「国民不在」のTPP交渉からの撤退を!

2015年08月28日

土屋委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
当委員会の審議案件について、我が党は、日本とカザフスタン、ウクライナ、ウルグアイとの三つの投資協定及び日本とカタール租税協定については反対です。そして、日本とルクセンブルク社会保障協定には賛成します。
きょうは、この機会に、経済問題に絡んで、四月に続いてTPP交渉について質問します。
私は、今言いましたように、四月の当委員会で、米国議会に提出された二〇一五年超党派議会通商優先事項及び説明責任法案の内容と、日本政府のTPPの情報公開の姿勢をただしました。それ以降、六月の下旬に今述べた法案が成立し、七月にTPPのハワイ閣僚会合が開かれました。
私は、衆参で行われたTPPの質疑や報道、さらに生産現場に従事しておられる多くの方々の声に接して、交渉の推移を本当に憂慮しています。
そこで、まず改めて、政府の情報公開の姿勢から聞いていきたいと考えます。
西村副大臣に、私は、政府の情報公開内容について国民はわかっているかということについて、四月の質疑でただしました。その際、副大臣は、多くの国民が関心を持っていることも承知しておりますと答弁がありました。
私は、国民と与野党の国会議員は、国民生活の安心や安全、安定に資する非関税、関税措置のTPP交渉の論点や対決点が何なのか、どういう経過をたどって現在に至っているのか、さらには、テキスト条文の書きぶりは具体的にどういう経過をたどっているのか、結局、国民にとって私たちの生活にどんな影響が出るのか等々、さまざまな角度から詳しく知りたいと強く求めていると、各地を訪問して、とりわけ農村地帯の方々といろいろお話をしているとそういう実感をしています。
副大臣は、国民が、TPP交渉がどのような内容かを知りたいという強い、具体的な要望や要求があるということに対して、どのように認識しておられますか。


西村(康)副大臣

御案内のとおり、TPP交渉は、非常に幅広い分野を含んで交渉が進められております。これまでの通商協定にある、いわゆる関税の交渉であるとか投資に関する交渉であるとか、そういったものに加えて、今回は、環境とか労働とか、二十一世紀にふさわしいものをつくっていこうということで、幅広い分野を対象として交渉が進められてきておりますので、その点についても、国民の皆さんがいろいろな関心、さまざまな関心、自分にかかわる、御自身の職業にかかわる分野のみならず、幅広く関心を有しているというふうに認識をいたしております。


穀田委員

だから、幅広い分野だからこそ、逆に言うと、国民の多くが、今までと違って、単に農業分野だけじゃなくて、ありとあらゆる形で、この問題についてどないなってんねんということについて関心を持っているということなんですよね。
報道によると、野党を中心に情報開示の拡充を求める声が高まっており、甘利大臣は五月八日の記者会見で、情報開示で、できることがあるのか、各国の状況を引き続き精査したいと述べた、こういうふうになっています。
そこで、聞きますけれども、精査したいと言っているんだから、そういう検討をしたんだと思うんですけれども、この検討結果、改善点はどのようになっているんですか。


西村(康)副大臣

私ども、これまでも、できる限り開示をしていきたいということ、一方で、十二カ国で結んだ秘密保持のルールもありますので、そのバランスを考えながら、悩みながら、工夫をしながら進めてきたところであります。
これは前にもお答えをしましたけれども、それぞれの交渉の終わった後には、その交渉の内容、あるいは大臣がブリーフィングをしたときの記者とのやりとり、こうしたものをできる限り細かくホームページに掲載いたしておりますし、その後、このホームページを見ていただきますと、TPP交渉の、もちろんその都度その都度の交渉会合の結果についての報告もありますし、あわせて、全体として交渉に関する資料、テキストそのものは公開をいたしておりませんけれども、しかし、国民の関心の高いと思われる分野について、食の安全にかかわる分野とかですね、これについてはこのような交渉になっているということを、可能な範囲で、できる限り詳しく記載をしているところでございます。


穀田委員

国民はそういうふうに思っていますかね。大体いつも、言うと、副大臣が言うのは、できる限り、こう言うわけだよね。その次は、秘密保持の、こう言うんだよね。三つ目は、悩みながら、こう言うんだよね。大体いつもこの同じフレーズなんですよ。国民は、副大臣が悩んでいるぐらいでは困るんですよ、もっと大変な事態になっているんじゃないかということで気にしてはるわけやから。そう言うと、最後、ホームページと。この四つのフレーズがあれば大体おしまいなんですよ。この問題について私が問うと、大体この四つのフレーズを使ってはりますわ。
では、聞きますけれども、ハワイの閣僚会合の交渉結果の説明ぶりについて聞いてみたいと思うんですね。
八月三日の報道によると、農林水産物交渉の重要五品目の最終調整状況は、米は、米国、豪州に輸入枠を設定、米国には上限七万トンの枠。牛肉、現行三八・五%の関税率を十五年目に九%へ。豚肉、一キログラムの従量税を十年目に五十円にする等々。私からすれば、とんでもない内容が書いてあるわけですね。
では、今おっしゃったんだけれども、国民経済にかかわる重大な内容にもかかわらず、政府のホームページには一言も触れられていない。聞くけれども、私が紹介したこれらの数字は事実ですか、どうですか。


西村(康)副大臣

まず、交渉の内容については、これはまだ交渉中の話であります。相手がある話でありますし、まさに手のうちを示すわけにもいかないという面もございます。ですので、特に関税交渉の部分については、これは各国とも全く外には出しておりませんというか、公開もしておりません。
御案内のとおり、アメリカでも、一部に、秘密保持を宣誓して、厳しいルールのもとで、テキスト文の開示ということが議員に認められております。
しかし、譲許表を初めとする関税の交渉の部分については開示をいたしておりませんし、これはお互い非常に大事な交渉であるということでありますし、相手がある話ということでありますので、手のうちを明かすわけにもいかないという、申し上げたとおりでありますので、この部分については、私どもは、国会の決議をしっかりと受けとめて、粘り強く交渉しているところでございます。


穀田委員

二つあると思うんですよね。では、なぜこういう数字が出たのかということと、ホームページに載っているかというと、こんなものは載ってもいないんですよ。
それで、いつも必ず、国会決議を受けとめてと、これも同じことを繰り返しているんですよね。
では、ふたを開けてみたら違っていたといったら、どないしますのや。だから、そういう問題で、私はこれが事実だとすれば重大じゃないかというふうに思うから聞いているわけですよね。
甘利大臣は七月三十一日の記者会見で、TPPの交渉をまとめることができた、決着させることができた、相当絞り込まれたと言って、さらに、頭を冷やしてもらう等の発言をしています。
しかし、例えば、農産物交渉で繰り広げられた具体的な品目の交渉内容や、今述べた関税率だとか関税割り当ては、全く言及していないですよね。知的財産やISD等の非関税措置の具体的交渉経過も、政府のホームページには一切出ていませんよ。
副大臣、なぜこういう内容が出ていないのかということについて、改めて聞いておきたいと思うんですね。
だから、国民は、この交渉経過について、そういう土壇場まで来ている、こういった問題があるということについて知りたいと思うのに対して、誠実に向き合うことは必要じゃないと考えているんですか。


西村(康)副大臣

交渉は、全体で、パッケージで行われているということでもありますので、一つ一つのパーツについて何が今の段階で決まったということではなくて、最後、全体で全てのピースが埋まって、いろいろな駆け引きのもとで決着をするということでありますので、ある意味で、特に関税交渉にかかわる部分はそういう色彩が強いものですから、いまだに決まったものはないということでありますし、まさに手のうちを明かすわけにいかないという部分もありますので、これはどの国も、この部分については開示に非常に慎重になっておりますし、全く示されていないということであります。
ただ、繰り返しになりますけれども、国会の決議をいただいておりますから、決議を守ったと認めていただかないと、これは国会で承認をされないということになりますので、最終的に国会できちんと御承認をいただけるような内容になるということを目指して、粘り強く交渉をしていきたいと思っております。
もちろん、交渉がまとまった段階では、しっかり開示をして説明をして、国会で御承認いただけるようにしっかり努力をしていきたいというふうに思っております。


穀田委員

それはないですよ。幾ら努力すると言ったって、現実、その過程がさっぱりわかりもしないのに、最後は国会が決めるんだからと。国会は、それは与党が多数なんだから、平気で、そういうことについて言えば、今までも裏切ってきたことは何ぼでもあるわけで、そんなこと簡単に信用できるはずがないじゃないですか。
では、具体的な数字が出ている米の問題について聞きたいと思うんですね。
甘利担当大臣は、今度はもうちょっとさかのぼって七月二十一日の会見で、米の問題は重要五品目の中でも最重要の問題だと認識しています、日本が五万トンという主張をし、アメリカが十七万五千トンという主張をした、それは事実であります、こう述べていますよね。
岸田大臣や西村副大臣は、他国に関する発言は控えるということをよく答弁しますけれども、甘利大臣は、アメリカがと珍しく名指しでコメントしていたので、聞きたいと思うんですね。
まず、前提として、この発言は事実として確認できますね、西村さん。


西村(康)副大臣

甘利大臣は、いわゆる米の交渉について、これは非常に厳しい状況にある、厳しい交渉をしているということについて言及をされたというふうに承知をいたしております。
具体的な日米間の交渉内容については、コメントすることを差し控えたいというふうに思います。


穀田委員

聞いていることと違いますやんか。そういうことをしゃべったことが報道で出ている、これは事実やなと聞いているのであって、もう一度。


西村(康)副大臣

アメリカ側から、米について非常に厳しい要求がなされているということは事実でございます。
ただ、その具体的な内容についてはコメントを差し控えたいと思います。


穀田委員

それはちょっとおかしい。委員長、それはおかしいですよ。だって、内閣府で発表している内容について、そう書いているものを、それは事実やな、こう聞いているわけでしょう。
では、内閣府は発表していないんですか。それを確かめて物を言ってくださいよ。はっきりしてくれなくちゃ困るよ。そんないいかげんな話をして話をそらしたらあきませんで。そういう発表をしていることは事実やなと聞いているだけの話でしょう。


西村(康)副大臣

記者会見の内容については発表いたしておりますけれども、その具体的な交渉内容について、何か内閣府として公表したものはありません。(穀田委員「違うやんか。ちょっと委員長、それはおかしいですよ。報道されている内容を確認しているだけの話じゃないか」と呼ぶ)


土屋委員長

速記をとめてください。
〔速記中止〕


土屋委員長

速記を起こしてください。
西村副大臣。


西村(康)副大臣

お答えを申し上げます。
七月二十一日の甘利大臣の記者会見要旨の中で、御指摘のあったことを大臣が答えているということを、その内容をホームページで公表しているのは事実であります。


穀田委員

だから、回りくどい話をしているんじゃなくて、最初からそう言って、そういうふうに事実として出ているのやから、こんなこと。それを二度も三度も、そういう答弁を曖昧にしたらあきませんよ、そんなこと。そんな程度で国民の知る権利を、出ていることまでああだこうだ言って、あっちゃこっちゃ言うなんて、およそ考えられへんわ。あほらしなってあかんわ、そんなことやっておったんじゃ。そう思いませんか、皆さん。
だから、それだったら、事実として、今、内閣府としてちゃんと報道していることを聞いているだけで、それをあれやこれや言っていたんじゃ、そっちが、西村さん、ほんまにこういう、できるだけ事実を公表するとか、何かいろいろなことを国民に知らせようなんて、全くうそだということがはっきりしたんじゃないですか。
では、聞きたいんですけれども、日本が五万トンという主張をしたとされるけれども、ここではそう言っているんですよ、内閣府が出している文書にそう書いているんですよ、そういう会見をしたと。その五万トンという主張については、いつ、どこで、どのようなレベルの会合ででもいいですけれども、誰が誰に対してどのように主張したのか、明確にされたい。


西村(康)副大臣

これはまさに交渉の内容にかかわることでありますので、そのことについてはコメントは差し控えたいというふうに思います。


穀田委員

でも、交渉の内容にかかわると言うんだけれども、それは五万トンという話が出ているわけじゃないですか。その内容について既にこれは出ている。
だから、これは、では、ちょっと違う角度で聞くけれども、「TPPの概要」だとか政府のホームページには書いていないので、私は、みんな、多くの人たちが、この問題についてはほんまかといって驚いたわけですやんか。それは西村さんも一生懸命隠すぐらいやから、そういうことについては知りたくないのかもしらぬけれども、日本側の米輸入五万トンを発言した根拠というのは、では、一体何なんですか。五万トンという話の根拠。


西村(康)副大臣

まさに交渉の内容そのものであって、交渉にかかわる大事な内容でありますので、そのことについてはコメントを控えたいと思います。


穀田委員

この繰り返しやねんね。前段でまず防御線を張って、話の内容に踏み込ませないということで、ずるずるやっていく。これは繰り返しなんですよね。
しかし、数字が出たのは、大臣がみずから五万トンとか十七万五千トンと言ったことは、これは初めてなんですよ。だから聞いているんですよ。
では、別な方に聞きたいんですけれども、この会見の発言について、この会見の発言についてですよ、まあ、あなたはなかなか認めようとしなかったけれども、日本政府はアメリカ政府の了解をとって行ったということですか。それはどうですか。


西村(康)副大臣

これは、甘利大臣が、アメリカと厳しい交渉をしているというその厳しさを、なされているということを言おうとして発言をなされたものというふうに認識をいたしております。


穀田委員

すると、厳しいということだよね。そこは言えると。厳しさがある。どういう厳しい話なんですか。
つまり、五万トンのそういう問題と十七万五千トンというそれぞれの根拠を言い合って厳しいやりとりをしたということなんですか。何が厳しいと言っているんですか。


西村(康)副大臣

何が厳しいのか何が厳しくないのかというのが交渉のまさに内容そのものでありますし、手のうちを明かしていくことになりますので、これは答弁を差し控えたいというふうに思います。


穀田委員

いや、あなたが厳しいと言うから、どういうふうに厳しいのと聞いているだけの話やんか。そんな大した話じゃないやんか。
だから、アメリカの主張を会見で言っているわけでしょう、十七万五千トンで出てきた、うちは五万トンで言ったと。そうしたら、国民的に言うと、ああ、そうかとくるじゃないですか、日本は五万トンと言うたんやなと。
何で五万トンと言うたんやということについて言えば、国民の側は今まで、五万トンと言うなんて許可したことはないわけですよ。そういう話も、公約でするという話もないわけですやんか。そうすると、厳しいとか厳しくないとか言っているけれども、要するに、その線を出したんやなということだけははっきりしたわけですよ、これで。ということとなると、そこから妥協が始まるということになるわね、誰が考えたかて。
そうすると、五万トンの根拠は何やと聞くのが、国民は思うじゃないですか。相手がどう言おうがこう言おうが、大臣が五万トンと言って相手が十七万五千トンと言うとるのやから、それぞれの根拠というのは何なんだと。
厳しいと言うけれども、その厳しさを打開する上では、こういう国民的合意が必要だから頼むという、これが筋じゃないですか。当たり前の話じゃないですか。何が厳しいだ。厳しくないからこうなっているんじゃないんですか。言ってくださいよ。根拠は。


西村(康)副大臣

私ども、政権の公約を出しておりますし、その公約のもとで選挙で勝たせていただいて、政権を負託されて、今、そのもとで責任を持って交渉を進めているところでございます。
最終的には、国会の決議も守ったと言っていただいて、国会の御承認もいただかなきゃいけませんし、自民党としてもその公約を守ったと言っていただけるように、私ども、粘り強く交渉しているところでございます。


穀田委員

もうその話は聞き飽きているのやわ。公約は守ったと言うけれども、五万トンという話が出た瞬間に、では、西村さん、あなた、五万トンと公約していたの、選挙のときに。では、一言言ってよ。


西村(康)副大臣

今、自民党の公約を全て私は覚えているわけではありませんけれども、私自身は、TPP交渉を、日本の農業の基盤をしっかり守りながら、しかし、TPPの交渉はしっかりと進めて、日本の利益になるような形で、目指していくということを私自身も申しておりました。


穀田委員

それは自民党の多くがそう言っている。だけれども、五万トンという数字が出て、少なくとも、出した限りに、相手は十七万五千トンときておるのやから、大体この辺でうろうろでやるのやなとみんな思うわけやんか。そうすると、五万トンと西村さんは公約してたんかと。
だって、公約は、守るために頑張ります、それから、決着をつけるためにも頑張ります、国益を守るために頑張ります、国会決議を履行できるように頑張りますと言っているんだけれども、では、西村さんは、そういうものの内閣府の副大臣として、五万トンというものを公約していたかと聞いているんですよ。


西村(康)副大臣

私自身は、日本の国益にかなう形でTPP交渉を進めて、妥結するということで申し上げておりましたので、私自身としては、その範囲内で、国民の御理解、有権者の御理解をいただいて、しっかりとまとめていきたいというふうに思っております。


穀田委員

個別にそんな西村さんだけを詰めるつもりはないんですよ。ただ、五万トンという数字が出たから言っているので、そこは、範囲内でと言っているから、五万トンがひょっとしたら、では、そういう範囲内というふうに理解してええのかなと思ったりもしますけれども、これ以上やったってもう無駄やから。
では、聞くけれども、西村さんは、四月の私の質問の際に、TPP交渉の内容は細かく全てホームページに掲載していると答弁しているんですよね。何かというとホームページを見ろと言うんですよね。
私も、今回、再度「TPPの概要」というのを読みましたけれども、四月から今日に至るまで、全部で六ページ。議員限りということで報告されたページは、たしか私どもにも配られて、赤い字もありました、それは八ページでしたけれども。六ページで、内容は同一じゃないか。
そもそも、千ページとする条文テキストの論点を六ページにまとめること自体が、私は無理があると思うんですけれども、この交渉内容がさまざまな報道がある中で、オファーリクエストを出す形で二国間協議が行われている、規律を確保、整備を図るとの表現をとっていますけれども、これでは、事実関係だとか、この点が対立点だと。
つまり、交渉事だからという話はいいんですよ。だけれども、今だって五万トンと十七万五千トンが出たわけじゃないですか。そういう意味での対決点や論点というのはさっぱりわからぬという意味では、副大臣は何かというと見ていただいたらわかると言うので、これでわかる人はなかなかいないと思うんですよね。
だから、その点の記述をせめてもう少し改善すべきではありませんか。


西村(康)副大臣

できる限り詳しくという思いで私も事務方にも言っておりますし、事務方もそれなりに努力をしてきているんだと思います。
できるだけ多くの方に知っていただくということで、ホームページを活用して、御案内のとおり、説明会を開いたりして多くの方が来ていただいたりしておりますけれども、できる限り広く知っていただくためにホームページということで活用させていただいておりますので、引き続き、このホームページでの情報開示も含めて、工夫をしながら、できる限りの開示に努めていきたいというふうに思います。


穀田委員

工夫はするということで、少なくとももう少し改善してくれるというふうに見ていいんだね。


西村(康)副大臣

引き続き、できる限り工夫をして、改善に向けて努力は続けていきたいというふうに思います。


穀田委員

工夫して改善していただくということについては、約束してもらったということになると思うんですね。
では、次に、米国通商代表部というのが、御存じかと思うんですが、外国貿易障壁報告書を発表しています。アメリカは、国民生活の安心、安全、安定を担保する関税、非関税措置をバリアそして障壁と呼ぶものであります。私もこれを持ってまいりましたけれども、二〇一五年外国貿易障壁報告書です。
これを見ますと、米国は日本に対して、牛肉は全月齢の牛由来製品を含め完全自由化を求める、水産物は関税撤廃、非関税障壁の除去を求める、ミニマムアクセス米は輸入量の約束を監視するなどと書いています。
大臣に聞きたいんですけれども、アメリカは日本に対して、TPP参加交渉から批准後の将来にわたって、貿易障壁報告書に記載された項目に対する関税、非関税措置の撤廃を求め続け、強要する。そして、この間、超党派通商優先事項法の成立で、日本に対する米議会の発言も強まる。本当はこういう構図がぐっと強まっているんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがお考えですか。


岸田国務大臣

御指摘の外国貿易障壁報告書ですが、これは米国の国内法に基づいて、毎年、行政府から議会へ提出される米国の貿易相手国に対する関心事項についての報告書だと認識をしております。そして、その一部として日米通商関係に関する事項が述べられています。そして、言及がある分野の中には、TPPや日米並行交渉において議論されている分野、これも当然含まれています。
米国としては、こうした関心事項について、政府として議会に提出をし、その姿勢を示しているわけですが、これはあくまでも、日本とアメリカの間においては交渉が行われるわけです。TPPを含め、さまざまな場において交渉が行われるわけですので、我が国としましては、当然のことながら、反論すべきことは反論するべきであると思いますし、国益を最大にするべく努力をする、これは当然のことであると思います。
結果は、その交渉、我が国との間のさまざまな議論の結果になりますので、その結果がどうなるかは予断することはできないと思います。
少なくとも、この報告書の中身どおり全て物事が決まるものではない、これだけは申し上げることができるのではないかと思います。


穀田委員

この間、一連のアメリカ側の要求というのは、ずっと三十年近く見ていますと、そういう労働分野における問題だとか、それから通商分野における問題だとか、公共事業の予算だとかを含めてずっとありましたよね。
だから、それはその年に実現できたかどうかは別として、結構、長い距離で見ると、やってきているというのがあるものだから、そういう点では、反論するものは反論すると言っているんだけれども、先ほどの程度の、五万トン、十七万五千トンでも大した反論をしているふうな感じじゃなくて、それを言われたら、秘密だと。そんなことを言っているようじゃ、それはあきまへんで。
私は、この際に、この問題について改めて委員長に提起しておきたいんですけれども、これほど国民生活の重要問題で、先ほどの答弁というのは、結局、秘密だ、それから、情報公開をなるべく、それから、あとは交渉事だ、こういう話でお茶を濁すというやり方は、私は納得いきません。
したがって、TPP交渉全般の現状について、詳細な説明と資料の要求をしておきたい。きちんと出せということを要求しておきたいので、取り計らっていただきたいと思います。


土屋委員長

後ほど理事会で審議させていただきます。


穀田委員

最後に、国連専門官が発表している勧告について、若干、岸田大臣に聞きたいと思います。
まず、この六月、国連の人権問題を専門とする特別報告者や専門家の十人は、TPP協定を含む自由貿易協定や投資協定が、健康保護、食品安全、労働基準の引き下げ、医薬品を独占する権益を企業に与え、知的財産権の保護期間を延長することによって、人権の保護と促進に逆行する影響をもたらしかねないと指摘しています。現物はこれです。
岸田大臣に聞きたいんですけれども、国連の専門官たちがなぜ声を上げたのか、その理由についてどうお考えか、所見をお伺いしたいと思います。


岸田国務大臣

六月二日に、国連人権高等弁務官事務所のホームページに、自由貿易及び投資協定による人権への悪影響に関する国連専門家による懸念表明というものが掲載されたと承知をしております。
御質問は、なぜこれが掲載されたのか、要は、この意図は何なのか、こういった御質問の趣旨だと思いますが、この理由ですとか背景、あるいは、ましてや意図について、私から何か申し上げるような直接の材料はありません。ちょっと、そういう御質問に直接お答えする材料は持ち合わせておりません。


穀田委員

では、ちょっと角度を変えましょう。
勧告は、中身でいいますと、このやり方、つまりTPPのやり方でいけば、貧困問題なんかを深刻化させる否定的影響が懸念される、そういう立場の声明なんですよね。
これらの方々は非常に重要なセクションを持っておられて、障害者の問題や健康や文化的権利、さらには法曹の関係の独立や食品の権利や安全性など、そういう専門に研究されている方々なんですね。あえてそういう方々が述べておられて、しかも、勧告は、労働組合、消費者団体、環境保護団体、保健専門家など全ての関係者の協議や参加によって透明性を持つこと、さらに、国会議員や市民団体が検討できるように条文草案を公表すること、ここまで書いているんですね。
ですから、もちろん、今大臣がおっしゃったように、意図やその他理由については承知していないと言いますけれども、問題は、その勧告の中身が、私は極めて真っ当じゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。


岸田国務大臣

この勧告、声明ですかでは、貿易投資協定が新たな経済機会を生み出す、一方で、御指摘のように、まずは健康保護、労働水準、知的財産等について人権保護の面で懸念があること、そして、さらに、ISDSが国家の規制機能や公共の利益を法制化する権限を危険にさらしていること、こういった指摘をしていると承知をしております。
TPP交渉につきましては、食品の安全確保、あるいは環境基準や労働基準の確保、また権利保護と利益保護のバランスのとれた知的財産保護のあり方について議論が行われていると承知しております。また、ISDSについても、保健、安全及び環境保護を含む公共の利益を保護する政府の権限に配慮した規定が挿入されていると認識をしております。
我が国としましては、引き続き、国益を最大限に実現するべく、しっかりと交渉をしていくことになると考えております。


穀田委員

今大臣は、この懸念の表明の声明の内容を私よりも少し詳しく述べられたというだけなんですよね。それが、交渉を進めるということに、すぐそっちの方に文章的には行くんだけれども、そういう内容については、私は、今のTPPのあり方に対して大きな疑問を投げかけて懸念を表明している、そういう問題提起じゃないだろうか、そういうことについて、ある意味では、世界的に言ったら当然のことじゃないかと思うわけですよね。
ですから、その評価についてもう少し述べていただかないと。それを聞いているんですが。


岸田国務大臣

この声明の中で御指摘のような懸念が示されている、これはそのとおりであります。
しかし、現実のTPP交渉等においては、我が国としまして、そうした懸念がないように、そうしたマイナス面がないように最大限努力をしているということをしっかり説明していかなければなりません。そういった交渉をしっかり行った上で、その成果として国民の皆様方にしっかりと説明をしていく、これは大事な取り組みではないかと考えます。


穀田委員

どうも、中身は、評価については飛ばして言うというのが大体パターンになっていますよね。
ただ、私は、この問題は農水委員会でも私どもの畠山議員が質問していまして、そういうときの語感といいますか感覚からしますと、簡単に言って、こういう勧告というのは法的強制力がないから対応する必要がないというふうに考えているんじゃないか、そういう向きが私は受け取れるわけですよね。
でも、こういう交渉事に対して、各分野の専門家がそろって、しかも、そういう内容、とりわけ人権という角度から物を考えて、懸念を表明する。もちろん、先ほど大臣もおっしゃっていましたように、経済の新しい機会を生み出す可能性がある、これは言っていることは事実なんですね。私、それを否定しているわけじゃないんですよ。その一方で、こういう問題の、人権の保護と促進に逆行する影響をもたらしかねないということをあえて言っている。そのときに、それが検証されるためにはどうすべきかという問題を提起しているわけですよね。
だから、一方で、経済的なそういう意味での可能性がある、しかし、こういう懸念がある、それらをどうしたらいいかというときには、公表して事前に評価する、事後に評価する、そして、それらが透明性を持つべきだということに対して、それは交渉事だ、それから、ある意味では、先ほど言いましたけれども、法的強制力がないから対応する必要がない、こういうふうにお考えだということですか。


岸田国務大臣

声明の中で懸念を示し、そして交渉の進め方についても指摘があるという委員の御指摘だったと思いますが、交渉につきましては、従来から御説明させていただいておりますように、参加国間での当初合意したルールに基づき、そして、それぞれ参加国で協議をしながら交渉を進めているわけであります。TPPにおきまして決められたルールに基づいて、しっかりと協議を進めていくべきだと思います。
その上で、妥結をすることによって、結果を出した上で、その結果がそうした懸念に当たらないように、当たっていないということをしっかり説明する、こういったことは政府として取り組むべき課題ではないかと思います。


穀田委員

懸念が当たらないようにと言うけれども、それは最後の段階でわかったのではおしまいなんですよ。私は言っておきたいと思います。
ですから、きょうは時間の関係で取り上げなかったですけれども、TPP発効の条件として、経済規模が八五%を占める六カ国で発効することを日本が提案し、条文の最終規定章で発効条件が議論されているというような報道もありました。これが事実ならば、私は、驚くべき、許しがたい見切り発車を日本が企てているということになって、各国の国民を無視してTPP交渉の推進者になったということになると思うんですね。
このまま妥結に進み、交渉テキストの全貌が明らかになったときに、政府の当初の説明とは異なると内容が判明したときに、一体誰が責任をとるのか。まさにここには、私は、国民がいないといいますか、国民不在の考え方があると言わなければならないと思います。国民の前に明らかにしていて、そして合意をかち取っていくということが必要だ。
その意味で、私はTPP交渉の即時中止と交渉からの脱退を強く求めて、きょうは質問を終わります。


土屋委員長

これにて各件に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
ただいま議題となっております各件中、まず、投資の促進及び保護に関する日本国とカザフスタン共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とウクライナとの間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とウルグアイ東方共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカタール国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の以上四件について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。


穀田委員

私は、日本共産党を代表して、日本とカザフスタン、ウクライナ、ウルグアイとの三つの投資協定及び日本とカタールとの租税協定に対する反対討論を行います。
三つの投資協定は、安倍政権が経済政策の柱とする成長戦略に基づき、日本の多国籍企業が海外で最大限の利益を上げるための投資を促進する協定であります。
日本の経済界は、国内にあっては、法人税の減税や労働法制の改悪を要望し、国外においては、日本の多国籍企業が多額の収益を上げられるよう条件整備を求めています。三つの投資協定は、こうした経済界からの強い要望を受けて、投資のさらなる促進を行うものにほかなりません。
租税協定にしても、日本の大企業とその海外子会社は、カタール国内の外資優遇税制のメリットを十二分に受けつつ、投資に対する源泉地国課税の軽減によって、税制優遇措置を二重、三重に享受することが可能となります。
このように、本租税協定は、国際課税分野における日本の大企業優遇税制を国内外でさらに拡大強化するものであり、容認できません。
以上が、三つの投資協定及び租税協定に反対する理由であります。


土屋委員長

これにて討論は終局いたしました。