「戦争法案」の危険性を追及

2015年07月10日

穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
非戦闘地域と自衛隊の武器使用の問題について聞きます。
今回の安保法制は、自衛隊による米軍への補給や輸送など軍事支援活動について、これまでの非戦闘地域という枠組みを撤廃して、現に戦闘が行われている現場でなければ支援活動を実施できるとしています。政府は、この点について、これまでの非戦闘地域で活動を行うという考え方と基本的には同じであり、今までの経験等をもとに整理し直したと説明しています。
そこで、今までの海外派兵の経験をどのように検証し、教訓にしてこの法案を出しているのかについてただしたいと思います。
自衛隊のイラク派兵では、陸上自衛隊の宿営地が少なくとも十四回、二十三発のロケット弾や迫撃砲弾による攻撃を受けました。車列が群衆に取り囲まれ、ミラーが壊されることもありました。航空自衛隊のC130輸送機はバグダッド空港などに米軍の兵員や物資を輸送する活動を行ったが、バグダッドの上空で携帯ミサイルで狙われていることを示す赤ランプが点灯し、警報が鳴り、攻撃を避けるための回避行動を頻繁にとっていたことが報じられています。
総理に聞きますが、非戦闘地域とした場所でも自衛隊は攻撃の対象となり、戦闘に至る寸前だった。自衛隊が活動する場所が戦闘現場になる可能性があるというのがイラクの経験が示したことだったと私は考えます。総理は今回の法案を提出するに当たってこの点をどう検証したのか、述べていただきたいと思います。


安倍内閣総理大臣

我々、イラクにおける復興支援活動の経験を生かしながら今回の法制を行ったところでございます。
かつての非戦闘地域につきましては、いわば自衛隊がそこに所在する間は戦闘行為が行われない、例えば半年という期間、サマワはそうである、このように認定したわけでございます。
しかし、実際は、さまざまな場所で活動するわけでございます。例えば、サマワの中でも一定の地域で活動する場合、そこで二週間活動する場合は、その二週間を通じて戦闘現場とならないということが見込まれるというのが今回の考え方でございます。そうした柔軟性を持ちながらこの判断をしていくべきだろう、このように整理をさせていただいたところでございます。


穀田委員

大体、戦闘行為が行われないと見込まれる場所を指定するというのが繰り返されておられるわけですね。しかし、現にイラクでは、非戦闘地域とされた自衛隊の宿営地に対する攻撃が繰り返され、そして、そのことを実際何の検証もしないで当時と同じような説明を繰り返しているというのが私は許されないと思うんですね。
では、具体的に当時のイラクでの自衛隊の活動がどのようなものだったのか、サマワに派兵された陸上自衛隊の活動を例に取り上げたい。
ここに私持ってきましたけれども、イラク復興支援活動行動史、これは黒塗りではありません。あります。二〇〇八年五月に陸上自衛隊の陸上幕僚監部がイラクでの活動の教訓についてまとめた内部文書です。二分冊で四百ページ以上に及ぶものです。
中谷大臣、これはどういう文書なのか、性格についてお答えください。


中谷国務大臣

イラク復興支援活動行動史、これは、イラク特措法に基づく陸上自衛隊の活動に関する活動実績等につきまして、各種研究そして教育訓練の資とすることを目的として、平成二十年五月に作成された文書でございます。
当該文書は、第一編と第二編から構成をされ、主な内容としては……(穀田委員「それはまだ聞いていないんです」と呼ぶ)はい。では、五月に作成された文書でございます。


穀田委員

だから、研究だけじゃなくて、審査会の答申書によると、「陸上自衛隊が実施したイラク人道復興支援活動に関する教訓資料」と、わざわざ発表しているわけですね。教訓資料だということが大事なんですね。だから、陸上自衛隊の各級の指揮官の間で、今後の活動に生かす教訓資料として共有されているものであります。だから、単なる経験談とは違うんですよ。
文書の冒頭には、これですけれども、二編のところの一番最初に、第一次イラク復興支援群長を務めた番匠氏が巻頭言として言葉を寄せています。この中で番匠氏は、イラクでの自衛隊の活動についてどのような任務だったと述べているか、報告ください。


中谷国務大臣

御指摘の質問は、イラク復興支援活動行動史に掲載された番匠第一次イラク復興支援群長のコメントの一部でございます。
御指摘の部分を読み上げるわけでございますが、
その第一は、「イラク人道復興支援活動は、純然たる軍事作戦であった。」ということである。隊旗授与式において、小泉総理は「自衛隊の諸君にしかできない任務」と訓示された。派遣準備から、イラクへの展開、指揮・幕僚活動、人事、情報、兵站、復興支援活動、広報・対外連絡調整、撤収まで、振り返ってみれば、イラク派遣は、派遣部隊と本国の陸幕・関係機関・部隊等、国家と陸上自衛隊の総力をあげて行われた、本当の軍事作戦であり、我々が平素から訓練を重ね本業としている軍事組織としての真価を問われた任務だったと思う。
また同時に、番匠群長は同じコメントの中で、
我々の任務は、戦闘を主体とするものではない
とも述べております。


穀田委員

だから、今のところで大事なのは、純然たる軍事作戦だったということと、軍事組織としての真価が問われた任務だったとまで述べているわけですね。だから、非戦闘地域での人道復興支援活動、これは建前だったけれども、実態は軍事作戦そのものだったと総括しているのがその最大の特徴なんです。(発言する者あり)皆さん見ていないから平気なことを言っているんだけれども、私は全部見ているんです。
では、具体的にどのような軍事作戦だったのか。
まず、確認するけれども、イラク特措法は、自衛隊の活動地域を非戦闘地域に限定し、戦闘が行われるに至った場合や戦闘行為が予測される場合には、現地部隊の指揮官が活動を一時休止し、避難すると規定していた、それはそういうことでよろしいですね。簡単に。


中谷国務大臣

先ほど、ちょっと一言補足をいたしますが、その文章の後に、番匠隊長は、隊員たちによくロバとライオン……(穀田委員「それは先ほど聞きました。テレビで見ました」と呼ぶ)ですから、そういうことを実施するために、やはり安全に万全を尽くす、全ての神経をもって隊員の命を守る、それだけの心構えを言ったわけでございます。
御質問につきましては、御指摘のように、法律に従って、活動を一時中断するということでございます。


穀田委員

もう一点確認します。
自衛隊が武器を使用できるのは、みずからを守る場合か、自分の管理下、管理のもとに入った民間人などを守る場合に限定し、相手に危害を加えることができるのは、正当防衛、緊急避難に限られるとしている点、その点も確認できますね。


中谷国務大臣

イラク特措法におきましては、いわゆる自己保存型の武器使用が認められておりまして、正当防衛または緊急避難に該当する場合には人に対して危害を与える射撃を行うということで、自己保存型の武器使用ができるということでございます。


穀田委員

ところが、実際はどうだったか。
この文書には、イラクへの派兵に備えて自衛隊がどのような事前訓練を行ったかということが書かれています。どんな訓練を行ったか。そこには、「至近距離射撃等を重視した訓練」という項目があります。具体的には、派遣部隊は、「至近距離射撃と制圧射撃を重点的に練成して、射撃に対する自信を付与した。」と書かれています。
これは事実ですね。


中谷国務大臣

はい、事実だということです。


穀田委員

これは、黒塗りのところが事実だとお認めになった。
では、中谷大臣、もう一度聞きますけれども、制圧射撃というのはどういうことを指すのか、お答えください。


中谷国務大臣

御指摘の制圧射撃につきましては、自衛隊で確立をされた定義があるわけではございませんが、一般に、隊員が連射で一定時間、複数または単数の目標に対して射撃を行うことをそのように言う場合があります。


穀田委員

それは定義があるわけじゃないと言いますけれども、「防衛省規格」という中の「火器用語」の「射撃」という防衛省の用語集を見ると、制圧射撃というのは「敵に損害を与え、その戦闘力の発揮を妨害するための射撃」と定義しています。機関銃で敵に間断なく連続射撃を加え、火力で圧倒し、文字どおり敵を制圧する射撃のことであります。
だから、自衛隊の活動地域は非戦闘地域に限定し、戦闘行為が行われる場合には、活動を一時休止し、避難する、武器を使用する場合にも、危害射撃が認められるのは正当防衛並びに緊急避難に限られるというのが当時の説明でした。しかし、当時の説明と全く違うことを現場の部隊は想定して訓練したということになるじゃありませんか。その点、いかがですか。


中谷国務大臣

派遣された隊員の命を守るために、装備を準備し、また、武器をもってルールのもとに隊員の安全を守るということは、これは当然のことでございまして、先ほど申し上げましたとおり、イラク特措法においては自己保存型の武器使用が認められているということで、自己保存型の武器使用であっても、自己等の生命または身体を防衛するために、法律の要件を満たす場合であれば、先ほど申し上げたような形での武器使用、ここで言う制圧射撃、これを行うことも可能でございます。
例えば、一例を申し上げれば、突如、武装グループが武器を搭載した車両で自衛隊の宿営地を一斉に襲撃してきた場合に、警備の自衛官の呼びかけや警告を無視して宿営地に突進してくるような場合、その足をとめるために、当該武装グループに対して連射で一定時間武器を使用するといったことが考えられるわけでありまして、やはり派遣に際しては、武器使用権限を含めた隊員個々の行動の基準についてまず教育を行い、法令に基づいた適切な武器使用が行われるように徹底した訓練を行い、またルールを定めて派遣をしたということでございます。


穀田委員

法令に従ってなんてなっていませんよ。制圧射撃というのは、敵をせん滅する、そういう意味の中身になっているということも含めて言っているわけですよ。
それは、なぜそういう訓練をしたかといったことまできちんとこれは書いています。それはやはり、今までは近距離でそういう射撃をしたことがない、しかも、今お話があったように、突然来る可能性もあるということで、今までにない訓練をしているわけですね。
しかも、当時のイラクで繰り返し起こっていたのは市街地での戦闘でした。市街地の建物の中や物陰から住民に紛れて突然発砲がある、誰が敵かもわからない、そうした中で身を守るためには、間断なく撃ちまくるしかないということなわけですよね。
みずからを守るとかなんとかという話じゃ、そういうことだけでなくて、実際そういう想定をし、敵がある、そして制圧射撃の訓練を行ったということじゃないんですか。


中谷国務大臣

あくまでも自己保存のための武器使用の範囲でございまして、派遣された以上、やはり隊員の安全を確保するために部隊としてどうすればいいのかというようなことで、あらゆる状況、リスクなどを想定いたしまして、そういう際の隊員の安全を確保するということはルールとしても事前に定め、訓練をし、そして装備を準備して、行って対応したということでございます。


穀田委員

それは違いますよ。自己保存という問題と、今お話ししたように、今防衛省の規格でもあるように、先ほどお話ししたように「敵に損害を加え、その戦闘力の発揮を妨害するための射撃」ということになっているわけですよね。それは防衛省の規格であるわけですね。だから、そういう意味でいうと、このような武器使用が自己保存のための必要最小限度の武器使用であるはずがないんですよ。
制圧射撃などという武器使用が、当時、一切説明されていないんじゃないですか。そういう説明をされていましたか、大臣。


中谷国務大臣

イラク特措法においては、いわゆる自己保存型の武器使用が認められておりまして、正当防衛、緊急避難に該当する場合には、人に対して危害を与える射撃を行うことができるということでございます。
先ほど一例を挙げましたけれども、突然、武装グループが武器を搭載して大量に押しかけ、そして車両等で宿営地を一斉に襲撃した場合に、警備の自衛官の呼びかけ、警告を無視して宿営地に突進してくるような場合に、その足をとめる、そのために、当該武装グループに対して連射で一定時間武器を使用するといったこと、これは、この自己保存型の武器使用に認められる範囲であると私は思っております。


穀田委員

今、宿営地の話をされました。では、どんなことをやっていたかということについて、この資料に基づいてもう一度言いましょう。やはり、今私が言った制圧射撃というのは、実際に、先ほど述べたように、極めて危険なことまで発生する状況があった。
二〇〇五年十二月四日、自衛隊が管理、指導してつくった養護施設の竣工式で、近くに駐車してあった自衛隊の車列が群衆に取り囲まれ、車両ミラーが壊されるという事態が発生しました。そのとき現地の部隊がどう対応しようとしていたか。文書にはこう書いています。
ルメイサのサドル派事務所付近において、群衆による抗議行動、投石等を受け、車両のバックミラー等が破壊された。この際、小隊長以下警備小隊の隊員は、投石する群衆の他に銃を所持している者を発見し、これに特に注意を払う等、適確に現場の状況を把握しながら冷静に行動した(銃を所持している者は部隊に銃口を向けることはなかったため、弾薬装填は実施せず。)。
と書いているんですね。
つまり、自衛隊が現地でイラク人を殺傷する寸前までいっていたということじゃないんですか、この事態は。


中谷国務大臣

これは報道にもあったような記憶がございますが、イラク派遣当時、サマワ北部にあるルメイサ市内におきまして、養護施設の補修事業の竣工式の準備のために駐車中の自衛隊の車列に対して、現場付近のサドル派事務所のメンバーと思われる者が抗議行動等を実施して、車両のミラーが破損されたということはありますが、武器の使用、これは確認をされておらず、隊員にけが等の異状もありません。
防衛省・自衛隊としましては、イラク特措法に基づく活動につきましてはいろいろな努力をいたしております。情報収集、また十分な装備、教育訓練、地元住民との良好な関係の維持構築に努めて、一つ紹介しますが、スーパーウグイス作戦といいますけれども、住民の皆さんにやはり信頼をしてもらう。(穀田委員「それは知っています。ウグイス作戦でしょう。そんなの知っています」と呼ぶ)GNNも知っていますか、義理、人情、浪花節。このように住民の皆さんから信頼を得る努力をしつつ、安全を確保してこの実施をしたということで、非常に、結果的に一人のけが人も出さずに、また地元の住民に発砲もせずに、立派に私は任務をなし遂げたというふうに思っております。(発言する者あり)


浜田委員長

静粛に願います。


穀田委員

聞くことに答えてくれなあきませんで。そんな長々と違うことをしゃべって、さっきしゃべったことを、私がしゃべったことを復唱せんかてよろしいわな。
それで、私が言っているのは、やはりイラク人を殺傷する寸前までいっていたのと違うのかというところを聞いているわけですやんか。もし、銃を保持していたイラク人が少しでも部隊に銃口を向けるそぶりがあれば、実際に殺傷する事態に至っていたのではないかということを私は危惧しているんですよ。しかも、それは、さっきもあったように、制圧射撃という場合はその一人だけ狙うわけじゃないわけですから、こうずっとやるわけですからね。当然それは可能性はあるということになるじゃないですか。
しかも、文書には、「多くの指揮官に共通して、最初の武器使用が精神的にハードルが高いのではないかとの危惧があった。」「最終的には「危ないと思ったら撃て」との指導をした指揮官が多かった。」と書かれているわけであります。
現地の状況は混沌としていた、いつ、誰が、どこから発砲してくるかわからない、そうしたもとで攻撃を受けた場合、誰が敵か、どう対応すべきか考えていたのでは逆にやられてしまう、だから、現場の指揮官は危ないと思ったら撃てと指導し、派遣される隊員に覚え込ませたということではないのか。いかがですか。


中谷国務大臣

この事件におきましては、武器の使用は確認しておらず、隊員にけがの異状もありません。
そして、事実として、五年間の活動でしたけれども、一発の銃の発砲もなく、立派に全員無事任務をなし遂げたわけでありますが、これは努力なくしてできません。やはり、事前に情報を得て、訓練をして、装備を構え、そして地元の住民の方と良好な関係を保つ、本当に大変苦労しながら安全に任務を遂行したということでございます。
それから、もう一点。武器使用におきましては、あくまでも自己保存の武器使用、これの基準に従って実施をしたということでございます。


穀田委員

同じく基準を何回述べてもだめですよ。実際に起こっている事態について言っているわけですから。
しかも、では、なぜ安全のために一発も撃たなかったかという問題について言うならば、さらに文書はこう書いているんですよ。
安全確保のための施策に関し、はじめに強調すべき事項として適切な活動地域と任務の選定がある。それはサマーワという地域において人道復興支援活動を実施するという任務が付与されたことによって実は、派遣間の終始を通じる安全確保の基盤が形成されたのである。
このように述べているわけですよ。
だから、当然これは、少なくとも、今、何でこれは安全だったかというと、撃たなくて済んだかというと、そういういわば任務と地域の設定があったからだと言っているわけではないですか。そんなことわかっていますよ、私は。だからそういうことだと。
問題は、自衛隊のイラク派兵というのは非戦闘地域での人道復興支援活動が建前だった、ところが、それでも現場の部隊はこうした危険な状況を想定して訓練を行っていた。
大臣、総理大臣、政府は、今回の法案審議でも、危なくなったら活動を休止し避難する、武器の使用は正当防衛、緊急避難に限られると説明しています。イラク特措法のとき、全く同じ説明を繰り返しているわけですよ。
しかし、今回の法案は、非戦闘地域の枠組みをなくし、戦闘現場以外での米軍への兵たん支援を可能とするものであります。しかも、治安維持活動まで実施可能とし、自己保存にとどまらず、任務遂行のための武器使用まで認めている。こうなりますと、殺し殺される状況になる危険は明白だと私は思うので、その点からいっても憲法九条を真っ向から否定する武力行使そのものだと私は思うんですが、総理はいかがですか。


中谷国務大臣

一言申し上げますが、これは何のためにイラクに行ったかということなんです。
これは、やはり国連の決議もありました。イラクの復興支援もありました。国際社会への貢献でございます。そういう中で隊員が非常に苦労して任務を遂行したということであります。
今回の国際平和支援法も、国際社会の平和安全を脅かす事態であって、国連憲章の目的に従って共同する活動を行う。やはり、日本として国際平和そして国際社会に寄与する、貢献する、そういうことも我が国の安全にとりましては大事なことであるという認識で、そういう目的で活動しているということでございます。


穀田委員

なぜそんな全然違う話をするんですか。私が言っているのは、非戦闘地域でのいわばイラク派兵というのは人道的支援、復興支援が建前だった、それでもこれだけ大変だったんだと。あなたは、何か言うとすぐ、一発も撃たなかったと。一発も撃たない、そういう安全なところ、任務がそうだったという話をしているわけじゃないですか、それは私が言っているんじゃないですか。
問題は、それを広げたら危なくなるじゃないか、そういう問題についてどうなんやということを総理に聞いているわけですやんか。


安倍内閣総理大臣

これはまさに整理をし直したわけでありまして、先ほど申し上げましたように、戦闘地域と非戦闘地域という考え方について、一定の期間、自衛隊がそこにとどまる期間は、その地域、例えばサマワは、これは非戦闘地域であるという認定をしたのでありますが、今回の経験から、サマワの中においても安全な場所もあるし、サマワから外れた場所においても安全な場所がある。しかし、例えばそれは、そこを半年とか区切るのではなくて、活動を行う二週間なら二週間、その地域は戦闘行為が行われない、この二週間の間は行われないと見込まれるところについては行おう、こういう柔軟な形で、今までの経験を生かして見直しをするということでございます。
そしてまた、自衛官の皆さんは、イラクの人道復興支援の活動におきましても、厳格ないわば武器の使用の制限についても、これは訓練を重ねてきたわけでございます。ですから、むしろ自衛隊においては、そういう非常に制限的な武器の使用を訓練した自衛官が、例えば我が国事態のときには、これは積極的に我が国のために武力行使をしなければいけませんから、ある意味、そちらはそちらでもう一度訓練をし直さなければならないぐらいに極めて制限的な武器の使用をするということでございますから、ただいま穀田委員が御紹介されたような緊張状況になったときも、自衛隊は正しい判断をして、弾を発射することなく、まさに誰も死傷させることなく、同時に、こちら側も誰も死傷せずに帰ってきたということでございます。
今後も、こうした形で、しっかりと訓練をしながら正しい判断ができるようにならなければならない、このように思っております。


穀田委員

私は、二つ間違いがあると思いますね。
そういう訓練というのは、先ほど述べたように、制圧訓練、制圧のための制圧射撃などというものは、当時、この特措法の議論のときには全くなかった問題です。しかも、これが今明らかになったということであります。二つ目に、その経過を通じて、こういうところでも危なくて、寸前のところまで行っていた。こういう事態からすれば、一層これは、広げた場合は危険がある。この二つのことを言っているわけですよ。
私は、この機会に、今言いたいんですけれども、私はこうやって開示の資料を見ましたよ。ところが、先ほどは黒塗りの資料があると。
そうすると、委員長、これははっきりしてほしいんだけれども、なぜその二つの資料があるのか。国会に対して、なぜ、いつ、全部開示している資料が出て、黒塗りの資料が出たのか。これは、審議の途中にこういう事態が、安保法制の、戦争法の議論があったからこそこういうことをやったんじゃないのかということについてはっきりしてほしい。
私は、その点で、二つ言っておきたいと思うんです。
その白黒、経過をはっきりしろということと、あわせて、この審議をする上で、こういった事態でイラクで何が起こっていたか。少なくとも特措法の議論になかったことが起こっていたということについて、全議員に資料を提示する必要がある。
ですから、開示を改めて求めたいと思います。


浜田委員長

理事会で協議をいたします。


穀田委員

では次に、ホルムズ海峡の問題について質問します。
集団自衛権の行使の唯一念頭に置いている実例として、繰り返し、中東ホルムズ海峡の機雷封鎖が挙げられます。
そこで、岸田大臣に聞きます。
二〇一二年に、米軍主催のペルシャ湾での国際掃海訓練が行われました。その訓練には海上自衛隊も参加しているが、その際、外務省がまとめた「イラン情勢(ホルムズ海峡をめぐる動き)」と題する資料があります。これです。
この資料には、次のように記されています。
イランには一時的に同海峡を「封鎖」ないし通航を妨害する能力はあるが、外国の軍事対応がある「封鎖」は長期間維持できないと見られる。また、経済的に得策でもない。イラン原油輸出は同海峡経由で行われており、海峡「封鎖」はイラン自らの経済活動を封殺するもの
すなわち
(イランの外貨収入の七割以上が原油輸出)であり、ホルムズ海峡「封鎖」は、イランにとっても重大な決断を要するもの。
と明記されています。
このように、外務省では、ホルムズ海峡の封鎖はイランにとってもみずからの首を絞めかねないもろ刃の措置になると分析したのではないでしょうか。それとも、こうした分析を外務省は変更したんですか。


岸田国務大臣

済みません。御指摘の資料ですが、ちょっと事前に通告がありましたので、その資料が手元にありませんし、私自身、拝見しておりません。ちょっと、今の御質問にお答えする材料を今手元に持っておりません。


穀田委員

私は、ホルムズ海峡をめぐる一連の動きについて、何をしていたかということを聞いています。
では、その問題について、確かに取り扱い厳重注意という資料ではありますけれども、中身を隠してはいけないんですね。その文書があるかないかという問題はさておいて、イランにとっても、そういう決断をしていてもろ刃の措置になると分析を外務省は現にしているんじゃないのか。
では、どういう分析をしているんですか、逆に聞きましょうか。
もう一遍言いましょうか。先ほど言ったように、イランにとっても重大な決断を要する場合には、これはもろ刃の措置だから大変だという分析を外務省はしているんでしょう。それはいいでしょう。


岸田国務大臣

資料を離れて、外務省の判断について御質問をいただきました。
二〇一二年以降、イランにおいては、幾度かにわたって、軍関係者がホルムズ海峡の封鎖について述べたことが報じられております。こういったことを承知しております。
他方、二〇一三年七月に誕生したロウハニ政権は、国際社会と建設的に協調していく姿勢、これを鮮明にしております。二〇一三年十一月、私もイランを訪問させていただきました。その際に、イランのザリーフ外相と日・イラン外相会談を行いましたが、その共同声明におきましても、「両外相は、ペルシャ湾と太平洋とをつなぐシーレーンにおける法の支配の尊重並びに制限のない貿易及び航行の自由の意義を強調」する、こうした宣言を行っております。
このように、イランとの間においては、我が国は、ホルムズ海峡をめぐる状況についてこうした認識を持っております。


穀田委員

今、岸田外務大臣からお話があったザリーフ外務大臣は、昨年の三月、記者から日本を訪問したときのことを問われて、米国の星条旗新聞には、イランはいまだにホルムズ海峡封鎖を考えているのかという質問に対して、対立は避けたいと強調しているわけですね。その意味で、また、この間一連の問題を考えますと、イランの核問題をめぐっても、現在、包括的な合意に向けた外交的解決の努力が行われている。
こうした事実を冷静に見れば、ホルムズ海峡の封鎖を憲法解釈の論拠にすること自体、既に私は破綻していると思っています。
そこで、機雷掃海の性質について少し聞きたいと思うんですね。
政府は、機雷掃海は性質上あくまでも受動的かつ限定的な行為との説明を繰り返しています。これは、国際法上、機雷除去のような戦闘行動を、受動的、限定的な武力行使として他の武力行使と区別して扱っている事例は存在しますか。大臣、お答えください。岸田大臣。


岸田国務大臣

まず、機雷掃海というもの、これは武力の行使に該当いたします。
その実態は、純粋に、水中の危険物から民間船舶等を防護し、その安全な航行を確保する、こうしたことを目的とするものであります。また、掃海艦艇というものは木製あるいはプラスチック製でできております。そして、自己防護用の装備すら持っておりません。こうしたことでありますので、円滑にこうした作業を行う際には、戦闘が現に行われていない、こうした現場において行うことになっています。
受動的あるいは限定的なものであるということにつきまして、我が国は、こうした機雷掃海の実態や性格に着目して、このような考え方を持っているところでございます。こうした考え方につきましては国際的にも理解されるものであると考えます。


穀田委員

よう聞いておいてほしいねんね。
要するに、後ろからペーパーをもらって一般論をずっとしゃべったらあきまへんで、それは。
私、聞いているのは、限定的だとか受動的だとかいって、武力行使として他の武力行使と区別して扱っている事例は世界に存在するかということを聞いているんですよ。


岸田国務大臣

先ほど申し上げましたのは我が国の考え方でありますが、他国が機雷掃海についてどのように評価しているか、どのように扱っているかということにつきまして、網羅的に把握しているものではありません。


穀田委員

では、網羅的に把握していないということは、知らぬということになりますやんか。それは困りまっせ。
要するに、極めて厳しくやっているとか、日本の考え方だという話じゃなくて、国際法上、結局のところ、機雷除去のような戦闘行動を、受動的だとか限定的な行動だったという理屈は存在しないということなんですよ。
一方、日本の特有の解釈によって、先ほど、他国に例がないとか、憲法だとか言ってはりますけれども、要するに、あたかも歯どめがかかっているようなことを言われていますけれども、では、聞きたいと思うんです。
一九九一年に行われたペルシャ湾での機雷掃海作戦には、日本のほか米国など九カ国が参加したと言われています。先ほど、私、資料で引用しましたけれども、二〇一二年の米軍主催の国際掃海訓練には、日本などから、二十カ国以上が参加したと言われています。
では、これらの参加国の中で、機雷掃海を受動的、限定的な行動などとしている国はありますか。(安倍内閣総理大臣「ちょっと」と呼ぶ)いや、まず、それを聞いているんですよ。話はあるわけだから。後で聞きますから。


浜田委員長

岸田外務大臣。後に安倍総理大臣。


岸田国務大臣

御指摘の点において、受動的、限定的にという評価をしている国ということについては承知をしておりません。


安倍内閣総理大臣

そもそも国際法的に、先ほど答弁したように、これは武力行使とし、そしてそれは集団的自衛権に当たる、こう言っているわけであります。
なぜ受動的、制限的という説明をさせていただいているかというと、これは、日本国憲法との関係において、必要最小限度を超えるという関係から我々はそういう説明をさせていただいているわけでありますが、他の国は全部集団的自衛権を行使できるわけでございますから、そこでそういう切り分けをして説明する必要がそもそも生じていないということではないかと思います。
ですから、まさに、我々は、憲法との関係でこれは制限的、受動的であるからという説明をさせていただいているということで御了解をいただきたいと思いますし、また……(穀田委員「もうそこからは聞いてないです、もういいです。あなたに質問してないです、私」と呼ぶ)
いやいや、これは先ほどの質問にちょっとかかわるんですが、二〇一五年の三月の三日に、ファダヴィ革命ガード海軍司令官が、米国の介入はホルムズ海峡の封鎖の要因になり得る、こういう話はしているということでございます。


穀田委員

そこで、結局、今岸田大臣がおっしゃったように、そのような国があるとは明示できないと。
防衛省が提出した、統合幕僚監部の機雷戦教範というのがあります。この教範によれば、統合幕僚監部では、機雷によって敵の艦船を撃破し行動を制約するため海域に機雷を敷設することを機雷敷設戦と呼び、敷設された機雷を除去、無能化することを対機雷戦と呼んでいるようです。
同盟国の米国では、こうした機雷戦についてどう位置づけているか。これは、アメリカが発行した、アメリカ海軍省のドクトリンがあります。これを見ると、米軍では、機雷戦を攻撃的機雷作戦と防御的機雷作戦の二つに分類し、これらをともに法的な戦争行為と位置づけている。同盟国である米国の、あなた方が同盟国、同盟国と言っておられる米国のことですから、中谷大臣は、このことはよく承知していますよね。


中谷国務大臣

御指摘の点は承知しております。
その米軍の資料によりますと、米軍においての機雷処理を、機雷が敷設される前に敵の機雷敷設能力を排除する攻勢的機雷対処と、既に敷設された機雷に対して各種手段により対抗する防勢的機雷処理とに分類をしており、こうした攻勢的機雷処理は、通常、機雷戦部隊によっては行われないものと承知をしております。その上で、米軍においては、攻勢的機雷処理を、機雷の探知や回避等、物理的な措置を伴わない受動的機雷処理と、機雷の除去という物理的な措置を伴う能動的機雷処理とに分類していると承知をしております。
我が国としましては、機雷処理は、その性質上、相手方への積極的な攻撃を行うものではなく、相手によって既に敷設された機雷の除去だけを行うという意味で受動的であると認識しておりまして、米軍においても、機雷処理は、既に敷設された機雷に対抗するために行う防勢的機雷対処に分類しており、その認識においては我が国と何ら異なることがないということでございます。


穀田委員

最初の説明を私がしているわけだからそこは省いてくれないと。ちょっと違う話をしているんですけれども。
要するに、最後の結論は何かというと、結局戦争行為として位置づけているんですよ、法的には。そこが大事なんです。前の方を読んだだけではだめなんです。後ろの方にそう書いているんです。アメリカにとっては機雷の除去というのは戦争行為であって、そして、決して受動的なものではなく、極めて能動的な作戦だということなんですね。
だから、受動的、限定的な活動などという理屈は、機雷除去は戦争行為とされる国際的な戦闘の場面では全く意味をなさない、通用しないということだと私は思います。
そこで、総理はあれこれ言っていましたけれども、私は、機雷の除去は、相手方から見れば、相手国から見れば、受動的でも限定的でもない、まさに攻撃対象となる、そこで戦争に発展する可能性をはらんでくるんじゃないかと。それはいかがですか。


安倍内閣総理大臣

機雷の除去にもいろいろあるわけでありまして、いわば機雷を敷設して軍艦が進入するのを防ぐ場合、例えば、米国は、その機雷を除去して、さらにその後、戦闘行為に入っていくということを考え、それはまさに能動的に機雷を除去して、さらに相手を撃破していくということはあり得るでしょう。
しかし、他方、ホルムズ海峡の例しか私は念頭にないと申し上げましたのは、ここに、海峡に敷設をしたということはどういうことか。しかし、それに対しての我々の掃海を行うことのできる条件というのは、事実上の、事実上の停戦合意がなされている、しかし、国際法上は、停戦合意がなされていなければ、武力の行使、集団的自衛権の行使とみなされるから、その中においてこれを除去する上においては集団的自衛権の行使に当たるけれども、しかし、これは事実上の停戦が行われている中において我々の自衛隊の掃海部隊は、これはまさに掃海を行う上において、戦闘行為が行われていないところにおいて黙々と事実上危険物である機雷を処理していくということである、これはまさに受動的、制限的であろうということを述べているわけであります。
そこで、しかし、ここから石油そしてガス等々が入ってこなければ、これは相当の被害をこうむる、経済的な被害だけではなくて人的な被害をこうむる可能性もあるということを我々は述べているわけでございます。


穀田委員

それは、いろいろお話があったけれども、停戦の問題については後で言いますけれども、やはり一番大事なのは、相手国から見れば除去はどういうことなのか、それを聞いているわけですよ。相手国からしてみれば、敷設しているわけだから、それを除去するということは、少なくともそういう点でいえば受動的も限定的もない、攻撃対象になるじゃないかということを言っているわけですやんか。だから、大体そういうことをやる場合に、米軍だって常に掃海活動中に攻撃を受けることを想定していろいろなことをやっているということから明らかだと思うんですね。
私はついでに聞いておきたいと思うんですが、中谷大臣、大臣は、近年において機雷掃海を直接のきっかけとして紛争がエスカレートした事例はないと言いますけれども、敷設された機雷に触雷したことをきっかけに紛争がエスカレートした事例があるんじゃないですか。知りませんか。わかりませんか。(中谷国務大臣「わかりません」と呼ぶ)
やはり、何でこんなことを私は言っているかというと、いいです、いいです、わからないならわからないで、教えてもらわなくてもいいんです。私の方が言いますし。
イラン・イラク戦争で、停戦合意がされるわずか四カ月前の一九八八年四月、ペルシャ湾で米海軍のフリゲート艦がイランの敷設した機雷に触れ、破損をした。当時、米軍は、これに対する報復として、イランの石油プラットホームを攻撃、破壊した。これに対し、イランはミサイルで応戦し、米石油会社が操業するアラブ首長国連邦の油田や航行中のイギリスのタンカーを海上から攻撃する事態にエスカレートした、こういう事例があるんですね。だから私は言っているわけですよ。
そこで、岸田大臣に聞きますけれども、掃海艇による機雷掃海は、先ほど総理大臣からありましたように、戦闘が現に継続しているような現場で行わないと、るる、いつも説明されます。そこで、聞きますけれども、正式な停戦合意が行われる前の段階で、第三者である日本が、どの時点で事実上戦闘行為が終結したと判断し、機雷の掃海活動を開始するのかという点についてお答えいただきたい。


岸田国務大臣

事実上の停戦があり、そして正式な停戦があり、その間において、どの時点で遺棄機雷と認定されるか、これが今の御質問の線引きになるかと思います。その判断というのは、現実においては大変難しいものがあります。
よって、湾岸戦争のときの実態を振り返りましても、実質的な停戦が行われてから正式な停戦が行われるまで、この間に、フランス、ドイツ、イタリア、こういった国々が機雷の掃海を行っておりますが、これらの国は全て、安保理決議六七八を援用して、武力行使を含めて全ての行為が許される、こうした安保理決議を援用することによって武力の行使と認定された場合にも備えて機雷を掃海したというのが実態であります。
かくのごとく、実質的な停戦から正式な停戦の間において今御指摘のような線を引くというのは大変難しいのが現実でありますので、こういった事態に備えるためにも、武力の行使と認定される場合においても対応できる体制を考えることが必要ではないか、こういった議論をお願いしているわけであります。


穀田委員

これを聞いてわかる国民はなかなかいないと思うんですけれども、やりたい人はそれはわかるのかもしれぬけれども。大臣だって難しいと言っているんですよ。本当にこれは難しいんですよね。
だから、機雷を敷設した相手国による通知や通告などの意思表明のほかに、相手国のそういう意思表明のほかに、事実上戦闘行為が終結したというふうに判断できるものはありますか。もう一遍言いましょうか。


岸田国務大臣

ですから、先ほど申し上げました、実質的な停戦合意、そして正式な停戦合意、この二つがあります。その段階で機雷の除去が武力の行使として認定されるかどうか、この境目は、先ほど言いました遺棄機雷として認定されるかどうか、ここにかかってくると思います。
しかし、現実問題、どの時点でこれを遺棄された機雷だと判断するのか、これは大変難しいというのが現実でありますので、武力の行使として認定されたとしても国際法上違反にならない、こういったことのために、各国もこうした安保理決議をしっかり援用して、国際法上説明できる、こういった体制を備えたというのが過去の例でありました。
我が国も、そういった過去の例をしっかりと振り返りながら、我が国として、現実、何をしなければならないのか、国民の命や暮らしを守るために何をしなければいけないのか、こうした体制をつくる際に、しっかりとした法整備をつくっていかなければならないと考えています。


穀田委員

遺棄と判断するのは難しい、他の国は武力行使としてやっているということですから、簡単に言うと、やはり本質的に、敷設国によるいわば停戦終結の意思表明以外に、第三者である日本が事実上戦闘行為が終結したというのが判断できる確かなものというのはないということなんですね、本質的に。そこははっきりしていると思っています。
中谷さん、ついでに聞いておきますけれども、一九九一年四月二十三日の参議院外務委員会で、防衛庁の畠山防衛局長は、機雷を敷設した国はその相手国をいわばやっつけようと機雷を敷設しているわけで、その機雷を除去する行為はそれに対する敵対行為とみなされるということに相なろうかと答弁しています。
この答弁は依然として生きていて、否定されませんね。簡単に。


中谷国務大臣

武力行使の一環だと認識しております。


穀田委員

先ほどお示しした二〇一二年の国際掃海訓練に関する外務省の資料、これですけれども、総理大臣、ちょっと聞いてほしいんですけれども、ここには、「対イラン関係の留意点」という記述がありまして、「イランにとっての敵国である米主催によるペルシャ湾での掃海訓練への参加は、イラン側からの強い反応を惹起し得るもの。」と書かれています。
このように、機雷掃海の訓練への参加でさえ、イランからの強い反応を惹起しかねないということが懸念されているわけですから、ましてや戦時下の機雷掃海となれば、イラン側からの無用な反発を招きかねないと思うんですが、いかがですか。


安倍内閣総理大臣

これはまさに、先ほど来申し上げておりますように、いわばイランが機雷を敷設した段階において、地域には米軍の施設等々もございます、例えばここで交戦状態になっているようなときには、これは当然掃海も行えませんし、このときに掃海をすれば、これは当然、いわば純粋なる敵対行為として武力攻撃を受ける可能性というのは排除できないであろう、このように思います。
私たちが行うのは、事実上の停戦合意がなされているわけでありますから、事実上もう交戦は行われていない。しかし、これは国際法的には停戦が行われていないものでありますから、国際法上はこれを除去することはいわば武力行使に当たるけれども、イランとしては、これはいわば、例えばイランという国を挙げておりますが、例えばイランが停戦に向かって進んでいくという中において、日本の船を、敷設をしてしまった機雷を除去している日本の船に対する攻撃は、これはおおむねなかろうという状況を確認する中において、我々はホルムズ海峡の、イランの、掃海を行うということであります。
いずれにいたしましても、現段階では外相会談も行っておりますし、私もロウハニ大統領との会談も行っておりますし、昨年のダボスでの私のスピーチにも、ロウハニ大統領は、わざわざ本人が私のスピーチを聞きに来て、握手を交わしているわけでございます。
そのような外交努力を重ねるだけ重ねながら、そういう事態に至らないための努力は最大限今後も行っていきたい。こうした事態を外交努力によってなくしていく、あるいはまた、米国とイランとの今交渉が行われておりますが、成功裏に交渉が成立をすることを我々は希求しているところでございます。


穀田委員

一番最初にその前提を私は言ったんですよ。そこは聞いてくれなあきまへんで。先ほど言ったように、うちの赤嶺議員が既にその蓋然性はないと、そして私は切迫性もないと、そういうことを言っているわけですよ。そして、外交努力が必要だ、これは我々は一貫して言っているわけですよ。
今質問しているのは、そういう、戦時下になれば、訓練に行くということでさえ、惹起するような事態ということに対して、これは危ないんじゃないか、戦時下になってやるんだったら無用の反発を招きかねないんじゃないかということを聞いたわけですよ。そこに答えてくれなくちゃ。一般論について言うなら、先ほど一番最初に私は考え方を言っているわけですから、それは必要ないですよ。
その意味でいいますと、一九九一年にペルシャ湾で実施された機雷掃海作戦で海上自衛隊派遣部隊の指揮官を務めた落合氏が、五月二十七日付の河北新報で次のように述べています。
最悪の事態に備え、棺おけも作れるように木材を船に積み込み、乗組員には氏名、血液型を書いた金属製の「ドッグタグ(認識票)」を配った。タグによって、隊員が死亡した際に個人識別が可能になる。
「当時、海自にはそういう習慣はなかったから、みんな受け取った瞬間、うっとなっていた」
と。
「ただの迷子札だ」と説明するのが精いっぱいだった。
このように語っておられます。
安倍総理は、この一九九一年にこうしたことがあったことは御存じでしょうか。


安倍内閣総理大臣

掃海部隊は私の地元の吉見というところにおります。そこで私は毎年ここの新たな入隊式等に出席をしておりますから、そうしたさまざまな出来事については話を伺っておりますが、機雷掃海の仕事そのものが触雷の危険性もあるわけであります。私、その訓練も何回か拝見したことがあるわけでありますが、まさにこれは命がけの仕事であるということは十分理解をしております。


穀田委員

最後に一言言いたいんですけれども、この湾岸戦争の正式な停戦成立後に行われた機雷掃海でさえ、指揮官が自衛隊員に犠牲が出ることを想定して、先ほど述べたことをやらざるを得なかった。しかも、その後に、帰った方々の中で自殺者が二人も出ておられるということになっています。ですから、派兵された自衛隊員の精神的、肉体的な負担は、今後、まして戦時下での機雷掃海となれば一層増大するのは明らかであります。
私は、その意味で、戦後最悪の違憲立法の戦争法案の廃案を強く求めて、きょうの質問を終わります。