核兵器搭載可能B-52米爆撃機と複数回訓練 防衛省認める

2017年12月6日

中山委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
私も、北朝鮮問題に対する政府の対応について質問をいたします。
繰り返しこの問題が議論されているその前提は何か。それは、北朝鮮が核実験と弾道ミサイル発射を繰り返していることについては、世界と地域の平和と安定にとって重大な脅威であって、累次の国連安保理決議などに違反する暴挙だということであります。私たち、我が党もそうですが、北朝鮮の暴挙を厳しく糾弾し、これ以上の軍事的挑発を中止するとともに、核・ミサイル開発を放棄することを厳重に求める、これは何ら変わらない。
そこで、今危惧されるのは、米朝の軍事的緊張が高まるもとで、偶発的な事態や誤算から軍事衝突が引き起こされる現実の可能性が生まれ、強まっていることではないでしょうか。
今回の弾道ミサイル発射を受けて開かれた国連安保理の緊急会合で、アメリカのヘイリー国連大使は、全ての加盟国に北朝鮮との関係を断絶するよう求め、これが実行されなければみずから事態に対処すると軍事行動に踏み込む可能性を示唆しています。同時に、共和党の重鎮であるグラム上院議員も、先日、米国のCBSテレビで、先制攻撃の可能性が近づいているとの見方を示しています。
戦争の回避というのは、国民の命と安全を守るべき政治に課せられた責務であります。アメリカによる先制的な軍事力行使は絶対にさせてはならないと考えますが、いかがですか。


河野国務大臣

繰り返しますが、この問題は、北朝鮮が一方的にこれまでの米朝枠組み合意をほごにし、六者会合の共同声明をほごにし、核実験を繰り返すことによってNPT体制に挑戦をし続けて、北朝鮮が一方的に起こした危機でございます。
我々は、誰もこの朝鮮半島で紛争を起こすことを望んでいる人間はいないということをまず確認しなければならないと思いますし、この北朝鮮危機は、単に北朝鮮が、核実験をやらない、あるいはミサイルの発射をしないと言って終わるものではないということを確認しなければならないと思います。
既に、日本、韓国、アメリカ、中国、ロシアを初め国際社会は、この北朝鮮危機の終わり方は、朝鮮半島を非核化する、つまり、北朝鮮の核をやめさせることがゴールだということは、国際社会、揺るぎなく合意をしているわけであります。
そのためには、北朝鮮に政策を変えさせるために圧力を最大限かけて、北朝鮮の方から核、ミサイルを放棄するという意思を明確に表明させ、具体的な行動をとらせることによって国際社会との対話を始めようというのが国際社会の方針であります。


穀田委員

誰も望んでいない。それは各国望んでいませんよ、それは当たり前の話なんです。問題は、何が起ころうとしているかということについて、事実を見る必要がある。
先ほど述べたグラム氏は、事態が変わらなければ、我々は戦争に突き進むことになる、北朝鮮の核・ミサイル開発をとめるために戦争をしなければならないのなら我々はそうする、こういうことを言っているわけであります。
そして、軍事力行使の現実の危険性が高まっているから聞いているわけですよ。しかも、衝突を起こしたのなら、これは当たり前の話であって、問題は、偶発的に起こる可能性もある、そこに対しても手を打たなきゃならぬということを世界が心配しているわけであります。
だから、橋本内閣で防衛事務次官を務めた秋山さんは、米朝対立のエスカレーションがこのままさらに進めばそれだけ誤解や誤算による偶発的な軍事衝突の可能性が高まる、そうなれば第二次朝鮮戦争に発展し韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらす、少なくとも米側から軍事力を行使すべきでないという考えを日本としても明らかにすべきだと強調しているわけであります。私は、真っ当な意見だと思うんですね。
単に、それだけじゃなくて、つまり、大臣は誰も衝突は望んでいないと言うんだけれども、そういう動きがあり、偶発的な可能性があるという問題が一つの焦点になっているわけですよね。
だから、今回のミサイル発射を受けて、韓国の文在寅大統領は、十一月二十九日に、北が状況を見誤り、我々を核で威嚇したり、米国が先制攻撃を念頭に置く状況になることを防がなければならないと表明しているんですね。
アメリカでも、大統領が議会の承認なしに北朝鮮を先制攻撃することを阻止する法案が十月末に提出されるなど、やはりトランプ大統領による先制的な軍事力行使への懸念が広がっている。
こういう状況を踏まえて、米国に対して、そういう先制的な軍事力行使はやるべきでないと提起すべきじゃないのかというのが私たちの考えなんです。


河野国務大臣

繰り返しますが、危機をつくり出しているのは北朝鮮であって、北朝鮮がさまざまな軍事行動をとらないように、米軍が持てる抑止力の全てを使うということを明言していることを我々は歓迎したいと思います。


穀田委員

話がかみ合うてませんな。
つまり、危機をつくっているのはそうだというのは、誰もそれは一致して言っているんですよ。その危機が新しい段階に入ろうとしているんじゃないのか。しかも、それを、いわば北朝鮮が挑発をやめなさいということは誰も言っているわけですよ。問題は、そのときに、アメリカが先制的軍事攻撃をやる、そういう形の動きが強まっている事実を見なくちゃならぬということを私はまず言っている。その上で、そういうエスカレートが、いわば偶発的なそういう形を招きかねない危険性がある、この問題を言っているわけであります。
私は、この間、うちの笠井議員やまた超党派の議員の方々と、日韓議連、さらに韓日議連の合同役員会に行ってきましたよ。ちょうどそのときが、韓国は訓練の日でもありました。その方々が異口同音に言っておられるのは、韓国側が言っているのは、やはり、米国がまず北への攻撃を開始することが不安だというふうに述べていたのは非常に特徴的だったと思います。
そこで、ではアメリカの世論はどうなんだと見てみますと、十月二十四日に発表されたワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査では、北朝鮮に対する米国の先制攻撃に反対するとの回答が六七%にも上っているんですね。そして、二三%が賛成するということを大きく上回っている。ですから、やはりアメリカでもそういうことについての議論が行われていて、その多くの世論が、あかんでと言っているというところに我々は着目する必要があるんですね。
結局、私は、今、河野さんが何度も同じ答弁ですがと言ってやっていることが、支持しているということで容認するということが、朝鮮半島有事への軍事的対応を加速化させることになりやしないかということを言っているわけであります。
例えば、米国の軍事専門サイト、ディフェンス・ワンは、十月下旬に報じていますが、米空軍のゴールドフィン参謀総長は、核兵器を搭載できるB52戦略爆撃機について、二十四時間態勢で運用できるよう命令を受ける可能性があるとして、準備を進めていることを認めたとあります。
さらに、そういう点では、そこからなんですけれども、防衛省に今度は聞きたいわけですが、小野寺防衛大臣は先月二十一日の記者会見で、ことし八月、北朝鮮に対する圧力につながるとして、米空軍のB52爆撃機が日本列島上空を横断飛行した後、日本海の空域で航空自衛隊のF15戦闘機と共同訓練を行った事実を認めたわけであります。
このときの訓練の目的、参加部隊、訓練項目は何か、簡潔にお答えください。


山本副大臣

お答え申し上げます。
八月二十二日、航空自衛隊は、日米共同対処能力及び部隊の戦術技量の向上を図るため、日本海上の空域において、米空軍の戦略爆撃機B52との共同訓練を実施いたしました。
具体的には、航空自衛隊の戦闘機F15二機が、米空軍の戦略爆撃機B52の二機と編隊航法訓練を実施しました。
防衛省としては、この共同訓練を実施した結果として、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思と、高い能力や強固な日米同盟関係を示す効果があるものと考えております。


穀田委員

まあ高い効果がある。先ほど他の委員からもこのB52の話がありました。結局、実戦があるからそういうことをやっているんだろうという話があって、私もそうだなと思うんですけれども。
結局、では、そこで、山本さん、B52とはどういう爆撃機かということだと思うんですよ。さらりと言っているわけだけれども、先ほど述べたように、核兵器を使う任務につく可能性がある長距離爆撃機だ、ここが肝心な点なんですね。このような爆撃機と航空自衛隊が、北朝鮮への圧力につながるなどと共同訓練を実施していたということは、私は驚くべきことだと思うんですよ。
小野寺大臣は記者会見で、今回の訓練を報道されるまで公表しなかった理由を問われ、聞かれたら状況については答えることで一致していたと弁明していますが、言いかえれば、外部に知られるまで隠しておきたかったということではありませんか。
そして、そういうことの理由は何かというと、B52というのはどういう飛行機かということで、これまでの政府見解でいうならば、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみ用いられる攻撃的兵器であって、日本の防衛力に役立つということではなく、他国に侵略的な脅威を与えるもの、こうされてきた見解が防衛省のホームページにも載っています。
だから、そういう性格を持っている、しかも、先ほど他の委員からお話があったように、核が積める、そして、そういうことでいえば、実戦は核は当然積むわけだから、そういうことを含めてやっていたんじゃないのかという質問もありましたけれども、やはり今回の訓練を公表したくなかったのは、そういう意味での極めて重大な爆撃機の性格を持っているからではないのかということについて、どうお考えですか。


山本副大臣

お答え申し上げます。
共同訓練の公表につきましては、個々の訓練ごとに、相手国との関係を初めとするさまざまな要素を総合的に考慮し、公表の有無、時期等を判断しております。
今回の訓練につきましては、米側と調整した結果、積極的に公表しないということになったものであります。


穀田委員

だから、言うている意味が、この爆撃機が核を搭載できる、しかも、そういった内容をアメリカ側がオーケーしたら公表する。それで、実際は何をやっているかわからぬ。ということは、公表しないということはあるということでしょう。そういうことですわな。アメリカ側と調整したからオーケーだ、調整してノーと言ったら公表しないということを言っているにすぎないんですよ、今の発言は。
そうしますと、報道によると、外務大臣に聞きたいんですけれども、政府はB52が核爆弾を搭載しないことを訓練前に確認したと言うけれども、どうやって確認、検証したのか、外務大臣、お答えください。


河野国務大臣

米国は、我が国の非核三原則に係る立場をよく理解しているわけですから、米国が核兵器を搭載している戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは、現状において想定をされておりません。


穀田委員

先ほど前委員の質問に対して答えたものと同じ答弁をしているだけなんですよね。
そうすると、結局のところ、こういう理屈なんですよね。先ほど、もうちょっと前の方があって、非核三原則を理解してもらっている、こう言って次しゃべっているんだけれども、今はそれなしでしゃべっているんだけれども、理解をしてもらっている、だからアメリカ側はそういうことをしていないということなんだということですね。それでは、どないして信用するのかと。
先ほど、国際武力紛争の問題について、アメリカ側はそういうことをやったことはないと。そんなことはないですよ。そんなもの、ベトナム以来、ずっと無法な戦争をやってきて、反省したことは何回もありますよ。だから、余り、そういうことで、アメリカが理解しているから積んでいないという話は成り立たないと。
それは、日本の中でいいますと、例えば非核の港ということもありますね。神戸なんかはずっとそういう方式をやっていますよ。それを一々確かめるかと。確かめないけれども、逆に入らないということでそういう担保がされているんだろうというのは、これは逆の真理ですよ。
しかし、積んでいるか積んでいないかということについて言えば、それを積むことを一つの事実として実戦に配備される可能性があるものを、訓練と称してやっているときに大丈夫かと聞くのは、日本国民として当然の権利じゃないですか。


河野国務大臣

緊密な同盟国として日ごろ日米は連携をしておりますので、米側は日本の非核三原則の立場をよく理解し、先ほど申し上げたように、核兵器を搭載したような戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは想定されていないということでございます。


穀田委員

想定されていないと。しかし、かつてはそういうことをやってうそをついていたこともあったということは、外務大臣が一度明らかにしたことでもあることは御承知のとおりです。
私は、結局、核兵器を搭載した訓練だった可能性があるということは否定できないと思うんですよ、客観的には。確かめていないんだから。そういうものだと言っているだけで。これは、非核三原則をじゅうりんする本当に大事な、重大な答弁だと言わざるを得ないと私は思います。そういうことについてさえも白黒をつけることができないということは難儀だなと率直に言って思います。
では、もうちょっと聞きますけれども、防衛省、今回の訓練以外にも航空自衛隊の戦闘機が日本の空域でB52爆撃機と共同訓練した事実はあるのかということについてお答えください。


山本副大臣

お答えを申し上げます。
これまでも、米空軍B52爆撃機との間で今回と同様の訓練を実施したことはございます。ただ、何回やったのか、それをいつやったのかという詳細につきましては、相手国との関係上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。


穀田委員

私は、それはおかしいと思うんですよ。
何月何日、何機来た、どうしたと、そこまで詳しいことを全部言えとは言いませんけれども、核兵器を搭載した訓練だった可能性をある意味では問う立場にある、例えば行政府に対しての立法府がチェックするという前提さえ、明らかにしないということになるじゃないですか。しかも、その訓練を国民に秘密にしなければならないほどの内容であるかどうか、それさえも確かめるすべがない。そういうことについて言うならば、私はいかがかと思います。きちんとした報告を求めたいと思います。
ですから、大臣、今ありましたように、今回のほかにも日本の空域でB52との訓練が国民には知らされない形でやられているというのは、私は問題だと思うんですね。そうすると、そのような訓練が繰り返されれば、訓練中に米朝間で偶発的な衝突が起こったり、国民も国会も知らないうちに戦争に発展する事態も起こりかねない、そういう危険性について考えを及ぼすことはありませんか。


河野国務大臣

なかなか想定しにくいのではないかと思います。


穀田委員

どうも、アメリカが核を積んでいることについては想定しにくいと。国民がそういうことについて疑問に思うことの方をまず想定したいなと私は思います。
なぜそんなことを言っているか。これは、もし軍事的衝突が起こればどんな事態になるかを考える必要があると思うんですね。
先ほども、私の前の質問で、委員は、米議会調査局が十月末にまとめた報告書を指摘していました。膨大なものですから、これですけれども、それを全部やれといったら大変な資料ですよ。
結論的に言うと、アメリカが軍事力を行使した場合、北朝鮮から反撃を受ける公算が高く、甚大な犠牲が不可避だと警告しているということですね。朝鮮半島の人口密度を勘案すると、軍事衝突が起きた場合、核兵器が使用されなかったとしても、最初の数日の戦闘で三万から三十万人の犠牲が想定されると分析しています。それで、十万人の米国人を含む二千五百万人以上に影響が及ぶおそれがあると指摘しています。さらに、中国、日本、ロシアなどの周辺国が直接的、間接的に介入することで、事態は朝鮮半島を超えて急速に拡大し、戦死者が一層ふえる可能性があると予測をしています。
だから、私は、米国の軍事力の行使を支持、容認することがどれほど危険であるかは明白だと思うんですね。こういう事態が予測されることについては認識を共有しますか。


河野国務大臣

何度も繰り返して恐縮でございますが、この危機をつくり出しているのは北朝鮮でございまして、北朝鮮が核の開発、ミサイルをやっていることがこの危機をつくり出している。
誰も、紛争を朝鮮半島で起こしたいと思っている人間はいないわけでございます。ですから、今、国際社会は、安保理決議を加盟国全てが完全に履行することによって北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮が核とミサイルを廃棄する、そのように政策を変更するように各国が努力をしているところでございます。


穀田委員

私の質問に余り答えていない。何度もそのフレーズを繰り返されておられることは、それこそ想定済みということになるんでしょうかね。
私、今の問題は、こういう事態がもし起こったらどうなるかという話をしているわけですね。本当に大変なことになる。それを、原因の話をしているんじゃなくて、原因がそうだとしても、もし事態が軍事的衝突へ発展したらどないなるかということの危険性を言っているわけですよ。
そして、すぐ大臣は国連安保理決議、こう来ますわな。私どもも当然、国連安保理決議が実行されることを望みますよ。
そこで、では聞きますけれども、国連安保理決議二三七五号は、経済制裁の強化とともに、全ての加盟国に、事態の平和的かつ外交的な解決、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を呼びかけている。これは御承知ですよね。


河野国務大臣

安保理決議二三七五は、北朝鮮に対する制裁を一層強化し、格段に厳しい制裁措置を科すものと高く評価しております。


 

穀田委員

制裁措置を言っていることも事実なんだけれども、今述べたのは、私は、事態の平和的解決、外交的な解決、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を言っているということを言っているので、それはそのとおりだと思うんですよね、それは事実なんだから。余りそっちの方は言わはれへんけれども。
そこで、私は、前回の八月の決議二三七一号と比較しても、このフレーズというのは、前段、前の方に来ていまして、位置づけが高められている。国際社会が一致結束して今力を傾注すべきはこのことだと私は思います。
大臣は、また総理もですが、対話のための対話は意味がない、こう言いますけれども、今、対話は、北朝鮮の軍事的挑発をとめさせる、やめさせる、ストップさせるために行うのであって、今日の緊迫した状況のもと、それ以外の対話などあり得るんですか。


河野国務大臣

この北朝鮮危機の出口は朝鮮半島の非核化だということは、国際社会が合意をし、委員も恐らく合意をされているんだろうというふうに思っております。
北朝鮮はこれまで、一九九四年の米朝枠組み合意、二〇〇五年の六者会合の共同声明をほごにしてきた、そういう歴史があります。我々はそれを振り返って反省をし、北朝鮮が核、ミサイルを放棄するという明確な意思、そして具体的な行動に出る、その上で国際社会は北朝鮮と対話をする、これが今の国際社会の根本的な考え方でございまして、ただ対話のための対話というのは、ただ北朝鮮が核やミサイルの開発をするための時間稼ぎに使われるだけだというふうに思っております。


穀田委員

対話のための対話って、報道によれば相手の方は七、八回言っているそうですけれども。
私、九四年の問題についてとそれから二〇〇五年の話を必ずされますよ。しかし、それはその後の経過の中でほごにされたという話をしているだけで、その時点で、いわば対話への関与という点では、トランプ氏もオバマ氏も変わらないんですよ。戦略的忍耐といって対話を事実上拒否してきた。だから、九四年以後の、その間の後が問題であって、では問題の中心は何かと。やはり私は、九四年のあの危機から何を教訓として学び取るか、それがすぽっと抜けているのがあなた方の理論といいますか、発言の特徴なんですね。
そこで、私は逆に、九四年の北朝鮮の核兵器をめぐる危機の際の教訓を学ぶことが大事だと思っています。
当時の当事者だった米国防長官のペリー氏は、マスコミのインタビューで、日本の指導者は外交の失敗がもたらす帰結を理解する必要があります、外交の不在や見境のない発言は戦争に、非常に壊滅的な核戦争に突入する条件を醸成していますと述べて、実行可能な軍事オプションは存在せず外交と対話以外に解決策はないと強調しているわけであります。
ペリー氏は、当時の北朝鮮の核危機の際に、必要があれば軍事行動をとる用意があるとの声明を出し、寧辺の核施設を巡航ミサイルで破壊する軍事計画を実際に作成したと言っているわけですね。だから、そういう事態の中で起きた回避、それの教訓を学ぶべきであって、そちらの方はさっぱり言わずにやっているということは、私は、はっきり言って政府の対応はええかげんやなと思うんですね。
だから、このように、軍事的攻撃を本格的に検討しながらも最後は直接対話に踏み切った元国防長官のこの発言を重く受けとめるべきではないでしょうか。いかがお考えですか。


河野国務大臣

九四年の枠組み合意、二〇〇五年の六者会合の共同声明、北朝鮮が危機をつくり出すたびに対話による事態の打開の道というのが探られてきたわけでございますが、いずれの場合も、北朝鮮は核やミサイル開発を諦めるつもりはまるで持ち合わせず、この対話の努力を時間稼ぎの口実に使い、核、ミサイルの開発を進めてきたわけでございます。
一九九四年には核兵器も弾道ミサイル技術も成熟にはほど遠かった北朝鮮が、今やその技術を進歩させてきたというわけでございますから、我々としては、対話のための対話ではなく、北朝鮮の今の体制の政策を変えさせるための圧力というのを、国際社会挙げてきちんとやっていかなければいけないと思っています。


穀田委員

私も、制裁を強化して全世界としてやっていくということについては当然だと思っています。
最後に、六カ国協議で日本団長を務めた薮中元外務事務次官も、圧力一辺倒では北朝鮮は暴発してしまい、結果的に武力行使と同じ結果になりかねないとして、解決のためには交渉の道に踏み出すべきだ、安倍総理はトランプ氏に対して北朝鮮を説得し交渉に参加させるための道筋を提案すべきだと指摘しています。私は、対話否定、また軍事力行使容認というのはやはり改める必要がある、対話と交渉による問題の解決、これは国連の安保理決議でも言われていることだ、この方向に進むべきことを改めて提起し、質問を終わります。