日本かイギリスか、どちらが要求したとなるんですか。

茂木国務大臣

 普通に、この再協議規定を置くときに、これはいろいろやってきていますから、どこかからの文言を持ってくるということがある意味一般的で、TPPと同じ文言を入れたというだけにすぎません。それによって害が出るとも思っていないので、そのような表現にした。それについて、イギリス側も何らの問題はなかった。  これについては、何らか議論があって、再協議規定についてはこうしたい、ああしたいと、イギリス側のドラフトと日本側のドラフトが全然違っていて、その調整をした、そういうふうには承知をしておりません。

穀田委員

 私は、何度も言うように、協定の厳密性、しかも、日欧EPAとの違い、そういった点から言っているわけです。  といいますのは、確かに、何度も茂木大臣は生産の話をするわけですけれども、もし日本が米をそういう再協議の対象として要求したのであれば、やはりそれはそれとして、主食の米を売り渡すことにつながりかねないし、それは許しがたいというのが私の考えであります。  先ほども述べたように、大体、この種の議論をすると、国益に反する合意はしないという話が必ず出てくるわけで、それなら最初から再協議の対象から除外すればいいことだと私は思います。それをもし、さっき言ったように、日本から要求し、再協議のテーブルに応じる仕組みをつくったとすれば、重大なことだと思っています。  結局、交渉の結果次第で米の輸入自由化に道を開き、つまり、そういうものが必ず世界には反映するわけですから、動きとして起こりかねない。したがって、今後のTPP改定交渉や新たな貿易協定で、より高い水準の市場の開放というんですか、それを迫られる基準となりかねないから私は言っているということを御理解いただきたいと思います。  そこで、次に、宮内農水副大臣にお聞きします。  日英EPAでは、ブルーチーズ等のソフト系チーズや一部の調製品については、日欧EPAで設定された関税割当てに未利用分が生じた場合に限り、当該未利用分の範囲内で、事後的に日欧EPAの関税割当てと同じ税率を適用する仕組みが設けられています。つまり、日欧EPAの輸入枠が余った分に限って、英国産にも低関税を通用するということになります。  そこで、この仕組みについて聞きますが、協定では、必要に応じて本仕組みの運用改善について日英間で協議を行うとなっています、先ほども農水省の方から答弁がありましたけれども。ということは、今後の協議次第で運用改善の仕組みそのものが変わるということはあり得るということなのか、そこについて聞きたいと思います。

宮内副大臣

 お答えをいたします。  ブルーチーズ等は、特恵待遇適用になっております。この特恵待遇適用の制度につきましては、その仕組み及び運用の改善が再協議規定の対象とされております。  運用改善についての協議の対象としては、例えば特恵輸入証明書の発給や申請の具体的な方法、手続などが含まれ得ると想定されますが、いずれにいたしましても、再協議規定については、その結果をあらかじめ約束したものではなくて、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員

 今お話ありましたけれども、あらかじめという話はしてはるんやけれども、要するに、運用改善の提起があるわけですよね。その仕組みが変われば、英国産向けの関税割当て枠が新たにつくられる可能性も否定できないということじゃないかということなんですよね。

茂木国務大臣

 それはありません。枠は変わりませんし、税率も変わりません。  例えば、書類を出すのにもっと簡便にできないかとか、いろいろ、運用していくやり方についてそれは工夫できることがあったらやるということで、つくった、残った分について使えるというやり方、それからそれに適用される税率、この部分は変わりません。

穀田委員

 もう一度農水副大臣に聞きますが、そういうことでよろしゅうございますか。  つまり、私が聞いているのは、結局、関税割当て枠というのは、それは今お話あったように、ここまで線を引いているんだと言うんだけれども、理論上は可能だということになるんじゃないですか。

宮内副大臣

 先ほど外務大臣からもお話がありましたように、この制度の枠組みが変更されることにはならずに、関税割当てにつながるものではない。また、特恵税率の対象数量の決め方も協定で明確に規定されておりまして、運用改善はこの規定を変更するものではありません。

穀田委員

 いや、それは協定上の仕組みがそうなっていて、仕組みが変更されればこの関税割当て枠も、決してやらないと否定していない、そこには書いていないんですよ、その問題については。  しかも、あらかじめそういうことについては想定できない、こう言うわけだから、可能性としてはあるというふうに私は言わざるを得ないと思うんですね。  もし、新たに英国に輸入枠を認める変更を日本が受け入れれば、英国分も含めてEUに約束した市場開放水準を超えるおそれがある、こういう点が懸念されるものだから私は言っているわけです。  そこで、次に、日欧EPAの発効後の農産品、農産物の影響について聞きます。  チーズについて、茂木大臣は、この間、十一月十二日の本会議で、EUからのチーズ輸入量は日欧EPA発効前から増加傾向にあり、急増したとは認識していないと答弁されています。しかし、我が党の笠井議員が指摘したように、日欧EPA発効二カ月後には、EUからのチーズの輸入量が一・五倍に増加しているのは事実です。  きょうは茂木大臣に聞くんじゃなくて宮内副大臣に聞きますが、チーズ以外はどうなっているのか。  二〇一八年十一月二十日の衆議院本会議で、当時の吉川農水大臣は、日欧EPAの牛乳・乳製品に与える影響について、当面、輸入の急増は見込みがたいと答弁していました。  そこで聞きますが、牛の冷凍肉、ミルク及びクリーム、バターの三品目について、日欧EPA発効後の二〇一九年二月から十二月の輸入額はどのようになっていますか。

宮内副大臣

 お答えをいたします。  二〇一九年のEUからの牛肉輸入額は、前年比三三一%と増加しておりますが、我が国の牛肉輸入額全体の〇・五%にとどまっておりまして、EUからの牛肉輸入が国内牛肉生産に与える影響は限定的であるというふうに考えております。  農林省としては、引き続き、日・EU・EPAを含む経済連携協定が及ぼす国内牛肉生産への影響をしっかり注視してまいりたいというふうに考えております。  それから、我が国の関税分類上のミルク及びクリームは、そのほとんどが脱脂粉乳でありまして、日・EU・EPA発効後、EUからの輸入額はわずかに増加をしておりますけれども、これはEU相場が上昇したことによるものでありまして、輸入量は減少しております。  他方、バターにつきましては、日・EU・EPA発効後、EUからの輸入量は増加しておりますけれども、これは、国内で不足するバターを国の判断で、国家貿易によりまして輸入したことによるものであります。  日・EU・EPAにおきまして、脱脂粉乳及びバターについては、国家貿易制度を維持するとともに、最近の輸入量の範囲内で関税割当てを設定するなど、適切な国境措置を講じております。  このような状況のもとで、令和元年度の国内生乳生産量は四年ぶりに増加に転じまして、今年度も増加をする見込みであります。国内生乳生産への影響は限定的であるというふうに考えております。

穀田委員

 限定的であるかという話を聞いたんじゃないんですよ。額を聞いているんですよ。そんな話を聞いたら、それこそ、長い話を聞いてがくっとするわ。  額を言ってください。冷凍の肉は何ぼやね。そう質問してんねんから。

宮内副大臣

 お答えをいたします。  冷凍の牛肉は、二〇一八年が輸入額が五億円、二〇一九年が輸入額十八億円、今年は、一月から九月までで三十一億円ということになっております。

穀田委員

 質問の内容をよく聞いてから、そう言ってんねやから、そんな話をしてくれぬでもええわけです。  牛の冷凍肉の輸入から見ると、財務省の貿易統計では三十九億五千万円となっているんです、この期間。何かというとすぐ限定的だねと、大体、話で一番最初に限定的なのは、どこだってそうなんですよ。そこから広がってくるから問題なので、それがどのように伸びているかという問題を何回も言っているわけですよ。  今答弁のあった、要するに、私が指摘している三十九億五千万円、それは期間の話ですね。期日が決まってこうなっているところから言っているわけです。  それで、EUからの輸入の前年比で見ると、輸入が急増しているのは牛の冷凍肉だけではありません。今述べたバターとミルク及びクリームについても、貿易統計で見ると、バターは前年比一三六・六%、ミルク及びクリームについては二〇八・八%、これは財務省の貿易統計で明らかであります。  そして、EUから輸入が倍増しているという事態、ここの事態について、欧州委員会が日欧EPA発効一年に行ったプレス発表を見ても、対日輸出が伸びているのがわかる。これを見ても、EUからの輸入が増加しているのは明らかであります。  そこで、政府は、日欧EPA発効時の影響試算で、国内生産額が最大一千百億円減少すると試算してきました。日英EPAの発効によって、英国を含む欧州全体から引き続き安い輸入品が大幅に流入すれば、国産品の値崩れなどの事態を招くことは明らかであります。  相手国の英国国際貿易省は、交渉の目的や範囲、獲得目標、経済・社会・環境的な影響などを総合的に分析し、国民に公表しています。翻って日本は、影響について日英間のそういう独自試算を行っていないというのは、これはけしからぬということを言っておきたいと思います。  茂木大臣、新型コロナの感染拡大は、日本の食と農業を直撃しています。  私は五月二十二日の本委員会で、例えばということで、宮城県の肥育農家では、牛を売れば売っただけ赤字が累積していると、悲鳴を上げている現状を紹介しました。フグの問題の質問をしたときだと言えば多分思い出せると思うんですけれども、こうした問題に対して茂木大臣の認識を当時お聞きしました。  大臣は、新型コロナの影響で、牛肉だけでなく、さまざまな農産品についても影響が出ている、サプライチェーンが寸断されることによって、極めて深刻な状態にあると思っていると述べ、特にその影響は農家の皆さんに及んでくると答弁されましたが、この認識は今も変わりありませんか。

茂木国務大臣

 基本的には変わっておりませんが、若干つけ加えさせていただきますと、新型コロナの影響によりまして、食料の生産、流通、消費など、食料の国際的なサプライチェーンの機能にも影響が及んでいるほか、食料を含む輸出規制等が行われた事例があり、この影響もあると思っております。  かかる状況を踏まえまして、G20やWTO等の国際的な枠組みにおいて、各国が食料のサプライチェーンの機能を維持すること、農産品及び食品に関して輸出規制を行わず、不当な貿易障壁を設けることを差し控えること、世界の食料市場に関する情報の提供を継続すること等の重要性、確認をしてきているところであります。  政府としては、今後とも、国際社会と適正な規制のあり方についてしっかりと議論をし、食料の輸出もできる、また食料の安定供給にも支障が生じないように対応してまいりたいと考えております。

穀田委員

 今お話あった、前回お話あった内容の答弁というのは極めて重要だと私は思っているんです。ただ、後半の部分はちょっと私どもと少し意見が違いますが。  今お話あった、輸出問題が出ましたよね。そこで、農水省が十月に発表した、「我が国における穀物等の輸入の現状」と題する資料があります。これは公表されているものですから。これですよね。そこには農産物、食品の輸出規制に関する最近の主な動きをまとめているけれども、これまでに世界で何カ国が輸出規制を実施したのか。事実を述べてください。

宮内副大臣

 お答えいたします。  これまで十九カ国で輸出規制が行われていることを確認いたしております。現在は五カ国でございます。

穀田委員

 数字を見ますと少し違うことがあるかもしれませんが、今の答弁では、十九カ国で農産物、食品の輸出規制が行われたと。この事実が私は重大だと思います。  小麦の輸出量が世界最大のロシアは、ことし四月から六月までの三カ月間の小麦や大麦などの輸出の上限を七百万トンに制限したほか、ウクライナも年間の輸出量の上限を二千二十万トンにしました。また、米をめぐっても、輸出量が世界三位のベトナムが輸出に上限を設けたほか、カンボジアも輸出を停止しました。このことは、コロナ禍で輸出規制がいかに簡単に起こり得るかを端的に示していると考えます。  農水省は、こうした事態について日本への影響は限定的と言うけれども、コロナ禍で、TPP11、日欧EPA、日米貿易協定と矢継ぎ早に進めてきた輸入自由化の拡大が国内農業に更に追い打ちをかけている実態があります。  農水省の畜産統計によれば、一九八〇年に三十六万四千戸あった牛肉の生産農家は、ことし四万三千九百戸へと激減しています。これが更に減ってしまうようなことになれば、安全、安心な国産牛肉を食べたいと思っても外国産しか買えない、そんな事態になりかねない状況であります。  米の問題も深刻です。コロナ禍で生じた米の外食需要の大幅減少で、二〇年産の取引価格は米余りを反映して前年比で二〇%も下落しているわけですが、それは事実ですね。

宮内副大臣

 ちょっと最後の質問が聞こえづらかったんですけれども。

穀田委員

 前年比で二〇%下落しているのは事実ですね。

あべ委員長

 速記をとめてください。     〔速記中止〕

あべ委員長

 速記を起こしてください。  宮内農林水産副大臣。

宮内副大臣

 失礼をいたしました。  価格の下落につきましては、本年の十月の統計で、前年度一万五千七百三十三円でしたのが一万五千六十五円ということでございますので、二〇%は下落をしていないというふうに思っております。

穀田委員

 いずれにしても、メディアでは大きく下落していると。  私たちは、ことし八月に、当時の江藤農水大臣に対して、米の需給改善のために備蓄米の買上げを大幅にふやすこと、それから、買い入れた主食用の米を新型コロナの感染拡大で苦境に陥っている国民、学生や子供食堂などに供給する仕組みをつくったらどうやと、こういう点を含めて緊急対策を申し入れたところです。今、政府に求められているのは、こうした緊急対策によって米価の暴落を回避することだと思うんです。  ところが、政府の対応は、米価の安定のためには大規模な減産しかないと、二一年産の作付面積を二〇年より十万ヘクタール、生産量で五十六万トン減らすことを迫るものであります。これは新潟県一県に匹敵する、過去最大規模の減産になります。これでは、農業関係者に多大な負担と苦痛を強いることになるのは明らかであります。  農水副大臣、コロナ禍で食料の輸出規制に踏み切る国が相次ぐ中で、日本の食料供給の危うさが改めて浮き彫りになった、これは誰もが思っていることだと思うんですね。こうしたもとで、今、政府がやるべきことは、三八%という主要国で最低水準の食料自給率、言いかえれば六割以上が外国頼みという日本の食料自給の実態を抜本的に見直すことではないでしょうか。その辺の見解をお聞きしたいと思います。

宮内副大臣

 今回のようなコロナによる影響につきましては、その瞬時、瞬間にさまざまな対策を講じなければいけないと思いますが、お米や小麦の政府備蓄等の活用につきましては、必要に応じて的確に講じることといたしておるところでございますし、また、需要の操作や、価格の下支えを目的として主食用米を国が買い上げて市場隔離をするということは、政府備蓄米制度の趣旨にも合わずに、やはりこれは、市場で価格を決めて行っていくということを政策決定しておるわけでありますので、そのことによって、みずからの経営判断による需要に応じた生産、販売を進める米政策の改革にはそぐわないというふうに考えております。

穀田委員

 それは前半の方の話をしたことに対する答えでしょう。私は、我々の提案に対してどうかと言っているんじゃなくて、私はそういう提案をしていると。しかも、そういう形で、もしお話あったような話を聞いたら、がっくりしまっせ。  私が聞いているのは、今のそういう日本の生産、食料の自給率の実態を抜本的に見直す必要があるんじゃないかと。前の話は話として聞いてもうたらええと。問うているのは、そういうことですやんか。そう聞こえませんでしたか。

宮内副大臣

 お答えいたします。  食料自給率の向上、これは重要な政策だというふうに思っておりますし、特にコロナ禍における食料自給率のことにつきましては、国民の方々も非常に問題意識を高めたというふうに思いますので、このことについての政策は、しっかりとこれからも議論しながらつくっていかなければいけないということは当然のことであるというふうに思っております。  農業基盤整備の強化とか、あるいは荒廃農地の防止など、さまざまな具体的な政策を今も進めてやっておりますけれども、担い手の育成、確保等を含めまして、今後も多くの方々の御意見をいただきながら、しっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

穀田委員

 話がそういうことになると、ばくっとした話になる。  要するに、食料の自給の実態を抜本的に見直す必要があるんじゃないかと。そのとおりだと言っていいと思うんですよね。そうなりますと、農水省がことし三月に策定した基本計画は、実現可能な水準という口実で、食料自給率の目標を四五%に引き下げているわけですよね。達成年度も二〇一五年、二五年度へ先送りしているわけですやんか。  つまり、こういう事態になっているのに、五年前の目標だった五〇%から五%引き下げていた目標を踏襲した上で、更に達成年度を五年先送りする。まさに食料自給率の低下に歯どめがかけられていない深刻な実態になっているじゃないかということを、私ども思っているわけです。  そこで、もう時間ですからあれですけれども、農産物や食料というのは、緊急時だからといって直ちに増産するというようなことはでけへんわけですよ。平素から自給率を高める努力が不可欠で、それを政策の柱にしっかり据えることこそ重要なのです。  どう言おうが、要するに、さっき言ったように、その程度の話しかやっていないという現実をしっかり認めないとだめだと私は思うんですね。  だから、政府が本気で食料自給率の向上を考えるんだったら、TPPや日欧EPA、日米貿易協定、そして、今回の日英EPA等を推し進めてきた際限のない輸入自由化路線を根本から見直すことが必要だ、そのことを求めて、質問を終わります。