陸上自衛隊の海外での共同訓練に関する「日報」問題について

2019年03月13日

若宮委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
在外公館法改定案の質問に入る前に、本日は原田防衛副大臣にお越しいただいているので、初めに、陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練に関する日報問題について質問します。
防衛省から提出を受けた資料も配付しているので、最初に、事の経過について若干説明したいと思います。
自衛隊のイラク日報が大問題になっていた昨年四月二十六日、私は、防衛省に対して、陸上自衛隊が作成した海外での共同訓練に関する日報について、安保法成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの保有状況を提出するように要求をしました。
これに対し、防衛省の防衛政策局訓練課の担当者は、そもそも、海外での共同訓練に関して陸上自衛隊が日報というものを作成しているのか否か、現時点で把握していない、わからないので、調査する時間が欲しい旨の説明がありました。これを受けて、昨年五月十日、防衛政策局訓練課長が陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課長宛てに発した調査依頼の文書が、今皆さんにお配りしている配付資料の一枚目と二枚目であります。
文書には、次のように記されています。冒頭部分を読み上げたい。
「陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る「日報」を含む定時報告文書」の保有状況調査について(依頼)
平成三十年四月二十六日、穀田恵二衆議院議員より、「陸上自衛隊が、二〇一五年十月一日以降に参加した海外での共同訓練に係る「日報」を含む定時報告の陸上自衛隊の部隊又は陸上自衛隊の機関の保有状況について、1日米共同・日米豪等・多国間の別、2訓練の名称・期日・場所・参加部隊・訓練概要の別の一覧資料」についての資料要求があった。
先般より、いわゆる「日報」を含む定時報告に係る国会議員からの資料要求及び国会答弁並びに情報公開請求への防衛省の対応に対する指摘等を踏まえ、全ての部隊及び機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関し、全ての「日報」を含む定時報告の探索作業を徹底して行ったところであるが、本資料要求に対応した標記調査についても、下記の要領により実施するので、遺漏なきを期されたい。
と文書があります。
そして、実施要領として、陸上自衛隊が二〇一五年十月一日から二〇一八年三月三十一日までの間に参加した海外での共同訓練に係る日報を含む定時報告を、昨年の十一月三十日十八時十五分厳守を最終的な期限として探索するように求めています。
ところが、調査の最終的な期限だった十一月三十日が過ぎ、年が明けても防衛省から連絡がない。よほど探索結果の取りまとめに時間を要しているんだろうと思いましたけれども、三月に入っても何の音沙汰もない。
そこで、こちらから防衛省に、先週三月八日、改めて資料提出を督促したところ、川崎大臣官房審議官らが要求された資料だといって持参してきた調査結果が、配付資料の三枚目であります。
そこで、原田副大臣にお聞きします。
調査期限だった昨年十一月末日から三カ月以上連絡一つなく、こちらから督促してようやく資料を提出するというのはどういうことか。余りに国会軽視ではないかと思うんですが、いかがですか。


原田副大臣

お答えを申し上げます。
穀田委員の方から御指摘の資料要求に関しましては、資料作成の担当部署において提出資料が整っていたにもかかわらず、国会との連絡調整をつかさどる部署が不注意により十分な確認をしなかったため、昨年十二月二十五日に資料が作成されてから先週八日に委員に提出するまで、数カ月にわたり、資料の提出が滞りました。
今回のような委員への資料の提出がおくれたことは大変遺憾であり、私からもおわびを申し上げる次第でございます。
二度とこのような提出のおくれがないよう、私からも、複数の者による確認を徹底させるなど、本件を担当した部署の関係者を厳しく指導し、再発防止を徹底させたところでございます。


穀田委員

今ありましたけれども、謝罪がありました。
それで、十二月二十五日に作成していながら三月八日まで持ってけえへん。そんなずさんな対応があるかと私は思うんですね。よう考えてみると、そもそも私が要求したのは昨年四月なんですね。それから数えれば、資料が提出されるまで一年近くかかっている。
南スーダンやイラク日報の際も、国会質問や資料要求に対する防衛省の対応のずさんさが大問題になった。だから、そういう文書もわざわざ書いて示達しているんでしょう。それをこんな形でやっているというのは、何一つ変わっていないということじゃないのかということを思うんですが、いかがですか。


原田副大臣

委員御指摘のとおりでありまして、私からも、先ほど申し上げましたように、担当者の方に厳重に注意をしたところでありまして、二度とこのようなことがないように対応したいと思います。


穀田委員

二度とないようにと。二度とないようにと前に言って、これがあったわけじゃないですか。しかも、一年近くほっておいてこうやっている。しかも、つくっておいて出しはしない。もうずさんの限りとしか言いようがない。
要するに、防衛省は国会議員の資料要求を軽視しているのか、それとも、よほど要求された資料を提出したくない事情があったのではないかと疑わざるを得ないと思います。
原田副大臣、改めて確認したいと思います。
安保法制成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練では、日報を含む定時報告文書が作成されているのか。作成されているならば、現在防衛省が保有している文書はどのくらいあるのか、訓練の名称ごとに保有期日を答えてほしいと思います。


原田副大臣

お答えをいたします。
平成三十年十二月二十五日に作成した資料で掲げたものは、空挺降下等に係る共同訓練である平成二十八年度米国における米陸軍との実動訓練、アークティックオーロラ、空中機動作戦に係る戦術、戦闘の共同訓練である平成二十九年度豪州における米軍との実動訓練、タリスマンセーバー、日米豪による戦闘訓練等の共同訓練である平成二十九年度豪州における米豪軍との実動訓練、サザンジャッカルーの三つでございまして、各文書の保存期間は、それぞれ、平成二十八年度米国における米陸軍との実動訓練、アークティックオーロラは三年、平成二十九年度豪州における米軍との実動訓練、タリスマンセーバーは三年、平成二十九年度豪州における米豪軍との実動訓練、サザンジャッカルーは一年でございまして、その三件でございます。


穀田委員

陸上自衛隊が参加する海外での共同訓練でも、日報を含む定時報告文書、いわゆる日報ですよね、これがつくられていたということであって、極めて重要な答弁だと私は思います。
そこで、そうすると、今言った三つの訓練の日報を保有している部署はどこですか。端的にお答えください。


原田副大臣

お答えを申し上げます。
アークティックオーロラにつきましては第一空挺団、タリスマンセーバーについては第一空挺団、サザンジャッカルーについては第一三旅団でございます。


穀田委員

二〇一五年十月から二〇一八年三月までの二年六カ月の間で、保有している日報がわずか三つの訓練しかないというのは、余りに少な過ぎませんか。
配付資料の三枚目、今お話があった内容は、大体このとおり読んでいる、活動名を新たに補強していただきましたけれども。このただし書きには、下に米印でありますように、「共同訓練の相手国との関係から、公表していない訓練は含まない。」とあります。
防衛省が予算委員会の要求資料などで明らかにしている訓練を見ても、陸上自衛隊は、アメリカでの指揮所演習や米海兵隊との実動訓練など、複数回参加しています。多国間の訓練でも、モンゴルでのカーンクエストに参加し、国連PKOに関する実動訓練を行っています。そのほかにも、フィリピンでのカマンダグに参加し、国際緊急援助活動に関する訓練を行っています。
このように、陸上自衛隊は海外での多くの訓練に参加している。それなのに、なぜわずか三つの訓練の日報しか保有していないんですか。その辺をお答えください。


原田副大臣

お答えを申し上げます。
部隊が上級部隊に定期的に報告をいたしますいわゆる定時報告につきましては、海外で部隊がPKO等の任務に従事する場合には、防衛大臣や上級部隊の判断に資するよう、これまで一般に現地の状況や活動状況などを定期的に上級部隊に報告をさせておりまして、他方、海外での陸上自衛隊の共同訓練については、基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものでございますので、そうした上級部隊への定期的な報告をさせることは一般的でなく、通常、訓練終了後に成果報告をさせているところでございます。


穀田委員

資料の一枚目、防衛政策局訓練課長の調査依頼の文書には、なお書きとして、「探索の結果、文書が発見されなかった場合には、その旨を陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課あて報告」し、「内容を取りまとめの上、防衛政策局訓練課に送付する。」とあるわけですね。これに書いていますわね。したがって、当然、防衛省は、日報が発見されなかった理由を全て把握しているはずですよね。
つまり、ここにありますように、「文書が発見されなかった場合」というのは、それは、あるのかないのかということだけじゃない。当然、ないと言えばしまいのこっちゃないから。そうすると、なくしたものもあれば、あったけれどもどこかに行ったものもある、いろいろなことがあるわけですね。結論は、ないというだけの話なんですよね。
だから、この文書というのは、そういう意味合いがあるということがよくわかりますよね。単純じゃないんですよ。ないと言えばしまいだという文書なんです、これは。そうなりますと、私は、三つの訓練しか日報が発見されなかった理由はわかっているんじゃないのかと。
三つしか発見されなかった理由はわかっているはずじゃないのか、そこを言ってください。


原田副大臣

お答えを申し上げます。
今般の穀田委員からの資料請求につきましては、陸上自衛隊が二〇一五年十月一日以降に参加した海外での共同訓練に係る日報を含む定時報告の機関別の保有状況について、一、日米共同・日米豪等・多国間別、訓練の名称・期日・場所・参加部隊・訓練概要別の一覧資料となっておりました。
該当する資料の保有状況を確認するに当たって、当該訓練に参加した陸上自衛隊の部隊が作成をし、みずからの上級部隊に対し定期的に報告したものを対象といたしまして、当該訓練に参加した陸上自衛隊の部隊がみずから所属する部隊等、連隊あるいは大隊等に報告した文書は除外したところでございます。
なお、共同訓練の相手国との関係から、公表していない訓練については、今回お示しした資料には含めておりません。
その上で、陸上幕僚監部並びに陸上自衛隊の部隊及び機関に調査をした限りにおいては、お示しした資料に記載された三件が該当したものでございます。


穀田委員

今のは、経過を説明し、先ほど述べたことをもう一遍繰り返しているにすぎないんですよ。
要するに、三件しか発見されなかった理由というのはわかっているはずなんですね。ほかにあるはずなんですよね。そういうことで、三件あったということが大事なんですけれども。
そこで、先ほどありましたように、なぜ、何年かという問題もさっき言うてはりましたわな、原田さん。だから、陸上幕僚監部運用支援・訓練部訓練課の標準文書保存期間基準、これを見ますと、先ほどありましたように、共同訓練、演習その他の命令に基づき実施する部隊等の活動に係る記録や報告は、保存期間を三年と定めているわけですね。
三つの訓練での日報が発見されたのは、この規定に照らして保有していたからじゃないんですか。


原田副大臣

繰り返しで申しわけございませんけれども、先ほど、委員の方の資料要求に沿って調査をした結果でありまして、今回の調査においては該当する文書の有無のみを対象としておりまして、その理由につきましては報告を私の方は受けておりません。


穀田委員

それはしかし、妙な話ですよね。三つ、それぞれがあった理由が報告されていないとなると、聞かぬ方も聞かぬ方やし、三つなのか、大丈夫かと聞くのは当たり前じゃないですか。こんだけいっぱいやっとんのやからやね。
しかも、この文書の形態を見ますと、こういう言い方をしたんじゃ、ないと言ったらしまいやね。ないという意味はいろいろあるんちゃうのと聞くのが、普通、資料を提出する側じゃないですか、そっちは。我々は受ける側じゃないですか。受ける側がそういうように思うわけやから、出す方も、おい大丈夫かと聞くのは当たり前だと私は思いますけれどもね。
それで、自衛隊が作成する日報を含む定時報告文書について、防衛大臣経験者は、防衛省・自衛隊に長くかかわった経験からも、日報という最初のオリジナルのものを廃棄することなど絶対にないと断言しています。
さらに、ある防衛大臣も、ある防衛大臣ですが、日報は、現場の隊員が緊張感を持って対応した状況がわかる一次資料としての貴重なものと強調しています。
海外での共同訓練は、南スーダンやイラクなどの海外派兵とは異なるものの、その訓練の内容から得るというものは、先ほどの保存期間を定めた内規でもどう言っているか。活動の過程や実績を事後に跡づけ、検証するために必要不可欠なものと位置づけられています。そんな貴重な一次資料である訓練日報を作成していないなど、あり得ないことだと私は思います。
原田副大臣、二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に、陸上自衛隊が海外でどんな共同訓練に参加したのか、また、その中で、日報を含む定時報告文書を保有している訓練と保有していない訓練がどうしてあるのか、保有していない訓練の中には廃棄したものもあるのか、これらを徹底調査して、全て明らかにしていただきたいと思いますが、どうですか。


原田副大臣

今御質問のありました点でありますけれども、先ほど答弁をさせていただきましたように、海外での陸自の共同訓練につきましては、基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものであるので、そうした上級部隊への定期的な報告をさせることは一般的ではなくて、通常、訓練終了後に成果報告として報告を上げさせているところでございます。


穀田委員

ちゃんと出せと言っているわけで、答弁書を読んでもらっても困るんですよね。
今私が言ったのは、貴重な一次資料、しかも、活動の過程や実績を事後に跡づけ、検証するために必要不可欠なものということで三年間やっているわけじゃないですか。そういうものとしてやっている活動の内容をすべからく明らかにしろということを言っているわけですよ。
委員長、私が要求した期間というのは、安保法制が二〇一五年九月に成立して以降のものなんです。安保法制の施行を受けて、陸上自衛隊の海外での訓練内容も大きく変質しています。さらに、ACSA協定によって、アメリカはもとより、他国との共同訓練も拡大してきている。海外訓練の日報の問題というのは、まさに本委員会の審議に直接かかわる問題でもあります。
外務委員長、一つは、防衛省が現在保有しているという陸上自衛隊の海外での三つの訓練の日報の全文、二つに、私が今原田副大臣に求めた調査の結果を、資料として本委員会に提出するよう要求したいと思います。


若宮委員長

ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。


穀田委員

最後に、外務省に、法案との関係について一言質問します。
外務省が広報文化拠点と位置づけているジャパン・ハウスなんですが、サンパウロのジャパン・ハウスでは、日本のたくみのわざを物品として紹介して展示販売しております。茶筒や、月の桂という日本酒や、公長齋小菅さんのそういう竹細工なんかも売っています。
私は、サンパウロで、京都のたくみのすぐれたわざ、精密さについて、茶筒を手にとって館の方から説明を受けました。密閉性を強調されていました。
その製品が京都の老舗の開化堂の作品であり、同店の発行するパンフレット、これなんですけれども、こういうパンフレットです、この中に、「フタを閉める時は、フタの継ぎ目の線と胴の継ぎ目の線を合わせてください。継ぎ目を合わせるだけで、フタは自然に閉まっていきます。」現物を持ってきてもよかったんですけれども、すうっと閉まるんですね。そういうものなわけです。
私は、そのことを館の方にお伝えしました。館の方からは本省に連絡があって、そのような味わいのあることを各地のジャパン・ハウスに通知したということで、後で中南米局長からお聞きしました。そういうことについて、努力を多としたいと私は思うんです。
そこでです。問題は、茶筒にしても、いわば単なる密閉性と違って、そういう仕掛けになっているということだとか、竹細工にしても、日本の竹というのはどういう竹をやっているかとか、それから月の桂というお酒でも、大吟醸というのはいつつくられて、どんなことをやっているか、どういう苦労があるかというようなことを、提供いただいた中小零細企業、本当にみんな、おうちでやっているような方々、もちろん少しは大きくなっていますけれども、そういう方ばかりですよ。だから、製品のすぐれた特徴を最初からお聞きしていれば済んだことじゃないかと思うんですね。そういう当たり前のことの手だてが必要じゃないか。
努力については私は多とするわけですけれども、もともとそういう中小零細企業がどんな努力をしているかということを最初から聞いておけばいけることちゃうか。逆に言うと、もしかして聞いてないんちゃうかと思って、そういうことの改善が必要とちゃうかと思うんですが、いかがですか。


河野国務大臣

ありがとうございます、いろいろ御指摘をいただきまして。
日本の工芸品というのは、今御指摘をいただいたような、細かいところまで老舗がいろいろ考えてやっているというのが一つ売りだろうと思います。そこが抜けていると、何となく見た目きれいねで終わってしまうのでは非常にもったいないと思いますし、サンパウロのショップの話なんだろうと思いますけれども、そこは、それぞれのジャパン・ハウスが、おっしゃられたように、本当に扱っているものをしっかりと認識して、それを現地の方にきっちりと説明をするためにつくっているのがジャパン・ハウスでございますので、しっかりとそうした情報をあらかじめ入手して情報の発信ができるように、職員の研修を少し徹底させたいと思いますので、そこは御指摘ありがとうございます。しっかり対応させたいと思います。


穀田委員

そのことがつくっている方に更に激励にもなりますし、また、そのことによって、日本のたくみのよさというのがどこにあるかということをお互いの共通認識にしていけると思いますし、そのことが本当の意味での日本の文化の発信にもつながると思いますので、よろしくお願いして、質問を終わります。