タクシー適正化・活性化法改正案、運転者の労働条件改善に役立つとして賛成

2013年11月8日


穀田委員

提出者に質問します。

二〇〇〇年の規制緩和の審議のときに、当時の運輸大臣は、規制緩和を行うことによって、それぞれ事業者間の競争、そしてまたタクシーの運転手さんも含めたいろいろな方々が、これからは自由にいろいろな面で競争を導入して対応していくことは、やがてまた新しいタクシーの需要も起こってくる。また、当然労働力を必要とする最も重要なタクシーの事業でございますから、新しい事業が参入してくることは、労働者に対してもまた条件をさらによくしていく方向になっていくと。

二つのことを言っておったわけですよね。規制緩和を行うことで競争が起きて、新しい需要も起きてくるし、労働者の条件もよくなると言っていた。

法案提出者に聞きます。

このように、当時の運輸省が描いていた新しい需要は起きたのか、また、労働者の条件がよくなると言っていたことは実現できたのか、端的にお答えください。


金子(一)議員

端的にお答えを求められました。

規制緩和そのものが決して間違っていたとは思いませんが、その結果によって、いろいろな弊害あるいは問題点も出てきている、これが我々の反省点であり、今回の法案の提出の趣旨でもあります。


穀田委員

そこで、間違っていたとは思わぬけれどもと言っていたんですけれども、私は、間違っていたと思うんです。

つまり、二つのことを言っていた。労働条件はよくなる、事業参入もふえる、需要が拡大する、この二つを言っていたんですね。需要は減った、労働者の労働条件は悪くなった、これは間違いではなかったのかと言っているわけです。間違いなんです。

私どもは当時、需給調整廃止によって供給過剰を一層深刻化させる、こう言っていました。私どもはそう主張しました。規制緩和によってタクシー台数はさらにふえ、一台当たりの水揚げが減れば、それをカバーするために一層の長時間労働を余儀なくされ、安全を脅かすことになると私どもは結論づけて、反対討論をしたわけであります。

そして、タクシーの適正な車両規制が必要じゃないかと我が党が求めたのに対し、当時の運輸大臣は、この供給過剰の状態というものについては、今日の経済状況として、自由競争の中でそれぞれ工夫を凝らしていくわけだから、タクシー業界そのものは御心配いただいているようなことにはならないと述べた。ここまで述べたんです。

ですから、間違っていないとおっしゃっていましたけれども、弊害が起きている、政策目的の二つが達成できなかった。私は、これは誤りと言うしかないと。

問題は、私、〇九年の六月にも参考人質疑で主張しました。政策の誤りが、どれほど多くの方々に被害と苦しみをもたらしたのかということなんです。今、タクシーの労働者は、塗炭の苦しみをなめている。市場の失敗ということでは済まない。利用者の安全、これは人の命がかかわっている問題です。そして、労働者の労働条件悪化、これは生活が成り立たないほど深刻化している。したがって、検証の上、まず真摯かつ真剣な反省が必要だということを改めて私は主張しておきたいと思います。

そこで、その後の経過を振り返りますと、〇六年七月には交通政策審議会タクシー小委員会報告書が取りまとめられ、そのときに「市場の失敗」という言葉が出たわけですよね。認めた。それで、輸送サービスの質の確保、向上のための新たな仕組みを構築する必要が提起されて、タクシー業務適正化特別措置法改正案となった。それでも改善されず、〇九年、三日月さんと私も含めて、野党で共同して法案を提出する。審議の中でさまざまな議論を踏まえて、全会一致のタクシー適正化・活性化法案が可決されて、改善方向が打ち出された。

それで、さらにさらに進めると。だから当然、私のところにまず話があってしかるべきなんだが、どういうわけか、相手方に行くというのも難儀な話だなと思って、関西人ってそんなはずやったかなと思ったんですけれども。それは、政権というものに対する甘い汁があるのかどうかわかりませんが、蜜にほだされたかどうかは別として、私は、その後、では、この経過についての評価はどうかという問題について聞いておきたいと思います。

さっきの話は聞いておいていただいて、その後、タクシーの供給状況、減車の状況、最大の目的であった労働者の賃金などの労働条件の改善はいかなるものかとお聞きしたい。


三日月議員

同志穀田先生と、このタクシーの問題はずっとやってきました。ドライバーさんのみならず、利用者の皆さん、ひいては国民の皆様方の命がかかったテーマだから、しっかりと検討し、改善しようということで、〇九年、一緒に法改正をいたしました。

その結果、御案内のとおり、当時、二十一万五千台だったんですけれども、二十四年度末時点、昨年度末時点で約十九万五千台ということで、約九・三%の減少。そして、運転者の年間所得、これも特措法が施行された二十一年は、これはマクロの数字で約二百八十万だったものが、翌年から上昇に転じましたが、非常に小幅でして、二十四年時点で二百九十六万円ということで、今なお依然として三百万円を下回る状況ということになっています。


穀田委員

調査室の資料をいただいて、私もその内容を見ております。したがって、我々が期待するところまでは行かなかった。

したがって、〇九年の法制定で十分な効果を上げていない点はなぜなのか、何がよくなかったのか、何がうまくいかなかったのか。ですから、そのことを検証する必要があるし、その点の御意見を踏まえた上で、なおかつ、今回の法改正等によって供給過剰を解消、防止することができるのかということについてお聞きします。


金子(一)議員

大変大事な御指摘をいただいたと思っております。

二〇〇九年の改正においては、穀田先生、共産党も御賛成をいただいて、成立したところでありますけれども、あの法案で我々が今回欠けていたと判断している部分は、供給過剰になった特定地域についての減車、自主的にはできますけれども、全者が協力して減車をする、これが担保できていない、できなかったという枠組みになっておりました。

今回は、全事業者が協力して、つまり、減車をしたところ、正直者が損をする、減車をしないところ、こういう不公平感がそれぞれの地域で広がっておりまして、そういう意味で、今回は、全事業者が協力し合って減車ができる仕組みを入れることによって一層の早期の供給過剰が解消できるようにしていきたいというのが、今回の一番のポイントであります。


穀田委員

〇九年による減車は、協議会に参加する事業者の自主的な取り組みにとどまったということなんですよね。協力しないタクシー業者への強制措置もなかったというのが特徴でありました。

私どもは、〇八年の九月二十六日に提言を発表していまして、規制緩和政策を根本的に改め、国民の命・安全、運転者の暮らしを守るタクシー行政への転換を求めるということを、当時の国土交通大臣に提出しました。

その中で、「タクシーの輸送の安全を脅かす過当競争や運転者の労働条件低下のおおもとは需要を上回る過剰な供給にある。適正な需給調整規制を含め、供給過剰を解消・防止する手立てを講じる。」「地域の実情に応じて、地域ごとに参入や増車の手続きと基準を厳格化できるようにする。」このことを提案してきたわけであります。「また、すでに台数が過剰な場合、地域政策として、協調的減車措置がとれるよう、独占禁止法の適用を除外する。」ことも当時から主張してまいりました。

私は、その際の視点として、やはり労働条件改善が不十分であった要因も分析して対策を立てるべきじゃないかということを、一つの軸に据える必要があるということを、改めて言っておきたいと思うんです。

そこで、現行のタクシー活性化法が不十分だった点を改善することが大きな眼目だとすると、それが今度の法改正で実効が上がるかどうかということが問題ですね。したがって、きょうはそこを若干具体的に数点聞きたいと思います。

一つは、特定地域を指定する要件、指標はどうなるのか。指定地域がごく限られたものになるのでは、これまた実効性がないわけです。最大の交通圏東京、運賃競争の弊害が大きい大阪、〇七年通達改正の際、特別監視地域に入らなかった京都などが指定されるのかということについて一つ。

二つ目、減車命令は具体的にどのように出されるのか。先ほど渡辺さんから曜日の話もちらっと出ていましたけれども、何曜日、あるいは指定期間の間は何台しか運行してはならないということなのか、その辺を少し具体的にお聞きしたい。

三つ目に、運賃変更命令の実効性の問題です。現に下限割れ運賃で運行している会社が地域指定後にもそのままの運賃を希望した場合どうなるのか。

それらを含めて、今言いましたけれども、二つ目、三つ目との関係で、命令された事業者が訴訟を起こした場合、耐えられるのかということについて。

その四つをお聞きしたいと思います。


赤澤議員

穀田先生から、まとめて、大きく言って四つ、地域を具体的に指定するのかも入れると五つ伺いましたので、ちょっと答えが長くなることはお許しいただきたいと思います。

まず一番目に、特定地域を指定する要件、指標はどうなるのかということで、本法案に基づく特定地域は、国交省において、供給過剰の発生の有無を判断するための客観的基準として、データに基づく基準を設定した上で、当該基準に基づいて指定の判断を行い、該当する地域には適切に指定の手続をしていくことになります。

したがって、改正後の特措法の特定地域は、タクシー事業が供給過剰であると認める場合であって、日車営収の状況、あるいは法令違反などの不適正な運営の状況に照らして、供給輸送力の削減をしなければ地域公共交通として機能の十分な発揮が困難であるため、タクシー事業の適正化、活性化を推進することが特に必要な地域と規定しておりまして、供給過剰が実際に発生していることが要件であることが明確に位置づけられております。

したがって、改正後の特定地域について申し上げれば、現行の特定地域のうち、より厳しい客観的な基準により供給過剰が実際に発生していると認められる地域のみに限定をして指定をするということを想定しております。国交省において、当該基準を新たに作成し、適切に運用してもらうことが必要であると考えております。

この関連で、先生から具体的に、ちょっと通告に加えて御指摘のあった、東京、大阪などは指定されるだろうが京都はどうなのかというお話でしたが、この辺は国交省が具体的に基準をつくった上で決めていく話なので、現時点において予断を持って何かを申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

それから、二番目に、減車命令は具体的にどのように出されるのかというお話でございました。

本法案では、特定地域においては、一定の要件に該当する場合にあって、国土交通大臣が、当該特定地域における協議会に参加しない事業者に対して、減車はできませんけれども、特定の曜日や時間帯を休業するといった営業方法を制限することにより、供給を削減するよう命令できるというたてつけになっております。

この命令の発動要件としては、特定地域計画の作成に合意をしたタクシー事業者の全てが、おのおのの供給の削減量や削減方法等を定めている事業者計画の認可を受けていることというのが一点ございます。それからあわせて、その協議会から命令を発動してくれという申し出があったこと、この二つの手続上の要件とともに、さらに申し上げれば、特定地域計画の作成に合意したタクシー事業者により供給を削減する取り組みが着実に実施されてもなお、それら以外のタクシー事業者の活動、あるいは急激な社会経済情勢の変動などで特定地域内のタクシー事業の適正化が図られない事態、これが生じているという要件も満たされる必要がございます。

さらに、こうした事態を放置しては、タクシー事業が地域公共交通としての機能を十分に発揮することに著しい支障が生じることと認められる必要があるほか、実際の命令の発動に際しては、運輸審議会への諮問を経て、第三者による公平かつ合理的な判断を加えた上で命令が発動されるという仕組みになってございます。

三点目の御質問でございますけれども、公定幅運賃、運賃変更命令の実効性ということで、現に下限割れ運賃で運行している会社が、地域指定後もそのままの運賃を希望してきた場合、その場合は、公定幅を下回る額で届けられた運賃について変更命令の対象となるということになります。

法律の仕組みとしては、施行後に指定された特定地域または準特定地域で国土交通省が公定幅運賃を講じたときは、その範囲内でしっかりと届け出を行っていただくということになっておりますので、それを下回る額で届けられた場合、変更命令の対象になります。

最後の御質問でありますが、命令された事業者がもし訴訟を起こした場合ということですけれども、今回の命令等はしっかり法令に位置づけられた基準に基づいて出される命令でございますので、法律の規定に基づいて行われる処分ということで、その適法性については問題がないというふうに私どもとしては考えているところでございます。


穀田委員

大体、発動していくいろいろな経過の形式というか段取りはよくわかりました。

ただ、一番で言っている、指定する要件というのは、指標はどうなるかということについて言うと、客観的基準が定められるという、客観的と言うんだけれども、その基準が何なのかというのは、実際に発生している状況ということなので、国交省の中で、相変わらず、客観的条件は省令に委ねるということになるんだなという感じがしますわね。それではなかなか、そこがさじかげんでやられた日にはまた困るわけで、きちんとしておく必要があるかなと私は思いますけれどもね。

そこで、過度な運賃競争というのは、さらなる労働条件の悪化などを招き、安全性を損ねる要因ともなります。解消するとともに、予防のためにも、適正な運賃制度に改善する必要があると私は考えます。

私は、公共交通機関として、同じ地域であれば、どのタクシーに乗っても全て同じ運賃、同一地域同一運賃制度を考えるべきと思うけれども、いかがでしょうか。簡単に。


三日月議員

私も、個人的にはそう思います。個人的にはそう思いますから、そういうものを目指して法案を提出したこともあります。

しかし、今回、現行の自動認可運賃のもとで、一定の幅の中で競争が定着しているという状況と、そして、まずはやはり供給過剰の状態を是正せなあかんのやという強い認識のもとで法改正を提案した次第でありまして、一定の幅の中で健全な競争が行われることを期待したいというふうに思っています。


穀田委員

私は同一運賃が必要だと思う方ですから、個人的にはと言ってはりましたので、その意味で、私をどうして呼んだのかいなと思ったんですけれども。

そこで、最後に、累進歩合制について聞いておきたいと思うんですね。

タクシー事業は、先ほど提出者からありましたように、人件費が総費用の七割を占めて、歩合制が主流の賃金体系であります。そのために、労働者に犠牲を容易に転嫁できる特殊性があることを見ておく必要があります。

タクシーの歩合給制は、個別の車の売り上げが落ちても、車をふやせば会社は利益を確保することができる。これを悪用するリース制というのは禁止する必要があると思うんですが、いかがですか。


赤澤議員

タクシー事業では、費用に占める人件費の割合が高いほか、運転手の賃金が歩合制となっていることは大変大きな特色となっておりまして、このため、需要が減少して、一台当たりの売り上げが落ちる場合には、事業者は増車により売り上げの減少をカバーしようとする傾向が非常に強い。本当に、委員がずっと御指摘をされているとおりでございます。このことが、タクシー事業において供給過剰が発生しやすい大きな要因となっております。

タクシー事業者が、車両の使用料に相当する固定額を実質的に運転者に負担させる、いわゆるリース制の運営形態については二パターンあって、きちっと会社と運転者の間に雇用契約があれば、これは問題がない場合もあり得る。しかしながら、雇用契約がなくて請負のような形でやっているということで、会社がその収支リスク等を負わないような形でやっている場合には、道路運送法第三十三条で禁止されております名義貸しと、無許可営業の組み合わせに該当するケースに当たると考えておりまして、国交省では平成二十年にタクシー事業の名義貸し行為の判断基準を通達で示しまして、そのような行為の禁止の徹底を図っていると承知しているところでございます。

この問題については、重要な問題でございますので、先生の御指摘も受けて、今後とも国土交通省において当該通達に基づき適切に対応してもらうことが必要であると考えている次第でございます。


穀田委員

これは、今ありましたけれども、雇用契約という形であったからといって大丈夫かという問題は、それは現場を見てもらわなあかんでということだけ、一言、言っておきます。

なぜなら、私、〇九年の法案審議の際に、京都のMKタクシーの例を出しました。労働者の賃金、労働条件を改善するには、歩合給制の合理的改革を求めて改善していく必要があるということを私は主張しています。

そこで、時間が余りないので言っておきますと、厚労省は、これはよくないということを言っていて、つまり、非連続性といって、階段だからだめだ、こう言うんですね。でも、カーブというのは、例えば、グラフをずっと仮に描きまして、それをよく分析してみると、拡大、拡大していくと、必ずカーブというのは階段になっているんですね。数理の問題ですよ。数理の問題で、そうなっているんですよね。

だから、いかがなものかと私は思うんだけれども、特にMKなんかの場合にはひどい状況があるということを、前回、私は指摘しました。当時、金子さんが大臣の時代だったと思いますけれども。

違法とされる累進の歩合制というのは、最高賃率と最低賃率の差が二〇%程度だと言われているということは、これは業界では常識です。MKの場合はそれどころじゃなくて、賃金は売り上げが高くなれば高くなるほど、賃率、すなわち、売り上げに対する賃金の割合が上昇する仕組みになっている。四十万円の売り上げであれば賃金は大体十四万円程度で、賃率は三四%。売り上げが八十万なら賃金は五十万を超える、賃率は六四・四。開きは三〇ポイント以上になる。まさに異常なんですね。

当時、金子提案者は、大臣として、これまでは厚労省がチェックしていて、ある意味情報共有しながらもそこで終わっていたようなところもあるかもしれませんが、今度この法案を運営していく上で、そういう厚労省の労働基準局の調査というものをきちんと共有してもらって、そういうものを踏まえて経営監査に国交省として当たってもらうことは当然やっていきたいと思っています、こう答弁しました。

その後、どうなっていますか。


田端政府参考人

お答えいたします。

前回の法案審議の議事録も拝見させていただいております。

私ども、厚労省の労働基準局とは緊密に連携をとってございまして、その調査結果を我々も共有させていただいております。また、監査の方も現場職員を増強しながらしっかりと行っておりますので、今後も引き続きそのような方針で臨んでまいりたいと思います。


穀田委員

局長も突然振られて大変な感じだと思ったんですけれども。

私、〇九年に質問したときも、累進歩合制を禁止しているのになくなっていないということを指摘したんですね。今、監査とかいろいろ言っていましたけれども、当時のハイヤー、タクシー事業者への監査、指導の中に占める割合が一〇%台で高どまりしているということを指摘しました。私、今度もう一遍調べてみたら、相変わらず一〇%台の高どまりなんですね。この三年間も一〇・七%と同様の傾向なんですね。だから、この問題は氷山の一角で、累進歩合制というのは事実上ずっとやられているということなんですよ。

私は、その〇九年の質疑で質問したわけですが、今、田端さんは見たと言ってんねんから、それやったら聞きましょう。

当時の局長は、歩合制賃金に問題があるとして、タクシー運転者の賃金システムの改善について、交通政策審議会における議論を踏まえてとたしか言っておったと思うんですけれども、その結論はどうなって、どのような効果を上げましたか。


田端政府参考人

お答え申し上げます。

当時の局長から、賃金システムのあり方の検討を行ってまいりたい、こういう御答弁を申し上げました。

タクシーの賃金の関係につきましては、二十年の十二月の交通政策審議会の答申において、関係者で検討を進めていくべき、こういう御指摘がされて、その上で、タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会を設置いたしました。平成二十一年三月から二十二年の九月まで、五回にわたって熱心な御議論を進めていただきました。

検討課題としては、賃金体系のあり方、あるいは累進歩合制度を含めた賃金に関する規制のあり方、あるいは賃金の負担の問題、あるいは労働条件の透明性の確保のあり方、こういうものをテーマに、有識者からの提言、あるいは労使双方からの両論も併記をしました取りまとめ案を提示しながら懇談会の皆様に御了解をいただいてきているところですが、両論併記であるということなどを含めて、現時点で外部に公表できるところまでは至ってございません。

今後も引き続き、この懇談会に参加されました労使の方々あるいは有識者の方々の意見もきちっと随時把握をしながら、この意見の収れんの可能性をきちっと探ってまいりたいと考えております。


穀田委員

苦しい話をしているよね。

要するに、検討は行ったけれども、二十二年、今から三年前の九月に事実上幕を閉じて、成案を得ていないということを、まずきちっと言ってくれなあかんわな。何か、やっている、やっているという話をしていたのではだめなんですよ。

だから、結局、二十二年というと二〇一〇年、今から三年前ですよね、九月に開催以来、開かれていない、結論は出ていないということになります。

当時、答申は、歩合制賃金については、その実態を所与の前提とするのではなく、例えば固定給のあり方などの改善の可能性を関係者で検討を深めていくべきと指摘したわけですよね。局長はどう言ったか。その検討を踏まえ、所要の改善を図っていくと答弁したんですよ。

そうすると、省はこの三年間、一体全体何をしていたんだと。私も、質問して以来、何をしていたんだとなるわけだけれども、それはあるんだけれども、やはりここの問題は、歩合制賃金というものをなぜ問題にするのかということの本質を理解してくれなきゃ困ると思うんですね。やはり歩合制、とりわけ累進歩合給の事実上の蔓延が依然として後を絶たないということを、改めて私はこの法案を見るときに調べてみるとわかったわけです。

低運賃競争が可能なのは、事実上のリース制によって、先ほど来お話があったように、収益が減るリスクは運転者に負わせ、経営者が損をしない仕組みとなっている。だから、経営者の方は、運賃値下げやもしくは増車によって、一台当たりの営業収入が減っても、台数をふやすことによって売り上げを維持し、ないしは増加させることができる。したがって、累進歩合制とリース制をとっていること自体が、必然的に増車だとか値下げ競争が激化する産業構造のポイントなんです。だから、私はここにメスを入れる必要があると。

そのときに一番大事なのは、タクシー業界の発展にかかっていると我々は思っているわけですよ。そのときのポイントは、やはり労働者の賃金や歩合制という問題を根本から解決するための努力がなされなければ、そのことについて、だめなんだということを私は言っているわけなんです。それを九年にも言って、一〇年に終わって、その後、のんびりしているとは言わぬけれども、何もしてへんというんじゃ、それはあきまへんで。ちゃんとやってもらう。

何か言いたいですか。


三日月議員

いや、同じ思いですよ、穀田先生。

それで、累進歩合を厚生労働省の通達で禁止しておきながら実態として残ってしまっているという状態であるとか、固定給と歩合給の割合で歩合給が多いから運転手に無理がかかってしまっているという状態を、ぜひ是正してもらいましょうよ。そのために、道路運送法に過労運転防止の規定を今回入れることにしましたし、それをしっかりと担保する適正化実施機関というものも法定化しました。

これは労使の問題ということになるのかもしれないですけれども、ぜひこの割合をしっかりと改善していくための協議を、さっきはとまっていると表現されましたけれども、さらに加速させて、改善につなげていきたいというふうに思います。


穀田委員

先ほど、質問を飛ばしたものは堪忍ね、それでわざわざ言ってくれたんやけれども。

やはりこの問題は、肝心かなめのポイントはそこにある。歩合制問題についての根本的な解決を図らなければならない。そのための努力は、三年間も放置していたことについては極めて重大な責任があると言わなければならないし、答弁しておいて、そういうことをやらないというのはけしからぬということを言って、終わります。