「日米貿易協定」「日米デジタル貿易協定」反対討論

2019年11月15日

松本委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

私は、日本共産党を代表して、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定に断固反対の立場から討論を行います。
私は、まず何より、当委員会における質疑終局と採決に強く抗議するものです。政府は、野党が求めた協定の審議の前提となる資料の提出を拒み続け、外務省作成の協定の説明書でも意図的、作為的に重要な文言を削除し配付するなど、国会軽視、国民無視の姿勢を露骨に示してきました。それにもかかわらず、質疑を終局し採決を行うなど、言語道断であり、絶対に許されないことを厳しく指摘するものであります。
日米貿易協定は、わずか五カ月という前代未聞のスピードで、交渉内容も経過も国会や国民に一切秘匿したまま合意されたものであり、既に発効しているTPP11、日欧EPAに加えて、日本側の関税、非関税措置を縮小させ、農産物の市場開放、自由化を一層もたらすものです。
安倍首相は、本協定を日米双方にとってウイン・ウインの中身になったと誇示していますが、その実態は、日本が米国産の農産物で七十二億ドル分の関税を撤廃、削減することを認める一方、米国は日本製自動車や同部品の関税撤廃を見送るなど、日本の一方的な譲歩であることは明白です。
政府は本協定がTPPの範囲内におさまったと主張していますが、TPPはもともと、輸出大国や多国籍企業の利益を最優先し、際限のない市場開放を推進するもので、TPP水準でも大問題です。しかも、本協定は、米国産牛肉の関税率を協定発効時にTPP参加国と同じ税率まで引き下げるとともに、米国向けのセーフガードを新設し、低関税での輸入枠を実質的に拡大するなど、米国を特別扱いするTPP超えは明らかです。
政府は本協定の発効で実質GDPを約〇・八%押し上げるとしていますが、この試算は、継続協議となった日本製自動車や同部品の対米輸出関税の撤廃を見込んだ架空の計算です。そうした試算でも、国内農産物の生産額が最大一千百億円減少すると見込まれており、本協定が農林水産業を衰退させ、食の安全を脅かし、食料自給率を更に低下させることは必至です。
日米共同声明は、本協定の発効後、関税や他の貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁などで交渉を開始するとしており、文字どおり、日米FTAにつながるものです。日米デジタル貿易協定はまさにその先取りであり、独占的利益を追求する米国のIT企業を保護する協定にほかなりません。
食料主権、経済主権を破壊する両協定の国会承認は、断じて認められません。日米FTA交渉は直ちに中止すべきであることを強調し、反対討論とします。(拍手)