倫選特委 国政選挙 執行経費の改定法案の質疑・反対討論に立つ

2016年03月23日

山本委員長

休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。穀田恵二君。


穀田委員

高市大臣に質問します。
安倍総理は、二月二十九日の衆議院予算委員会で、衆議院選挙制度調査会の答申について次のように述べています。この答申が言っていることは、定数削減については実は、定数削減する必要はないということを結論として出していますと語っています。
高市大臣は、この発言と答申をどう受けとめておられますか。


高市国務大臣

衆議院選挙制度に関する調査会の答申において、定数削減については、「現行の衆議院議員の定数は、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」「一方、衆議院議員の定数削減は多くの政党の選挙公約であり、主権者たる国民との約束である。」とされていると思っております。


穀田委員

それは文章を、同じことを言っているだけで、大臣の見解はいかがかと聞いているんですよね。総理大臣は、この答申の結論部分は何かという核心の問題について、定数削減ということは必要ないというふうにこの答申は述べているということを断言したわけで、そういうことについて大臣はどう思っておられるかということを聞いたわけですやんか。政治家として、何か答申の中身をそのまま読んでくれという話をしたわけじゃないんですよ。だから、よう聞いてくれないとあきませんわな。
それから、その調査会設置の議運議決の中で、各党は答申を尊重するとしているわけですけれども、これも事実は、尊重するというこの文言自身を多数決で押し切ったというのが事実であります。
私は、この答申が提出されて以来、議長ともいろいろお話し合いをしました。それは新聞で御承知かと思うんです。議長が各党を呼び出して話を聞いているだけで、きょうもニュースが流れていましたけれども、全党で集まってこの答申について議論したことはありません。各政党がそれぞれの意見を持ち、議論することが立法府の仕事ではないかと私は考えているわけです。
さらに、安倍首相は、どのように変えていくかということについては、共産党や社民党といった党等も存在し、そういう党との議論も必要だということは申し上げているとおりと答弁しているわけです、同じ日に。
高市大臣に聞きたいんだけれども、前回の当委員会で何度も、議会政治の根幹にかかわることですので、各党各会派において検討されるべきと答弁されています。
選挙制度というのは、全党が参加し、議論をすべきと考えるわけですけれども、今の議長のやり方でいうと、そういうことをやられていないという実態についてどう思われますか。


高市国務大臣

さっきはすんませんということで。
定数削減を含めまして、この衆議院制度改革につきましては、調査会のこの答申を受けて、大島衆議院議長のもとで議論が行われております。
その場合に、三月四日、七日、八日ですか、大島衆議院議長と各党との個別協議が行われたと聞いております。当然、日本共産党、また社民党も含めて、それぞれの党の意見を適切に聴取され、その運営につきましては、大島議長が仕切っていかれるものと考えております。
私の個人的な意見は申し上げられません。これは、あくまでも衆議院議長のもとで検討がなされていることでございます。


穀田委員

公的には衆議院議長であることは事実です。だけれども、その方がこういうことをやっていいとか悪いとか、そう議院運営委員会で決めたこともありません。ですから、それについて物を言うのは自由なはずです。私は、普通そうだと思うんですよね。
何でこんなことを言っているかというと、議員定数の削減について、調査会の議論では、議席は有権者にとって選ぶ権利である、代表者を派遣する権利を有権者が持っているということが、議席が削減されることによって事実上弱体化する、削減する、さらに、有為な人材を集めることによる国民の代表議会としての国会の機能強化、行政府との緊張関係の維持等の要素を考慮する必要がある等々の意見が出されているわけですよね。それは御存じかと思うんですよ。これは報告書ですから、知っていると思うんですけれども。
したがって、大幅に定数削減することは適当であるとは言えないというのが調査会の大体の意見になったと座長は説明しています。
安倍総理も私の質問に対して、行政府の長である私が議員の削減の話をするというのは、本来、私も抵抗を感じている、行政府の長としては、チェックする皆さんの数を減らすということについて、積極的にどんどん減らした方がいいということを言うべきではないと述べて、さらに、二月二十九日の予算委員会でも、それは変わりがないと述べています。
私は、選挙制度は民主主義の根幹であって、今大臣が言われたように、議長のもとでいろいろな話し合いをやられているというわけだけれども、その中での結論を三月中に出せなどという拙速なやり方で、一部の政党が多数の力で押し切ることは許されない。
何でこんなことを言っているかというと、この委員会のありようにかかわることなんですね。朝ぽこっとやったり、昼ぽこっとやったり、まともな時間をとって、真剣に民主主義の土台という問題を議論に付するにふさわしく、時間をかけてきちんとやるということをやられていないということが、ここの特徴だからですよ。そういうやり方も、したがって、全党参加の協議を行うことを提案するということを言っておきたいと思うんです。
そういう意味では、選挙にかかわる皆さん方がそういう声を上げると確信して、言っておきます。よろしいな。
そこで、十八歳選挙権が施行されることしの参議院選挙について、一言言いたい。
ことしから、二百四十万人の若い方々が、新たな有権者として初めて選挙を経験することになります。初めての選挙で投票ができなかったら、その後も投票に行かない傾向があります。この方々の投票機会の平等を確保できているのか、ただしたいと思います。
若い方々の投票行動はどうなっているか。二十代、三十代の十八時以降に投票した有権者の比率を述べてほしいと思います。


大泉政府参考人

お答えいたします。
明るい選挙推進協会が実施した平成二十二年、二〇一〇年の参議院議員通常選挙の全国意識調査というものがもとでございますが、これにおきますと、二十歳代及び三十歳代の有権者のうち十八時以降に投票した人の割合は一五・二%でございました。
また、翌年、二〇一一年、平成二十三年統一地方選挙の同様の意識調査によりますと、これはそれぞれ、二十歳代、三十歳代、別にとったものでございますが、二十歳代のうち十八時以降に投票した人の割合は一三・三%、三十歳代の有権者のうち十八時以降に投票した人の割合は二三・三%となっております。


穀田委員

今の数字で、皆さんお聞きになったように、若い世代において、十八時以降の投票者が非常に多いということがおわかりいただけると思うんですね。
では、全ての投票所が、公選法に定められているとおり、二十時まで開いているのかどうか。
一九九六年以降の総選挙における、閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を述べてください。


大泉政府参考人

一九九六年、平成八年以降の衆議院議員総選挙において、閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合を申し上げますと、平成八年が五・七%、平成十二年は八・七%、平成十五年は一九・七%、平成十七年は二四・四%、平成二十一年は三〇・二%、平成二十四年は三三・五%、直近、平成二十六年は三五・二%となっております。


穀田委員

今お話があったように、九六年総選挙時、時間繰り上げの投票所は五・七%、六%程度だったものが、九七年に十八時まであった投票時間が二十時まで延長される、そして二〇〇〇年の総選挙時は九%程度。それが、回数を経るごとにどんどん割合が高くなって、今では三分の一の投票所で閉鎖時間の繰り上げを行っているわけであります。
若者のそういう投票機会の確保のためには、閉鎖時間の繰り上げというのは逆行しているんじゃないでしょうか。総務大臣にお聞きしたいと思います。


高市国務大臣

投票の権利というのは民主主義の最も基礎的な部分でありますから、投票の機会を広く確保するということは極めて重要でございます。
投票所の閉鎖時刻の繰り上げなどにつきましては、公職選挙法において、市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限って行うことができるとされています。
ですから、投票所の閉鎖時刻の繰り上げ等については、この法律の趣旨をちゃんと踏まえて、各選挙管理委員会において、地域の実情も考えながら、十分な検討を行った上で対応をしていただいていると考えています。
投票環境の向上について、今、法律案を審議していただいておりますけれども、これまでの選挙におきましても、特に、若い方々の投票しやすい環境ということも考え、投票所や期日前投票所は、駅構内やショッピングセンターなど頻繁に人の往来がある施設においても設置することが可能であるので、当該施設への設置について十分検討の上、積極的に措置してくださいといったことなど、各都道府県の選挙管理委員長宛てにも細かい通知を出しております。この夏に向けてもそうさせていただく予定でございます。


穀田委員

総務大臣は、記者会見でも、地域の実情を十分精査して十分な検討を行うなど、投票機会の確保について十分に配慮するよう助言、要請しております、こう言っていますわな。
一方、では、答弁を聞いていますと、早朝から昼にかけての方が投票に集中している、中山間地は夕方から夜間の投票に危険を伴うなどの理由を挙げていますけれども、そういう例を、縮めているところの例を挙げるわけだけれども、これは私どもの塩川議員も何度も言っていますけれども、例えば九九%の投票所で投票時間を短縮している群馬県、九九%ですよ、それはひどいという話ですわな。しかも、人口三十万人を超える前橋市や高崎市のような大都市部でも、全投票所で閉鎖時間が繰り上げられている。これはいかに何といっても、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないかと思うわけです。
私は、これから若い方々に選挙に参加してもらおうというときに、この実態をどうするのかということについての見解を聞きたいと思います。大臣。


高市国務大臣

先ほども申し上げましたけれども、まずは公職選挙法をしっかり守っていただくということです。
市町村の選挙管理委員会の判断で、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限り、投票所の閉鎖時間の繰り上げということができるわけでございますので、今後も引き続きしっかりと要請をしてまいりたいと考えております。


穀田委員

要請の基本的立場というのが求められているわけですよね。その政治的見解が余りないんだよね、大臣の話を聞いていると。
つまり、これはやはり、同じ県なんかでいいますと、他の都市部がやると合わせてやるという傾向が物すごく強いわけやね。それでどどどっとふえたのがこの間の実態やね。だから、そういうものに対して、歯どめをかけるべきだと思っておられるのか。若い方々のそういうことからして、これはあかんでと、物事をずばっと言う必要があるわけですよね。
それはもちろん、決めるのは法律に従ってやる、そんなことはわかっている話であって、わざわざ通知まで出しているというのは、そういう意味なんだぞとわからせる必要があると私は言っているわけですよ。
十八歳の選挙権をめぐって、主権者教育が議論になって、特に、高校生の政治活動を届け出にして制約しようとしているような動きも出ているわけですよね。若者の間では、ネット上なんかを見ますと、間違った人を選んだらどうしようというような不安とか、選挙権を持つことの戸惑いの声も聞かれているんですね。そういう状況をよく見ながら、やはり民主主義とは何かと。同時に、もっとざっくばらんに、選挙というのはそういうものだということで知ってもらうようなやり方だとか、きちんと啓発行為を十分にしていく必要があると思うんですね。
私は、その意味で、若者だけじゃなくて、現時点での有権者を含めて、大きく啓発していくきっかけの年にことしをしなければならないと思うんです。
そこを考えてみますと、啓発のためには当然経費もかかるわけですけれども、選挙啓発に係る予算を聞きたいと思うんです。
明るい選挙推進費、うち明推協委託費、参院選啓発費、それらの合計を、〇七年参院選、一〇年参院選、一三年参院選、今年度案について、それぞれ簡潔に述べてほしいと思います。


大泉政府参考人

お答えいたします。
二〇〇七年、平成十九年の明るい選挙推進費、それから参議院選挙啓発費、合計で十五億九千八百十七万四千円でございます。二〇一〇年、平成二十二年の選挙につきましては、合計で六億七千百三万円でございます。二〇一三年、平成二十五年につきましては、合計で五億三千三百五十五万四千円となっております。


穀田委員

二〇一六年の案は六億円だということも、ちょっとせっかくやから、一々立って来るのはかわいそうやから、言っておきます。前回改定よりも確かに今年度は、そこを強調せなあかんですやろ、あんたのところは。
十八歳選挙権の周知徹底のための経費を計上しているといったとしても、皆さん、今、数字を聞きましたやろ、二〇〇七年は十六億円なんですよ。ことしの案は幾らか。六億円ですやろ。がばっと減っていますやんか。新しい事態をどう迎えようかとしているときに、がばあっと減らしたのをちょこっとふやして、それでよしなんとしているなんというその根性があかんと私は言っているんですよ。
だから、民主党政権の時代に、残念ながら、事業仕分けとかなんとかいって大幅にカットされたものだけれども、本当に必要な経費を削っているんじゃないか、本当にそれかということを私は言いたいと思うんですね。
そこで、十八歳選挙権が施行されるため、選挙人名簿に記載されない事態を排除するために、旧住所で投票できるように今国会冒頭で法律を成立させたばかりなんですよね。皆さん、責任を持ってやったわけですやんか。ことしの参議院選挙では、進学、就職などで引っ越しをした十八歳、十九歳、総務省の試算によれば約七万人は不在者投票が不可欠であって、複雑で手数がかかる不在者投票所の周知徹底が必要で、当然、経費が増額されなければならないと思うんですね。それにしてはこの程度だという話を、それは申しわけないという一言ぐらいあってもええわけやけれども、選挙人名簿に関連して一つ聞いておきたいと思うんです。
審議の際にも我が党議員が質問しましたけれども、高校卒業後、親元を離れて進学した大学生などの約三割しか住民票を異動していないという調査もございます。ひとり暮らしをしている学生などの住民票異動をどのように促すのか。もう高校を卒業した方たちも多いと思うんです。私は、大学側が新入生に、新住所に住民票を異動したかどうかを確認する方策を考えてはどうかと思うんですけれども、高市大臣の見解を聞きたいと思います。


高市国務大臣

選挙人名簿への登録は、住民基本台帳の記録に基づいて行われることになりますので、総務省としましては、これに適正に対応していただくために、住民票の届け出に関して、これまでも周知、協力依頼を行ってきております。
ことしの二月二十九日にも、大学における入学時のオリエンテーションなどを利用した周知について、文部科学省を通して協力をお願いしています。
ことしの夏の参議院選挙には、十八歳以上の有権者が初めて投票する見込みですので、各選挙管理委員会や大学と協力し、また私の方から経済団体にもお願いをしておりますけれども、住所変更の届け出、選挙人名簿の制度、これに適正に対応していただき、またしっかりと投票に行っていただけるようにという啓発を続けてまいります。


穀田委員

そこで、事務方にもう一度お聞きしたいんですけれども、私は、大学側が、入学に当たって、当然移動してくるわけですから、自分の住所を。そのときに住民票を持ってきてくださいというふうにすることは違法なんですか。


大泉政府参考人

先ほどは大変失礼いたしました。
今のお尋ねでございますが、生活の本拠に住所を移していただくということが住民基本台帳法上定められておりますので、それに移していただくということになると思います。


穀田委員

先ほど来、高市さんは法律を守るということで投票所の話を一生懸命してはりましたから、ということは、逆に、今の話で言うと、持ってきてもらうということについて大学側が依頼をしても、それは違法でないということだと。ということは、法律を守っていただくということは、積極的にそういうこともやっていただいてもいいということを確認しておきたいと思います。それでよろしいな。


大泉政府参考人

お答え申し上げます。
住民基本台帳法上は、生活の本拠に住所を移すということでございます。


穀田委員

ということだと。生活の根拠はそこへ来るわけやからね。
最後、時間の範囲内で聞きたいと思うんですけれども、この二十年ほどの間に、さっき言ったように、投票所が一割も減少しているということで、投票所が少なくなるということは、投票所まで遠くなった人たちがいるということなんですね。
先ほどあった財団法人の明推協のアンケート調査によれば、二〇一四年総選挙、投票所までの時間が五分未満の人の投票参加率は七七・五%、五分から十分未満の人は七一・六%であるのに対して、十分以上になると、十分から二十分未満の人が五八・四%、さらに二十分以上の人は五八・六%と一気に低下する。これは明推協の分析なんですよね。
これまで、基準改定によって、投票所の経費は大幅に削減されてきました。選挙経費の削減が、投票所数の減少や閉鎖時間の繰り上げにも拍車をかけているんじゃないか。有権者の投票権を保障するには、投票所そのものをふやし、投票時間はきちっとあけておく。そのために、予算も人員も配置する必要があると思うんですね。
したがって、投票所や投票時間が自治体によってばらばらに行われては、全国一律で行われる国政選挙において、投票の機会の公平が確保されているとは言えないんじゃないでしょうか。その辺の見解を聞きたいと思います。


高市国務大臣

平成二十八年執行予定の参議院議員通常選挙における委託費につきましては四百七十六億円で、前回の平成二十五年の予算額に比べて二十九億円、六・五%の増であります。選挙の執行に必要な額は確保しているところです。
投票所数ですけれども、中山間地域における過疎化による選挙人数の減少ですとか、市町村合併を契機とした投票区の見直しによって減少をしてきています。
投票所が近い方がより投票に行きやすいということなんですけれども、各選挙管理委員会に対しまして、投票区の増設ですとか、あと、閉鎖時刻について、地域の実情に応じて対応していただくということと、それから、移動が困難な方に対する巡回バスの運行などについても、新たな取り組みについても要請しておりますので、引き続きしっかりと要請をしてまいります。


 

穀田委員

話を聞いていると、予算をふやした、予算をふやしたと言うているけれども、それはよう中身を見てみなあきませんわな。投票に関する、投票所だとかその他に関する費用というのは、それは前回に比べたらちょっとふえてまっせ。だけれども、昔から比べたら、がばっと減っているんですよ。
その基準は何かといったら、投票所の開票時間を、当時六時間あったものを早うせいといって四時間まで下げておいて、三十分ばかし延ばしたからといって、費用はばあんと減らしている、こんなやり方をしておったら、それはあかんということだけ言っておきますわ。
だから、もう時間が来ていますので終わりますけれども、やはり今、民主主義の問題が問われている時代にいよいよ来ているわけじゃないですか。そのときに、そういう新しい時代に迎えつつある選挙権の十八歳実施も行うというときにこそ、民主主義のコスト。
何かというと政治に金がかかるといって、企業献金だ、団体献金だ、それから政党助成金だといって、民主主義のコストをどう負担するのやと皆さん言わはりますやんか。そんなもの、選挙に対する費用ぐらい民主主義のコストとしてきちんと負担せよと。ないのやったら政党助成金を減らしたらええやないかということだけ言っておいて、終わります。


山本委員長

これにて、ただいま議題となっております両案中、内閣提出、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律及び公職選挙法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

 



山本委員長

これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。


穀田委員

私は、日本共産党を代表して、国会議員選挙の執行経費法及び公職選挙法改正案の討論を行います。
本案では、投票環境の向上の一環として、共通投票所制度の創設、期日前投票時間の弾力的な設定などが盛り込まれています。これらの措置に反対するものではありませんが、どれだけの選管で実施できるか不明であり、実際にどれだけの有権者が利便性を実感できるかわかりません。
また、期日前投票の向上を行っていれば、投票日の投票所は現状のままでよいということにはなりません。
我が国の公職選挙法は、投票日当日投票所投票主義をとっており、さらに、公示日から投票日までを選挙期間と定めて、さまざまな制限のもとでの選挙運動を認めています。期日前投票を投票の柱とするならば、選挙期間の規定も見直さなければなりません。そのような検討なしに、投票がふえている期日前投票の利便性のみ追求させることには疑問を感じます。
投票環境の向上というならば、真っ先にすべきは、投票所数を増加させること、規定どおりの時間、投票所を開くことが必須であります。全国一律の国政選挙において、投票所の数や投票時間の保障は、投票機会の公平を確保する上で極めて重要です。
ところが、この間、投票所の数は著しく減っており、しかも、投票時間を短縮する投票所がふえ、全国の投票所の三分の一で閉鎖時間を繰り上げ、投票時間を削減しています。投票時間の短縮によって、有権者の投票権の行使を制約することがあってはなりません。しかし、現状は、選挙経費の削減によって、投票所数の減少や閉鎖時刻の繰り上げに拍車をかけていると言わざるを得ません。
また、開票所も、市町村合併の影響で激減しています。さらに問題なのは、開票作業などの選挙事務ミスがふえ、高松選管や仙台選管の不正事件のように、選挙の公正性、信頼性を損ないかねない事態さえ起きています。
開票作業は、何より正確さが求められています。それなくして、選挙の公正は確保されません。コスト削減を目標にして選管をあおってきたことが、開票不正事件、選挙後事務ミスの要因であることを直視し、実態に見合った基準にすることが必要です。
現場の実情を聞き、見直すことこそ、本委員会の責務であります。本法案を短時間の審議で成立を図ることは許されません。
これまでの大幅削減された基準で、地方選管はぎりぎりまで経費削減しています。本案は、これまでの大幅削減された基準を根本的に改善しようとするものではありません。
以上の理由から、原案に反対、修正案にも反対を表明します。
最後に、ことしは、選挙権が十八歳以上に拡大される歴史的な年です。民主主義とは何か、みずからが主権者として考え行動するとはどういうことなのか、若者だけでなく、大きく議論していくきっかけとなるはずです。
選挙執行、選挙啓発など必要な経費は十分に確保すべきです。これこそ、民主主義のコストとして保障されなければなりません。これらの経費は、政党助成金を廃止すればすぐにでも賄えることを指摘し、私の討論を終わります。


山本委員長

これにて討論は終局いたしました。