京都市の観光公害とまち破壊について

2019年02月27日

伊藤主査

これにて佐藤英道さんの質疑は終了いたしました。
次に、穀田恵二さん。


穀田分科員

日本共産党の穀田恵二です。
まず、国土交通省にお聞きします。
二〇一六年三月に策定された明日の日本を支える観光ビジョンで訪日外国人旅行者数の目標をどう掲げているか。二〇二〇年、二〇三〇年の目標についてお尋ねします。


田端政府参考人

お答えいたします。
明日の日本を支える観光ビジョンにおきましては、当時のインバウンド市場の趨勢や世界の旅行市場の動向等を踏まえるとともに、さらなる政策的な努力を上乗せし、一層の高みを目指すための目標を定めております。
具体的な目標といたしましては、訪日外国人旅行者数につきましては、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人を目指すということにしております。


穀田分科員

政府は、従来目標だった二〇二〇年二千万人、二〇三〇年三千万人の目標設定を大幅に前倒しをするとして、今お話しあったように、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人、それまでの二倍の目標を再設定し、新たな目標に向かって進むと決めました。
政府の観光ビジョンでは、観光はまさにGDP六百兆円の達成の成長戦略の柱、国を挙げて観光を我が国の基幹産業へと成長させ、新たな挑戦に踏み切る覚悟と書いています。
しかし、こうした過度に大きな目標設定を行い、これをしゃにむに進めることが、三大都市圏を中心に観光公害とまち壊しを加速させている。もともとの観光立国推進基本法、観光政策審議会答申では、観光の目的、理念として、豊かな国民生活の実現、つまり、「住んでよし、訪れてよし」の実現がうたわれていました。
今、無秩序に観光バブルを呼び込むことで、住民生活が脅かされ、結局、地域住民が観光客を迷惑だと感じる不幸な状況、また、観光客にとっても、観光の魅力、すなわち満足度が低下する状況が生まれています。これは、もともとの観光立国戦略の理念であった「住んでよし、訪れてよし」にも逆行するのではないかと思うんですが、石井国交大臣の見解をお聞きしたいと思います。


石井国務大臣

本格的な人口減少時代を迎えた我が国にとりまして、観光は成長戦略の柱であり、地方創生の切り札であります。また、観光は我が国の基幹産業となることが期待をされております。
他方で、特に京都市を含む三大都市圏における主要観光地におきましては、外国人旅行者の急増も一因といたしまして、混雑やマナー違反等に伴うさまざまな課題が意識されるようになっております。
観光ビジョンに掲げる観光先進国の実現に向けましては、こうした課題に適切に対処し、地域住民の理解と協力を得ながら、持続的に観光の発展を図ることが必要であります。
国土交通省では、こうした観点から、観光庁に持続可能な観光推進本部を設置をいたしまして、京都市を始めとする地方自治体から、課題の実態や先進対策事例の把握に努めているところでありまして、その結果を踏まえ、所要の対策を講じてまいりたいと考えております。


穀田分科員

今ありましたけれども、観光公害といいますか、オーバーツーリズムといいますか、そういうものを調査するということがいよいよ大事になってきていると思うんです。
私は、東京、京都、大阪を結ぶゴールデンルートに外国人観光客が集中することで、オーバーツーリズム、この弊害が日本を代表する大都市地域全体に広がることを強く懸念しています。現状でも観光客が飽和状態の上、これを放置したまま、東京オリンピック・パラリンピックに向けた過度な目標を掲げた誘客政策をとれば、京都を始め大都市部の混雑は一層深刻化し、住民生活は一層脅かされる。こうした事態は私は放置できないと思っています。
そこで、今お話しありました京都市、私が住まいする京都市について少し踏み込んで聞きたいと思います。
私ども日本共産党は、京都市内で数回、京都のまち壊しをテーマにシンポジウムを開催し、住民の皆さんの切実な声をお聞きしてまいりました。問題は深刻であります。
日本を代表する和装伝統産業の中心地、西陣地域の参加者は次のように語っています。町家が次々と民泊に変わり、大きなスーツケースを引いた外国人が町にあふれている。路地ごと中国資本に土地が買われる。大げさでなく、今の状態は応仁の乱以来のまち壊しが進行していると発言されました。
さらに、明治維新の後、当時の住民自治組織であった番組を単位として京町衆の手によって建てられた番組小学校の跡地が、今、京都市によって大手のホテル業者に提供されています。地元の不動産業者からは、幾ら何でもやり過ぎだろうの声が上がっているほどであります。地元紙はこうした状況を観光公害とまで表現し、連載記事まで今書かれています。
京都市内のお年寄りにとってみますと、バスは通院や買物など重要な生活手段であるが、大型のスーツケースを持った観光客で飽和状態となり、特に金閣寺、清水寺など観光地周辺では、住民はバスにも乗れない。まさに公共交通から排除される事態が起こっています。
京都の町衆は、今のまち壊しの状態を、京都のまち全体が焼け野原となった、先ほど述べましたが、応仁の乱以来のまち壊し、京都が京都でなくなると言っていますが、これを大げさなことと思うか、ここに私は政府の観光戦略の弊害が集中的にあらわれていると考えるわけですが、その辺の認識を大臣にお聞きしたい。


石井国務大臣

古民家等は、日本文化や伝統を継承する貴重な歴史的資源であり、その保全とともに、観光への活用を図ることが重要と考えております。
そのため、各地域で古民家等を再生、活用する取組を支援するとともに、京町家等を民泊に活用する場合においては、昨年から施行されております住宅宿泊事業法により、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルへの対応を求めるなど、地域社会との共生を図るための一定のルールを定めております。
国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁や関係自治体などと協力をいたしまして、持続可能な観光地づくりに取り組んでまいりたいと考えております。


穀田分科員

京都の実態は、持続可能でない事態に陥っているというところが大事でして、民泊新法などというものについて言うならば、ほんまにこれ、私、当時質疑して覚えていますけれども、絶対地下に隠れる、表に出すさかいにこれをつくったと。出てしませんで、全部潜ってますがな。
そこで、京都のまち壊しは今、二つの問題に端的にあらわれています。
永岡文科副大臣に聞きますが、一つは、観光客の増加に対応するために、ホテルの建設ラッシュによって、異常な地価の高騰。いま一つは、京都市による高さ規制の緩和の動きであります。
地価の高騰はバブル期を上回る勢いで、京都市では、下京区で前年比二〇・八%も高騰しているのを始め、全行政区で異常な高騰ぶりになっています。
ホテル建設ラッシュの影響は、今、京都の重要文化的景観にも及んでいます。
京都岡崎地域は、国が文化財保護法による重要文化的景観として認証している地域で、平安神宮から南禅寺、南禅寺水路橋の一帯であります。独立行政法人国立文化財機構が発行している「文化的景観全覧図」、これなんですけれども、これによりますと、京都岡崎の文化的景観全覧図として鳥瞰図が載っているんです。
この鳥瞰図でもわかるんですが、ようできていますわ、これ、ほんまに。それで、私が問題にしているのは、同じ文化財保護法で国が名勝と指定している無鄰菴があります。空き地が隣にあるんですけれども、高さ四階建ての十三・九メートルのホテル建設の計画が持ち上がっています。
無鄰菴は、もともと明治、大正の元老山県有朋の別荘であって、配付した資料、皆さんにお配りしているわけです、写真にあるように、無鄰菴庭園からの眺望をホテルが一部遮る形になります。これがそうなんですけれども、今お渡ししている、一番左端がホテルで、中央部が無鄰菴の建物で、視点AからFが無鄰菴庭園からの眺望であります。全ての地点からホテルが見える。配付しているのが、このカラーのものですけれども、これが一番遠い視点、Eからの眺望であります。
現在、事業者からは建築の許可申請が提出されており、地域住民は、京都市眺望景観創生条例第七条に基づいて、無鄰菴庭園からの眺望景観保全を求める提案書を提出しています。
国が重要文化的景観と認定している地域でホテル建設が行われる、これでは国が指定した文化的景観、眺望景観が台なしになるわけですが、副大臣はどうお考えになりますか。お聞きしたい。


永岡副大臣

御質問ありがとうございます。
文部科学省といたしましては、重要文化的景観の保護につきましては、文化財保護法ですとか、また、当該自治体によりまして作成されました保存計画等に基づいて適切に保護されるように対応してまいりたいと考えております。


穀田分科員

いやいや、適切でないから聞いているわけで、適切になってへんけれども、どない思わはりますか、こう言っているわけですよ。
見たらわかるように、これが眺望ですねん。ここが無鄰菴の一番高いところで、ここにこう出ちゃうわけですやんか。これが全部のところから見える。これは端っこの方だからまだええけれども、一番手前の方へ行くと、もう全部見えるわけですやんか。眺望が台なしだと。
そこで、京都市眺望景観創生条例、この条例の趣旨は、今、京都市と協力してと言ってはりますから、京都市景観計画によると、「眺望景観は、「公共の財産」であるということを認識し、市民や事業者等の意識啓発に努めるとともに、市民等からの提案を受けて積極的に眺望景観の保全、創出を図る。」とあるんです。まさに、事態を心配する市民の提案を受け入れてこそ、条例の趣旨が生かされるんではないですか。
そこで、この点は指摘しておきたいと思うんですが、問題は、京都市の問題、地方の問題にとどまらないで、これが、国が関与している点が多々あるということなんですよ。
お聞きしますけれども、まず、京都岡崎地域は、先ほどありましたように、文化財保護法及び重要文化的景観に係る選定及び届出等に関する規則、これに基づいて、京都市の申出を受け、文科大臣が選定しているわけですよ。その際、京都市から、この選定申出書を出すに当たって、どういう保存のための保護や保存の努力を行うということが記されているか、お答えいただきたいと思います。


杉浦政府参考人

お答え申し上げます。
京都岡崎の文化的景観の重要文化的景観の選定において、京都市から提出されました選定申出書には、京都岡崎の文化的景観保存計画を踏まえ、重要文化的景観の対象を琵琶湖疏水・白川沿岸エリア、南禅寺・別邸群エリア、岡崎公園エリアの三エリアで構成するとして、その各エリアの価値等を踏まえた今後の保存方策の方向性について記載されております。
保護の手法ということでは、三つ類型が定められておりまして、一つ目は、核となる文化遺産の保護として、重要文化的景観の範囲内の南禅寺や平安神宮等の文化財を重要な構成要素に特定し保護すること、二つ目は、京都市都市計画マスタープランの中に文化的景観を位置づけ、文化的景観の継承に向けた規制、誘導を図ること、三つ目は、地域住民への価値の周知やまちづくりの働きかけ、来訪者へのガイダンス施設の、サインの整備、関連部局との連携等に取り組むことが記載されております。


穀田分科員

今ありますように、そういうエリアを、核となる文化遺産の保護、そして景観の継承に向けた規制、誘導、それで住民の協力、こうなるわけですよね、副大臣。ホテル建設によってこういう核となる文化遺産、文化的景観が壊される事態は許されないということなんですよ。
そこで、文科大臣は、京都市が提出した選定申出書の約束を了として選定しているわけです。だから、選定権者である文科大臣は、その約束を果たさせるべきではないか、これは当たり前のことなんです。
しかも、京都市は、申出書で京都岡崎を重要文化的景観に指定する意義をどう語っているか、そこをちょっと言ってみましょう。「文化的景観価値を将来にわたって継承することを目的としたものであると同時に、将来的な京都全体の文化的景観の継承に向けた取組の橋頭保とする」とまで言っているわけですよ。
つまり、ここの景観は大事で、将来にわたって維持するというだけじゃなくて、これが一つの見本であり、今後の重要ないわばスタートになるものだ、こう言っているわけですよ。
そうしますと、国としては、選定申出書に基づく履行をきちんと求めるべきじゃないのか。だから、一般論を聞いているんじゃなくて、そういう意味でいいますと、そういう受渡しはそれでやっているというんじゃなくて、そのことがどういうことなのかということを聞いているわけです。


永岡副大臣

御質問にお答えいたします。
重要文化的景観の保護の仕組みにつきましては、都道府県、市町村、今回は京都市になろうかと思いますが、文化財保護法などの法令に基づきまして、当該自治体で議論を重ねて保存計画を策定をいたしまして、その選定を国へ申し出る制度でございます。
こうしたことから、具体の課題などが生じれば、一般的に申し上げれば、申しわけないんですが、まずは当該自治体がその対応について判断をし、そして、法令上の課題があれば、必要に応じて国に相談、協議等があるものと考えております。
先生のおっしゃるように、御指摘のような具体の建物の計画については、まずは、今お話ししましたように、条例等に基づきます権限を持つ京都市におきまして適切に判断されるものと考えているわけでございますけれども、京都市から相談があれば、文部科学省としても、文化財保護法にのっとりまして適切に対応をしてまいる考えでございます。


穀田分科員

選定しているわけですやんか。申出に基づいて選定している、こういう仕掛けなんですよ。だから、京都市が困ったらどうやこうやと言っているんじゃなくて、選定を受けるに当たっての申出が確実にやられているかということについて、注意し、目を光らせるということが必要だ、そういうことをしているのかということを言っているわけですよ。
もう一つ、国の関与として重要な問題は、じゃ言いましょう、文科省が所管している文化的景観保護推進事業国庫補助というのがあるということなんです。その対象は、一、調査事業、二、保存計画策定事業、三、整備事業、四、普及啓発事業となっていて、国として文化的景観保護のための施策を講じているわけですよ。この補助事業は既に十年間続けられており、昨年度は二億六千三百万円の補助金を出しています。
そこで聞きますけれども、重要文化的景観と指定された京都岡崎地域では、現在、京都市において補助事業のための整備計画を策定中と聞くけれども、間違いありませんか。


杉浦政府参考人

お答え申し上げます。
おっしゃるとおりでございます。


穀田分科員

政治家として、改めて聞きますけれども、要するに、こういうふうに、今お話ししたように、申出書があり、それを認定する制度がある、もう一つは、補助事業があって金を出す、こういう仕掛けになっている。だから、国の関与というのは、認定すると同時にそれを保存するためのさまざまな施策について援助する、こういう仕掛けになっているんですよ。それはわかりますよね。
そうしますと、この補助事業の趣旨は、文化的景観の保存を図るための事業に要する経費を補助するとある。したがって、今お話しありましたように、そういう計画をされている、補助の申請をする計画を策定中だとしますと、京都市において作成しているものについて、補助事業者として、こういう趣旨が生かされているかどうかということについて対応すべきだと思うんですが、いかがですか。


永岡副大臣

お答えいたします。
京都市におきまして、そこのところの先生がおっしゃるような問題があるという認識に立ち、相談があれば、しっかりと相談に応じさせていただく所存でございます。


穀田分科員

申出がある、認定したと。認定権者なんですよ。認定している方は、この申出のとおりやっているのかということを確かめなかったら、日本の将来にわたって文化財を保護するというようなことについて言っているわけでしょう。だから、あっちが何か言ってきたらじゃないんですよ。もともとそういう約束で指定しているのやから、大丈夫かと見るのが当たり前じゃないですか。
しかも、次に補助事業の申請があるわけですやんか。あるんでしょう、用意されているのやから。そういう内容が、今、金を出すに当たって、きちんとやっているかということについて見るのは当たり前と違うかということ、それが国のいわばこの問題にかかわる二つのかかわり方の起点ではないのかということを言っているんです。それはいいんですね。


永岡副大臣

例えば、国指定の文化財そのものに影響が生じるなどといったような事態があれば、文化財保護法の規定に基づきまして、直ちに対応がとられるところでございます。これは必要に応じまして国が指導に入ることも考えられます。
このような仕組みによりまして、重要文化的景観の保護が図られるというところでございますので、文部科学省といたしましても、文化財保護法にのっとって適切に対応をしてまいりたいと考えております。


穀田分科員

何かというと適切に対応するって、適切に対応したためしがないから言っているんですよ。だあんと放りっ放して、そんなもの、ばんばんホテルは建つわ眺望は見えなくなるわ、そういうことについて、例えば、先ほど言いましたけれども、無鄰菴もそうですけれども、隣にある瓢亭というのは、四百年の歴史を持つ、朝がゆの料理屋さんですよ。四百年前の図絵にも描いているんですよ。四百年、営々として守ってきたわけですよ。今後四百年、また守らんならぬわけですよ。そういうことのために今そういう開発だとか許してええのか、たまたまの金もうけのためにという話を今しているわけですよ、私は。
それで、じゃ田中大臣政務官に、関係して、京都の方でもいらっしゃいますから、ようわかるやろうと思って、眺望景観について聞きたいと思います。
都市計画法の中には美観地区という制度がありましたが、二〇〇四年にできた景観法では、位置づけを高めて景観地区を指定し、景観の維持だけでなく、今後の景観形成のための誘導を図るとしています。例えば、鴨川の河川敷から京都東山の山並みを見るように、ビューポイント、視点場と言ってもいいんですけれども、と視対象を決め規制する、すなわち、大切な山並みや文化財の景観が遮られないように建物を規制する。制度は大きく前進しました。
京都の世界遺産は十七カ所の文化財を中心に登録されているが、これら個々に世界遺産になっているわけじゃないんです。東山、西山、北山、京都の三山の山並みも含めた古都京都の文化財がまとめて世界遺産と認定されているわけですよ。
私も実際に見てきました。無鄰菴では、この眺望という点を強く意識した庭園づくりが行われています。
無鄰菴の作庭にかかわったのは七代目小川治兵衛さんです。ひ孫に当たる十一代目の小川治兵衛さんの記した「植治の庭」によりますと、自然の摂理、法則を大切にして庭園をつくりました、つくられた庭の中に自然ができ上がり、そこに導入部分をつくったとき、初めて周りの山は呼び込まれて同化していきます、借景といいますけれども、景色は借りるんやないんです、山が自然に向こうから入ってきはるんですと無鄰菴の作庭の考えを述べています。そして、眺望のさまざまな工夫を凝らしたことを語っています。
今回のホテル建設は、無鄰菴及び庭園の文化財としての価値を著しく破壊する行為であり、景観法に言うところの景観形成の誘導どころか、これに真っ向から反するものではないのか、先人の守り育ててきた京都の文化的景観を台なしにする所業ではないかと私は思うんですが、認識はいかがでしょうか。
〔主査退席、盛山主査代理着席〕


田中大臣政務官

お答えいたします。
景観法において、良好な景観は、各地方公共団体が地域の特性に応じて多様な形成を図ることとされております。
具体的には、各地方公共団体におきまして、景観法に基づく景観計画の策定等を通じて良好な景観の形成に取り組むこととされております。
京都市におきましても、良好な景観の形成のため建築物等の制限を行う区域において景観計画を策定し、風致地区も含めた都市計画規制等も活用して、各地域の特性に応じた制限を行っているところであります。
御指摘の無鄰菴及びその近隣地域については、京都市風致地区条例に基づく風致地区に指定されており、良好な景観の保全のために必要な規制が行われていると承知いたしております。


穀田分科員

そういう風致地区によってやっているという、やっていないから意見を述べているという話、さっきしましたやんか。京都市眺望景観創生条例ではこう書いている、そういう問題を提起しているやないかという話、聞いてへんのやったらそれでよろしいで。聞いているのやったら、それとの関係、物を言わへんなんだら、そんな、京都市の代弁者では困りまっせ。それはあきまへんで。
和食がユネスコの無形文化遺産に指定されましたが、京都を代表する、先ほど言いました瓢亭の御主人は、和食料理として初めて京都府指定無形文化財に指定されています。実はこの瓢亭がホテル建設地に隣接していて、ホテルが建てば瓢亭は上から見おろされ、大きな打撃を受けることになります。
私は、瓢亭を始め、関係者の意見を聞いてきました。ホテル建設の施工業者も設計業者も東京資本であり、地域住民は、東京のディベロッパー、東京の人は京都の景観を破壊しても心が痛まないと痛烈に批判していました。そして、具体的な要望としては、ここからです、周りは低層の建造物だ、自然や景観、文化財、私ども近隣と調和がとれるよう、少なくとも高さをもっと引き下げてほしい、そういう話合いをしたいのだが、東京の方は、書面上は問題ありませんのでと全く聞く耳を持たないと怒っておられる。
先ほど触れましたけれども、無鄰菴の庭園からの眺望景観保全を求める住民の提案書では、背景に建物が突出して観望できる事態を避け得る範囲で建物の高さを規制する、このことを求めているんです。しかもそれは、先ほど言いましたように、そういう条例もあるのやから、そっちの方も含めてきちんとやったらどうやということなんですよ。
だから、文化財と文化的景観の維持、保全のために、せめてこの程度のイニシアチブを発揮すべきではないですか、政務官。


田中大臣政務官

お答えいたしたいと思います。
高さのことに関しましてでありますが、風致の五種、十五メーターという高さ、それ以内でおさめているというふうに聞いておりますので、そういった意味では京都市が適正に対応していると思っております。


穀田分科員

何回も言いますけれども、京都市眺望景観創生条例というのがありまして、それでやればもうちょっとやれるんですよ。そういう問題を含めて、きちんとした話合いを持ったらどうやというのが趣旨ですやんか。
お互いに京都に住んでいる者として、あの京都が、嵐山も含めて、京都の景観が台なしになる、将来。我々、四百年は生きているわけじゃないんだけれども、四百年後にこんなことになったら、これはえらいことですやんか。だから、今我々としては言っている。
だから、先人が言っている、先ほど言いましたように、景観を破壊してしまっては大きな禍根を残すことになる。観光立国の考え方にも反する。しかも、景観法に基づく景観行政を担う部署との連携が不可欠だということで文化庁は言っているわけです。その景観法を所管するそういうところが、もうちょっと両方力を合わせて京都の景観を守ろうやないかということで御努力なさることが私は肝要だと思います。
そういう立場で今後とも私は努力する、皆さん方もそういう努力をしてほしいということを述べて、終わります。