次期「防衛大綱」自民党提言の「防衛費はGDP比2%」を批判する

2018年05月30日

中山委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

きょうは、まず、自民党の安全保障調査会と国防部会の出した提言についてお聞きしたいと思います。
五月二十五日、政府が年内にも策定する新たな防衛大綱と中期防に向けた提言をまとめています。
提言は、我が国を取り巻く安全保障環境は激変しており、戦後最大の危機的情勢を迎えると位置づけて、現在の防衛大綱が掲げる統合機動防衛力にかわる新たな概念として、多次元横断(クロス・ドメイン)防衛構想を提唱しています。陸海空に加えて、宇宙、サイバー分野も活用した軍事力の強化を求めています。
ことし三月に提示された提言骨子では、戦闘機の離着陸が可能となる多用途防衛型空母の導入やF35Bなどの取得が盛り込まれたが、今回の提言では、引き続きF35Bの取得を明記するとともに、「いずも」型護衛艦の改修を念頭に、多用途運用母艦の導入を挙げています。さらに、敵基地反撃能力の保有を提起し、長距離巡航ミサイルやイージス・アショア等々、共同交戦能力の導入などを列記するなど、三月の骨子と、違憲といいますか、憲法違反の本質は全く変わっていないのが特徴であります。その上で、提言は、これらの必要かつ十分な予算、基盤を確保するためにNATOが目標としている軍事費のGDP比の二%を明記しています。
安倍総理は、昨年の三月二日の参議院予算委員会で、安倍政権においてはGDPの一%以内に防衛費を抑えるという考えはないと答弁しています。河野大臣は、提言にあるGDP比二%という提起を是とされますか。


河野国務大臣

防衛関係費のあり方につきましては、我が国の防衛に必要な人員、装備品等の要因と安全保障環境等の対外的な要因等の双方を踏まえる必要があり、GDPと機械的に結びつけることは適切でないと考えます。
防衛省におきましては、これまでも我が国の平和と安全を確保するために必要な経費を計上しているものと承知をしております。
我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえ、政府として、国民を守るために真に必要な防衛力の強化に引き続き取り組んでいくべきだと考えております。


穀田委員

結局のところ、要因をそれぞれ考えなあかんというのは、それはそちらの主張ですが、結局、二%を是とするのかということについては答えておられません。
では、山本副大臣にお聞きします。
GDPの二%に関して、安倍総理は、ことし一月三十一日の参議院予算委員会で、防衛費のGDP二%目標を掲げるべきとの御提言はしっかりと受けとめたいと答えています。この答弁からも、今後GDP比の二%というものもあり得るということなのではないか。
山本防衛副大臣の考えはいかがですか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
委員御指摘の本年一月三十一日ですけれども、自民党の委員から、防衛関係費の対GDP比を二%にすべきではないかというような御質問をいただきまして、その際に、安倍総理からは、防衛費のあり方を検討するに当たっては安全保障環境等の対外的な要因を踏まえる必要があり、安倍内閣としてはこれまで一貫して、防衛費をGDPと機械的に結びつけることは適切ではないと御答弁を申し上げているところでございます。
各年度の予算は、我が国の安全保障の基本方針である国家安全保障戦略や、防衛力の基本指針である防衛計画の大綱のもとに定められた、五年間の防衛力の整備計画である中期防衛力整備計画に規定する防衛関係費の総額の範囲内において、合理化、効率化の努力を行いながら、我が国の平和と安全を確保するために必要な経費を計上してきているものであり、総理の答弁にもありましたように、GDPと機械的に結びつけることは適切ではないと考えているところでございます。


穀田委員

適切ではないというのは、そう言ってはるのは、山本副大臣のお考えはわかりました。
しかし、そのときに、総理大臣は、同じ日に、都合のいいところは使ってはるんですけれども、この一%枠ということについては既に閣議決定により撤廃をしております、しかし、現在、GDP比一%枠というものがあるわけではないわけでありますが、大体一%で推移しているのは事実であります、こうも言っているんですね。
だから、やはりそれが一つの基準であるということ、そして、この間の中でいいますと、それに、枠にとらわれずに、さらに、今お話があったように、あなたが、副大臣がおっしゃるように、厳しさを増す安全保障環境等を踏まえて、現在の中期防衛力整備計画では五年間で実質平均〇・八%伸ばす計画になっておりまして、実際、五年連続で増額を図っているところでございます、こういうふうに、ふやすことについて答えているわけですよね。だから、そんなふうに、何か、枠にどうのこうのというより、きちっとそういうことについては言っているということが一つの問題だと。
しかも、この提言についてどう思うのかということについて私は聞いているわけですよね。つまり、二%にしようという提案を提言しておられる、それについてどう思われますか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
御指摘の自民党の提言というものでございますが、私も報道等に接して承知はしておりますけれども、正式に政府に対して申入れがなされていませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、防衛関係費のあり方につきましては、一般論として、今、河野大臣も御答弁されておられましたけれども、我が国の防衛に必要な人員、装備等、そういった要因、あと安全保障環境の要因、さまざまな要因を踏まえつつ、GDPと機械的に結びつける必要性というものを適切でないという理解のもとで、防衛関係費を積み上げてまいりたいと考えております。


穀田委員

単なる比率だということではないんです。これはやはり、今までの政治の争い事の中で一%という問題がずっと議論されてきた長い経過があってということを忘れてはならないと思います。
しかも、ごらんになっていないと。それはないと思うんですよね。もしそうだとしたら、いつも何を見てはんのやろなと私は思わざるを得ないんですね。
だって、その提言をまとめた五月二十五日の合同会議には、省庁の出席者として、防衛省からも、大野大臣政務官、高橋大臣官房長、前田防衛政策局長、四幕僚の幹部など十数名が出席しているわけですよね。つまり、一体となって進めていて、それが今後の重要な内容にかかわってくるということになってきて、それを読んでいないと言われた日には、これほど大事な問題について、肝心の大与党である自民党が提言しているのを読んでいないとすると、何のための仕事かなと率直に思わざるを得ません。これは普通の人は誰かてそう思います。また、自民党の方が聞いたら、ほんまかいな、これほど大事な提言をしているのにと。
しかも、報道を見ている、それから、正式に提出されていない。だけれども、みんな出席者も知っているし、それから、提言も今週末ぐらいにはやるということをみんながおっしゃっているわけですから、きちんと見る必要があるだろう。
それじゃ、もう少し具体的に聞きましょう、せっかくですから。
一部報道によりますと、次期中期防での軍事費の年平均の伸び率について、現在の中期防の〇・八%を上回ると指摘されているけれども、これは事実ですか。


山本副大臣

お答え申し上げます。
先ほど委員、今、私が読んでいないというふうに御指摘をされましたけれども、私は、報道等を通じて承知をしていますと申し上げているわけで、読んでいないとは一言も申し上げておりません。承知をしていますが、正式に政府に申入れをまだいただいていませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますと申し上げただけで、読んでいないとは一言も申し上げておりませんので、訂正をさせていただきたいと思います。
御質問の件でございますが、平成三十一年度以降の防衛関係費のあり方につきましては、年末までに実施いたします防衛計画の大綱の見直し、また新たな中期防衛力整備計画の策定に向けた検討の中で、効果的かつ効率的な防衛力の構築とともに、我が国の厳しい財政事情や防衛産業を含む経済状況、技術動向といった観点から議論を深めてまいりたいと考えているところです。


穀田委員

二つ言っておきたいと思うんですね。
つまり、見ていないか、承知していないか、現物は正式に提案されていないからというような話じゃないんですよ、まずね。それは是かと聞いていることに対してそう答える。少し指摘をすると、そうでないと答える。こういうやり方は、本質的な議論を避けるものと言わなければなりません。
もう一つ、それほど二%が重要でないということをあなたはおっしゃったということなんですね。
つまり、大臣も、それから山本副大臣も、それはいわゆるパーセント、比率だけの問題じゃないと。比率がとても大事だということを私は言っているんですね。世の中もそれほど大事だと言っている。それを大事でないとおっしゃっておられるということが結論だということなんです。
なぜ、〇・八%も問題にしているかというと、政府関係者が〇・八%の伸び率では足りないと言っていることもあるから言っているわけです。
では、聞きますけれども、これは、二〇一八年度予算ベースで見た場合、GDP比二%になれば、日本の軍事費は一体幾らになりますか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
防衛関係費の対GDP比算出の前提となる平成三十年度のGDPは五百六十四兆三千億円でございますが、その二%、これを機械的に計算いたしますと十一兆二千八百六十億円となります。


穀田委員

十一兆二千八百六十億円ということになる。まあ、とてつもない金だということになりますよね。
だから、比率で考えないなどと言わずに、そういうことを自民党が提唱しているということは、ここまでふやせということを言っているということがとんでもないことだと言わなければならないということなんですよね。それを是とするのか是としないのかということが問われている。そのときに、比率の問題じゃない、こうすると、まさに、それこそ論議がかみ合わないという最たるものだと一言言っておきましょう。
それでは、二〇一四年九月に行われたNATOウェールズ首脳会議で、この会合では、NATO指標の対GDP比二%未達成国に対し、十年以内に同水準に向けて引き上げるよう目指すということで合意していると思うんですけれども、外務大臣、それは間違いないですよね。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
委員御指摘の二〇一四年九月に実施されたNATOウェールズ首脳会議でございますが、我々防衛省といたしましては、その会議に参加をしておりませんので、委員御指摘の点につきましては、評価を行うことは差し控えさせていただきたいと思います。


穀田委員

差し控えるというのじゃなくて、これは外務省のホームページから出ていまして、NATOウェールズ首脳会議概要ということで出ている内容で、「NATO指標の対GDP比二%未達成国は十年以内に同水準に向けて引き上げるよう目指し、防衛予算の研究開発を含む主要装備品支出充当率も二〇%に増額するよう目指すことに合意。」と。
だから、私が言っているのは、ウェールズ首脳会議でそれはあったよね、間違いないねと聞いているわけです。だから、参加しているか参加していないかという話を聞いているんじゃなくて、それが確かだという、これは外務省の報道ですから、だからそれを外務省に聞いたわけですよね。
では、あわせて言っておきますと、これまた外務省なんですけれども、これですね、これは二〇一六年七月に行われたNATOワルシャワ首脳会合でも、加盟各国の軍事費をGDP二%と定めた目標値に達するよう、増額する重要性を再確認しているんですね。
だから、たび重なってそういうことをやってきていることの背景、動きというのをしっかり見ておく必要があるんだと思うんです。
そこで、また外務大臣に少しお聞きしたいんですけれども、米国防総省報道官だったジェフリー・ゴードン氏は、二〇一六年十一月の韓国メディアのインタビューに対して、トランプ大統領は同盟国が米国と同様の役割を負担するよう望んでいるとしながら、NATO基準、対GDP二%から見ると、韓国はかなり基準に合わせている、韓国よりも日本にさらなる圧力が加わるだろうと答えていると。こういうインタビューなんですね。
結局、軍事費二%というのは、米側の強い要求でもあるということじゃないんでしょうか。


河野国務大臣

日米の首脳会談の中でも、日本は、日米同盟の中でそれ相応の費用を負担しているということを申し上げ、トランプ大統領はそれを了解しているというふうに私は認識をしているところでございます。


穀田委員

常日ごろ、それこそトランプ氏の発言をしっかりお聞きになって、またそれを引用されている大臣にしては、少しあれじゃないですかね。
トランプ氏は、そういう、米国における与党の会合で、日本、中国、韓国など経済成長を支援してきた、米国は、日本や韓国、サウジアラビアを防衛しているが、米国がですよ、これらの国はわずか一部しか費用を負担していない、これは貿易とは無関係だが現実の問題だということで、その認識を一度ならず二度ならずずっとやっているということについて見ておかなければならないと思います。
そしてさらに、トランプ大統領は、この五月二十四日に行った記者会見の中で、北朝鮮との間で不幸な状況が必然的に起こった場合は、韓国と日本が、作戦中に米国の活動で生じた財政的負担の多くを喜んで引き受けるだろうと述べています。
日米間で軍事作戦に対する費用分担についての取決めがあるのでしょうか。


河野国務大臣

トランプ大統領がどういう意図でそういうことをおっしゃったのか、それはよくわかりません。一々、大統領のお言葉にコメントするほどのことでもないと思います。


穀田委員

一々コメントすることではないじゃなくて、そういうことが発せられていること自体が問題だと私は思うんです。要するに、一々発する必要がないということは、大した問題にしていない、無視しているということなのだかどうかということになると思うんですね。
それでは、そういうことについてどう政府は反応しているかという問題について、今大臣はそうおっしゃった、ところが、このトランプ大統領の発言に対して官房長官は、五月二十五日の会見で、財政負担について米国との間で緊密なすり合わせを行っていると発言しているんですね。
そうすると、取決めがあるのかと聞いたら、一々……。これはいつもそうなんですよ、そういう取決めがあるのかと聞くと、発言の方をまず知らぬ、こう言うわけですね。あるのかという本質を避ける。こういう答弁の仕方というのは、私はまずいと思うんですよね。
その上で、私は、この発言があるとしたら、やはり極めて大事な問題じゃないのか、こう捉える必要がある。その上で、なおかつ官房長官は米国との間で緊密なすり合わせを行っていると発言していると、話は違ってきますよね。
大臣はそういうことは知らぬというふうにまた言うのかしらぬけれども、やはり米国との緊密なすり合わせを行っているんじゃないかということについて、疑問に思ったり質問をするのは当たり前じゃないでしょうか。


河野国務大臣

在日米軍に係る費用の分担その他について、日米は緊密に連携をしておりますから、官房長官のそういう発言があったとしても不思議ではないと思います。


穀田委員

だとすると、先ほど言っているのと、重視しているし、そういうことが現実には行われているのだろうということについて否定をしないということになりますわな。いわゆる論理の問題ですよね。ですから、はぐらかしというのではなくて、論理上の問題でいいますと、そういうことをやっているかもしれないというのはあり得べしということになりますわな。
そこで、じゃ、最後は、朝鮮半島をめぐる解決の方向についても少し質問をしておきたいんですけれども。
私は、対話で問題を解決するという大きな流れが生まれている、それ自身は喜ばしいことだ。それで、四月の南北首脳会談では、完全な非核化や朝鮮戦争の終結を宣言し、非核化と平和体制の構築を同時並行で進めることで合意されたと。
これからも、確かに、六月十二日に開催するかどうか、米朝の会談が開催するかどうかも含めて、今後とも紆余曲折は私はあるんだと思うんですね。だけれども、やはり、対話で問題を解決するという大きな流れを推進する、そういう方向でしか問題解決の道はないんじゃないかというふうに思うんですが、その辺の見解を河野大臣にお聞きしておきたいと思います。


河野国務大臣

国連安保理決議を国際社会がしっかりと履行しているということがきょうの状況を生み出したわけでございまして、問題解決のためにこの安保理決議を国際社会が一致して履行していくということが非常に大事だと思っております。


穀田委員

だから、安保理は、経済制裁とそういう平和的解決、話合い、外交的解決、両方言っているわけですよね。そういう点では当たり前の話を言っているわけで、私が言っていることはさして問題じゃないと思うんですね。きちんとした話だと思うんです。
大臣は、前回の私の質問に対しても、またこの間言っておられる、CVIDの解決、達成するまで、こうおっしゃっていますよね。私は、完全かつ検証可能で不可逆的な非核化の解決を求めることが中心になるということは、これは論をまたないと思うんですね。これは当然だと。
問題は二つあると思うんです。
そこで、よく聞いてほしいんですけれども、問題は、その一つはプロセスにあると思うんです。
それは、米朝首脳会談で仮に非核化の大きな方向性について合意するとしても、凍結、それから無能力化、廃棄、検証など、一段階ずつ進んでいくアプローチが現状では唯一の方向だと私は考えるんです。それは、単に私が考えているだけじゃなくて、二〇〇五年九月の六カ国協議では、約束対約束、行動対行動で段階的に進むと合意していることを遵守することだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。


河野国務大臣

プロセスというのは交渉の手のうちでございますから、申し上げるのは差し控えたいと思いますが、行動対行動という、ステップ・バイ・ステップでやって失敗してきたというのがこれまでの教訓だろうと思っております。


穀田委員

そうではないと思うんですね。
私が言っているのは、アメリカ側も不安になっているのは、一括でやることはなかなか検証ができないと言っているわけですよね。それは全然、私は、アメリカの考え方とも違うと思うんですね。
一つ一つステップを踏みながら検証して、それを約束どおり進まなければならない。そこにあるのは、約束対約束、そして行動対行動、これは六カ国協議でも認められた原則であり、日本の安倍首相も含めてそういうことが望ましいんだということは、何回もそれは主張しておられるわけですよね。
そのことが、検証することによって段階を少しずつ前へ進めていくということを通じて最終的な非核化と平和体制構築ということで、大臣がおっしゃるように、CVIDの、完全な、検証可能で不可逆的な非核化の解決を求めることが中心だということと、それを裏づけるやり方、手のうちという、いわばどう交渉するかという話じゃなくて、今後の段階を経ていく上で、段階的に一つ一つ解決しなけりゃならないよねということを言っているわけです。


河野国務大臣

どういう言い方をされても、プロセスについて手のうちを申し上げることは差し控えます。


穀田委員

それは、手のうちと言っているんじゃなくて、アメリカもそういうふうに段階的にと言っているんですよね。それは明らかだと私は思います。
これは、手のうちと言ったら、だから、それじゃ、あそこの六カ国協議で話をされた内容というのは、あれは手のうちなんですか。違うんですよ。みんなで合意して、六カ国が朝鮮半島を非核化する方向では、そういうことの一つ一つの段取り、つまり、今までそういう意思疎通ができない状況のもとで一つ一つ段階的にやっていくことが大事だよねと、手のうちじゃなくて、みんなで合意した内容ということであって、これを言っていることが手のうちとなると、少し私は、明らかに違うと思います。
そこで、最後に、私は、米朝首脳会談で一定の合意を見る可能性は大いにあると思うし、大いに期待したいと思うんですね。そこで、問題は、その後が結局大事ですよね。
交渉を続けて非核化と地域の平和体制の確立をやり遂げる、いろいろな困難はあるでしょう、でも、やはり大事なのは、交渉を続けて先に進む。私は、こっちの方が歴史の教訓ではないかと。だから、朝鮮の非核化協議で得た最も大きな教訓の一つは、いかなる状況のもとでも交渉を続けなければならないということだと私は考えています。見解を問いたいと思います。


河野国務大臣

過去の教訓を踏まえれば、北朝鮮が対話に応じたことのみをもって北朝鮮に見返りを与えるべきでないというのが過去の教訓だろうというふうに思っております。


穀田委員

どうもその辺はすれ違いだと思いますね。そこでは、だから、六カ国協議の精神、つまり、対話対対話、行動対行動、そして話合いを続けるといった合意の、いわば声明ですね、それとはちょっと違うなというのが率直な実感です。
私は、そういう意味でいいますと、本当の意味での解決を交渉で実らせていくという、結構時間がかかる問題だと思うんですね。やはり、そのためには全ての関係国が理性と英知を発揮して解決に当たることが何よりも求められていると思うんです。これは、手のうちをどうのこうのという話じゃなくて、大局的に、どういう立場で物事を解決していくのかということが問われているということだと思っています。
こうした中で、一等最初に述べました軍事費のGDP二%を掲げるなどというのは、幾ら自民党の提言であっても、まさに、逆に言うと、自民党の提言だからこそ、私は、軍事挑発に軍事力強化で対抗し合う悪循環を加速させる以外の何物でもないと断じざるを得ません。
きょうの議論で明らかになった最大のポイントは、やはり二%について、国民が関心を寄せ、これはと思っている、十一兆も超えるような額になるということが初めて明らかになり、そのことについて、二%論に固執しているわけではないんだ、GDP比という問題で水準を考えているんじゃないんだと。
今まで国民が、いわば三木内閣以来いろいろなことを議論して、日本の軍事費の比率の問題について一つのメルクマールとして考えてそれを議論してきたことからすると大きな乖離があって、まさにこのことが日本の軍事大国への道としてつながっているということを指摘せざるを得ないし、政府としてもしこういう内容を是とするということになれば平和の流れに逆行するということを強く指摘して、きょうの質問を終わります。