JR北海道の安全確保を政府の責任で行え

2013年11月1日

穀田委員

きょうは、JR北海道事故問題について質問します。

JR北海道の相次ぐ事故、トラブル、さらに不祥事、これは一刻も放置できない問題です。次から次へと毎日のようにトラブルが報道されており、利用者、国民は、またか、うんざりという気分になっていると言われています。鉄道事業者としての資格が問われていまして、解体的出直しなどの厳しい批判が上がっています。まさに、公共交通機関としての信頼は失墜している現状です。

そこで、鉄道事業を所管する国交省として、この問題をどう捉えているのか。この間、九月以降、特別保安監査を二回実施しています。緊急の対策が必要だと明らかになったものに対して、改善指示は二回出しています。どういう問題点が明らかになり、改善指示を出したのか、その内容は何か、簡潔にお答えください。


滝口政府参考人

委員御案内のように、JR北海道については、二十三年の五月に石勝線の脱線火災事故という多くの死傷者を出す事故がございました。その際に、マニュアルに関する事業改善命令とあわせまして、社内の安全管理体制の徹底ということをやったわけでございます。これに基づいて、行動計画、安全基本計画というものを策定しておりました。

この安全基本計画の内容というのは、企業風土の改革、安全基盤の強化、現場力の強化といったような柱から成っておりまして、いわば同社の安全管理体制を徹底的に見直すというような内容でございまして、安全性の向上に向けて、この安全基本計画に基づく取り組みが進められるものだというふうに考えていたところでございます。

しかしながら、現実には、残念ながらトラブルが続く、あるいは、九月十九日にはJR貨物の脱線事故が起こるということで、これを契機といたしまして、JR北海道において、整備基準値を超える軌道変位を放置しているという事実も判明をしたところでございます。

このため、二回の特別保安監査、九月二十一日から二十八日、十月九日から十二日までという二回の特別保安監査を行い、かつまた、この特別保安監査というのは、従来にない、四技術分野プラス経営分野までということで頑張ってやっているところでございます。

ところで、この保安監査などを踏まえて現在の取り組みの状況でございますが、大臣の方から、この整理、分析を行う過程で利用者の安全を確保するために直ちに実施すべきものがあれば、緊急の改善措置として指示を行えというような指示を受けました。

これを踏まえまして、まず十月四日に四点について改善指示を行っておりますが、これはまず、会社の本社から現場までの各階層を通じて確実に意思疎通を図るということでございまして、安全統括管理者が各部門を確実に統括管理するための業務体制の改善、軌道部門における、本社が現場の状況を把握して迅速に対応し、現場で担当者間の連携を確実にするなどの保守管理体制の構築、また、同じような問題が他の部門にないかということで検討させております。さらに、安全統括管理者には毎日の安全の確認もさせております。

十月二十五日には、第二回目の特別保安監査を受けて新たに四点の改善指示を行っております。第一点目が、安全推進委員会が実質的に機能するようにということで、トラブルの抽出、原因究明と対策の調査審議ということ、それから、老朽化した枕木の管理、更新問題、ATSブレーキのコックの取り扱い問題、そして、来年度の予算編成が今行われている最中でございますので、予算編成に当たり、現場からの提案を十分聴取した上で、安全を確保する上で優先度を考えて、着実に安全対策が推進できるような予算編成とするように、こういったような内容の改善指示を出しているところであります。


穀田委員

質問をよく聞いてから答えてほしいので、ところで以後でいいんですよ。前の方は要らないんです。知ってんねやから、そんなこと。

それで、先ほど局長は、JRに血のにじむようなとありましたけれども、私は、やはり国交省がみずからの問題として捉まえて、自分たちが主導してきた責任はどうなんだという立場から取り組まないとだめだということを特に指摘しておきたいと思うんです。

今報告のあったもののうち、社内の意思疎通ができていなかった、さらには安全推進委員会という問題がありました。そこで事故について議論していなかったという点での改善指示があったわけですが、これらは会社ぐるみの安全軽視のあらわれだと私は考えます。

そこで、社内の意思疎通が不十分だった問題は、JR福知山脱線事故の後、鉄道事業法を改正して設けた安全統括管理者の制度が機能していなかったということではないかと思うんですね。

だとすれば、鉄道事業法第十八条の三第七項、国土交通大臣は、安全統括管理者がその職務を怠った場合であって、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、鉄道事業者に対し、解任すべきことを命ずることができる、これに該当するのではありませんか、大臣。


太田国務大臣

毎日、その具体的な運行について、安全に運行できるかどうかという報告を受けるということをさせていただき、そして、そうした連携は現実には現場ととれているという状況にはあるんです。

だけれども、それが本当に、言いづらいとか形の問題じゃなくて、もう少し実態的には、なかなか現場から行くと聞いてくれないとか、いろいろなそういうようなものがありまして、その点を私は、特に連携という、同じ連携という言葉ですが、形の上で報告がありましたどうかということを超えて、もっと率直な意思疎通というものが、これはあらゆる組織そうなんですけれども、そういうことがJR北海道では特に大事なのに、それが十分ではないというところを指摘させていただいているところなんです。

そういう意味では、本社で、各部門の現場の把握ができていなくて、安全統括管理者によって統括管理する体制が不十分であるというのは、そういう意味を込めて指摘をさせていただいているところです。

鉄道事業法第十八条の三の、今お話のありましたものとして、引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあることというふうに指摘されていて、そこで解任を検討するという話になるわけでありますけれども、現時点では、JR北海道の安全統括管理者について、これに該当するという状況ではないという判断をさせていただいているというところです。

そして、具体的にもっと意思疎通をよりするようにという指令を出させていただいて、安全統括管理者は、十月四日の指示をしっかり受けとめて、輸送の安全を確保し、利用者の信頼を取り戻すために努力をする必要があるということを、連日にわたって私たちは指導している状況にあるということです。


穀田委員

意思疎通が欠けているとして、連日、大臣のところまで安全報告が来るようになってからも、事故は絶えないわけですよね、トラブルは絶えていない。だから、私は、法に抵触するくらい責任が重いということを自覚させる必要があるよねということを言いたかったということなんですね。それぐらい、人の命を預かっている安全にかかわる問題というのはゆるがせにできないということなんですよ。ですから、そこをわかっていただかなければならないと思います。

しかも、その法改正で、十八条の二として「鉄道事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。」このこともつけ加えられたわけですよね。「絶えず」なんですよ。そういう努力が足りなかったという事態が、少なくとも、石勝線以後、誰の目にも明らかになっているということを私は指摘しているわけであります。

しかも、その石勝線以後、そういうことがたびたび起こっている事態は、少なくとも、国交省が監査を実施していることからしても、そのことが見抜けなかった、また見過ごしてきた責任は免れないということもあえて言っておきたいと思うんです。

そこで、一つ。安全推進委員会が機能していなかった問題であります。これには驚きました。

まず、安全推進委員会の社内での位置づけはどうなっていたのか。安全問題についての最高決定機関と言ってもいいんではないかということを確認したい。

二つ目に、この間の事故、トラブルは、一体どこで議論していたのか。安全推進委員会にかわる部署があったのか。では、社長はたびたび会見をしていますが、その会見の中身は、社長の事故と安全に関する会見は個人の見解を述べていたのかということについて、二つ聞いておきたいと思います。


滝口政府参考人

JR北海道の安全推進委員会は、同社においては、鉄道の事故防止及び労働災害防止に関する事項を総合的に検討し、安全確保上有効かつ適切な対策を樹立し、これを強力に推進するための委員会という目的が書かれております。

また、具体的な仕事の内容といたしましては、事故原因の究明及び再発防止対策に関すること、そしてまた、事故の趨勢の把握及びその対策に関することなどを調査審議するというふうに位置づけられているところであります。

なお、この委員会は、社長が委員長を務め、各部長等で構成をする、こういったような非常に、この会社の経営上層部による委員会というふうになっているところでございます。

ところで、この委員会が機能していないということであれば、実はどこで議論していたのかということでございますが、まず、私どもの特別保安監査の結果、安全推進委員会では、トラブルがこれだけ頻発しているにもかかわらず報告だけにとどまっているということが確認されております。事故原因であるとか、あるいはそれに対する対策などについての実質的な調査審議は行われていないということでございます。

このため、先ほど御紹介申し上げましたように、十月二十五日の緊急に改善を要する事項の一つとして改善指示を出したわけでございますが、安全推進委員会が実質的に機能していない、どういったような形で会社として安全対策あるいは事故原因について議論をされていたのか、この問題も、現在、二回にわたる特別保安監査などを踏まえて、問題点の整理、分析を行っているところでございます。

今後、そういった問題意識も十分持って、抜本的な対策の検討を進めたいというふうに考えているところでございます。


穀田委員

そうすると、記者会見というのは、何の議論もなく、個人の判断で発言していたという可能性もあるということですよね、結果的には。だって、議論していないんだから。しかも、最高決定機関であることは確かだ。

これがJR北海道の安全報告書でして、これによれば、今、滝口さんからありましたように、毎月、事故等の発生状況並びに原因を報告し、再発防止策を議論し決定するとある。つまり、日常の安全業務の中心問題なんですね。この機関なんですね。

ところが、今ありましたように、報告だけで議論をしていない。今正確に滝口さんはおっしゃっていませんけれども、非常ブレーキ機能不全のまま走行というのは報告もなかった。これはそうなんですね。そういうふうにおたくのところへ言ってはるわけですよね。

ですから、なぜそうなったのか。つまり、議論はしないわ、報告はされないわという事態について、なぜそうなったのかつかんでいるのかということを聞きたい。


滝口政府参考人

現在、私どもが、二回の特別保安監査で確定的に確認ができたところは、今委員御指摘のように、幾つかのトラブルでは報告だけがなされており、また、ATSブレーキの問題については報告もなされていなかったということが確認できております。

なぜこういったことがなされていなかったのかというのは、現在、これはいわゆる全体的な問題として私どもが検討すべき問題だろうというふうに考えております。

同社の安全管理体制が一体どういうふうになっていたのかという問題意識を持っておりまして、現在、二回の特別保安監査等を踏まえて整理、分析を行っておりますけれども、その中で、どういうところに問題があったのかということについて検討を進めてまいりたいというふうに思っております。


穀田委員

こう言うと結局、大臣、よくわかっていただけるように、監査している、その中でそれを今つかんでいる最中だ、この繰り返しなんですよね。だから、それではちょっと困るので、私は、安全推進委員会に報告もなし、議論もなしということは驚くべきことなんですが、ここが動かずにどこで議論をして動かしていたのかというのは、これは社長としても、その責任者としても、極めて重大な問題だと思うんですね。

この文書では、先ほど言いましたけれども、決定することにより安全性の向上に努めると、わざわざ自分たちの報告書で書いているわけですよね。

そして、国交省は、安全に関する監査をしていたのに、肝心かなめのところ、すなわち日常的にどうしていたのか、先ほど全体的問題としてと、そんなのは前から何回も監査しているわけやから、そういうことを通じて、全会社としての安全を議論し徹底していたのかどうかというのを、逆に言うと見抜くことができなかった、結果として見過ごしたということなんですよね。

そこで、安全推進委員会の構成は、先ほどありましたように、委員長を社長とし、役員で構成されているとなっています。結局、何のことはない、役員会と同じメンバーで、社内だけなんですよね。これでは監視チェック体制が機能せずに体制が形骸化する、当たり前だと私は思うんですね。

JR西日本では、福知山脱線事故後、社外の安全の専門家などで構成する安全諮問会議や安全推進有識者会議などで議論し、検証して、安全基本計画を決めていました。また、会社と各労働組合が一堂に会する労使安全会議などを開催して、全社挙げて安全問題に取り組んできました。私は、十分、不十分は問うていませんよ、こういうのをやってきたと言っているんですね。

したがって、JR北海道も外部の有識者を入れた第三者委員会を設置して、事故等の原因解明、再発防止策などを検証、検討するよう指導すべきではありませんか。


滝口政府参考人

まず、JR北海道におきます安全関係の問題についてどのように検討していたのかという点について、一点補足をいたしたいと思います。

委員が御紹介されました安全報告書二〇一三で、確かに安全推進委員会のところにつきましては、「毎月、弊社で発生した事故等の発生状況ならびに原因を報告し、再発防止対策を議論し決定することにより、安全性の向上に努めております。」こういうふうに書かれております。その上のパラグラフを見ますと、「輸送の安全確保に係る取り組みについては、安全推進委員会に諮った後、経営会議に諮り、重要な事項は取締役会に諮って決定しております。」こういうふうに書かれております。

こういったようなことを実は書かれておるんですが、どのようにいろいろなデータを集め、整理され、どういうふうに検討され、どのように会社として決定がなされていたのか、このあたりを今現在分析をしているところでございます。

したがいまして、単純に、安全推進委員会に諮っていないから社長が個人的な見解で言ったかどうかということについても、そういうことなのかどうなのかということについても、現在、我々は問題意識を持って検討しているところでございます。

それから、いわゆる事故のこういった原因究明や対策に際して、外部の目を入れたらどうか、こういったような御指摘でございます。

実は、JR北海道においても、たびたび申し上げております石勝線の脱線事故を受けて、私どもの方から改善指示を出しておりますが、それを受けて策定をしております安全性向上のための行動計画というものがございます。この策定に当たりましては、外部の方の、学識経験者、弁護士等々の方の御意見を伺っております。

それから、七月六日に、エンジンブロックの一部パーツが、スライジングブロックというのが壊れております。このスライジングブロックは、実は過去にも数回壊れているところでございまして、私どもも、徹底した原因究明をやるべきだということをJR北海道に申しました。社長も、執着心を持った原因究明をやりたいということを言っておりまして、その結果、この七月六日の重大インシデントにつきましては、外部の学識経験者あるいは鉄道総研といった第三者機関を交えて議論をしております。

さらに、その直後、七月十五日に、配電盤から発煙をするというトラブルがございました。これについても、電気関係に詳しい方がいらっしゃいます独法の交通安全環境研究所の有識者の方に入っていただいて原因究明を行っているということでございまして、これまでもJR北海道は、重要な案件につきましては外部の専門家を交えた検討というものを行ってきたという経緯がございます。

今回の特別保安監査でも、こういったような事故原因の究明あるいはこれを踏まえた必要な安全対策の検討といったことについて、外部の方の目あるいは有識者の考え方などをどのように反映するのかということについても問題意識を持っているところでございまして、その必要性も引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。


穀田委員

一言言っておくと、分析は石勝線以後ずっとできたはずだということを言っているんですよ。今ごろになって、分析している、分析していると言っちゃだめだということを言っているんです。

それと、安全会議、それは書いていますよ、上に上がるのは。だけれども、そこで議論せずにどこでやったんだと聞いたらわからぬと言っているわけでしょう。わからぬということは、ここでも議論せずにやっているということは、個人のけんかをやっているということじゃないですか。そういう全社としての体制がとれていないということを言っているんですよ。

事故の問題について言うならば、一つ一つの機械だとかそういったものはやっていますよ。だけれども、私が言っているのは、安全対策全般のそういう対応についての考え方をしっかり入れる、外部を入れるということをやっていないということを言っているわけですよ。そこをはっきり言わないと、何か一つずつやっているみたいなことを言うと、あそこはえらい努力しているじゃないかなと。そんなことはやっていないんですよ。そこを言っているんですよ。

そこで、次に、安全基準の問題について聞きたいと思うんですね。

枕木の話がさっきありました。もともと、レールの異常が放置された問題について、十五日以内に補修するという自主ルールがあったとされています。つまり、安全基準が設定されていなかったし、あっても守られていなかった、あるいは曖昧で、不統一で、現場まで徹底されていなかったんじゃないかと私は考えます。

したがって、この事実をどのように受けとめ、なぜこのようなことが起こると考えているのか、お答えください。


滝口政府参考人

軌道につきましては、九月十九日の脱線事故がございましたのは、本来あるべき整備基準を逸脱していたのにもかかわらず、それが放置されていたという問題でございました。それと同時に、第二回目の特別保安監査の際に、枕木の不良判定と交換の基準が現場に徹底されていないということが確認されたところでございます。

このため、緊急に改善を要する事項ということで、十月の二十五日の改善指示の一つとして、本社においてまず不良判定及び交換の基準を規程などで明確に定めるようにということ、そして、これを周知徹底するようにということをまず本社に申し上げました。そして、現場においては、これを受けて枕木の状態を一本ずつしっかり管理するようにということをしております。

ちなみに、枕木というのは、木の枕木とPC枕木といったものがございます。こういったことについて漏らさず検討するようにということで、安全性を高めるように指示をしたところでございます。

ところで、こういったような、現場に徹底されていないのは一体なぜかという問題でございます。

私どもとしては、そのための一つの対策として、本社に規程等を定めろということ、そしてこれを徹底しろということをやりました。一応、問題はこれによって解決されるんだと思いますが、なぜこういったことが長らく放置されていたのか、こういったことについては私どもも問題意識を実は持っておりまして、これも全体の問題の中の一つとして考えていくべき問題だというふうに考えているところでございます。


穀田委員

枕木なんかの問題については一言言っておくと、現場では、千本かえてほしいと言うと五百本しか予算がないからと来る、そうするとどうしているかというと、全部をかえるんじゃなくて、一本ずつ飛び越してやっていくというようなことをやっているわけですよね。そういう実態があるということを見なくちゃあきまへんで。

それで、今、一生懸命本社全体に指示を出していると言っていますけれども、JR北海道だけがなぜ安全基準の不徹底が発生するのか。それは、他の会社に比べても基準の表現が曖昧なんですね。きょう資料を出しましたけれども、JR西などの基準と比べて曖昧な表現が使われている事例です。

資料一は、JR西日本の軌道構造整備準則のスラック、線路のカーブ部分でレールの幅を少し広げて車両が通過しやすいようにしたものですが、その設定量についての記述です。一行目に「前項のスラックは、次の表により付けるものとする。」とあります。ここでは「付けるものとする。」と書いているんですね。

ところが、JR北海道の線路技術心得、実施基準ではどう記述しているか。これは資料二です。これは、スラック、第十二条、「曲線におけるスラックの量は次表を標準とする。」とありますように、標準となっているんですね。つまり、「標準とする。」ということは、その前後でもいいと言っているのと同じです。

例えば、JR西では、曲線半径二百ミリ未満は二十ミリと決まっているのに、JR北海道は、二十ミリは標準で、その前後であってもよいという規定の仕方であります。

北海道は、レールの異常を検査で見つけながら補修を先送りして放置していたり、旧国鉄の基準を間違えて適用していたり、十五日以内に補修するという実施基準が徹底できていなかったりという曖昧な対応の原因の一端がここにあらわれていると言わなければなりません。こういう曖昧な表現が、現場によって徹底に格差が生まれていた一端と考えるんですが、時間がないから端的に。


梶山委員長

滝口鉄道局長。簡潔に答弁願います。


滝口政府参考人

このスラックというのは、やや技術的な問題でございますが、遊びでございまして、そこで、これがスムーズにカーブを曲がれるか。ところが、これを曲がれるようにすると蛇行するというような問題がございまして、これをどのように取り扱うかというのは、個々の事業者が判断することにつきましては一定の合理性があると思います。

残念ながら、北海道は、こういった規程がつくられていないような問題もある、あるいはそれが徹底されていない問題がある、こういったところが私どもの今の問題意識でございまして、枕木の問題などにつきましてはそれを徹底するということで、今回の改善指示を出させていただいたところでございます。


穀田委員

個々の事業者って、カーブとそれから遊びというのは、あっちだったら違う、こっちだったら違うことはないんです。もちろん、夏とか冬とかの問題はありますよ。だけれども、基準は、少なくともこれ以内でなければならないとか、それから、ここにありますように、「次の表により付けるものとする。」と。一方では、「標準とする。」という書き方は違うじゃないか。だから、守っていないだけじゃなくて、もともとそういう基準を曖昧にしていることがけしからぬじゃないかと思っているわけなんです。

私は、結局、今お話ありましたように、個々の事業者という話がありました。これは本来、そういうものが、かつて国鉄の時代は全体が統一していたわけでして、これをしっかり守りなさいということをやっていたわけでして、ですから結局、安全基準の作成を事業者任せにしているからこういうことが起こるんだということを言っておきたいと思っています。

これは、今後もう一度やっていこうと思っていますので、時間が少し来ましたので言っておきたいと思います。

私は、もう一つ、北海道が、厳冬といいますか、自然条件が厳しい、そういう中で、旧式の線路も多くて、今ありましたように、木製枕木のバラスト軌道が多く残されていて、車両からの落下物が増加するなどのトラブル、ふぐあいが頻発している。常識的に考えれば、車両が古くなれば、丁寧に頻度も上げて検査し、修繕すべきというのが考え方だと思うんですね。

ところが、車両の検査周期はどうなっていたか。民営化当初から現在、どうなっているのか。これはもう端的に。


滝口政府参考人

車両の検査については、今委員御指摘の検査については、JR北海道の表現にあります、交番検査というもの、要部検査というもの、全般検査というものがございます。

民営化後、この検査のスパンというのは、時間軸あるいは走った距離、二つの要因で定められておりますが、総じて申し上げますと、延ばす方向になっております。これは、それぞれ、科学技術の発達とともに部品などの信頼性が上がったといったようなことがあるわけでございまして、こういったことを反映してこういったことがなされておりますが、一部の車両については、そういった効果がないということで、従前どおりの検査周期のまま据え置くといったようなことも行っておりまして、そういう意味では、きめ細かな対応がなされているというふうに考えております。


穀田委員

最後にしますが、私、現場にも行ったし、工場にも行ってまいりました。そういう周期を延ばしているということは言っていました。

私は思うんですけれども、近代化、現代化しているというのは、それは新しい車両はそうかもしれませんよ。古い車両をそのままにして、それも同じように周期を延ばしている、そんなばかな話はないわけで、誰が考えたかて、古いものは少なくともどんどんやっていくというのが当たり前なんですよ。ですから、おかしな話だということを言っておきたいと思うんですね。これも、国の告示の基準に合わせて実施基準も緩められたことについて指摘しておきたいと思うんです。

私は、今後もこの問題を追及していきたいと思うんです。私は、理事懇で何度も、JR北海道の社長を呼んでの参考人招致を要求してまいりました。私は、改めて、社長を参考人として招致し、集中審議を要求したいと思っています。

私は、この問題というのは、やはり、JR北海道が安全を最優先で再生する、そして鉄路を守る、それから国交省として責任をはっきりさせる、あわせて分割・民営化の問題についても検証する、そういう三つの角度から今後とも追及していくということを述べて、終わります。