政党助成法廃止、企業・団体献金禁止2法案の質疑答弁に立つ

2015年06月18日

山本委員長

次に、井出庸生君。


井出委員

維新の党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。
今、福島委員の話を伺って、私も、これはちょっと関心があって稲山選挙部長にお尋ねしたいんです。
今、福島先生のお話の中で、回数や場所、形態については制限はない、そんなようなお話だったと思うんですけれども、私も福島先生と同じように、また、国民があれっと思うようなことに対してはしっかりとただしていかなければいけないなと思います。
そんな中で、かつて私がこの委員会でうちわの問題を取り上げたときに、総務省の方でおつくりになった昔の公職選挙法に関するQアンドAがあったかと思うんですけれども、こういった事例がQアンドAにあったらどんな御見解をお示しになるのかということを伺いたいと思います。お願いいたします。


稲山政府参考人

突然のお尋ねでございますが、政治資金規正法は、先ほど申し上げましたように、一定の制約、一のパーティーについての支払い額の上限等の規定があるのみでございまして、開催の場所、形態、支払いをする者についての特段の制限は設けられておりません。
したがいまして、そういった規定に照らして、個々具体に照らしてどうなるかという、個別の事案に即して判断されるべきことと思いますけれども、規定上は先ほど申し上げましたような制約がないところでございますので、QアンドAでどう答えるかというのは大変難しい問題でございますけれども、そういった法の内容というものをお示しするということになるのではないかと思います。


井出委員

もちろん、法律そのものの政治資金パーティーの定義というものがあって、そこを満たしていても、国民から、あれ、こういうことというのはありなのか、そういうことが思われるような事例の一つとしてこういう新聞記事があるのかなと思うんです。
総務省で公選法の絡みで出されていたQアンドAというものは、そういう法律と実態との間に立つ、非常に国民にとってわかりやすい見解を示すものとして当時おつくりになったと思いますし、こういう問題、最終的には、やはり国民の皆さんがどうお考えになるかというところを我々も重く受けとめなければいけないと思うんですが、QアンドAが今度いつつくられるのか、また、私がそのQを書いてもいいのかとか、その辺はわからないんですけれども、ぜひ問題意識の一つとして含んでおいていただきたいなと思います。
用意をさせていただいていた質問に戻ります。
今回、政治資金規正法、政党助成金の廃止、各党からそういった案が出されました。
改めて、きょう提出者となられている民主党、維新の党、そして共産党提出者各位の見解を伺いたいのですが、政党と政党に所属する議員の政治活動に係るお金、この収入の手段としては、政党助成金、企業、団体からの献金、今話のありました政治資金パーティーや個人からの寄附、党費や機関紙等々いろいろな収入の手段というものが考えられて、それぞれの党のお考えがあってそれぞれの改正案が出されていると思います。
実際、こういった政党助成金や企業・団体献金、政治資金パーティー、個人からの寄附や党費、そういったものがどういうバランスであることが望ましいと各党提出者の皆さんはお考えなのか、民主党、維新の党、共産党の提出者の順にお伺いできればと思います。お願いいたします。


逢坂議員

御指摘のとおり、政治資金の調達方法、いろいろな手法があると思っております。
そのバランス論ということでありますけれども、例えば細川内閣のときに、政治改革四法案をめぐる議論の中でもそのバランス論の議論というのはあったように承知をしております。その際も、必ずしもこんなバランスがいいんだということではなかったように記憶をしているところであります。
やはり原則的には、政党の収入、支出に関しては法令をまず遵守する、これは当然のことでありますけれども、そして、その政党の議決機関において民主的に決定されるということが非常に大事なことであろうというふうに思います。
政治資金の運用において肝心なことは、やはり国民の皆様に疑念を持たれないように、法令の遵守をしっかりする、脱法行為を排除するということが非常に大事だろうというふうに思っています。
なお、バランス論ということで聞かれましたので、参考までに民主党本部の場合の例をお話ししますと、二〇一五年の党の予算の収入ですけれども、二百二十七億円余りであります。そのうち、政党交付金が七十六億六千万というようなことであります。
さらに、民主党本部では、この五年余り、企業・団体献金は受けていない、それから政治資金パーティーもやっていないということでありますので、理想のバランス論というのは何かというのはなかなか申し上げにくいんですけれども、民主党としては、民主的な手続によって今の予算はこんな状況になっているということをお話しさせていただきました。
以上です。


重徳議員

維新の党につきましては、党が昨年、分党ですとか新党結成という経緯もありまして、昨年後半からの収入の記録に基づいての話になりますけれども、昨年後半で総収入額が二十二億円余りという中で、これはほとんど全てと言っていい金額が政党交付金でございます。そのほか、数百万円ですね、個人からの寄附や法人、団体からの寄附がございます。これは党の方ですね。
各議員につきましては、何が一番望ましいかはそれぞれの議員のお考えというのが尊重されるべきであろうと思います。
党といたしましては、まず、企業・団体献金については、もう既に決定したとおり、禁止する法案を出しておりますが、これが成立する前に、我が党が先んじて自主的に来年一月からは一切企業・団体献金を受け取らないということを決定いたしておりますので、これがゼロになっていくということになろうか。
それから、個人献金については、私どもの「基本政策」の中で、これを促進する、つまり増額していくという方向を、これはもう我が党だけじゃなく、政治資金のあり方としてふやしていくということであります。
何が望ましいかということは、これは一概には言えないかもしれませんが、党費に関して言えば、党勢拡大、党員確保によって、自然にそれに伴って党費がふえていくということになろうかと思います。
あとは、党内での議論の中では、他党でやられているような機関紙を発行してその売り上げというものも、党のPRという活動の一環でありますので、大いに参考になる手法であろうというようなことで、そういった政党の、党としての政策等の有権者への理解、浸透というものを深めながら歳入をあわせて得ていく方策ということを考えながら、バランスのよい収入というものを考えていきたいと考えております。


穀田議員

私どもの考え方を明らかにしたいと思います。
私は、バランスと言う前に、政治資金はどうあるべきかということがまずあると思います。
政治資金規正法によりますと、「基本理念」で「国民の浄財」と明記しています。ですから、その点でいいますと、私どもは、政治資金は個人に依拠すべきである、これが一つ。
それからもう一つ、参政権との関係について、私どもの考え方をついでに述べておきたいと思います。
政治資金の拠出というのは、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権と結びついた国民の政治参加の権利そのものであります。つまり、その意味でいいますと、憲法十五条で参政権を「国民固有の権利」と言っている。ここで言う「国民」とは、自然人、一人一人の自由意思を持つ独立した個人を指しており、会社は含まれていないということを改めて述べておきたいと思います。
その上で、政党とはいかなる存在かという問題が大事かと思います。
憲法は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と始まります。主権者たる国民の参政権行使による議会制民主主義の中で、政治家、政党は存立しております。
その政党が、特定の企業から献金を受け取る、税金によって賄われるということは、本来あり得ない姿だと考えます。政党が、国民、有権者から浄財を集める努力をしないで税金頼みになっていることから、金への感覚が麻痺しているのではないか。また、個人をはるかに超えた強大な財力で政治的影響力を行使するなら、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかであります。
そういう点で、政党のあるべき姿として、政党は、何よりも国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるということが基本でなければなりません。
したがって、私どもは、企業・団体献金の全面禁止と政党助成金制度の廃止を一体として行うことが必要だ、その理念から考えていただければ幸いであります。


井出委員

ありがとうございます。
今、それぞれの政党の考えを伺いまして、私も、特に企業・団体献金ですね、この新聞記事もそうなんですが、これを受け取る、受け取らない、そしてまた、いかにその透明性を確保していくのか。政治とのつながり、今、穀田さんのおっしゃった部分だと思うんですが、共産党さんと維新の党は企業・団体献金の禁止を明言している。
今、民主党の答弁者の方から、党としては、五年間、企業・団体献金を受け取っていない、パーティーもやっていないというようなお話もあったんですが、まず、五年間、企業・団体献金を受け取っていないということは、ある程度問題意識を共有していただけているのかなと思うんですけれども、企業・団体献金についての問題意識をちょっと民主党の方に伺えればと思います。


逢坂議員

先ほど来答弁申し上げているとおり、二〇一一年の三月に、党としては、パーティー券の購入も含む企業・団体献金の禁止に向けた考え方を整理させてもらっております。
したがいまして、企業・団体献金については、我々としては、ネガティブに捉えている、そういう基本的な考えを持っているということであります。


井出委員

一つこれからまた党派を超えて話し合いができるのかな、そんなような思いを持ちました。
もう一点伺いたいのです。
先ほど共産党の穀田先生からもお話がありました。穀田先生のお考えですと、政党の活動に税金が入るということはあり得ぬ、そういうことで、政党交付金、政党助成金の禁止をするべきだ、そういうことをはっきりとおっしゃられております。
しかし、国会議員のお金、活動費のところに目を向けますと、立法事務費と文通費、歳費以外に活動費として税金から我々はお金をいただいております。
税金が原資であるという意味では、政党助成金と共通するのかなと思っておりまして、我々は、それはやはり公開をするべきだろうと。まず文通費について公開を自主的にやっていく、今そういうことをやっておりますし、ほかの党の方でも、文通費を、自分が代表となっている政治団体の方にお金を入れて政治団体の報告にのっとってきちっと自主的に公開をされている国会議員の方もいると承知をしております。
ですから、私は、立法事務費、文通費、そういうものについてもきちっと国民に説明をしていく必要がある。その一環で、我が党の自主的な取り組みはまだあれが完全無欠なものではないんですが、とりあえず我が党としては一歩を踏み出しました。
立法事務費、文通費について、使途を公開するべきだ、私はそう思っておりますが、これは民主党と共産党の提出者にそれぞれのお考えを伺いたいと思います。


逢坂議員

政治と金の問題に限らず、さまざまなものを説明責任を果たしていくということは極めて大事なことだというふうに認識はしております。
ただ、今先生が御指摘のとおり、政治に係るお金、さまざま税金によるお金があるわけですが、例えば、政党活動に着目した政治資金としての政党交付金、あるいは選挙会計における公費助成、さらには、議員あるいは会派に着目した活動費の支給、こんなものがいろいろあるわけですけれども、それぞれのよって立つ法令と趣旨、規定がいろいろと違っているのもこれは事実です。全部原資は税金だとしても、違っているのは事実なんですね。
したがいまして、立法事務費、文通費も含めて、これら全体について、やはり、どういう位置づけがふさわしいのかということを検討する中で、どういう説明責任を果たすのかということを考えていくのが大事だろうと思っているところです。


穀田議員

まず、原資は同じとありましたけれども、私は、やはり議員の経費と政党交付金は同じかという設問を立てる必要があると思うんですね。
それは、議員が、立法活動、政策活動並びに政府監視活動、議会への民意を反映させるための活動、これらを行うには、補佐するスタッフ並びに事務所、つまり人材や経費も必要になる。これは、国民の代表者として選挙で選ばれた議員が議員活動を行っていくために必要な経費であり、お金がなければ議員活動に制約を受けるようになってしまってはだめなんですね。ですから、このような経費は当然必要だと考えます。
憲法四十四条には、議員の資格を「財産又は収入によつて差別してはならない。」と明記されており、四十九条には、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と規定されています。これは、何人も国民の代表者としての国会議員の活動ができるよう、経済的保障を明確にしたものであります。この憲法の精神に沿って、国民の理解が得られる合理的なものにすべきであります。
一方、自由な結社である政党に対して、その政治活動そのものを税金で賄う官営政党を生み出している政党助成金とは、原資が同じ税金であっても、根本的に、なおかつ本質的に違うものであります。
最後の問いであります立法事務費並びに文通費の問題ですが、これらの公開という問題については、これらの経費をどのようなものとして位置づけるかにかかわる問題であります。同時に、国民にとっては、どのように使われているかの当然の声があるわけですから、その声に応えるのは当然かと思います。同時に、使途の限定を含め、何をどのように公開していくかなどを議論していくべきだと考えます。
その際、私どもが常々主張してきた特権的な役員手当の廃止、東京在住者にも支払われている滞在費などの見直しも必要でありますし、ましてや政党助成金の廃止が必要なことは言うまでもないということを述べておきます。


井出委員

各党のお考えをきょう改めて拝聴しました。また、いろいろ会期末で、各党のスタンスということも言われておりますが、きょうのお話を聞いていると、各党でまた目的を一つにした話し合いも十分可能だなということを感じましたので、今後また頑張っていきたいと思います。
どうもありがとうございました。


山本委員長

次に、塩川鉄也君。


塩川委員

日本共産党の塩川鉄也です。
政治資金規正法の改正案及び政党助成法の廃止法案につきまして、それぞれ提出者にお尋ねをいたします。
最初に、日本共産党の提出者の穀田議員にお尋ねをいたします。
日本共産党は、今回、企業・団体献金の全面禁止法案及び政党助成法廃止法案の二本をあわせて提出しております。この二本を同時に扱う意義についてどのように考えておられるのか、御説明をいただきたい。


穀田議員

この間、安倍政権のもとで、国の補助金を受けている企業から閣僚への献金を初め、政治と金問題というのが何回となく問題になってきました。この問題が浮上するたびに、国民に疑惑を持たれてはならないとの議論が起こります。
しかし、今こそ政治腐敗、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきです。
また、政党助成制度は、もともと金権政治一掃を求める国民の声を受け、企業・団体献金を禁止するからという口実で導入されました。しかし、実際には、政党本部、支部に対する企業・団体献金が温存され、政党助成金との二重取りが続けられています。こうした状況が腐敗政治を生み出す温床となり、政治の劣化と政党の堕落をつくり出しています。
政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるということが基本でなければなりません。この際、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことは、金権腐敗政治を根絶する上で不可欠の道だから、あわせて提案をさせていただきました。


塩川委員

金権腐敗政治一掃のために、この二つを一体に行うことが不可欠だという話でございます。
それとの関係で、政党助成制度についてですが、一九九五年、政治改革の名のもとに、小選挙区制、比例代表並立制とともに導入、施行されました。
この制度は、国民に一人当たり二百五十円を負担させ、毎年約三百二十億円もの税金を各党に配分する仕組みであり、この二十年間の政党助成金の総額は、約六千三百十一億円にも上ります。
そもそも、国民は、みずからの思想、政治信条に従い支持政党に寄附する自由と権利を持っており、政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものであります。ところが、税金を政党に配分する政党助成の仕組みによって、国民は、みずから支持しない政党に対しても強制的に寄附をさせられるという仕組みとなっている。
日本共産党は、このような制度は思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度であると指摘をし、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してまいりました。
そこで、お尋ねですが、先ほどの答弁でも触れられましたが、政党助成金が政党の劣化や堕落を生んでいる、こういうことについて御説明をいただけないでしょうか。


穀田議員

重大なことは、政党助成制度が極めて深刻な形で政党の堕落を招いていることであります。
予算委員会でも、私、安倍首相との討論で事実を示しましたが、政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める割合は、自民党が約六割、民主党が約八割、当時の日本維新の会が約七割です。
この制度の導入の際には、提案者から、税金に過度に依存しないことが必要との議論がありましたが、今や政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。また、五人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえることから、理念も政策も抜きに、政党助成金目当てにおびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきました。
政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得てその活動資金をつくるということが基本です。政党が、国民、有権者から浄財を集める努力をしないで税金頼みになっていることから、金への感覚が麻痺し、腐敗政治をつくり出す一つの根源となっていることも重大です。
このように、政党助成金頼みの政党をつくり出す制度は、虚構の多数をつくり出す小選挙区制と相まって、政党の劣化や堕落を生み出しています。民主主義を壊す極めて有害な制度を続けていいのか、これが全ての党に厳しく問われていると私は考えます。
このような、使途を無限定に巨額の資金を政党につぎ込む制度は、国際的に見ても異常です。このような制度を維持していることが民主主義の健全な発展を阻害していると言わなければならないと考えます。


塩川委員

ことしは、一九九五年の政治改革から二十年の年にも当たります。
二十年前の政治改革は、リクルート事件に端を発して、ゼネコン汚職、金丸疑惑に至る自民党の金権腐敗政治に国民の厳しい批判が寄せられました。そして、非自民連立政権の細川総理は、就任直後の所信表明で、「政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切る」と述べるに至ったわけであります。
政治腐敗の根源が企業・団体献金であり、これを禁止して政治腐敗を根絶しなければ国民の信頼回復はないとの流れが国会の中でできたはずであります。
ところが、いまだに政治と金の問題が尽きることがない。この点についてどのように認識しておられるでしょうか。


穀田議員

私も、当時、一九九三年、その細川内閣の議論に参加した者の一人であります。
その提案された政治改革法案には、企業・団体献金については廃止の方向に踏み切るとありました。といいながら、実際には、政党支部への献金は認める、さらに政治資金パーティーを残すという二つの抜け道をつくって、この企業・団体献金を温存してきたわけであります。
直近の、二〇一三年分の総務大臣届け出分と都道府県選管届け出分の合計を見ると、政界全体への企業・団体献金総額は、八十七億六千三百万円に上っています。政治資金パーティーの収入総額は、何と百七十六億四千三百万円になっています。パーティー券は、その大半を企業、団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。
大体、これだけの巨額の金が流れているのに、どうして、誰が購入しているのか明らかにならないのか。献金の場合は、年間五万円以上すると収支報告書に企業名等が記載されるわけですけれども、パーティー券購入であれば、二十万円以上でなければ記載されないからであります。これでは、企業が小口に分けて購入していても、国民の前には明らかにされない。
安倍首相は、政治資金で大切なことは透明化を図っていくこと、これは塩川議員の質問に対する答弁を行ったこともありましたし、私にもそういう答弁をしていますが、百七十六億円もの巨額の金が動いている政治資金パーティーは、透明化は図られていないということについても述べておきたいと思います。


塩川委員

企業・団体献金をめぐっては、きょうの質疑の中でも紹介をされました八幡製鉄事件の最高裁判決というのがよく挙げられます。
この八幡判決に基づいて企業献金を容認する意見がありますが、この点についてどうお考えか、八幡判決をどう見るかについてお尋ねをいたします。


穀田議員

先ほども資料として配られました。
いわゆる八幡裁判の問題でいいますと、この判決を引用して、会社は自然人と等しく社会的実在であるからということを、大体、献金を認める、容認の理由に述べてまいりました。
しかし、企業が災害救援や福祉事業に資金協力することと、政治資金は本質的に性格が違うものであり、同列に論じることはできないと思います。献金という問題は、先ほど私が述べましたように、選挙権と結びついた、主権者たる固有の権利であるからだということをあえて述べておきたいと思います。
もう一つ、八幡製鉄判決の、企業の政治的行為をなす自由についてというところが下の方にあります。判決が言うように、国や政党の特定の政策を支持し、推進し、または反対するなど、政治的行為をなす自由を有するとしても、その自由の一環として政治資金の寄附の自由を認めることは、憲法十五条の参政権は国民固有の権利を侵すことにつながると思います。
しかも、この判決から四十五年の間、ロッキード事件、リクルート事件など、国民の権利侵害が繰り返されてきました。このような金権腐敗政治が起きるたびに、政府の選挙制度審議会が企業・団体献金の禁止を再三答申してまいりました。この判決の最後でも、企業献金が金権政治の弊害に対処する方途は、立法政策にまつべきことと明記されています。
立法府としても、企業・団体献金を放置しておくことはできず、二十年前の政治改革で、企業・団体献金は禁止の方向に踏み出そうと議論されてきたわけであります。それなのに、今になっても、この判決にしがみつき、企業・団体献金を容認するとは、国民の権利を侵害している実態から目をそらし、立法府が積み重ねてきた議論を無視するものと言わざるを得ません。
同時に、この判決について、一九九三年、衆議院の政治改革に関する調査特別委員会に元最高裁長官の岡原昌男さんが出席されました。あの裁判をもとに企業献金はどれだけでもいいという考え方はやめてもらいたい、あれは助けた判決だったんだ、助けた判決というものだ、こういうことを明らかにされています。そして、さらに樋口陽一さんは、それが足を引っ張ってきたんだ、ここまで述べておられるわけであります。
したがって、こういう判決を使うことはもういいかげんにしたらどうだということをあえて言っておきたいと思います。


塩川委員

維新の党案の提出者にお尋ねいたします。
維新の党も企業・団体献金の禁止の法案を提出されておりますが、企業、団体によるパーティー券の購入を禁止しておられません。
先ほどの答弁のときにもやりとりがありましたけれども、パーティーの対価性もある、PRの場でもある、活用する必要があるというお答えでしたが、パーティー券というのが、実態を見れば、その大半が企業、団体が購入しているものだ、形を変えた企業・団体献金ではないのか。
企業は主権者ではありません。企業が政党や政治家に金を出し、政治に影響力を与えるということは、国民主権の原則とは相入れないものだ、企業献金は本質的に賄賂性を持っているという点をいっても、企業・団体献金の国民の参政権の侵害、パーティー券を容認することがこの国民の参政権の侵害を残すことになるのではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。


重徳議員

先ほども他の委員に御答弁申し上げましたが、このパーティーにつきましては、対価性がある。対価というのは、単に飲食というだけではなくて、例えば講師を呼んで勉強会をやるときには、その講師もただで来てくれるわけではありません。また、党のPRという意味でも、政策の基本的な方針や各議員の活動の報告など、さまざまな場として活用されているものと考えております。
一つずつ、問題になってきたことを解決していこうということで、私どもは、もう二十年前から、おっしゃるとおりです、二十年前からずっと問題になってきました企業・団体献金の廃止、禁止というものを、今回法案でも提出をいたしておりますし、いち早く、我が党だけでももう受け取るのをやめようということで、来年からは受け取りを一切みずから自粛するという決定をいたしたわけであります。
パーティーにつきましても、やはり、これも先ほどのやりとりがございましたけれども、そのあり方、やり方についても、今回新聞沙汰になっているような状況もあります。こういったことについても、適切なパーティーのあり方ということについてもよく議論はしていく必要があると思っております。


塩川委員

パーティー券そのものが、実態としてその大半が企業、団体に依存するものだという点については、そういう御認識でしょうか。


重徳議員

これは、私もつぶさに、全てのパーティー券が企業、団体によって賄われているかどうか、存じ上げているわけではありません。
ですから、個人、有力な個人の方にもそれは購入を依頼することもあるでしょうし、実態はどうかということについては、客観的に今見解を述べるものは持ち合わせておりませんけれども、いずれにしても、基本的には、私どもは、今回は企業・団体献金の対価性のないものを禁止していこうというところからまず入っていこうということで、皆様方の御理解を求めているところでございます。


塩川委員

対価性のないものということになりますと、でも、企業・団体献金そのものはその範囲では容認という話にとれるわけであります。
先ほどの御答弁の中でも、二十年前の政治改革、これについて、税金と企業・団体献金の二重取りだ、この二十年前の議論に決着をつけようというものだというお話がありましたが、そうなると、税金と企業・団体の二重取りといいながら、政党助成金という税金と、パーティー券、企業・団体献金を含むパーティー券という形での二重取りが続くということになりはしないのかと思うんですが、いかがですか。


重徳議員

企業・団体献金を含むパーティー券とおっしゃいますけれども、パーティー券そのものは企業・団体献金ではありませんので、繰り返しになりますが、対価性のあるものでありまして、それは決して飲食だけじゃなくて、講師を招くですとか、あるいは、その会そのものも、単なる献金とは違いまして、パーティーという場を活用して議員や政党の活動をPR、理解いただく、そういう場として活用しているわけでありますから、これは企業・団体献金そのものとは異なるものと考えております。


塩川委員

企業、団体が購入する、実質、形を変えた企業・団体献金ではないのかとされるパーティー券という話として、ちょっと言葉が足りませんでしたけれども、私は、やはり二重取りという批判は免れないのではないかなと思います。
あと、民主党案の提出者にお尋ねをいたします。
先ほどの質疑にもありましたけれども、二〇一一年の三月に、企業・団体献金の禁止、パーティー券購入の禁止の法案化を進めるということを党として掲げられたと承知をしております。
その点については、先ほどの答弁の中で、その旗をおろしたのかという問いに対して、それは何ら変わるものではありませんというお話で、とにかく補助金の部分のみ取り急ぎ提出をしたものだ、企業・団体献金の禁止そのものについては骨子案に基づき法案化作業を進めたいというお話でありました。
あわせて、その際に、個人献金促進のための方策も考えていきたいという御答弁があったわけですが、私は、個人献金を促進するためにも、企業・団体献金の禁止とそして政党助成法の廃止が必要ではないのか、それでこそ個人献金の促進につながるというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。


黒岩議員

先ほど申し上げたとおり、二〇一一年三月十日に確認いたしました企業・団体献金禁止ということにつきまして、本年も三月に私どもの政治改革・国会改革推進本部におきまして再度確認をしたということで、方向性は何ら変更していることではございません。
ただ、これも何度か答弁いたしましたけれども、補助金受給企業について特段の疑義が生じたということであって、決して補助金受給企業に二十二条の三を中心に限定をしたというわけではなく、なるべく、今各会派で大きな、企業・団体献金に対してもまだまだ考え方の違いがある中で、一定程度合理的に意見を集約できるということを願いまして、今回は補助金の受給企業の寄附制限について、法改正を出させていただいたというところでございます。
また、個人献金の促進については、寄附金税額控除の制度の具体化とか、こういったことをこれからも進めてまいりますし、政党助成法等については、これは我が党でも、また各会派もいろいろな考え方で今後検討していくことになる、そのように承知をしております。


塩川委員

個人献金がふえない理由には、やはり国民の政治不信というのは無視できないと思います。国民の意見や要求とかけ離れたところで政治が行われているのではないのか、こういう声があるわけで、そういうふうに受けとめられるということになればゆゆしきことであります。
政党は、何よりも国民の中で活動し、国民の支持を得てその政治資金をつくるということが基本でなければならないと考えます。企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を一体で行うことが、主権者たる国民がみずからの意思で政治資金を拠出する、政治に参加する、そういう土壌が醸成されると考える。こういう取り組みこそ必要だということを申し述べて、時間が参りましたので終わります。
ありがとうございました。