日・EU経済連携協定及び日・EU戦略パートナーシップ協定に反対

2018年11月28日

若宮委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
協定の問題について、河野大臣に質問いたします。
大臣は、十一月二十日の衆院本会議で、これまで日本が結んできた包括的なFTAの中身について、物品貿易に加え、サービス貿易全般の自由化を含むものを基本とし、さらに、知的財産、投資、競争など、幅広いルールが主な対象だと答弁されました。
また、大臣は、ことし五月の十一日の本委員会で、「TPPが前へ進んでいるというのは、日本がやっているほかの自由貿易協定にも大きな後押しになってきた」と、自由貿易を進めていることを答弁しています。
そこで、サービスについてお聞きします。
大臣は、九月の日米共同声明では、交渉の対象として全てのサービス分野の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらずと答弁されています。しかし、日米共同声明では、「他の重要な分野(サービスを含む)で早期に結果を生じ得るものについても、交渉を開始する。」となっています。
これは結局、サービス分野は日米貿易交渉のテーブルに上がったということですか。明確にお答えください。


河野国務大臣

九月の日米首脳会談の際の日米共同声明では、交渉の対象として全てのサービス分野の自由化や幅広いルールまで盛り込むことは想定しておらず、その意味で、これまで我が国が結んできた包括的なFTAとは異なるものであると考えております。


穀田委員

政府の国民への説明は、サービス分野は、答弁の、全てのサービス分野という表現か、あるいは、共同声明にある、サービスを含む重要な分野というだけの違いなんですね。結局、いずれにしても、サービス分野や投資等のルールが交渉のテーブルに上がる。それはすなわち、物品だけでなくて、サービスなどが主要な内容として含まれる、結局のところ、日米自由貿易交渉が始まるということになる。これが客観的な今の到達点だと言わざるを得ません。
茂木大臣は、同じく十一月二十日の衆院本会議で、金融、保険など、制度改正を要するものは交渉に時間がかかると答弁しています。そこで、内閣府の副大臣に聞きますが、交渉に時間がかかる金融、保険は将来日米貿易交渉のテーマになるということかどうか、お答えいただきたいと思います。


田中副大臣

今回、交渉開始で合意をいたしましたTAGについてでありますが、対象は、基本的にはもちろん物品貿易である、それに加えて、今後の交渉結果によって早期に結果を生じ得るものは対象になり得るとしているところであります。
そして、この早期に結果を生じ得るものについては、今後は、茂木大臣とライトハイザー代表で交渉して合意したもののみが入るということになります。これは、例えば通関手続など貿易円滑化に関する措置ですとか、物品貿易と同じタイミングで結論を出せる分野に限定されると考えておりまして、一方で、金融、保険などの制度改正を要するものは、交渉が時間がかかるということで、交渉の対象には想定されていないということであります。


穀田委員

それは同じ答弁を繰り返しているにすぎないんですよね。私が言ったのは、交渉に時間がかかると言うけれども、将来日米交渉のテーマになるということだなということを言っているんですよ。今、早期にやり得るものは入っているということで、相変わらず、時間がかかるという論を展開しているだけにすぎないわけですね。それだと、国会の本会議の答弁をもう一度繰り返しているにすぎないんですね。
じゃ、聞きますけれども、USTRの報告書によると、金融、保険は十三項目ですね、これを持ってきましたけれども、十三項目のところにあるわけですけれども、「サービス障壁(日本郵政、保険)」こう書いていまして、「同社の国際急送便サービスを補助することを禁止することによる公正競争の向上のための措置をとることを求めていく。」だとか、「保険商品の流通機会への公平かつ透明性のあるアクセスの確保、」こう言っているわけですよね。相手の側は、このことについて強く要求しているわけじゃないのか。
だから、今副大臣は早期となり得るものと区分けをしていますけれども、私が聞いているのは、将来はそういうテーマになるということだ、それを否定できないんでしょう、同時に、相手の側はそれを言っているでしょうということなんですよね。
では、聞きますけれども、もう一度、USTRの報告書、もう一つ、三では、「牛肉及び牛肉製品」というところの項によると、米国は、全ての月齢の牛肉及び牛肉製品を受け入れ、市場を完全に開放するよう働きかけるとあります。農水副大臣に聞こうと思うんですけれども、アメリカの要求に従って市場を完全開放するのかということについてお聞きします。


小里副大臣

アメリカの要求に従って完全に市場開放するのかということでございますが、これは、これから交渉の行方次第によるものでありますが、今この時点で予断は許されないものと感じております。
また、特に月齢制限の撤廃についてお尋ねであればお答えいたしますが、よろしいですか。


穀田委員

行方次第ということは、はなからこういう問題についてあかんという遮断をしているわけじゃないということですわな、簡単に言えば。それが外交の用語でしょう。結局、完全に否定していないということを極めて私は重大だと思います。
政府は、こういうふうに質問しますと、大体、次に答えるのが決まっているんですよ。国益を考えて交渉する、今もありましたけれども、行方次第だと。こういう点で、やはり国民が懸念し、この間、譲歩とそして規制緩和の連続ではなかったのかと言わざるを得ません。
それで、ハガティ駐日米国大使も今月十六日の講演で触れているように、結局は、日米双方は、物品・サービスを含むその他の重要分野、貿易と投資に関する項目の自由貿易交渉をするということで一致しているではないか。政府は結局のところ、いつも、今もお話があったように、行方次第とか協議次第とか言っていますけれども、しかし、国民は、今度は一体全体何を譲歩するのかということで大きな懸念を持っていることを指摘しておきたいと思います。
そこで、次に、農水副大臣に日欧EPAに関連してお聞きします。
本協定では、カマンベールなどのソフト系チーズに最大三万一千トンの関税割当て枠を設定し、十六年目に無税にするなど、TPPを上回る譲歩をEUに認めています。
農水大臣は、十一月二十日の衆院本会議で、本協定の牛乳・乳製品に与える影響について、当面、輸入の急増は見込みがたいとする一方で、長期的には、競合する国産の脱脂粉乳、チーズの価格下落などにより生産額の減少が見込まれると答弁しています。本協定によってそうした影響が危惧されるということは事実ですね。


小里副大臣

今御指摘のとおりに、チーズにつきましては、ソフト系におきましては、横断的な関税割当てといたしまして、枠数量は国産の生産拡大と両立できるように、すなわち、消費量は伸びておりますし、一方で国内生産も若干伸びてきておりますが、これらと重ね合わせながら、生産が持続していくように、当面二万トンから十六年目には三万一千トン、この範囲にとどめるということを決めておるわけであります。
ハード系はハード系で、十六年目まで長期の関税撤廃期間を確保しております。
また、バター、脱脂粉乳等におきましては、国家貿易制度を維持して、追加輸入量の範囲内、すなわち需要の範囲内で関税割当てを設定をしております。
ホエーも関税削減にとどめたところでありますが、こういった中で、チーズやホエーの関税撤廃によりまして、長期的には乳製品向けの価格下落が懸念をされるところであります。
このため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきましてさまざまの国内対策を講じていく、このことによりまして万全の対策を講じていくということにしているところであります。
これらを踏まえまして試算をしましたところ、関税削減等の影響で、価格低下により約百三十四億円から二百三億円の生産額の減少が見込まれるものでありますが、国内対策によりまして、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量は維持されると見込んだところであります。


穀田委員

相変わらず、生産が持続するということと、金科玉条のごとく、百三十四億円という話をしているだけなんですよね。
そして、あと言うのは、総合的なTPP等関連政策大綱、これですよね、これを一生懸命言う。
この間の答弁でも、この内容について、大臣は三回も使うわけですよ、同じ答弁をね。例えば、チーズの問題についての生産額の減少について、万全の体制を、これでやるんだと。それから、農林漁業者の不安や懸念、これをこのTPP等関連政策大綱でやるんだと。それから、小規模・家族農業の、そういう問題についての懸念、これもTPP関連政策大綱に基づいて、万全のと。このフレーズを三回使うわけですよね。
こんな話をして、本当に懸念がなくなるのかという問題なんですよね。本協定によって、長期的には、競合する国産品の価格が下落し、生産額の減少が見込まれる。生産を維持すると言っているんだけれども、生産額は減少が見込まれる、こう言っているんですよ。そこに、全国の酪農家からの先行きへの不安や危惧が広がっているわけですよ。実際の方々の不安をしっかりつかまなければいけませんよ。
EUは農産物の輸出に強みがあって、チーズでは、世界の生産量の約半分を占め、ブランド力と価格優位性があります。本協定によってEUから安い輸入品が大量に流入すれば、国産品の値崩れなどの事態も生じ、弱体化している酪農、畜産に追い打ちをかけることは明らかではないでしょうか。それはどうお考えですか。


小里副大臣

酪農、畜産全体についてのお尋ねでありますが、酪農、畜産分野における日・EU・EPAの合意結果におきましては、関税撤廃の例外をしっかり確保いたしまして、国家貿易制度、関税割当ての維持、セーフガードの確保、長期の関税削減期間などの有効な措置を獲得をしているところであります。
それでもなお残る酪農家、畜産農家の不安を受けとめて、安心して再生産に取り組んでいただけるように、平成二十九年十一月に改定された総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、万全の対策を講じていくとしているところであります。
具体的には、牛肉、豚肉につきましては、いわゆるクラスター事業等による省力化機械の導入等の体質強化策、牛・豚マルキンの補填割合を八割から九割に引き上げる等の充実を行いまして、また同時に、牛乳・乳製品については、生産コストの削減や品質向上など収益力、基盤強化を進めるとともに、加工原料乳生産者補給金制度の充実を協定発効に先立つ平成二十九年度に実施をすること等によりまして、対策を講じていくこととしておるところであります。
こういったことで、関税削減等の影響で価格低下が見込まれますけれども、コスト削減、あるいは品質を向上させていくことによりまして、引き続き生産や農家所得が確保され、生産量は維持されると見込んだところであります。


穀田委員

今のお話は、結局、この総合的なTPP等関連政策大綱の部分をずっと読んでいるだけなんですよ、簡単に言うと。だから、何か目新しい話をして、私が質問したことに対して答えているわけじゃないんですよね。
今もお話ありましたけれども、それは、ポンチ絵で出ています内容をずっと説明しただけなんですよ、ある意味じゃね。これとこれがセットなんですよね。
それで、そこでいうと、私、よう見なあかんと思うんだけれども、結局、対策本部のこの大綱というのは、その内容が問題なんですね。それは、大型機械の導入による機械化、そして大区画化の設備規模の拡大、そして今お話ありましたように、原料面での、原料乳の低コストなどによる生産コストの削減などを迫るものでしかないわけで、そこは言ったとおりなんですよ。それを少し言いかえますと、そういうことなんですよね。
それはちゃんとこのパンフレットに、そういう絵柄もつけまして、それで大型機械を書き、そして大区画化の幅を書き、草の問題でも大きくするんだと書き、そして原料面で低コストでやるんだというだけなんですよね。そして、今お話あったように、畜産農家の損失補填の割合を八割から九割に引き上げるということ。大体この三つなんですよね。だけれども、それは、これまで何度も繰り返されてきた農業振興策と本質的に変わらない。
その結果、じゃ、どうだったかということについてお聞きしましょう。
農水省がことし七月に公表した畜産統計によれば、乳用牛の飼育頭数は、ピークである一九八五年の二百十一万頭から本年は百三十二万頭まで減っています。酪農家も、八五年の八万二千戸から本年は一万五千七百戸に減少しています。こうした現状がつくられているわけですね。
結果として、この十数年来、二十数年来やってきたという話が、全然、がたがたになっているじゃないかという現状について、どう認識されていますか。


小里副大臣

確かに生産量は減ってきているところであります。
一方で、それぞれの畜産農家が創意工夫をしながら努力をして、規模を拡大しながら非常にいい経営をやってきているというのも目の当たりにするところでありまして、週末ごとに農業、農村、畜産農家を回っておりますけれども、例えば、親子二代、三代、現役で、非常にいい経営をやっている、そういう姿も見受けられるところでありまして、こういう畜産であればやってみようと思うようなモデル的な経営の姿が見え始めているな、そういう実感も持つところでありまして、しっかり理想を目指して国内対策また経営育成に励んでまいりたいと思っております。


穀田委員

副大臣、安倍さんと同じように、自分の都合のいいところを持ってきてやっている話をしているんじゃないんですよ。全体としてこれだけ大きく減っているじゃないか、大変な実情を抱えているじゃないか。そんなのはみんな、創意工夫してやっている。その御努力に対して我々が敬意を払っていないということはないんですよ。そういう努力があるからこそ、今、もっているわけですやん。
その方々の努力さえも無駄にする。そして、その方向はといえば、結局、機械化と大型化とコスト低減ということになるじゃないか。そう言っているんだから、あなた方はこれで。まさにそういう努力、創意工夫とは違う方向にやっているじゃないか、その結果が、この一九八五年から今日までの下落が起きているじゃないかという話をしているわけですよね。そこを見てとらなあきまへんで。
農水省がことし八月に公表した平成二十九年度食料自給率・食料自給力指標によれば、二〇一七年度の日本の食料自給率は三八%まで下落しています。米の凶作でタイ米を緊急輸入した一九九三年度の三七%に次ぐ、史上二番目の低さであります。
食料自給率は、国内の食料消費が国内の農業生産でどの程度賄えているのかを示す指標ですが、国民の食料の六割以上が外国頼みというのは、国の存立、食の安定供給の土台を揺るがす事態ではないかと思うんですが、いかがですか。


小里副大臣

食料安全保障の基本的な指針として、食料自給率をしっかり確保していく、これは農政が心がけるべき一番の課題であると認識をしております。
御案内のとおり、平成三十七年度に食料自給率をカロリーベースで四五%、生産額ベースで七三%に引き上げる目標を設定して取り組んできたところでございますけれども、直近の食料自給率は、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六五%となっているところであります。
今後、これまでの経緯をしっかり検証しながら、しっかりと対策を急いでまいりたいと思います。すなわち、国産農産物の消費拡大、食育の推進、消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大や飼料用米の推進、付加価値の高い農産物の生産、販売や輸出の促進、優良農地の確保、担い手の育成の推進といった各般の施策をしっかりと計画的に講じてまいりたいと思います。


穀田委員

今六十数%の話が出ましたけれども、それは飼料を除いた数値で、国際的にも最も広く用いられている、飼料を含む日本の穀物自給率は、近年、二八%前後で推移しているのが実情なんですよね。恐るべき事態なんですね。
私は、食料自給率が、さっき三八%と言いましたけれども、下落した要因について、農水省の資料は、畜産物の需要増に対応して国産品が増加したものの、輸入品がより増加したことを挙げています。つまり、農産物の輸入拡大が生産基盤を弱体化させていることを物語っているということだと、これはそちら側も認めていることなんですね。
各国の食料自給率を見ますと、アメリカは一三〇%、フランス一二七、ドイツ九五、イギリス六三などとなっていますが、日本は先進国の中で最低水準にあります。先ほど言いましたけれども、基礎食料である穀物の日本の自給率は二八%にすぎず、人口一億以上の国で三割を割る国は日本だけなんです。
政府は、先ほど述べたように、一五年の食料・農業基本計画、先ほど副大臣言っていましたけれども、二五年までに自給率を四五%に引き上げると言うけれども、目標に遠く及ばないのが実際ではないですか。まさにそのとおりですわね。
日本の食料自給率は、一九六五年度には七三%の水準にありました。それが今や、安倍内閣のもとで三八%にまで下落している。一九六一年には六百九万ヘクタールあった農地も、二〇一七年度には四百四十四万ヘクタールへと、七割も減っている。基幹的農業従事者も、二〇一〇年の二百五万人から、ことしの概算で百四十五万人まで減り、うち六十五歳以上が八割、百二十万を占める状況になっています。
安倍内閣は、口を開けば攻めの農業などといって大規模化や効率化を強いているけれども、これでは、農業の担い手が更に減り、条件の不利な農地が切り捨てられ、国内の自給力は弱体化する一方じゃないかと思っています。
そこで、欧米などでは、輸入規制とあわせて価格保障や所得補償制度を充実させています。イギリスでは、二度の大戦で深刻な食料不足に陥った経験から、国を挙げて農業生産の回復、自給率の向上に取り組んでいます。
一方、日本は、農産物の輸入自由化政策で安い外国産との過酷な競争に農業をさらし続け、画一的な大規模化やコスト削減を迫っている。こんなやり方では生産基盤の崩壊を招くばかりと違うかと思うんですが、いかがですか。


小里副大臣

今、農政におきましては、これまでの反省も踏まえまして、生産拡大、規模拡大、輸出の拡大等々を進めているところであります。
一方で、また、条件不利な地域、中山間地域のような、競争原理だけでは成り立ちにくい農業があるのも事実であります。そういったところは、また中山間地向けにルネッサンス事業ということで、中山間地払い制度を始め、いわゆる多面的機能支払いを中心にしながら、地域全体をしっかり守っていこうということで、また新たな取組も進めているところでございます。
強いところ、弱いところ、しっかり踏まえながら、攻めるべきを攻め、守るべきを守って、大事な農業、農村を将来へつなげてまいりたい、そんなふうに思います。


穀田委員

これまでの反省と言いながら、結局、ずっと続けているやり方は大型化、コスト削減。つまり、攻めるところは攻めるじゃなくて、壊しに壊し続けてきたというのがこの農政のあり方だったと思います。
そこで、農産物の価格保障は、農業に、凶作もあれば豊作もある、そういう変動は、価格の乱高下が避けられない中で、農業者に再生産を保障し、食料自給率を向上させる基礎的な条件だと思います。それゆえに、アメリカでさえ、主な農産物に生産費を農家に補償する仕組みを二重、三重に設けています。
欧米のような農業支援策もないまま競争にさらすのではなくて、私はあなた方と反対で、小規模化、家族農業の役割を再評価し、農業政策の基本に据えることこそ行うべきだと考えています。
そこで、最後に、河野大臣にお聞きします。
国連では、二〇一二年を国際協同組合年に、二〇一四年を国際家族農業年に設定し、食料問題の解決と地域社会の安定にとって協同組合や家族農業が不可欠として、その役割を高く評価し、支援することを世界に呼びかけました。そして、昨年十二月には、二〇一九年から二八年を家族農業の十年とする議案を全会一致で採択しています。
家族農業の十年は、二〇一四年の国際家族農業年を十年間延長し、家族農業を各国の農業政策の中心に位置づけるために設定されたと思うんですが、そういうことでよろしゅうございますか。


河野国務大臣

この国連総会において採択された家族農業の十年というものは、二〇一九年から二〇二八年までの十年間を家族農業の十年と定め、各国が家族農業に関する施策を進めるとともに、その経験を他国と共有すること、また、国連食糧農業機関、FAOなどの関連国際機関が関連事業などを展開することなどを求めるものであると承知をしております。
世界の飢餓人口が増加傾向にある中、家族農業が果たす役割の重要性について国際社会で認識を共有することは、持続可能な開発目標、SDGsの目標の一つである飢餓撲滅の達成のためにも大変意義深いものと思っております。


穀田委員

まことに意義深いものだということが言われました。
そこで、家族農業は農業労働力の過半を家族労働力で賄う農業と定義しています。家族農業は基本的に小規模経営で、雇用労働力に依存する大規模な農業とは正反対の定義なんですね。私はこれを言いたいわけですよ。
家族農業の十年というのは、小規模・家族農業の今お話があったような重要な役割を認識し、国際社会に呼びかけているわけですが、実は、日本も共同提案に加わっているわけですよね。それはよく御存じですよね。共同提案に加わっているわけですから、決議の実行に責任があると言わなければなりません。
したがって、そこの中でいいますと、今政府に求められているのは、食料の外国依存をますます深めるEPAやTPPによる輸入自由化や競争力一辺倒のやり方ではなくて、小規模・家族農業の重要な役割を今大臣がお示ししたように認識し、支援することだと考えています。
土地の生産性は小規模農業が高いとか、決議では、家族農業が歴史的、文化的、自然遺産の責任と保全ということも考えておるようです。そういう立場から、私たちは、その立場に立って農産物を安心して食べ続けられる農政に転換すること、そのことを要求して、質問を終わります。


 


 

若宮委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

私は、日本共産党を代表して、日・EU経済連携協定及び日・EU戦略パートナーシップ協定に反対の立場から討論を行います。
両協定は、農林水産、経済産業分野を始め、国民生活のなりわいに深くかかわるものであり、我が党は、関係委員会との連合審査と参考人の意見聴取を強く求めてきました。にもかかわらず、わずか一回、四時間余りの委員会審議で採決するなど、到底認められません。
日・EU経済連携協定は、自由貿易の旗手を標榜する安倍政権が、成長戦略の重要な柱、アベノミクスの新しいエンジンと位置づける、過去最大級の自由化となる広域連携協定であり、海外の成長市場の活力を取り込むとして、牛乳・乳製品など農林水産分野でTPP水準を上回る譲歩を行うなど、多国籍企業の利益を最優先し、際限のない市場開放を推進するものであります。
本協定によってEUから安い輸入品が大量に流入すれば、国産品の値崩れなどの事態を招き、酪農、畜産が大打撃を受けることは明らかです。
政府は、体質強化や経営安定化などの国内対策を講じることで、農家の所得は確保され、国内生産量も維持されるとしていますが、その内容は、生産コストの削減や大規模化を画一的に迫るものであり、小規模農業経営の切捨て、食料自給率の一層の下落を招くことは必至です。
二〇一五年に発効した日豪EPAは、日本が他国の協定で特恵的な市場アクセスを認めた際は、豪州に対しても同等の待遇を与えるための見直し規定が置かれています。本協定で日本がTPP水準を上回る譲歩をEUに行うことは、豪州からもさらなる市場開放を迫られかねないなど、対EUにとどまらない譲歩の連鎖を引き起こすことは明らかです。
日・EU戦略パートナーシップ協定は、テロ対策や宇宙空間など四十分野にわたる協力を促進するとしながらも、その具体的内容は今後の検討に委ねられています。
この十年、日本とEUは、ソマリア沖の海賊対処活動での自衛隊と欧州各国軍との連携や防衛装備品協力など、安全保障分野での関係を深めてきました。政府の国家安全保障戦略は、EUとの関係を、NATOとともに更に強化していく方針を打ち出しており、こうした経緯を見るならば、本協定が、EUとの軍事関連分野での協力を進めるための法的枠組みの一つと言っても過言ではありません。
以上を指摘し、反対の討論とします。


若宮委員長

これにて討論は終局をいたしました。