第190回通常国会 日本共産党を代表して本会議代表質問に立つ

2016年01月6日

副議長(川端達夫君)

穀田恵二君。


〔穀田恵二君登壇〕


穀田恵二君

質問に先立ち、冒頭、一言します。
本日、北朝鮮は、水爆実験を実施したと発表しました。北朝鮮による核実験の強行は、地域の平和と安定に対する極めて重大な逆行であり、一連の国連安保理決議、二〇〇五年九月の六カ国協議共同声明、日朝平壌宣言に明確に違反する暴挙であり、日本共産党は、厳しく糾弾するものであります。
私は、日本共産党を代表して、安倍総理に質問します。(拍手)
ことしは、日本国憲法公布七十年という節目の年です。憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と高らかにうたっているのであります。
ところが、安倍自公政権は、昨年の通常国会で、この憲法の精神をじゅうりんし、歴代政府の憲法解釈を百八十度転換して、集団的自衛権の行使を可能とする安保法制、すなわち戦争法の強行成立という暴挙を行いました。憲法違反、立憲主義、民主主義の否定の暴挙であり、断じて許すことはできません。
この暴挙に対して、国民的運動は空前の広がりを見せました。強行成立の後も、世論調査では戦争法反対が国民の多数であります。主権者の一人として暴挙を決して忘れない、安倍政治を許さないと、戦争法の廃止、立憲主義の回復を求める運動として一層の広がりを見せています。総理、この声が聞こえているのですか。
私たちは、戦争法の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を断固として求めるものであります。答弁を求めます。
総理は、強行成立後、今後も誠実に粘り強く説明を行っていくと述べました。ところが、野党が憲法五十三条に基づいて求めた臨時国会の召集さえ無視して、戦争法の具体化、実行にひた走っています。
十一月には、新たな日米間の同盟調整メカニズムと共同計画策定メカニズムの設置に合意しました。
これらの仕組みを通じて、平時から緊急事態まで切れ目なく、地球規模で軍事協力を推し進め、そのための共同計画を策定、更新するとしています。これは、アメリカが世界の紛争に軍事介入したときに、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、日本が参戦するための体制づくりそのものではありませんか。
戦後初めて五兆円を超す軍事費の増大も見逃すわけにはいきません。財政の面から戦争法を支えるものにほかならないではありませんか。これをどう説明するのですか。お答えください。
パリで同時テロ事件が発生し、アメリカを初めとする有志連合は、過激派組織ISに対する空爆を初めとした軍事作戦を強化しようとしていますが、軍事作戦の強化では問題は解決しません。逆に憎しみの連鎖を生み、テロと戦争の悪循環をつくり出すことになります。自衛隊を派遣することは絶対にやってはなりません。
問題は、世界からどうやってテロをなくすのかということです。
私たちは、一つ、国連安保理決議に基づき、テロ組織への資金提供の遮断、テロリストの国際的移動の阻止、テロリストの武器入手の防止など、テロ組織を直接抑える、二つ、貧困や政治的、宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を行う、三つ、シリアとイラクでの内戦、混乱を解決し、平和と安定を図るための政治的、外交的努力を図る、四つ、難民として苦しんでいる人々の人権を守り抜くための国際的な支援を抜本的に強める、以上の四点を提案するものです。総理の見解を求めます。
沖縄の米軍基地問題です。
沖縄県の翁長知事は、昨年十月、名護市辺野古への米軍新基地建設にかかわる埋立承認を取り消しました。これに対し、政府は、私人の権利救済を目的とした行政不服審査制度を悪用して工事を再開し、承認の取り消しそのものを消し去ろうと翁長知事を裁判に訴え、さらに、露骨な地域振興策で住民を分断しようとしています。
沖縄は、第二次世界大戦の末期、本土決戦、国体護持のための捨て石にされ、県民の四人に一人が犠牲になった苛烈な地上戦が繰り広げられました。戦後もサンフランシスコ講和条約第三条によって本土から分断され、その後も米軍の統治下に置かれ続けました。そのもとで、国際法にも違反し、住民の土地が強権的に奪われ、広大な米軍基地は構築されたのであります。この歴史を総理はどう認識しているのですか。
普天間基地について政府は、一日も早い危険性の除去を強調しますが、そもそも、一九九六年に返還を合意しながら、移設条件をつけ、世界一危険な基地を放置してきたのは誰か。深夜、早朝の米軍機の飛行を野放しにし、米軍のオスプレイ配備計画をひた隠しにしてきた事実を忘れたのですか。住民の安全よりも米軍の運用を優先してきた政府の姿勢こそ改めるべきであり、今こそ移設条件つきをやめ、普天間基地を直ちに閉鎖、撤去することを強く要求するものであります。
次に、経済と暮らしの問題です。
安倍政権の三年間が進めてきたのは、世界で一番企業が活動しやすい国をつくることを標榜し、大企業がもうければ国民も潤うという経済政策でした。このもとで、経済と国民の生活の状態はどうでしょうか。
大企業の経常利益は六割以上も増加、史上最高の大もうけで、内部留保も三百兆円を突破しています。他方、国民の所得と消費は、実質で見れば三年前を下回ったままで回復していません。生活保護の受給者数は過去最高となり、いわゆるワーキングプアは一千百万人を超えるなど、アベノミクスが深刻な格差拡大と貧困をもたらしたのであります。今や安倍総理の経済政策の誤りは明瞭ではありませんか。答弁を求めます。
そもそも経済とは、経世済民、すなわち世を治め、国民の苦しみを救うことです。公正な分配、富の再配分をすることが求められているのです。
にもかかわらず、安倍政権は、経団連の意向を受け、税制改正大綱に、「「稼ぐ力」のある企業等の税負担を軽減する」と明記し、大企業に対する優遇税制をさらに拡大しようとしており、一六年度以降に法人実効税率を二〇%台にしようとしていることは重大です。
しかも、この減税の財源を、法人の課税ベースの拡大、外形標準課税の拡大により確保するとしています。これまで法人税を負担していない赤字企業や中堅企業への課税を強化しようというのであります。赤字企業などに増税を行い、それを財源として、もうけ過ぎで内部留保をため込んでいる大企業に減税するなど、とんでもない税制です。稼ぐ企業にこそ応分の負担を求めるべきではありませんか。答弁を求めます。
一方で、国民には、一七年四月の消費税一〇%への大増税を押しつけようとしています。軽減税率と称していますが、何が軽減ですか。食料品や新聞などの税率を八%に据え置くだけにすぎません。新たに四・五兆円を超える国民負担を押しつける口実であり、一世帯当たり、今より四万円以上の大増税になるのは明瞭ではありませんか。
消費税率を一〇%に引き上げることは、低所得者ほど負担割合が高い消費税の逆進性がますます進むことになります。これは政府も認めてきたことではありませんか。低所得者対策を言うならば、消費税増税を中止し、消費税頼みの道から転換すべきです。
その上、この間の社会保障改悪に続けて、来年度は、年金の給付引き下げ、入院給食費の負担増、福祉給付金の半減や診療報酬の減額などの改悪をしようとしています。総務省や厚労省の調査でも、全ての年齢層で社会保険料の負担がふえ、所得が少ない人ほど負担割合は増加しています。社会保険料と消費税が、二重三重に国民の家計に負担を押しつけ、苦しめています。憲法が保障する生存権を侵害するという状態と言わなければなりません。総理の見解を求めます。
東日本大震災、福島原発事故による被災者の問題です。
あと二カ月で、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から五年がたちます。五年がたとうとする今でも、十八万人を超える被災者が避難生活を強いられています。災害関連死は三千三百三十八人にも達しています。政府が、復興計画による大型事業を推し進める一方、医療費や介護保険料の負担減免など被災者に対する支援を早々と地元に押しつけてきたことが、こうした深刻な事態を引き起こしているのではありませんか。被災者の基本的人権がないがしろにされている現状をどう認識しているのでしょう。
被災自治体に自立を促すとして地元負担を押しつけることは、一日も早い復興に努力している被災者や被災自治体に水を差すことになりかねないではありませんか。
商店が成り立つためにも、人手不足の水産加工業など、なりわいと地場産業を復興する上でも、住まいの再建は待ったなしの状況にあります。そのためには、被災者生活再建支援金を最低でも五百万円、住宅が再建できる水準に引き上げることが不可欠ではありませんか。
福島原発事故について、事故による被害が続いているにもかかわらず、一方的に避難指示を解除し、帰還するかどうかの選択を迫り、東京電力が損害賠償を打ち切るなどは言語道断です。直ちに改めるべきであります。
東電福島原発事故そのものの原因究明はいまだ不十分です。収束どころか、ふえ続ける汚染水問題解決のめどさえ立っていません。原発事故が発生した際の住民の避難対策や生活再建を保障する対策も曖昧なまま、川内原発を初め既存の原発を再稼働させるなどは、決して行うべきではありません。
最後に、民主主義と政治のあり方についてです。
憲法の前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と始まります。
一昨年の総選挙で、自民党は、全有権者の一七%にすぎない支持で二百九十もの議席を獲得しました。小選挙区制による虚構の多数議席の力で、憲法違反の戦争法の成立まで強行したのです。これが正当な代表と言えるのか、主権者の声を聞け、これが国民の声です。国民は、国会の議席と民意の乖離を根本から改めることを求めています。
七十年前の女性参政権以来、選挙権年齢が十八歳からに拡大することし、国民の代表の選び方について国民的議論をすべきです。
選挙制度の基本原則は、国民の多様な民意を鏡に映すよう正確に国会の議席へ反映するものでなければなりません。これに逆行する現行小選挙区制は廃止すべきであります。同時に、金の力で政治をゆがめる企業・団体献金の全面禁止、憲法違反の政党助成金の廃止を求めるものであります。
総理、立憲主義とは何でしょうか。たとえ国会で多数を持つ政権党でも、憲法の枠組みに反する政治をしてはならないということではありませんか。
立憲主義、民主主義、平和主義の擁護と再生は、誰もが自由で尊厳ある暮らしを送るための前提となるもの、これは多くの市民の共通の思いです。立憲主義を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる安倍政権が憲法改正を口にするなど、断じて許されません。
日本共産党は、憲法の精神が息づく日本の政治の歴史的転換の年とするため全力を尽くす決意を表明して、質問を終わります。(拍手)


〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕


内閣総理大臣(安倍晋三君)

穀田恵二議員から御質問がございました。
平和安全法制と閣議決定についてお尋ねがありました。
平和安全法制に対しては、世界の多くの国々から強い支持と高い評価が寄せられています。これは、この法制が決して戦争法などではなく、戦争を抑止する法律であり、世界の平和と繁栄に貢献する法律であることの何よりのあかしであります。
国民の命と平和な暮らしを守るために必要不可欠なこの法律を廃止したり、平成二十六年七月の閣議決定を撤回することは、全く考えておりません。
引き続き、国民の皆様のさらなる御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。
同盟調整メカニズム及び共同計画策定メカニズムについてお尋ねがありました。
我が国の平和と安全を確保していくためには、強固な日米同盟のもと、自衛隊と米軍との緊密な連携が必要であり、日米両政府は、これらのメカニズムのもと、安全保障、防衛協力を推進し、同盟の抑止力、対処力を一層強化していく考えです。
もとより、自衛隊の全ての活動は、日本国憲法及び国内法令等に従い、我が国の主体的な判断のもとで行われるものであり、いつでもどこでも米国の戦争に参加するなどの御指摘は全く当たりません。
平成二十八年度の防衛関係費についてお尋ねがありました。
防衛関係費については、中期防衛力整備計画等に基づいて着実な予算編成を行っており、平成二十八年度については、人事院勧告などを踏まえた自衛隊員の人件費の増加及び普天間飛行場の移設など米軍再編の着実な実施のための経費が増加分の大半を占めています。
また、平和安全法制の施行を前提とした経費は計上していません。
いずれにせよ、戦争法を支えるものといった御指摘は、これも全く当たりません。
テロ対策についてのお尋ねがありました。
委員御指摘の四点については、いずれもテロ防止のために重要と考えています。
我が国としても、関連の国連安保理決議を完全に履行するとともに、貧困や差別を削減し、テロの根底にある暴力的過激主義を生み出さない社会を構築するための支援を行っていきます。さらに、シリア情勢の安定化、イラク政府の支援のために、日本の強みを生かした可能な限りの非軍事的貢献を行っていく考えであり、難民問題への対応には、人道支援と開発支援の連携促進を重視してまいります。
我が国としては、今後とも、テロ防止、根絶に向けて、国際社会と緊密に協力しつつ、引き続き積極的に取り組んでまいります。
沖縄の歴史についてお尋ねがありました。
我々は、沖縄が、さきの大戦において筆舌に尽くしがたい悲惨な地上戦を経験し、また、サンフランシスコ平和条約の発効以降も返還までに多くの時を要したという苦難の歴史を忘れてはならないと考えております。戦後七十年を経て、なお沖縄に大きな基地負担を背負っていただいている事実も重く受けとめる必要があると考えております。
政府といたしましては、こうした歴史を十分に心に刻み、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、沖縄の基地負担の軽減や、沖縄の振興に全力を尽くしてまいります。
普天間飛行場についてお尋ねがありました。
沖縄の基地負担の軽減を図ることは政府の大きな責任であり、安倍政権は、現実と向き合いながら一つ一つ着実に改善を進めています。
普天間飛行場については、沖縄の皆様の強い要望を踏まえ、米国との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に、全面返還することに合意したものであります。
最も大切なことは、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということであり、これは政府と沖縄との共通認識だと考えています。
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、辺野古への移設は、米軍の抑止力を維持しながら、同時に普天間の危険性の一刻も早い除去を図るための唯一の解決策であり、この考え方に変わりはありません。
普天間の一日も早い全面返還を実現するため、関係法令に従い、政府一体となって、住民の生活や環境への影響に配慮しながら移設を進めてまいります。
安倍内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
安倍内閣においては、デフレ脱却を目指して経済再生に取り組む中で、格差が固定化しないよう、最低賃金を三年連続で大幅に引き上げ、パートタイム労働者と正社員との均衡待遇を推進するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。
その結果、雇用環境については、就業者数は百十万人以上ふえ、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準となり、パートで働く方々の時給はここ二十二年間で最高の水準となりました。大きな改善が見られています。
今後とも、非正規雇用労働者のキャリアアップや待遇改善に向けた取り組みを進めていくこととしています。
教育費負担については、高校の奨学給付金や大学の奨学金など、幼児教育から大学までの各段階において必要な支援を行い、負担の軽減に努めています。
生活保護世帯は、高齢者世帯の増加などにより近年増加していますが、生活保護世帯の増加ペースは鈍化しており、高齢者を除く世帯で見ると、平成二十五年三月以降は減少しております。いずれにせよ、今後とも、生活保護受給者の支援や、生活困窮者が生活保護に至る前の段階での自立支援の強化に取り組むこととしております。
そして、今般、国民一人一人が、家庭で、地域で、職場で、それぞれの能力を発揮して輝くことのできる社会、すなわち一億総活躍社会の実現に向けた挑戦を開始しました。誰にでもチャンスのある社会を目指し、内閣を挙げて全力で取り組んでまいります。
なお、今般の法人税改革は、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものです。もちろん負担能力のある企業には応分の負担をいただく必要がありますが、我が国においては一部の企業に税負担が偏っているとの指摘もあることから、そうした状況を改善し、広く負担を分かち合う構造としていくことも必要です。改革に当たっては、中小・中堅企業への影響に十分配慮してまいります。
消費税引き上げについてお尋ねがありました。
消費税率の引き上げは、国の信認を確保するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。
その増収分は全額、社会保障の充実、安定化に充てることとしており、所得の再分配に資するものです。特に、所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充などを講じております。
さらに、消費税率の一〇%への引き上げに当たっては、軽減税率制度を導入し、所得が低い方ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性の緩和を図ることとしています。
いずれにせよ、消費税には、税収が景気や人口構成の変化に左右されにくく安定している、勤労世代など特定の者への負担が集中しないといった特性があります。年々増加する社会保障費の財源としてふさわしいと考えています。
社会保障の見直しと、社会保険料と消費税の家計への負担についてお尋ねがありました。
社会保障については、世界に冠たる国民皆保険、皆年金を初めとする制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、消費税率の引き上げにより社会保障の充実、安定化を図るとともに、不断に制度の重点化、効率化を行うことが必要と考えています。
消費税率の引き上げによる増収分は、全額、年金、医療、介護、子育て支援の充実、安定化に充てられ、社会保障給付として国民に給付されます。
社会保険料についても、消費税率の八%への引き上げにより、所得の低い方について、平成二十六年度からは国民健康保険料等の軽減の拡充、平成二十七年度からは介護保険料の軽減の拡充を実施するなど、負担能力に応じた負担となるように配慮しています。
このような取り組みを通じて、所得の低い方々にはきめ細かく配慮を行い、憲法二十五条に基づき、国が社会保障の向上、増進に努める責務をしっかりと果たしてまいります。
東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
東日本大震災からの復興は安倍内閣の最重要課題であり、住宅の再建、なりわいの再生、心のケアなどを着実に進めてまいります。
こうした中、医療保険や介護保険の窓口負担や保険料を自治体が減免した場合に、その費用については、自治体の負担が過度にならないよう配慮し、国が財政支援を行っているところです。
また、二十八年度以降の復興については、一部の事業について自治体に御負担をお願いすることといたしましたが、御負担をいただくに当たっては自治体の財政状況に十分配慮しているところであり、被災自治体におかれては、今後とも安心して復興に進んでいただきたいと考えます。
なお、被災者生活再建支援金の引き上げについては、他の制度とのバランス、国や都道府県の財政負担などを勘案して、慎重に検討すべきものと考えます。
東北の復興なくして日本の再生なし。安倍内閣においては、閣僚全員が復興大臣であるとの意識を共有し、被災者の方々の心に寄り添い、従来の発想にとらわれることなく、スピード感を持って、復興のために全力を尽くしてまいります。
福島原発事故後の対応及び原発再稼働についてのお尋ねがありました。
避難指示の解除は、線量の低下、インフラや生活関連サービスの復旧を確認し、自治体や住民の方々とのさまざまな場における対話を重ねた上で行っています。決して一方的なものではありません。
東京電力による損害賠償については、政府としては、同社に対し、引き続き、被害者の個別の状況を丁寧に把握した上で、迅速、公平かつ適切に行うよう指導してまいります。
福島の復興や廃炉・汚染水対策は、最優先の課題として引き続き全力で取り組みます。
原子力発電所の再稼働については、東京電力福島原発事故を片時も忘れず、真摯に反省し、その教訓を踏まえていくべきことは当然のことです。高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働していきます。
選挙制度、企業献金、政党助成金のあり方についてお尋ねがありました。
現行の衆議院の選挙制度は、平成六年に、政策本位、政党本位の選挙制度を実現するため、民意を集約する小選挙区選挙と、民意を反映する比例代表選挙の二つの選挙を組み合わせて、小選挙区比例代表並立制を採用したものと認識しています。
また、政治活動に対する献金のあり方については、長年の議論を経て、企業・団体献金は政党等に対するものに限定されるなど、種々の改革が行われてまいりました。政党助成制度については、こうした改革にあわせて、政策本位、政党本位の政治を目指す理念のもと、導入されたものと承知しております。
いずれにしても、選挙制度や政治資金のあり方は、議会政治や政治活動の根幹にかかわる重要な課題であるので、各党各会派においてしっかりと議論していただくべきものと考えております。
憲法に関するお尋ねがありました。
立憲主義にのっとって政治を行うことは当然であり、安倍内閣においても、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本原則とする憲法のもとで、国民の命と平和な暮らしを守る責任を果たしていく考えであります。
憲法改正については、立党以来、自由民主党が党是として主張しているものです。言うまでもなく、改正には国民の理解が必要不可欠であり、引き続き、国民的な議論と理解が深まるよう努めてまいります。(拍手)