陸上「イージス・アショア」配備撤回を!

2018年06月6日

中山委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

条約に関する質問の前に、政府が二〇二三年度の運用開始を目指す陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショアの配備問題について聞きます。
防衛省は、先週一日、秋田県と山口県に政務官を派遣し、両県に所在する陸上自衛隊の演習場が配備候補地になることを正式に表明し、夏以降、現地の地盤測量と電波状況の調査を行うことなどを明らかにしています。
これに対し、自治体側からは、電磁波の人体への影響など住民の不安が大変大きいことを認識してほしいなどの意見が出されています。私は当然のことだと思います。
秋田の新屋演習場は、県庁がある市の中心部から直線距離で三キロ足らず、住宅密集地の近くで、保育園や、後で述べますが、学校も隣接しています。防衛省は、地域住民に影響を与えないようにするにはどうすべきかを含めて調査すると説明したそうですが、それぞれ、直近では知事や市長も秋田では会見も行っていますが、これでは、既に配備を前提とした調査と受けとめられると懸念が表明された、これも私は当たり前だと思うんですね。
そこで、山本副大臣に伺いたい。
防衛省が自治体側に示した説明資料によれば、イージス・アショアのレーダーについて、航空機の計器等への影響を与えないように必要な対策を実施していくとあります。しかし、万が一の場合として、航空機の計器等への影響を勘案して飛行制限区域を設定する必要があるとも書かれています。
これは、つまり、レーダーの運用に当たって、航空機の計器等へ影響が生じる可能性を排除できないということじゃないのか、初めに確認しておきたいと思います。


山本副大臣

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、先般、福田、大野両政務官が秋田県、また山口県にそれぞれ訪問をいたしまして、イージス・アショアの候補地であるという旨の説明をさせていただいております。
お尋ねの、レーダーが航空機の計器に影響を与えるのではないかということでございますが、防衛省・自衛隊では、全国でさまざまなレーダーを配備、運用を現在もしております。これらは、いずれも、周辺を飛行する航空機の計器などへ影響を与えないよう、必要な対策を実施しております。
イージス・アショアのレーダーにつきましても、十分な調査を行った上で、必要に応じた対策をとってまいりたいと考えています。
その上で、イージス艦のレーダーについて申し上げれば、レーダー照射中であっても適切な管制により、ヘリコプターの離発着がイージス艦の場で行えるなど、航空機の計器等へ影響を与えないよう運用しているというのが実情でありまして、イージス・アショアの配備に際して、万が一、航空機の計器等へ影響を勘案して飛行制限区域、これは委員御指摘のことでございますが、飛行制限区域を設定する必要がある場合でも、例えば、ドクターヘリなどが緊急時に飛行できるよう停波をするなどの必要な対策を実施する考えでございます。
〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕


穀田委員

簡単に言えば、要するに、配置場所の上空では、一定の範囲で飛行できない区域を設定する可能性があるということだと。
しかも、ドクターヘリの話も出ましたから、では、私、ドクターヘリの問題についても一言言っておきますと、京都府の京丹後市の米軍経ケ岬通信所では、同じく強い電波を出すXバンドレーダーが航空機の計器類を狂わせるおそれがあり、半径六キロ、高さ六キロの半円柱状の空域を飛行制限区域としています。
そのため、経ケ岬通信所では、先月、交通事故の負傷者をドクターヘリで搬送するため、米軍に電波の送信停止、いわゆる停波を要請しましたが、すぐには実施されず、負傷者の搬送が十七分もおくれるという問題が起きている現実があります。
しかも、この問題について言うならば、本来、停波を直ちにする約束をしていながらもこういうことがあって、一度ならず三度もやっているということまで明らかになっている。
ですから、ドクターヘリなどの緊急ヘリは、人命にもかかわる重要な運航手段であって、そうした航空機の飛行に影響を及ぼす可能性があるということは到底容認できないと私は思います。
そこで、防衛省の説明資料では、イージス・アショアのレーダーが施設区域外に騒音を与える可能性は低いとする一方、これも同じように、万一、周囲に騒音を与える場合は消音装置を取りつけるとある。
つまり、周囲に騒音を与えることもあり得るということか。これも結論だけでいいですから、話は私はわかっているので、よろしく。
〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕


山本副大臣

御説明を申し上げます。
先ほど委員御指摘の五月十五日、確かに、経ケ岬でレーダーの停波がうまくいかずにドクターヘリがうまく運用できずに、けが人がドクターと接触するのに十七分の遅延をもたらしたということも事実でございまして、これは、米軍と消防機関、常に訓練をして、そういった意思疎通がうまくとれるようにということを関係機関ともども訓練を行ってまいっておりましたが、先般の場合は、意思疎通がうまくとれずに、そういう事態に陥りました。
もちろん、けが人に対して別状問題はなかったということでございますが、我々にとってはまことに遺憾であるということは申し上げたいと思いますし、今後とも、米軍、そして消防、関係機関とはきちっと再発防止に向けて取り組んでまいりたい、そういったこともあわせて申し上げたいと思います。
その上で、今委員御指摘のレーダーによる周囲の騒音問題が発生するのではないかということでございますが、本年一月に小野寺防衛大臣が、米国のイージス・アショアの試験施設、これはハワイでございますけれども、試験施設を視察をいたしました。その際に、実際、大臣が現地で確認をしましたけれども、レーダーが稼働中でも特段の騒音の問題はなかったと私も聞いておりますし、大臣もそのように申し上げているところでございます。
このように、イージス・アショアのレーダーにつきましては、敷地外に騒音を与える可能性は低いと考えておりますが、防衛省・自衛隊が全国で配備、運用しているレーダーに関して、レーダーそのものといいますか、その電源装置などが周囲に騒音を与えないよう、必要に応じて対策を実施しているところでございます。
ただ、万が一周囲に騒音を与える場合には消音装置を取り付けるなど、必要な対策を実施しているところでございます。


穀田委員

可能性は低い、万が一って。私、京都に住んでいますけれども、経ケ岬なんて、万が一って、Xバンドレーダーってたった二つしかないのに、二つのうちの一つはガンガン音がして大変だと。万が一って、その二つしかないやつのうち一つあったら何で万が一になるのか、ようわからぬけれどもね。よっぽど数字が違うねんなと思いますわ。
レーダーなどによる、さっき言った自家発電が騒音を出すというのはわかっています。問題は、電波も、先ほど大臣が視察したと言っていますけれども、そんなもの、電波の出力というのは、強弱がいっぱいあって、一定じゃないんですよ。しかも、米国の試験施設というのは、ハワイ州の西端にあって、広大な米軍施設の中に置かれて、人的、物的影響は想定しがたい。米軍が二〇一六年五月から運用開始したルーマニアも、民家から離れたところにあると言っておきたいと思うんです。
これに対して、秋田の新屋の演習場は、南北二キロ、幅八百メートルほどで、実射訓練が困難な狭い土地で、周辺には緩衝地帯が全くありません。近くには、勝平小学校、マンモス校の日新小学校、勝平中学校、栗田養護学校、秋田商業高校などがあり、隣接する建物からは演習地が丸見えということだそうです。このような場所を最適候補地とするなど、私はおよそ理解できないと思います。
そこで、防衛省が提出した、「弾道ミサイル対処能力の総合的な向上に関する施策の方向性」と題する資料があります。これは、請求して、いただきました。
防衛政策課、戦略企画、防衛計画の三つの課で作成したもので、昨年八月三十日に行われた統合機動防衛力構築委員会で使われた、席上回収、秘指定の文書であります。
資料を見ると、昨年の三月の自民党政務調査会の弾道ミサイル防衛に関する提言を参考にして、イージス・アショアを中心に新規アセット導入を目指すとして、費用対効果などの検討を行っています。山本副大臣は、この通称統機防委員会の委員長を務めているので、よく御存じと思います。
そこで確認ですが、資料には、「弾道ミサイル防衛について」として三つの課題が列記されています。一、二、三とあります。この中には、配備に当たってどういうことを書いているかということで、住民生活への影響などの課題というのは含まれて議論されていますか。


山本副大臣

申しわけありません、最後の部分が余りよく聞き取れなかったんですが、住民の課題でございましょうか。


穀田委員

住民生活への影響を課題としているか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
確かに、この統合機動防衛力構築委員会の委員長を私が務めておりまして、今委員が手元にお持ちの資料は当方で作成したものでございます。
この中で、我々、弾道ミサイル対処能力を議論した中では、基本、ベースとしましたのは、装備品の能力あるいは費用、運用に対する人員、そういったものがメーンではございますが、当然、どこに配備をするのか、そういった観点、あるいはそういったことによってどういう影響が出てくるのか等々も踏まえて検討をさせていただいているところでございます。


穀田委員

課題というところの一、二、三、これが大くくりでして、これには、そういう住民生活の影響などは課題として考えられていないということははっきりしている。
そこで、この統機防委員会が開かれた八月三十日といえば、防衛省が二〇一八年度予算案の概算要求で、いわゆる「金額を示さない事項要求」としてイージス・アショアの導入を明記した前日のことであります。この資料を見る限り、課題のみが列記されている。中では、そういう住民生活に与える影響というのが主な課題になっていないことは明らかであり、この課題の中にはないということだけははっきりしている。
そこで、この「弾道ミサイル防衛について」の「課題」とある箇所には、「発射の秘匿性が向上する中、二十四時間/三百六十五日、弾道ミサイル対処の態勢をとることが困難」と記されているわけですけれども、残りの二と三には何が書かれているんですか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
委員会にも資料が配付されていないようでございますが、一、二、三と書かれておりまして、二と三は黒塗りにさせていただいておりますので、この内容を今ここで答えるということは適切でありませんし、我が国の安全を害する可能性もございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。


穀田委員

では、もう一つ、防衛省が出した「事務連絡」と題する、真っ赤な表紙の秘密指定の原議、コピーすると原議と出てくるやつがあるんですね。これは、昨年十二月六日に行われた統機防委員会で使われたものです。
資料には、費用対効果を踏まえイージス・アショアを二基とすることや、担当する自衛隊を陸自とするということなんかが提案されています。
それに加えて、こちらの資料には、先ほどの「弾道ミサイル防衛について」のページと同じような、「弾道ミサイル防衛について」のページに「再掲」と書いています。
そこには、八月三十日の資料では、先ほど、今副大臣がお話あったように、二、三は黒塗りだというところがあるわけですけれども、この二には、きのう、こちらの資料には「飽和攻撃を受けた場合、全ての弾道ミサイルを迎撃することは困難」と、これにはそう記されています。また、三には「ロフテッド軌道への対処能力が限定的」と書かれています。
となると、この八月三十日の資料の二と三というのには同じことが記されているということではないのですか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
先ほど来から委員が提示をされている資料は、確かに私どもが委員に提供をさせていただいたものであり、私も手元に持っておりますけれども、今、もう一種類お示しになられた資料というのは、私はちょっと承知をしておりませんし、本日そういった質問をされるという質問通告も受けておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。


穀田委員

私、まず、いつも思うんだけれども、質問通告がなかったということで答弁できないということを恥としなくてはならぬと。
まず、あなたは、まあ、あなたはと言っちゃ悪いけれども、副大臣はこの委員会の長なんですよ。あなたが知らない文書が、そこで、副大臣が長とされている中で議論されているのを知らないとすると、それはどうなんだと。そんなことはないのかあるのか。
私は、じゃ、はっきり言わせていただいて、今わからぬと言ったんだったら、この資料が出されたことはないというふうに言うんですか。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
確かに、統機防の委員長でありますけれども、お示しされたその資料というものが何なのかというのがまずわからないんです。ですから、どういったものかというものをきちっとお示しをしていただかないと、それが当方から公表した資料なのかどうかも私はよくわかりませんので、以前もそういうことがございましたけれども、真贋を含めてお答えできないといいますか、何をお持ちなのかがそもそも我々としてはわからないということでございます。


穀田委員

いつも、この議論をしていると、そちらの省が提出した内容で、日付まで明らかにし、これほど真っ赤なやつを忘れるとか知らないとか言うとしたら、およそもうどんな議論をしてんのやと。それで、おたくのところが提出した資料で、日付も明確にし、そして中身はこうだということを聞いているのに、中身の話をせずに前段で話をそらすというのはもうやめにしたらどうです、いいかげん。それが防衛の体質ですか。(発言する者あり)いきなりじゃないですよ。この問題と同時に提出された資料なんです。ですから、そういうことについては。まあいいでしょう、その程度だと、真っ赤な文書まで忘れるほどの文書だということがようわかったと。
そこで、やはり問題は、このイージス・アショア二基で日本全域をカバーする上で、日米共同開発の迎撃ミサイルSM3ブロック2Aを搭載する予定と。しかし、例えばことし一月十六日の朝日新聞には、「多数のミサイルを同時発射する「飽和攻撃」を仕掛けられた場合、すべて撃ち落とすのは「極めて困難」」だと防衛省幹部が述べています。
この真っ赤な、統機防委員会ですね、この資料には、まさに、「飽和攻撃を受けた場合、全ての弾道ミサイルを迎撃することは困難」、こう書いているんですね。その中身も忘れるようじゃ、もうこれは資格がないと私は言わざるを得ないんですけれども。
やはり、防衛政務官を務めた佐藤外務副大臣は、就任前の昨年五月十五日の参議院決算委員会で、ミサイル防衛の層を幾ら厚くしても、飽和攻撃とかロフテッドに対しては限界があるのも周知の事実と指摘しています。さらに、江渡元防衛大臣も、ことしの二月十四日の衆院予算委員会で、導入したとしても、飽和攻撃を受けた場合、その全てに対応することは大変難しいと強調しています。
ですから、そういう内容がこれに書かれているということを隠したかったんじゃないかというのが、これとこれですね、同じ日付で、私どもがもらった文書で、そちらが提出した文書で、真っ赤なやつも忘れると言ったのは、まさに真っ赤なうそをついているということになるのか知らぬけれども。
そういう意味でいいますと、私は値段もついでに聞いておきたいと思うんですね。一基当たり一千億円、二基で二千億円もの巨額費用を要するとされています。配備後の維持費などのライフサイクルコストを含めて、全体の運用コストは一体幾らかかるか、端的に言ってください。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
今委員御指摘の弾道ミサイル防衛能力の件に関しましても、我々も国会で逐次答弁をさせていただいておりますけれども、今御指摘のようなロフテッド軌道、そういった弾道ミサイルのものに対して、我が国の防衛能力、これにつきましては、あくまでも一般論でありますけれども、ロフテッド軌道をとることにより迎撃を回避することを企図して発射された弾道ミサイルについては、確かに迎撃がより困難になると考えておりまして、そのことに関しては我々も国会で既に答弁をしているとおりでございます。
その上で申し上げれば、我が国の迎撃にかかわる個別的な、具体的な能力については、我が国の手のうちを明らかにすることになりますので、従来よりお答えは差し控えさせていただいておりますが、我々が国民の生命と財産を守るために万全の体制をとっているということだけは申し上げておきたいと思います。
その上で、今、イージス・アショアの一基当たりの価格等々の御質問がございましたけれども、イージス・アショアの一基当たりの費用あるいは配備後のライフサイクルコストにつきましては、レーダーを含むシステムの構成、あるいは配備する場所などによりまして相当程度変動すると予想しておりますので、現時点で一基当たり幾らだというようなことを確定的に申し上げることは困難だと思っております。


穀田委員

ことしの秋田魁新報によれば、防衛省の五味賢至戦略企画長、この会議に参加している人ですけれども、それに導入費の見通しについてインタビューしていると、米側から情報を得て確定していくと。だから、あっちが確定していないからできへんねんということを、簡単に言うと、言っているわけですよね。
結局、政府が二〇〇四年に導入したミサイル防衛整備経費は、一八年度予算までの累計で二兆五百八十八億円に既に上っています。当初、導入経費としておおむね八千億円から一兆円としていたけれども、既に倍増しています。このままでは二兆円すら大きく超える事態になりかねぬと思います。
最後に、外務大臣に質問しておきたいんですけれども、この財政が厳しい折に、政府は北朝鮮の脅威を導入の理由に挙げているけれども、来週十二日は、既に議論になったように、史上初の米朝首脳会談が開催される。イージス・アショアの配備計画というのは、国際社会の対話による解決に逆行するとは思いませんか。一言だけ。


河野国務大臣

現時点においても、北朝鮮の核・ミサイル開発が我が国の安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威であるとの認識に変わりはなく、政府としては、イージス・アショアの導入に向けた取組を引き続き進めていく考えでございます。


穀田委員

先ほどの質問の、答弁に一言だけ言わせてもらいますと、やはり何も変わっていないと言うんじゃなくて、北朝鮮を変えるための努力をどうしてきたのかということを問われるし、小泉政権下での外務審議官を務めた田中氏は、この間の報道で、テレビで、圧力、圧力で日本の戦略が全く見えないと指摘しています。
私は、今強く求められているのは、アメリカの顔色をうかがって、過剰な備えで軍拡の悪循環をつくることではないと思います。
時間がなかったので、モントリオール議定書については、質問する予定でしたけれども、私は、新たに議定書の規制対象を追加し、生産、消費の段階的削減を目指すものであり、賛成であるということを申し添えて、質問を終わります。