日米地位協定と米軍の軍事空域について
2019年02月22日
野田委員長
これにて大西さんの質疑は終了いたしました。
次に、穀田恵二さん。
穀田委員
日本共産党の穀田恵二です。
質問に入る前に、昨夜、北海道胆振地方で発生した震度六弱の地震で被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げます。
昨年九月の地震から半年もたっておらず、地盤や住宅は被害を受けやすくなっています。政府においては、被害状況を正確に把握し、二次災害の防止を始め、安全で安心の生活の確保に万全を期すことを改めて私からも要求しておきたいと思います。
今回は、私は、日米地位協定と米軍の軍事空域の問題について質問します。
昨日、私の資料要求に対して防衛省から提出された資料によれば、日米地位協定に基づき政府が米軍に使用を認めている訓練空域、これは、現在、本土及びその周辺に計八カ所、沖縄県及びその周辺に計二十カ所あると報告がありました。
このほか、首都圏には、日本の主権が及ばない米軍横田基地が航空管制権を握る空域が存在します。それがいわゆる横田空域であります。
皆さんにお配りしている資料一をごらんいただきたいと思います。
横田空域は、東京、埼玉、神奈川のほか、新潟、静岡、福島の一部など、一都九県に及ぶ広大な空域です。羽田空港や成田空港に離着陸する民間機は、米軍の許可なしに空域内を通過できない。そのため、民間機は横田空域を避けて飛行せざるを得ず、空路の過密化で航空機同士が異常接近するニアミスも起きています。
首都圏には、日本の領空でありながら主権が及ばない広大な米軍管制空域が存在し、米軍が低空飛行や対地攻撃訓練、パラシュート降下訓練などを繰り返しています。戦後七十年以上たった今、今日、こんな状態が続いているのは極めて異常だと言わなければなりません。
政府は、先月末、横田空域を一部通過する羽田空港の新たな飛行ルートについて米軍と基本合意したと発表しました。都心を航空機が低空で飛ぶことには、関係自治体の住民から、騒音や部品落下などへの不安が多く寄せられています。
そこで、河野外務大臣に聞きます。
政府が横田空域の航空管制業務を米軍に行わせている根拠は一体何なんでしょうか。
河野国務大臣
昭和五十年、一九七五年五月の航空管制に係る日米合同委員会合意が、米軍がその航空管制業務など空域を管理していることの法的根拠、法律上の根拠などを記している日米合同委員会関連の文書に当たるものと認識をしております。
穀田委員
今、大臣答弁の航空管制に関するいわゆる合意というのは、皆さんにお配りしている資料二にありまして、外務省が公表した一九七五年五月の航空交通管制に関する日米合意の第一項目めです。
これの第一項目めを見ますと、「日本政府は、米国政府が地位協定に基づきその使用を認められている飛行場およびその周辺において引続き管制業務を行うことを認める。」と記されています。
河野大臣、このわずか二行だけで一都九県に及ぶ広大な横田空域の管制業務を米軍に行わせているというんでしょうか。私は、おかしいんじゃないかと。たった二行に基づいてやっている、それの具体的取決めは全くないのかということについて、いかがですか。
河野国務大臣
日米地位協定の側面について申し上げますと、そもそも、昭和二十七年、一九五二年に作成されました日米行政協定第六条において、全ての非軍用及び軍用の航空交通管理及び通信の体系は、緊密に協調して発展を図るものとされ、この協調及び整合を図るための必要な手続及びそれに対するその後の変更は、両国の当局間の取決めによって定める旨、規定をされておりました。
これを受けて、昭和二十七年に、日米合同委員会において、一時的な措置として、米軍が我が国における全ての航空管制業務を実施することとなりました。
その後、我が国における管制施設及び要員の拡充を受け、米軍の管制空域は順次削減され、例えば、昭和三十四年の日米合同委員会においては、横田空域等の米軍に提供している飛行場周辺の空域を除き、日本側が日本国内の空域の管制を全て行うこととなりました。
こうした経緯を経て合意されたのが、先ほどの昭和五十年の日米合同委員会合意でございます。
この合意では、米軍は、米軍飛行場及びそれらに隣接し又はそれらの近傍の空域において航空交通管制業務を引き続き実施するということを再確認いたしました。
これらの後、嘉手納空域を始め、順次各地の管制が日本側に移管されてきており、また、横田空域についても八次にわたり空域の削減を行ってきておりますが、横田飛行場の進入管制空域については、現在も米軍が進入管制業務を実施しているものでございます。
穀田委員
私は、たった二行で、そんなことで決まるのかと。その経過についてはそのとおりの側面もあります。しかし、一時的だとか、いろいろなことがありまして。
メディアでも、日本の空の管制は航空法に定められている、日本の領空なのに米軍の許可を得て飛行するという理不尽がなぜまかり通っているのか、こう言っているわけですよね。だから、そういう点でも私は全くおかしな話だと思うんです。
石井国交大臣に確認したい。
国交省には、この外務省が公表した航空交通管制に関する日米合意のほかにも、米軍が横田空域の管制業務を行う根拠を記した米側との合意文書があるのではありませんか。
石井国務大臣
横田空域におきまして米軍が管制業務を行う根拠は、昭和五十年の日米合同委員会におけます航空交通管制合意のみであると認識をしております。
穀田委員
本当にそうですかね。
私は、ここに、米軍が横田空域を管理していることの法的根拠がわかる文書等の不開示決定に関する資料というのを持っています。これは、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が提出した、二〇一七年三月十五日付の答申書です。これなんですけれどもね。
この答申書を見ますと、国交省には、米軍が横田空域の管制業務を行う法律上の根拠を記した日米合同委員会関連の文書が存在すると記されています。それしかないというんじゃなくて、ここには不開示と言っているけれども、そういう文書があるということについて述べているということなんですけれども、そうじゃないんですか。
石井国務大臣
先ほど申し上げたとおり、横田空域において米軍が管制業務を行う根拠は、昭和五十年の航空交通管制合意のみであると認識をしております。
穀田委員
同じ答弁を繰り返しただけで、私は、こういうことを言っているけれども、違うのかと言っているわけで、それじゃ議論にならぬじゃないですか。
しかも、では、少し言いますと、審査会の答申書には、政府が米軍に横田空域の管制業務を行わせている根拠を記した英文の日米両政府間の合意文書があるとこの文書には書いていて、それは不開示だという話をしているんですよ。日米合同委員会には、下部機関として、国交省の航空局交通管制部長を日本側代表とする民間航空分科委員会が置かれています。文書があることは明らかであります。そのことを正直に答えず、国会に隠し、米軍が自由勝手に使える広大な管制権を認めている、これはとんでもないことだと思います。
沖縄県の翁長前知事は、生前、憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会があると批判しましたが、まさにそのとおりだ。およそ独立国とは言えない、属国的な態度と言わざるを得ません。同じ答弁を繰り返して、ないないと言い張るその態度には私は恐れ入ったという気がいたします。
防衛省の提出資料では、沖縄県及びその周辺には米軍の使用を認める訓練空域は約二十カ所あるということは先ほど言いました。それに加えて、アルトラブと呼ばれる広大な空域が存在する。
石井大臣、アルトラブとは一体どういうものですか。
石井国務大臣
アルトラブとは、一時的に設定をいたしました一定の空域の中に一定時間他の航空機が飛行しないようにする管制業務上の措置であります。この措置は、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものであります。
穀田委員
アルトラブとは、日本語で高度留保とも訳されます、米軍による制限空域のことであります。
配付資料の中に、二というところを先ほどお示ししましたが、先ほどの一九七五年の航空交通管制等に関する日米合意の五項目めにそれが定められたものです。
今、大臣は、アルトラブについて一時的なものと強調されましたけれども、実際はそうではありません。
資料三を見てください。これは、嘉手納基地の第一八航空団が二〇一六年十二月に作成した、空域計画と作戦と題する資料です。
これを見ますと、米軍は沖縄周辺に固定型のアルトラブを設定しています。その規模は、既存の訓練空域の大半を内側に抱え込む広さで、総面積は既存空域の一・六倍にも及んでいます。空中給油を行う空域も複数箇所に設定しています。
この地図は、皆さんにお配りしている上の地図は、下が米軍の資料で、それをわかりやすく沖縄タイムスが絵解きをした図であります。
そこで、岩屋防衛大臣に聞きます。
防衛省は、米軍が沖縄周辺に固定型のアルトラブを設定し、訓練空域を事実上大幅に拡大している実態を把握しておられますか。
岩屋国務大臣
米軍が、国土交通省と調整の上に、先ほど来お話が出ておりますアルトラブというものを設定をしているということは承知をしております。
穀田委員
アルトラブ一般、先ほど述べた国交大臣は、一時的云々かんぬんと言ってはりましたわな。聞いてはりましたやろ。
そこで、私は、固定型アルトラブというのもあるでという話をしたわけですよね。そして、事実上、この空域をがばっとふやしているということを指摘したわけで、それを知っているかと聞いたわけですよね。知ってはりますか。
岩屋国務大臣
アルトラブは、先ほど国交大臣からお話がありましたように、継続的なものではなく、時間の経過により終了するものであるというふうに承知をしております。
穀田委員
同じことを言ってもだめですよ、それは。
固定型アルトラブの設定というのは、米軍がみずからホームページで公表しているものなんですね。だから、その実態について、そんなええかげんな話をして、一時的だとかどうやとか言っている話では、到底納得を私はできないと思います。
米軍は固定型のアルトラブを公表しているわけで、にもかかわらず、政府は、アルトラブが一時的だ、一定時間のものだとして、結局、航空路、道筋、航空路図にも掲載していないんですよ。そのために、飛行回避や迂回の指示があっても、民間機の乗務員はその存在すらわからない。とんでもないことですよ。(発言する者あり)そうなんです、危ないんですよ。
パイロットや管制官、客乗、客室乗務員などでつくる航空安全推進連絡会議は、民間航空機の安全で効率的な運航の妨げになると指摘しています。岩屋大臣はそういう認識はございますか。
岩屋国務大臣
先ほども申し上げましたが、このアルトラブ、空域の一時的留保につきましては、国交省と米軍との間で調整し、設定しているものと承知しておりますので、民航機への影響に関しましては国交省にお尋ねいただきたいと思います。
穀田委員
いや、安全にかかわる問題やから、ちょっと聞いてみたら、すぐそう言って、そんな、人に振ったらあきまへんで、それは。そういう言い方じゃなくて、米軍の訓練空域が拡大しているという問題なんですよ。
だって、地元紙は、このように、米軍訓練空域が大幅に拡大していると。これは全部、琉球新報や沖縄タイムスは指摘しているんですよ。これが二年間で六割増になって、訓練によって設定が常態化しているとまで触れているわけですやんか。
私は、この問題について、それは国交省の問題だなんと言っているようじゃ話にならぬと思うんですよ。訓練によって起きている問題がどないなっているかということについて、人の命の安全にかかわる問題について、それはそっちの問題やでというような話をしていたんじゃ、それはあきまへんで。人の命をほんまに守る意味でどうなんやと私は思いますよ。
そういう意味じゃ、大体、こういうときに必ず米軍が、自分のところのやり方、円滑なそういう活動の確保ということでやってくる。私は、驚くべき認識だと思います。
その問題について言うならば、沖縄における琉球新報、沖縄タイムスなどは、この問題をたびたび報じているわけですよ。そして、民間機を優先すべきだということで、軍用と民間という問題についてわざわざ話を設定して安全問題について触れているから、言っているわけですよ。
沖縄では、昨年十一月、米海軍のFA18戦闘機が南大東島の沖に墜落する事故が起きています。それから、同じく嘉手納基地所属のF15戦闘機が那覇沖で墜落する。二〇一六年十二月、名護市の海岸に普天間基地所属のオスプレイが墜落する。こういった事故はたびたびあって、今でも記憶に生々しく残っています。
日本復帰後、沖縄県内、本土復帰後発生した米軍機の墜落事故は、五十件に上っています。米軍機が年一回を超えるペースで落ちて、県民の命や暮らしが脅かされている。だからこれを聞いているわけですよ。
沖縄周辺のアルトラブをめぐっては、一九八四年六月二十九日の衆議院沖縄北方特別委員会で、我が党の瀬長亀次郎議員が追及した際に、外務省の山下大臣官房審議官は、瀬長議員に次のように答弁しています。
日米間で一艦一機と申しますか、個別の軍用機等の行動に関してはこれを明らかにしないという合意があるのではないかと思います、したがいまして、アメリカ側の了承なしに御説明はできない、このように答えているわけです。
河野大臣、一九七五年の航空交通管制に関する日米合意に関し、アルトラブについて公表しないという密約が交わされているのではありませんか。
河野国務大臣
日米合同委員会やその下部組織での合意事項、議事録の一つ一つについては、日米双方の同意の上、公表するということにしております。これは、日米間の忌憚のない意見の交換や協議を確保するためであるとともに、これら合意には米軍の運用にかかわる情報が含まれていることがあるためでございますので、今後とも、合意の上、公表するということに努めてまいりたいと思います。
穀田委員
だから、そうすると、公表しないという密約があるんじゃないのかと聞いているわけですよね。問題は、なぜそうした答弁を繰り返すのかということであります。
私、新しく資料を持ってまいりまして、これですけれども、「米軍航空機の行動に関する情報の不公開について」と題する、秘・無期限扱いの覚書があります。一九七五年四月三十日付のもので、英文の文書とその仮訳があります。仮訳は、運輸省航空局の用紙に手書きで、これが手書きですね、次のように書かれています。そのまま読み上げます。
(仮訳)
議事録は両国政府の公文書と見做し、双方の合意なくして公表しないものとする。
覚書
昭和五十年四月三十日
標題:米軍航空機の行動に関する情報の不公開について
一、関連文書
a、航空交通管制に関する昭和二十七年(一九五二年)の合意およびその第三付属書
b、昭和四十九年(一九七四年)十二月十二日付け民間航空分科委員会の勧告:航空交通管制に関する合意
二、両国政府は、飛行計画、交信記録、航空機運航票記載事項又は高度留保要求等の個々の米軍機の行動に関する事項は、いずれの政府も双方の合意なしには公表しないものである旨了解する。
合同委員会日本側議長署名、合同委員会合衆国側議長署名、こう記されている。
今述べたのは、三枚の文書のうちの日本側の文書ですけれども、英文の文書にはサインもございます。その英文の文書には、日米合同委員会の日本側議長の山崎敏夫外務省アメリカ局長と米国側議長のローレンス・スノーデン在日米軍司令部参謀長の直筆のサインがあります。
外務大臣、仮訳で高度留保とされているのがアルトラブのことだと。外務省の山下大臣官房審議官が、さきの引用した特別委員会のところで、個別の軍用機の行動に関しては明らかにしないという合意があると答えていた。となると、その合意がこの覚書ということだと思うんですね。
河野大臣、こうした覚書が、実際、一九七五年に日米間で交わされているのではありませんか。
河野国務大臣
一九七五年四月の覚書というのは、米軍の航空機の運用について、日米双方の合意がない限りこれを公表しないということを再確認している文書でございます。
穀田委員
あるんじゃないかと言ったら、そういう公表しないと書いている文書をわざわざ読み上げたわけでしょう。ということは、やはり公表しないということでもって、そのとおりやっているということだなというふうになるじゃないですか。まさに、国会、国民よりも米国を優先するという内容だと指摘しておかなくちゃなりません。
先ほど指摘した衆議院特別委員会の質疑で、瀬長議員に対して、運輸省航空局管制保安部の小山管制課長は、「日米間の取り決めによりまして、米軍の行動に関するものにつきましては相手側の許可なしには公表できないということになっております。」と答えている。同じことをやっているんですよね。
結局、要するに、その日米間の取決めというのはこの覚書であり、政府が、米軍の行動に関することであり答弁を控えるという、繰り返す理由がここにあるんじゃないかと思うんです。
そこで、この文書がどこに送られたかということについて言いましょう。
この覚書には、秘・無期限指定の外務省の文書が表についています。外務大臣、こっちを見て。
これがついている。運輸省航空局の受領印も押されている。そこには次のように書かれている。これもそのまま読み上げたいと思います。
「外務省 米保第二八〇号 昭和五十年五月十四日」、外務省アメリカ局長から運輸省航空局長殿とも書いている文書で、「米軍用機の活動に関するデーターの不公表について」「五月七日付貴信空安第三三号に関し、五月八日の第三百十六回日米合同委員会において標記の件に関しメモランダム・オブ・アンダースタンディングが別添(写)の通り承認されましたので、通報します。 付属添付 本信写送付先 防衛庁防衛局長」、こう記されているわけですね。
先ほどの覚書を外務省のアメリカ局長が、一九七五年五月十四日付で運輸省の航空局長に通報し、防衛庁の防衛局長に送付したということが、この文書の内容なんですね。
そうしますと、結局のところ、外務省、国交省、防衛省には覚書があるということなんですね。
国交大臣、国交省には、日米間における一九七五年四月の覚書が存在する、その事実は認めますか。
石井国務大臣
かつて情報公開請求がございましたけれども、日米双方の合意がない限り公表されないことが日米両政府間で合意をされており、不開示としたということでございます。
穀田委員
それは先ほど私、言いましたよ。不開示とする、あるということですね。それはどうなんですか。
石井国務大臣
公表されない、あるいは不開示をするということは、存在自体はあるということかと思います。存在はしているということかと思います。
穀田委員
存在しているかということだと思います、これは重大ですよ。今までは公表しないと言っていたけれども、今度は、存在するということかもしれないということになると、事は重大だ。
だから、私は、要するに、今私が提起したこのマル秘の無期限の文書、これがある可能性があるということですよね、今の話でいいますと。
そうなりますと、委員長、この問題についての、要するに資料の提出を当然求めるのが当たり前だと思う。提出を求めたいと思います。
野田委員長
後刻、理事会にて協議いたします。
穀田委員
この覚書は、先ほど述べましたように、一九七五年五月八日に開かれた第三百十六回日米合同委員会で承認されているわけですから、結局のところ、今、あるかもしれないということになりましたけれども、じゃ、ついでに聞きますけれども、外務大臣もそういう認識でよろしゅうございますか。
河野国務大臣
日米間における一九七五年四月の覚書というものは、先ほど申し上げましたとおり、米軍の航空機の運用について、日米双方の合意がない限りこれを公表しないことを再確認している文書というふうに認識をしております。
穀田委員
そう聞いていませんやんか。それは先ほどの答えですやん。石井大臣はあるかもしれないと言っているわけだから、そういう認識で同じですかと聞いていますねんわ。
河野国務大臣
文書は外務省にございます。
穀田委員
こうなりますとまた話が違ってきて、あるかもしれないから今度はあると。こうなってきますと、いよいよ出してもらう必要がある。
防衛大臣も同じ認識ですか。
岩屋国務大臣
御指摘の文書につきましては、防衛省として対外的に明らかにした文書ではありませんので、その真贋も含めて、当該文書についてお答えすることは控えさせていただきたいと思います。
穀田委員
それはいつもの手で、そういう話をしているんじゃなくて、もはや、国土交通大臣があるかもしれないと言い、今度は外務大臣があると言っている。おたくのところだけがない、そんなことありますかいな。三つのところに同じ文書が回っておるのやから、そんな話をしていたらあきまへんで、それは。
ほんまにもう、いかに、こういう点でいいますと、米軍にかかわる問題について、いわば覚書があったという極めて重大な事態についての認識が、言われた途端に、不都合な感じで、いろいろ今度覆い隠すというような話では絶対許されないと思います。
私は、なぜこんなことを強調しているかといいますと、個々の米軍機の行動全般に、単なるアルトラブや、そうでなくて及んでいると。これまで防衛省は、日米共同訓練や単独訓練で全国に飛来しているオスプレイや米軍機の低空飛行訓練の飛行ルートについて、米軍の運用にかかわることで承知していないと答弁してきたわけですよね。飛行計画についても、防衛省全体として米軍の訓練情報を共有しているわけでないと説明してきた。ところが、こうした防衛省の一連の説明は全くの偽りだった。
結局、実際は、一九七五年四月の覚書によって、米軍機の行動に関する情報は一切公表しないという密約が交わされていたからこの事態になっているということなんですよ。いわば、その謎がどこにあったのかということが明らかになる。
だから、今まで横田空域の管制権を米軍に認めていると根拠を記した文書を公表しないのも、このためにあるわけであります。ある防衛大臣に至っては、米側に情報提供を求めていきたいなどと記者会見でうそぶいていました。
こういう問題について、再度お聞きしますけれども、一連の問題の文書をもう一度明らかにし、やっていくということは極めて重要ですし、こういうことが許されるとしたら、国会や国民に対する重大な背信行為になるんじゃありませんか。そういう認識はありませんか、防衛大臣。
岩屋国務大臣
何か密約があるかのような先生のお話ですけれども、自衛隊の運用の詳細を私ども承知していないということは事実でございますので、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。(発言する者あり)米軍、はい。
穀田委員
いや、密約があるかのようなと言っているんじゃないんですよ。あるんですよ。それが覚書ということにあって、それを公表しないと言っている密約なんですよ。それが覚書に書いていると。その覚書があるということがわかったということなんですよ、今回。その論理をわからなきゃ話にならぬですよ、それじゃ。本当に情けないという感じがしますよね、私は。
私は、改めて、この問題について、米軍の基地が全国三十都道府県にあり、専用地域も、京都、北海道、青森など十三都道府県に及んでいます。基地のない地域でも、米軍機による飛行訓練が実施されています。
全国知事会が昨年七月、全会一致で採択した日米地位協定の抜本的見直しを求める提言で、なぜ米軍機の訓練ルートや時期の事前情報の提供を求めたのか。それは、住民の命と暮らしを最優先に考える自治体の長としての当然の責務なんですね。独立国としての当然の要求だからであります。
河野大臣は、昨年十二月二十一日の記者会見で、日米合同委員会に関連して、情報公開のやり方はしっかり考えていかなければならないと述べています。
そう考えるならば、私は二つ提案したいと思うんですけれども、こんな覚書は、先ほどあるように、あると言うのやから、直ちに無効にし、あわせて、米軍機の情報開示を行うべきではありませんか、外務大臣。
河野国務大臣
そのつもりはございません。
穀田委員
相変わらず、そういうことでいいますと、情報公開のやり方はしっかり考えていかなければならないと述べているのは、全くうそっぱちということになりますわな。だって、全国知事会が、いわば、このことについて、訓練ルートやその他についてやるべしと言っているにもかかわらず、それに応えてそうお答えになって、それはやる気がないと。それだったら、最初からそういうことはありませんと言ったらいいじゃないですか。私は、そういうやり方は不届きだと思います。
しかも、私は今、改めてこの問題が、今までなぜこういうことが行われていたかとみんな疑問に思っていたのが、覚書という形で、公表しないという密約、覚書があったということが今度の質問で明らかになったと思うんです。
今月上旬、滋賀県の饗庭野演習場で行われた日米共同訓練では、関係自治体の再三の要求にもかかわらず、オスプレイの飛行ルートが公表されませんでした。そのため、突然の飛行音に驚いた市民から、大津市と高島市で二十件もの通報が寄せられました。
沖縄では、米軍のための辺野古新基地建設を、軟弱地盤の存在を隠してごり押しし、空では、米軍の軍事空域の存在を隠し、自由勝手な使用を容認している。これで主権国家の政府と言えるかということを私は厳しく問わなければならないと思います。
日本の主権に関する重要事項が、国会の関与もなく、日米合同委員会という密室で決められ、覚書まで交わし、秘密裏にルール化されている。まさに、憲法の上に日米地位協定があり、国会の上に日米合同委員会がある。米軍に異常な特権を与える地位協定の抜本的見直しは急務である。
その意味で、全国知事会が要求し、今、野党がこぞって、この間の一連の質問戦、論戦の中で、この日米地位協定の抜本的見直しということを掲げているのは極めて重要な取組だと私は思います。
そのことを改めて強く求めて、質問を終わります。