陸自の海外での共同訓練「日報」問題を追及
2019年04月3日
若宮委員長 次に、穀田恵二君。
穀田委員
日本共産党の穀田恵二です。
三月十三日の質疑に引き続き、初めに、陸上自衛隊の海外での共同訓練に関する日報問題について原田防衛副大臣に質問します。
前回の質疑で原田副大臣は、安保法制成立後の二〇一五年十月一日から二〇一八年三月末日までの間に陸上自衛隊が参加した海外での共同訓練のうち、三つの訓練で日報を含む定時報告文書が作成、保有されていたことはお認めになりました。
私は前回の質疑で、その三つの訓練日報の全文を早急に提出するよう求めたが、三週間近くたった一昨日、ようやく全文が提出されました。
そこで、提出された三つの訓練日報を中心に原田副大臣に質問します。
防衛省が提出した定時報告の文書は、第一空挺団が保有する、二〇一六年度にアメリカで行った米陸軍とのアークティックオーロラと、二〇一七年度にオーストラリアで行った米軍とのタリスマンセーバーの二つの日々報告、そして、第一三旅団が保有する、二〇一七年度にオーストラリアで実施した米豪軍とのサザンジャッカルーの週間隊務報告の計三つでありますが、定時報告の分量は訓練ごとに何日分なのか、簡潔にお答えください。
原田副大臣
今御指摘をいただいた順にお答えをさせていただきたいと思いますが、アークティックオーロラにつきましては日々報告として十九日分、タリスマンセーバーにつきましては日々報告として十一日分、サザンジャッカルーにつきましては週間報告として四週間分となります。
穀田委員
原田副大臣は前回の答弁で、海外での共同訓練は基本的に演習場等で計画的に訓練を実施するものなので、上級部隊へ定期的な報告をさせることは一般的でないというふうに強調されました。岩屋防衛大臣も三月十五日の記者会見で、共同訓練というのは、通常、一々日報をとっているものではありませんと述べています。
それでは、なぜ三つの共同訓練では日報が作成されていたのか、作成の根拠は一体何なのかということが問われると思います。いかがですか。
原田副大臣
お答えをいたします。
陸上自衛隊が海外で実施する共同訓練につきましては、基本的に、今御指摘がありましたように、演習場等で計画的に訓練を実施するものであることから、防衛大臣や上級部隊の指揮官の判断に資するような定時報告を求めることは一般的ではなく、通常、訓練終了時に成果を報告をいたしておるものでございます。
いずれにいたしましても、防衛省においては、陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る定時報告文書の保有状況について、防衛大臣の指示を三月二十九日に発出し、御指摘の三つの共同訓練において定時報告が作成された理由等について今調査中でございます。
穀田委員
二つ言っていますよね。一つは、前回の答弁と同じように、通常の海外でのやつはそういうことはないんだということと、もう一つは、改めて三月二十九日付で大臣指示を発して新しく調べることになったという二つのことを言ったというふうに理解していいですよね。
そうしますと、私は前回の質疑で、三つの訓練でなぜ日報を作成、保有していたのか質問しました。その答えが相変わらずないわけですよ。なぜ日報が、これがあり、こっちはないというのがあるのかという問題が問われるわけですよね。
それでいいますと、今副大臣は、三月二十九日に大臣の指示を発して新たに調査を始めている、それは極めて重大なことだと思うんですよね。問題は、その発する以前に、もともと私がそういう質問をしているのやから、なぜ保有していたのかということについて、保有しているわけですから、そこだけはあるわけですよね。では、既に三週間がそれからたっているわけで、保有する部隊に聞き取りすればすぐわかることなんですね、何で持っていたんやと。
だから、そういうことについて言うならば、私はおかしいと思うんですね。通常、自衛隊という実力組織が上級部隊の指示や命令もなく定時報告を行っていたなどおよそ考えられないということは、誰の目にも明らかだと思うんですね。
そこで、防衛省から提出を受けた二〇一六年度のアークティックオーロラの実施計画があります。これですけれども、こういうやつですよね、そちらが出していただいたやつなんですけれども。その実施計画、ここにあるわけですけれども、陸上幕僚長の指示に添付されていたものです。
この実施計画を見ますと、確かに、報告事項には日報は含まれていません。しかし、陸上幕僚長の指示には次のように書いていまして、実施計画のほか必要な事項については担任官の定めるところによるとの記述があるんですね。そして、実施計画には、その担任官を中央即応集団司令官が務め、訓練部隊指揮官を指名すると定めています。
このことからも、第一空挺団が保有する日報というのは、中央即応集団司令官などの統裁官らが別途定めた必要事項を根拠に作成されたのではないんですか。お答えいただきたいと思います。
原田副大臣
お答えをいたします。
防衛省におきましては、先ほど申し上げましたように、陸上自衛隊の海外での共同訓練に係る定時報告文書の保有状況等について、防衛大臣の指示を三月の二十九日に出しまして、御指摘の三つの共同訓練において定時報告書が作成された理由について今まさに調査をしている最中でございます。
穀田委員
今のを聞いて、本当におかしいと思いませんか。さっきと同じことを言っているだけなんですよ。しかも、私、言いましたやんか。そんなもの、出している部隊があんねやから、どないなってんねんと聞いたらしまいのことですやんか。
全体に調査をかけるなんて、それはそれでよろしいで。今お話があったように、私が前回指摘したときには、大臣の指示としてではなくて、部隊がやっているということでの調べをしているわけですやんか、みんな調べなさいよと言って。ところが、今副大臣がおっしゃったように、今回の新しい調査というのは、大臣が指示しているというのは、新たな段階に、ステージに上げたということは極めて重大な問題だと思うんですよ。
だけれども、今、お話を何回もしていて、同じ答弁をしているだけなんですよ。前回から五回ほど同じことを言っているんですよ。でしょう。五回か六回かちょっと正確ではないけれども、要するに、そんなもの、出しているところが三つある、三つ、あんたのところはどないして出したんやと聞いたらしまいのことですやんか。そんなもの、ほんまにいかがかと思いますよね。
防衛省の調査では日報が発見されなかったとされる他の共同訓練でも、例えば、二〇一七年度に行った米海兵隊とのアイアンフィストの陸上幕僚長の指示でも、やはり同じように、ここを聞いていてくださいよ、計画のほかに必要な事項については担任官である西部方面総監の定めるところによるとされているんですね。その担任官が統裁官を兼ねた訓練部隊指揮官を指名すると記されている。
こうした記述からも、日報が発見されなかったという他の訓練でも、担任官などの統裁官らが別途定めた必要事項、先ほど述べましたよね、必要事項に基づいて日報が作成されていた可能性があると、私は一連の文書を見たってそうだと思うんですね。
そこで、まあ、よう聞きなさい、そんな出てこぬと。原田副大臣は前回の答弁で、先ほど述べたように、通常、訓練終了後に成果報告させていると述べたわけですよね。その成果報告との関連ですが、防衛省の行政文書管理規則、これですけれども、これによりますと、例えば、意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響がないものとして、長期間の保存を必要ないと判断される文書は、保存期間を一年未満とし、廃棄すると定めています。
日報が発見されなかった訓練では、この規定に照らし、当該部隊が訓練終了後に成果報告の取りまとめを行って、日報は長期間の保存を要しないと判断して廃棄したということじゃないのか。
岩屋防衛大臣は三月十五日の記者会見で、残っている記録、日報が少なかったと述べられたわけですが、この発言は、そうした扱いが行われた可能性があることを認識されていたからではありませんか。(発言する者あり)
若宮委員長
速記をちょっととめてください。
〔速記中止〕
速記を起こしてください。
原田防衛副大臣。
原田副大臣
もともと存在したものであるか、あるいは、存在したものを廃棄したものであるのか、それから、もともとなかったものであるのか、その辺のところも含めて今調査をさせていただいておるところでございまして、繰り返しの答弁になりますけれども、共同訓練のうち、相手国との関係から公表していない訓練を除いたものを抽出した上で、みずからの上級部隊に対し定期的に報告した文書の陸上自衛隊における保有状況、作成状況、今申し上げましたように、廃棄の有無等について、今調査をしておるところでございます。
穀田委員
幾ら何でも、調査している、調査している、三月二十九日に始めた、指示を出したと。
思い出してほしいんですが、私が言ったのは、去年五月十日に調べろということで通達したわけですよね。前大臣もいらっしゃいますから、よく御存じかと思うんです。五月の十日に調べろと出したんですよ。十一月末までに調べると言って、報告もしなかったという経過があるわけですよね。これは一年間たっているわけです。
また、さっき、大臣は、残っている記録、日報が少なかったと述べたと。こういう発言についても調査するということになるわけですよね。いいんですね。うんと言ってはりますから、もう一々こっちに来てもらったら、また答弁の時間がもったいないですから。
では、もう一度聞きますけれども、私は、岩屋大臣の発言についても調査をするということを、うんと言ってはるから、極めて大事だと思うんですね。
私は前回の質疑で、日報を含む定時報告文書を保有している訓練と保有していない訓練がどうしてあるのか、保有していない訓練の中には廃棄したものもあるのか、徹底調査を行い、全てを明らかにするように求めたわけであります。そういう点から、そういうものも調査するということで、先ほど言ったようにやるわけですけれども、いつまでにその報告書を上げるんですか。
原田副大臣
お答え申し上げます。
はっきりした、ここで、いつということは、今のところ申し上げることができません。しかし、委員長も先日、早急にというお話もございましたので、鋭意、そのように、報告をできるように対応しておるところでございます。
穀田委員
私は三月二十九日に発している文書を持っていますけれども、防衛大臣の指示ということになっていますが、この期日は六月二十八日までになっていますよ。
委員長と言ったのは、今、若宮委員長のことを指しているんですかね、早くしろと。
私は外務委員会の理事懇で、こんないいかげんな話があるか、六月二十八日だと国会が終わっているやないか、終わっているときに、終わるまでに出して議論に付そうなどという態度はさらさらない、いいかげんにせいと言っているんですよね。去年も五月から一年かけて出し、今度は、指示を出しているけれども、国会が終わってから出しましょうかと言っている。そんなあほなことがあるかというんですよ。ACSAの問題の質疑にもこれは極めて重要なかかわりがあるということを知っていて、こういうことをやるねんからね。
それで、六月二十八日というのは変えるんですか。
原田副大臣
お答えを申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたように、本年六月の二十八日までにということで動いておりますけれども、できるだけ早い時期に御報告をさせていただくべく、今、鋭意努力をしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
穀田委員
理解できませんね。
要するに、国会の審議で質問していて、国会の委員会の場でこの資料提出を要求して、ずっとやっているものをまたやるのかということを言っているわけで、そんないいかげんなことを言ったらだめですよ。
もう時間があれですから、そもそも、安保法制の成立後、海外での共同訓練にどれだけ参加しているかということを聞こうと思ったんですけれども、もう皆さんにお出ししているので、これが出したものであります。
その防衛省が提出した調査対象訓練リストでは、第一空挺団は、二〇一六年度のアークティックオーロラ、配付資料の訓練番号八番だけではなくて、二〇一七年度にも米陸軍とのアークティックオーロラを米国で行っています。それは訓練番号でいいますと二十番です。
それなのに、なぜ二〇一六年度の日報しか保有していないのか。同様に二〇一七年度の日報も作成、保有しているのではありませんか。簡潔にお答えください。
原田副大臣
お答え申し上げます。
今委員御指摘のところも含めて調査をさせていただくということでございます。
穀田委員
あのね、そんな、おたくのところが出している資料の中にあるやつを、これは同じ訓練、年度が違っている、これは出ている、これはない、何でやと聞いているわけですやん。そんなこと、同じ調査をせんかて、聞いたらしまいですやんか。そんなもの、防衛省がおるんやから。こっちは日報が作成されている、同じ訓練でこっちは作成されていない、何でやと聞いているんやから、わかるでしょう、そのぐらいのことは。
原田副大臣
今御答弁申し上げましたように、それも含めて精査中でございますので、直ちに今ここでということは、答えは差し控えさせていただきたいと思います。
穀田委員
皆さん、差し控えるというのは、あるけれどもやるということなんですよ、差し控えるというのは。でけへんというんだったら、でけへんと言ってくださいな。でけへんのでしょう、わからぬから。差し控えるというのは、あるけれども出さないというのが、今は別に万葉集までさかのぼらぬでいいけれども、そういうことでしょう。あかんで、それは。
不可解なのはそれだけじゃないんですよ。
二〇一六年十月から十一月にかけて、陸上自衛隊は日米共同統合演習に参加しているということで、これは訓練番号の十三番、キーンソードと呼ばれるこの演習は、安保法制に基づく初の共同訓練として、重要影響事態を想定し、中央即応集団や西部方面普通科連隊などがマリアナ諸島のテニアン島で水陸両用の作戦の訓練などを行っています。
この訓練の実施計画があります。これですけれども、この訓練の実施計画は、統合幕僚長の指示に添付されていたもので、防衛省が情報公開請求に応じて開示した文書であります。
実施計画では、演習の準備期間と実施期間について定時報告を行うよう求めており、そのための定時報告の様式まで定めているんですね。その定時報告の様式には、具体的には、一、部隊の活動状況、二、安全管理事項、三、予定主要演習行動などについて二十四時間ごとに報告するよう求めている。
なぜこの訓練の日報は発見されなかったんですか。
原田副大臣
お答え申し上げます。
それも含めて、申しわけありませんが、調査中でございます。
穀田委員
委員長、改めてこういうのを、僕は国会の審議に対する冒涜だと思うんですよね。言えば、調べている、調べている、調べている、調べていると。
これは去年の五月からやっているわけですやんか、私。それで、今ごろになって、新しい通達を出した、調べていると。しかも、おたくのところが出している、開示請求に基づく公開情報なんですよね。それも知らぬというわけにはいかぬのですよ。あんたのところが出してへんというのやったら、それはよろしいで。あんたのところが開示請求に基づいて出している。その内容を聞いていたら、調査しますと。そんなあほなことがありますかいな。
出していないというのやったら、調査しますでしまいでしょう。開示請求に基づいてみんなにお知らせしているということについて、それを今ごろになって調査する、それは理が立たぬですよ。そんなことはだめですよ。もう一遍言ってくださいよ。
若宮委員長
もう一度御答弁をお願いいたします。
原田副大臣
繰り返しで申しわけありませんけれども、今調査をしている最中でございますので、御指摘を受けて調査をしている最中でございますので、ちゃんとした答えを今できないということで御理解をいただきたいと思います。
穀田委員
国会質問、論議というのは、おたくのところが出した資料に基づいてやっているものについてまで調査をしているなんて理屈は成り立たないんですよ。
私が独自に提起したというので、しかも、おたくのところが、防衛省が今調べていますというのやったらわかりますよ。情報公開請求に基づいて開示したものについて聞いている。それも調査するといったら、我々国民は、開示されたものについて、それを聞いたら、いや、調査します、そんなあほなことがありますかいな。その内容はどうなっているのか、このとおりかと聞いていますねやんか。
それを、国会の中で、前防衛大臣もいらっしゃいますけれども、私はこの問題について言えば、前防衛大臣、別に名指ししているつもりはないんですけれども、いろいろな方々は、その都度その都度明らかにするということを言ってはったわけですやんか。これは去年の五月から私はずっとやっているんですよ。しかも、情報開示でやったものまで、その内容について、おたくのところが出しているけれども、これは何やと聞いているわけですやんか。それについて調査します、そんなことがありますかいな。だめですよ、そんなの。
原田副大臣
お答えいたします。
これから調査するということではありませんで、今まさに調査をしておるところでございます。
穀田委員
それは違いますよ。さっきどう言いましたか。
ちょっと、私、時間との関係がおかしいと思うんだよね。三月の二十九日に発したという文書があるわけですやんか、これが。それで指示したとさっき言いましたやんか、調査しますと。その前から調査していたんやったら、さっき私が言ったことについて言えば、昨年、前にもう既に出ているものなんやから、答えることができるじゃないですか、それやったら。
そんなわけのわからぬことを言ったらだめですよ、そんなこと。そんな、時間を費やすだけの、質問を浪費させるという政府のやり方は間違っていますよ。私は納得できませんよ。
原田副大臣
お答えをいたします。
今お示しをいただきました訓練につきましては、先般の調査では該当文書が確認されておりませんけれども、時間をいただいて確認をさせていただきたいと思います。
穀田委員
いつまでにやるのかというのが一つ。
それと、何度も皆さん方は、共同訓練では一々日報をとっていないということを言って、定期的な報告をさせることは一般的でないと説明してきているわけですよ。しかし、このキーンソードでは、さっき言ったように、報告様式、三つの話をしましたよね、報告様式まで定めて日報の作成を求めているんですよ。にもかかわらず、防衛省の調査では、この日報も、今おっしゃったように、発見されていないと。
だって、自分のところで発見できない、ところが、情報公開では出している。あるということじゃないですか。だから、そういうことについては、改めて調査を行うことを理由にして、御自身の答弁にかかわる重大な疑問に正面から答えようとしない、しかも、時間を無為に過ごさせるということは、私は許せないと思うんですよね。
したがって、日報作成は義務づけていない、一々とっていないと言いながら、実際は報告様式まで定めて日報の作成を義務づけている。もはや、これは防衛省の行政文書の取扱いレベルの話ではないと私は思うんですね。重大な虚偽答弁に当たる問題で、南スーダンやイラクの日報に続く、今お話ししたように、新たな日報隠しともいうべき問題だと思うんです。
したがって、委員長に要請したいんですけれども、本委員会で、原田副大臣の答弁にかかわる問題、つまり、今お話があったように、事実関係を調査して、その結果を資料として提出することを要求したいと思います。
若宮委員長
後刻、理事会で御協議します。
穀田委員
大臣、申しわけありません。日豪円滑化地位協定、いわゆる円滑化協定について質問する予定でしたけれども、やめろと言うてはりますので、済みません、やめさせていただきます。