予算委員会分科会 「北山大塔」の存在可能性/盛土規制強化を国交省検討

2022年02月17日

穀田分科員

 日本共産党の穀田恵二です。  私の地元、京都北区、足利義満ゆかりの鹿苑寺・金閣寺と並ぶ建造物、幻の塔と言われる北山大塔について議論したいと思います。  鎌倉中期以降の政治、経済、社会に関する必須の歴史史料であり、ユネスコの世界記憶遺産でもある、東寺百合文書によれば、足利義満はこの地に、北山大塔と呼ばれる、東寺の五重の塔の二倍もの建造物を建立したとされています。  この文書によると、北山大塔は、一四〇四年四月三日に、立柱の儀、いわゆる起工式が行われ、基礎工事、塔本体の建設工事に入ったと書かれています。しかし、義満はその完成を見ることなく世を去り、立柱の儀の十二年後、一四一六年一月九日、北山大塔は落雷により炎上。北山大塔の最上部を飾る九輪もこのとき焼け落ちてしまったとあります。  大臣に聞きます。  まず、北山大塔の基壇あるいは土壇、つまり、大きな建造物を建てるために土を固めた基礎部分と見られる金閣寺庭園の北東にある方形の高まりについて伺います。  従来、この方形の高まりについては、京都市の発掘調査資料によって、土壌が軟らかく、北山大塔のような大重量を支える基壇とは考えにくいと評価され、これが北山大塔を幻の塔とする根拠ともなってきました。  しかし、文化庁が指導し、京都府、市が行った二〇二一年の調査、そのまとめの第二十五次、これですね、全文はもっと長いんですけれども、この報告書によると、「堆積はむしろ密で、土質の柔らかさは後世の風化によるものと判断された。」と。堆積は軟らかくではなく、むしろ密、すなわち、巨大な建造物である北山大塔を支える土壇であったと、これまでの見解を覆し、再評価するものとなっている。こうした認識で間違いありませんか。

末松国務大臣

 先生御指摘のとおり、鹿苑寺の敷地内にかつて北山大塔と呼ばれる七重の塔があったと文献上の記録がございます。  平成二十八年度の京都市の発掘調査によりまして、北山大塔の九輪の一部との可能性がある破片が三点発見されまして、さらに、令和二年度の調査によりまして、七重の塔が建つのに十分な硬い地層であった可能性が明らかとなりました。  今回、文化庁の担当課が京都市文化財担当部長に確認したところ、総合的に考えると、北山大塔があったという可能性は否定できないとのことであり、調査としては一定の進展があったものの、現時点では、この遺跡が北山大塔であったかどうかということを判断するにはちょっと情報が少ない、そういうことであるという報告を受けておるところであります。

穀田分科員

 私が昨日問いただしたところで京都市の話をしたものだから、担当部長にも聞いていただいたということだと思うんですね。  担当部長はどう言っているかというと、実は、この二十五次の調査報告書というのは文化庁の臨検と指導を受けて書かれているんですね。だから、別に京都に聞かなくたって、おたくのところが全部分かっているはずなんだけれども、そこだけ指摘しておきたいと思うんですね。  大臣がお話あった文化芸術都市推進室文化財担当部長、この方は、私どもの井坂博文市会議員の質問に対して、発掘調査の技術の知見は日々進歩、今回、新たな知見を得たことによって見解が変わってきた、新たな発見があったものと考えております、これなんですね。ここまで言ってくれへんと、なかなか、担当部長の話だけ言われても、何が変わってどうなったのかということは必要ですわな。  そこでです。この土壇の、先ほど述べた南西角の、室町時代に焼けた層の土を調べたところ、焼けて炭化した木片が発見され、木片の炭素量の年代分析から、一二二五年から七四年の鎌倉期の木片でほぼ間違いないとされています。この木片が焼けた太い柱の内側の部分であって、この柱の使用時期が鎌倉期の後の足利義満の時代、北山大塔建立期である蓋然性はますます高まったと言えると思うんです。  先ほど話があったように、あったことは否定できないとおっしゃっていました。ということは、見解が変わったという京都市の部長答弁、新たな木片の出土という事実を踏まえて、北山大塔はなかったとは断定できない、あった可能性が強い、そういうふうに見解を理解していいですね。

末松国務大臣

 今のお話でしたら、そういう可能性がありますよね、先生がおっしゃったようなことは。私は十分な情報を持っていませんけれども、今のお話でしたら、そういう可能性があります。

穀田分科員

 可能性があったということで、とても大事な答弁です。  私は、このことが可能性があるということからしますと、今度は、それをきちんと立証すれば画期的なことになるということだと思うんですね。  したがって、京都に来るわけだから、文化庁は、しかもその部隊が肝腎なところから来るわけですわな。ですから、現状保全は当然だけれども、本格的調査を後押しすることは当然の責任ではないかと思うんですが、簡単にお答えいただけませんか。

末松国務大臣

 ちょっと整理して答弁せないかぬわけですけれども、平成十二年からこれは自治事務になっておりますから、そういう意味では、京都市がまずその気にならないと、指導助言を国から、文化庁が与えるにしましても。敷地は鹿苑寺の持ち物であると聞いておりますので、そこの了解がないと、だから、まず鹿苑寺と京都市がその気になるということが必要です。

穀田分科員

 それは百も承知しているんです。だけれども、文化財のことについては、それこそ大臣は地元でも、垂水区で、孫文記念館を始めとした様々な尽力をされた、そういう、造詣が深いと私は聞いております。私も文化財の問題というのはずっと何回も質問しておりまして、やはり大事なものは大事なものできちんとして、一定のこういう配慮を行いながら、指導的イニシアチブを取っていくということが必要だと私は思います。  そこで、関連して聞きたいんですけれども、これなんです、こんなにでかいものなんですね、これは、二〇一九年、九州国立博物館で開催された「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」の図録であります。そこで、皆さんにお配りしているところを見ていただければありがたいと思うんです。  資料、これですね、分かりやすくしましたけれども、資料の一は北山大塔の九輪の説明。この大きさは、北山大塔は百十メートルと言われている、九輪というのはここにあるものですね。それは大臣、知っていると思いますけれども。これが発見された地域の地図。私は、この辺の、ちょっと下の方に住んでいるねんけれども、まあそれはいいんですが。  二のこれ、これが先ほど大臣がおっしゃった九輪、これの断片ですね。この九輪は、ここにもあるんですけれども、ここから私は取ってきたんですね。これが、その原本の、写真に載っているものです。これです。  この九輪は、文化庁所管の九州国立博物館が目玉の一つとして展示している。これは、これまでの記録上の存在だった北山大塔の実在を裏づけるものだからではないのか。  大臣、これは価値があるから展示しているということは、当然そう思われますわな。どうですか。

末松国務大臣

 御指摘の展覧会では、これというのは、先生、室町幕府の歴代将軍に関係する多様な文化財を紹介したものであると聞いておるんですけれども、御指摘の評価は九州国立博物館としての見解ですが、九州国立博物館としては、展示に当たって、今後の研究の進展を期待して前向きな評価をしたものと聞いておりますね、私は。まあ、説明を受けただけでございますけれども。

穀田分科員

 私が聞いているのは、価値があるから展示されていると。研究員や学芸員の方々の、内容は分かるんですよ。そうじゃなくて、大臣は、こういうものというのは、展示する場合、何か、瓦れきなの、それとも大事なものなのということを聞いているわけですよ。単なる瓦れき、石ころじゃなくて、価値のあるものだから展示しているんでしょうと。裏から指しておりますけれども、中身ですよ。大事なものだから展示しているんでしょう。

末松国務大臣

 さっき申し上げたように、室町幕府の歴代将軍に関連する多様な文化財を紹介したものであるから、大事でないか大事であるかと言われたら、それは、相手方にとって、責任者にとっては大事なものであるというふうに、私はそう思いますね。大事でないものを展示はしたりはしないと思うんですけれども。

穀田分科員

 大事なものだと普通は理解できると。  私、この問題を質問するということにしまして、こういうものについて書かれてあるということについて、そういうことを担当の部局にお伝えしたら、早速、この書いた研究員の人におととい電話したそうですよ。それまでは知らなかったということやねんけれどもね。なかなか手早いというか、そういうものがあったと確証できるのかというような話までしているらしいけれども、まあ、ちょっとやり過ぎかと私は思うんだけれども。  やはりこういう問題というのは、この図録で主任研究員の方は、九輪の解説を、「本品はこの北山大塔の九輪と考えられ、これまで記録上の存在だった北山大塔の実在を裏づけるものである」と述べているんですね、この説明は。  私は、先日、京都市の埋文研の保管庫を訪れ、この九輪を実際に見てきました。幅三十七・四センチ、高さ二十四・六センチ、厚さ一・六センチ、重さは何と八キロ以上あるんですよ。ずしりと重たいもので、これを復元すると、九輪というのは、二・四メーター、そして巨大な輪である。これは結局、五十キロ近いものになる、それが九つも上にある。材質は、お聞きすると、青銅、表面に金メッキを施したものであり、きらびやかな金銅製のものであったと。現場の職員は、この九輪は北山大塔が存在した物的証拠です、こう語っておられました。私は持って、この瞬間、歴史のロマンを感じわくわくすると感想を述べました。そうしたら、職員の方も同感ですと意気投合したわけです。  重要文化財の指定基準は、歴史的価値の高いもの、学術的価値の高いものなどですけれども、北山大塔が存在した物的証拠であるこの九輪を、この際、重要文化財と指定して、その歴史的価値にふさわしい取扱いをすべきだと思うんですが、いかがでありましょうか。

末松国務大臣

 文部科学省としては、先生、有形文化財のうち学術的な価値が特に高いものを文化財保護法に基づいて、もう先生分かっておってですが、重要文化財に指定し、その保存と活用を図ってございます。有形文化財には地下から発見されました遺物も含まれますが、指定するためには学術的な価値の高さを立証する十分な蓄積が必要である。  今回出土した破片が北山大塔のものかどうか判断するには、冒頭申し上げたように、情報が少し少ないため、まず京都市において敷地を所有する鹿苑寺の意向を十分踏まえながら適切に対応いただきたいということで、これは私の考え方、答弁でございます。  もう一つ、今日、私が指示を出したのは、まず、文化庁の人間も、これは国ですけれども、まずは京都市がきちっと意向を固めないかぬのですけれども、先生が質問されるので、参考程度には見てこいと言っていますので、行かせます。そういうふうに思っています。

穀田分科員

 見てきたら歴史のロマンを感じると思います。何か、今日の午前中では京都のことを言ってはったから、せっかく京都に文化庁が来はるねんから、大臣も来ていただいて、その重さを実感すれば、その中身が分かると私は思います。  しかも、先ほど述べましたように、舞子公園の孫文記念館だとか、ジェームス邸だとか、そういったものについて、重要文化財の指定と保存などにかつて尽力された、そういう意味では思いは共有できると思う。大切なものだということだけは確かですよね。  今日は新しいそういう答弁もいただきましたし、これに基づいて、せっかく京都に来るのやから、今見に行かせると言っていましたけれども、みんなで確かめて、このものを大事に扱って、私は重要文化財として指定されるための努力をしていただきたいと思っています。  申し訳ありません、次に、国土交通副大臣にお聞きします。  私は、建設残土と盛土に対する法規制について伺いたいと思います。  昨年七月三日の熱海土石流事故の記憶は新しいところであります。住民は、二十七人もの大惨事となった下で、建設残土による山津波とも表現していまして、住民の命に関わる問題であります。  これは熱海の問題だけではありません。総務省が十二都道府県、二十九市町村に限定して調べた昨年の調査では、百二十の不適切の埋立てがあり、その七割が土砂流出などの被害があった、あるいはそのおそれがあるというものでした。  私の地元、京都市北区杉阪道風町周辺でも、北山杉の産地として有名な山林が切り開かれて、大量の建設残土が投棄され、不法な盛土がされており、住民から大きな不安が寄せられています。  私は、先日、このうちの二つの現場を実際に見てきました。資料を皆さんにお配りしています。資料三ですね。  これは航空写真です。これは、京都市北区鷹峯笹ケ尾の二、三番地の五千六百平米の林地開発であります。京都市への申請によると盛土面積は二千九百五十平米とされており、京都市の土砂条例の許可要件三千平米を僅かに下回っているんですね。しかし、地元住民の話によると、実際の面積は縦二百メートル、横四十五メートルで、約九千平米にもなり、ここへの取付け道路がまた二千四百平米もある。これは市土砂条例の許可要件をはるかに、三千平米をはるかに超えていますけれども、市当局は、元々申請が三千平米以下であることや土砂条例制定以前の残土が含まれていることをもって、規制の対象外であるとの態度に立っています。  しかし、この現場は、急傾斜地に建設残土を盛土したもので、熱海市と同様の土石流災害の危険があります。また、昨年七月上旬の大雨の際には、直下にある杉坂川が突然白く濁る事態となり、この水を飲料水、農業用水として使っている地域住民は、これまではなかった事態に、有害物質による汚染水、健康被害への強い不安を私のところにも訴えてきておられます。  もう一か所は、資料四ですね。これも見ていただければ分かります。これです。  これは、北区杉阪東谷七、八番地の山林で、合計八ヘクタールにも及ぶ大規模な林地開発であります。七番地の八割方は既に森林伐採が完了し、事業者が跡地に杉二千本の植林をすることを約束しながら、期日内にこれを実行せず、資料五のような、これは見ていただくと、私が行ってきた現場ですけれども、この五にありますように、もう、何というんですかね、ひどい実態になっていて、既に資材置場、メガソーラー用地として、今度は一億八千万で売りに出されているというようなことまで来ているわけですよね。  したがって、地域住民は、熱海市のような土石流災害が起こらないか心配で、何度も京都市に足を運び協議しているけれども、排水施設や土留めのための擁壁など具体的対策が取られないばかりか、京都市は適切に対応すると言うだけで、違法に毅然と対処する立場には立っていない、口先だけだとみんな怒っているわけですね。  また、先ほど述べた杉坂川が白濁した際に、京都市は、七キロ以上も離れた下流の清滝川、これはとてもきれいなところなんですよ、そこの水質検査を行って、汚染はないと言うあきれた対応で、住民は、なぜ残土投棄現場の直近の川の水質検査をしないのかと、これは度重なっていって、怒り心頭に達しておられるわけであります。  そこで、聞きたいと思うんですね。これらの事態は、京都市の対応が全く弱腰であるということが大問題であるけれども、その上で、現状の森林法や土砂条例の規制だけでは現実問題に対応し切れないということを示しているんじゃないかと。したがって、災害から人命と安全を守るためには、不法で危険な盛土自体を規制する隙間のない新たなる法規制が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。

泉田大臣政務官

 まず、昨年熱海で起きました大規模な土石流で亡くなられた方の御冥福をお祈りしたいと思います。また、被害に遭われた皆様方にお見舞い申し上げたいと思います。  盛土に関する規制についてでありますけれども、昨年の事例を受けまして、有識者会議の提言や知事会からの御要望もいただいております。危険な盛土を包括的に規制する法制度、これを構築することといたしております。  具体的には、これまで規制をかけることができなかった地域も含めまして、全国一律の安全基準を作成し、人家等に被害を及ぼし得る盛土行為、これを許可制とすること等について検討を進めております。  現在、関係省庁とも調整を行っているところでございます。可能な限り速やかに調整の上、閣議に諮りまして、三月上旬にも国会へ法案を提出できるようしっかりと取り組んでまいります。

穀田分科員

 報道によりますと、既に、森林や農地などの土地利用区分にもかかわらず、そういう意味での許可制にするという方向性が出ているということは重要だと思います。近畿ブロック知事会を始め全国知事会も意見を述べているわけですから、それらがどのように反映され、具体化されているのかについては、法案を見させていただいて、検討していきたいと思います。  ただ、その上で、報道によれば、建設残土自体の適正処理に関しては、今回の法改正とは別に、今後対応するとされております。しかし、日々建設残土は大量に発生しており、新たに建設残土規制法あるいは建設残土処理適正化法を作ることによって不適切な残土処理を根絶することが急がれている、これは誰しもが思っていることだと思うんです。  そこで、私は提案したいと思うんです。  具体的には、第一に、建設残土の排出者、工事発注者が最終処分まで責任を持ち、受入れ地、最終処分場を必ず確保することを義務づけること、第二に、建設残土を工事現場から外に搬出する際は、民間事業者も含め指定処分制度を義務化し、建設残土が仮置場やストックヤードを経由した場合も、安全な構造基準を満たした最終処分場に確実に搬入されているかチェックできる仕組みを創設すること、第三に、以上の点が、ここが大事なんですけれども、工事契約段階で明確でない場合、工事に着手させないよう厳しく対応する。  これらについての、私が今提案した内容ですけれども、国交省はどのように考えるのか、見解をお聞きしたいと思います。

泉田大臣政務官

 委員御指摘のとおり、建設発生土の適正利用、こういった観点も踏まえて対応していくことが必要だろうというふうに思っております。現在検討中の新たな盛土規制と併せまして、建設工事から発生する土の搬出先の明確化等、この取組は必要というふうに認識をいたしております。  昨年十二月の盛土による災害防止に関する検討会の提言によれば、建設現場から搬出される建設発生土の約八割、これは公共工事が占めております、工事の発注段階で建設発生土の搬出先を指定する、そしてまた、指定利用等の取組を徹底していくことが重要というふうにされております。  この提言を踏まえまして、発注者による指定利用等の徹底に取り組んでまいります。  また、提言では、民間工事も含めまして、建設発生土の搬出先等の明確化等を図るため、現行の資源有効利用促進法に基づく再生資源利用計画の仕組みを活用いたしまして、これを強化すべきとされました。  これを踏まえまして、元請業者に対しまして、一つは、搬出先の新たな盛土規制に基づく許可の事前確認や、実際に搬出されたことを土砂受領書等で確認することを義務づけるということなどによりまして、建設発生土の搬出先の明確化、適正化にしっかりと取り組んでまいります。

穀田分科員

 一、二の、二の辺りまではいろいろ言うてはるけれども、結局、我々の提案がどう具体化されるか見極めたいと思うんです。ただ、民間事業者も含めた対応が確実に実行できるかどうか、その担保はあるのかどうかということと、あわせて、工事契約段階で明確でない場合、工事をストップする、そのぐらいの厳しい対応をしなければ、やはり命と健康に関わる問題なんですよね。  そこの角度が、地方自治体の長もやられた、そういう方ですから、その意味でいうと、現場の現実というのは法律の隙間を縫って動いてくる、どうしたら止めることができるかという点の立場に立たないとあかんということは言っておきたいと思うんです。  環境関係に行きたいと思うんですけれども、私は、より根本的な問題は、トンネル掘削など建設工事で発生する建設残土が大量過ぎる、これへの排出者責任が曖昧にされていることにあると言わなければなりません。  多過ぎる建設残土自体の総量規制に踏み込むべきところに来ているんじゃないのか。また、建設残土が逆有償の場合、建設瓦れきや建設汚泥と同様に産廃として扱い、廃棄物処理法の対象にし、排出者が最後まで責任を持つ仕組みづくりを構築すべきと考えるが、いかがでしょうか。

務台副大臣

 廃棄物につきましては、適正に処理しなければ、それ自体が腐敗、悪臭の発生等によって生活環境や公衆衛生に支障を生じさせることから、廃棄物処理法によって規制しております。一方で、建設発生土は、建設工事から搬出される土砂ではありますが、それ自体が腐敗等による生活環境の保全や公衆衛生上の支障を生じさせるものではないということから、廃棄物として廃棄物処理法で規制するものではないというふうに考えております。  建設残土の適正処理については、国土交通省でしっかりと検討していただけるものと承知しております。

穀田分科員

 そういうことを五十年間言ってきて、やってきたから、こうなっているんじゃないですか。私、よう言うわと思うね。信州でも大変でしょうが。そういうことを言っていたらあきませんで。  だって、結局のところ、七〇年に廃棄物処理法が制定された際に、建設発生土、残土は再活用すべき資源であり廃棄物ではない、こういう線引きがされて、国が厳格に規制すべき対象とされなかった、その大前提があるためにこんな事態になってきているわけじゃないですか。そこを一歩踏み込むというところにやらなければ、事態は打開できませんよ。  そういう姿勢で、私は、盛土崩落などの大規模災害、不適切な残土処理による環境破壊から住民の命と健康を守ることができるのかと。できるというのやったら、任せておいてくれと言ったらいいですよ。大丈夫やと言えますか。一言だけ。

務台副大臣

 これは法律で、どういうものをどの法律で対象とするかという仕分の問題にも関わると思います。  いずれにしても、建設廃土の問題は日本全国の問題になっているので、どういう処理が適切かということをしっかりと調整してまいりたいと思っております。

穀田分科員

 そういう姿勢ではなかなか大変やなと思いますよ。  穴になって、そこが問題になってきたというところを、今いろいろな形で隙間を埋めるということについて検討会議なんかで出ているわけじゃないですか。この隙間の最大の問題はここにあるということぐらい言ってくれな、環境省がそのぐらいの立場に立ってくれな、どうしますねんな、チェックする機関が。  最後に一言だけ言っておきますと、私の地元では、リニア中央新幹線と北陸新幹線の延伸計画があります。例えば北陸新幹線延伸計画は、何と、大体百四十キロメートルのうち約八割がトンネル区間なんですね。発生する残土は、少なく見積もっても約八百八十万立方メートル、甲子園球場に積み上げると数百メートルの規模なんですね。また、ルート上の地域は、自然由来のヒ素濃度が高く、丹波地域はマンガン鉱山があったくらいで、有害残土や汚染地下水が大量に発生する危険性が指摘されているんですね。  こういうときに、やはり環境省がそういう現場の実態をきちんと見ていただいて、どうしたら国土交通省と環境省との間を埋めながら全体として命を守る、安全を守る、そういう役割を果たすのかどうかが問われていると私は思うんですね。ましてや、この工事のために二兆一千億円もかけようなんて膨大なやり方がやられているということについて、きちんと見て、そういうことについて物を言うという機関でなけりゃならぬということを一言述べて、終わります。