「『日英原子力協定改正議定書』承認案に反対」の討論

2021年05月14日

あべ委員長

 これより各件に対する討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員

 私は、日本共産党を代表して、日英原子力協定改正議定書に反対の立場から討論を行います。  本改正議定書は、英国のEU及び欧州原子力共同体脱退に伴い、これまで日英間で実施されてきた原子力の平和利用のための法的枠組みを引き続き確保するための措置にとどまらない重大な問題があります。  本改正議定書によって現行協定に新たに追加される技術とは、資材、核物質又は設備の開発、生産又は使用のために必要とされる特定の情報であり、この特定の情報には、技術援助として指導、技能の養成、訓練、実用的な知識の提供及び諮問サービスが含まれています。技術が協定の対象になることで、日英相互の原子力関連技術の輸出入が一層進められることになります。  政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略の原子力産業として、小型モジュール炉や高温ガス炉の推進を温暖化対策として打ち出しています。これは米国や英国、カナダ等の海外で既に進んでいる次世代革新炉の開発に日本の原子力関連企業が参画することへの政府の支援策であり、グリーン成長の名の下に、原発を最大限活用するものであります。  第九回日英原子力対話では、小型モジュール炉や高温ガス炉などの共同研究開発が議題となっており、今回新たに追加される技術は、こうした日英が共同で次世代革新炉の開発研究を進めるための根拠となり得るもので、到底認められません。  今年は、東京電力福島第一原発事故から十年の節目の年です。原発事故は、一たび起これば取り返しのつかない被害と汚染をもたらします。環境問題を原発推進に利用することは許されません。  なお、国際航路標識機関条約は、船舶の安全な運航に不可欠な航路標識分野でのより実効性のある国際基準の策定に資するものであり、また、大西洋まぐろ類保存条約改正議定書は、ICCATが行う資源の保存、利用の管理のための活動の向上に資するものであり、いずれも賛成です。  以上を述べ、日英原子力協定改正議定書に対する反対討論とします。