米軍基地の自衛隊の共同使用を追及

2015年03月3日

大島委員長

これにて松野君、下地君、高井君の質疑は終了いたしました。
次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
私は、一月の二十七日の本会議において、圧倒的県民の民意に背いての沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設強行は断じて許されないと質問しました。きょうは、角度を変えて、名護市辺野古の米軍新基地建設における、一時的な訓練ではなく部隊の配置を伴う米軍と自衛隊の恒常的共同使用の問題について質問したいと思います。
まず、中谷防衛大臣にお聞きします。
二〇一三年七月十六日の記者会見で、当時の小野寺防衛大臣は、一部報道で、防衛省が陸上自衛隊の拠点を辺野古の新基地の中に設ける検討を始めたと報じられたことに対して、「キャンプ・シュワブにおいての陸上自衛隊の施設の共同使用について、検討しているという事実はございません。」と答えています。これは間違いありませんか。
そしてまた、防衛省ではこれまで辺野古の新基地を米軍と陸上自衛隊が共同使用することを検討した事実はないのか、このことについてお聞きします。


中谷国務大臣

小野寺大臣からその後また引き継ぎも受けておりますけれども、現在のところ、そのようなことを伺っておりませんし、また承知をしておりません。


穀田委員

そういう事実はないと否定されるわけですけれども、このときの記者会見で、記者は、陸上自衛隊の「米軍施設、代替施設での共同使用というのは今後進めていくべきことだという考えでしょうか。」こういう質問をさらにしているんですね。これに対して、小野寺防衛大臣は、「今後の防衛大綱の議論の中で、議論はされていく」と答えています。
防衛大綱というのは、安倍内閣が二〇一三年十二月に作成したものであります。実際にこの防衛大綱を見ますと、「南西地域において」「米軍施設・区域の自衛隊による共同使用を進める」、このことが盛り込まれているわけですね。
だから、この「米軍施設・区域の自衛隊による共同使用」というのは辺野古の新基地も対象に含まれているんじゃないか、誰しもそう思うんですが、いかがですか。


中谷国務大臣

その件につきましては、二〇一三年の十月に行われた2プラス2で、南西諸島の自衛隊の態勢強化のために、共同使用作業部会の取り組みについて合意をしたわけでございますが、現時点においてこの具体的な内容、検討については、固まっておらず、今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明をしていく考えでございます。


穀田委員

今防衛大臣は、2プラス2の話が出ましたから。
そうしますと、今私が述べた防衛大綱が策定された数カ月前にこれは行われているわけですよね。そのときに、今お話があった、十月三日ですか、その2プラス2の共同発表には「施設の共同使用」という項目があると思うんですが、外務大臣、その中身を言ってください。


岸田国務大臣

施設の共同使用につきましては、御指摘の二〇一三年十月の2プラス2に先立って、二〇一〇年の2プラス2において共同使用を拡大する機会の検討について言及されたことなどを踏まえて、日米共同使用作業部会等において実務的な検討を行っております。
そして、その上で、御指摘の二〇一三年十月の2プラス2の共同発表におきまして、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」という次第であります。
今防衛大臣からもありましたが、この検討は今現在も続いております。地元との関係を踏まえた上で防衛協力を拡大していく、こういった観点から検討が続いていると承知をしています。


穀田委員

だから、その一〇年に行われた2プラス2でもそういう話があったというのは私も知っております。
問題は、今外務大臣が述べられた、答弁された、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」こうありますよね。そうすると、作業中、要するに検討しています、こうくるわけですけれども、日米両国で「作業部会の取組」と明記しているわけだから、どういうメンバーで、一体何を検討しているのかということについてお述べください。


岸田国務大臣

日米共同使用の作業部会ですが、米軍及び自衛隊施設への両国によるアクセス拡張を通じて、両国の緊密な運用調整、同盟の能力向上、そして相互運用性、効率性促進及び地元との強固な関係の構築等について確認を行うことを目的として、ミニSSC、審議官級の会議のもとに設置され、政策担当者、課長級による協議体とされています。これを、二〇一一年以降、作業をこういった形で行っているという次第です。


穀田委員

そうすると、審議官級のもとに課長級の議論がされているということで、何をやっているかというと、先ほど両国の運用が云々という話がありましたけれども、一般論はそういうことなんでしょう。
問題は、私が聞いているのは、施設の恒常的な共同使用という問題について、どんな議論をしているのかということを聞いているんです。


岸田国務大臣

検討は今現在も続いております。
そして、詳細については、まだ部会としての結論が出たわけでもありませんので控えなければなりませんが、先ほど申し上げましたように、地元との関係も踏まえた上で防衛協力を拡大していく、こういった観点での議論が続いていると承知をしております。


穀田委員

もう一度確認しますが、続いている、そして地元との関係もある、ただ、いずれにしても、拡大していくという方向については間違いない、これはそういうことですな。
もう一度聞きますけれども、作業部会のメンバーというのは両方とも課長級だということですか。それだけもう一遍確認します。


岸田国務大臣

ミニSSC、審議官級のもとに設置された政策担当者、課長級による協議体でございます。


穀田委員

中身の問題は検討中、それから今も続いているということで、概要的な、こんな枠をやっているんだという議論はいつも出るんですよ。そこまでは言うんですよ。
ただ、私が言っているのは、恒常的な共同利用、しかも、その対象を含めていろいろ具体的に議論されているんじゃないかということを質問しているわけですよね。だから、この中身の問題がはっきりすることができないというのはどうもおかしな話だと私は思うんですよね。
そこで、もう少し突っ込んで聞きたいと思うんですね。
ここに、防衛省の統合幕僚監部防衛計画部の二〇一二年七月付の資料があります。「沖縄本島における恒常的な共同使用にかかわる新たな陸上部隊の配置」という資料で、これは「取扱厳重注意」ということが付されています。
この資料には、こんな形で、「沖縄本島における共同使用の必要性」という項目が書かれていまして、そこには、「本地域の主力戦闘部隊は、沖縄本島に所在する第一五旅団の第五一普通科連隊(約七百名)のみであり、事態にシームレスに対応するためには、先島諸島に一個連隊規模、沖縄本島に一個連隊規模の平素配備部隊に加え、尖閣や先島にて事態が生起した場合に、緊急展開し初動対処部隊として増援ができる最低一個連隊規模の勢力が必要」、こう書いてあります。要するに、沖縄を中心とする南西地域で、沖縄本島、先島諸島にそれぞれ部隊を配置すると書いてあるわけですよね、この中身は。
だから、このような検討をしているのではないかということなんですが、いかがですか。


中谷国務大臣

いずれも、防衛計画の大綱、また中期防等に基づいていろいろな検討はいたしておりますが、大綱にも書かれておりますが、南西諸島の約千の島嶼を初めとして六千八百の島嶼を抱える我が国の防衛にとって、この島嶼防衛態勢の充実というのは極めて重要な課題である。
こうした中で、中期防に基づく南西地域における警備部隊の配置については、平成二十五年度予算で、沖縄県の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に調査業務を実施するとともに、自後、具体的な候補地の選定のための現地調査を行って、総合的に検討を進めているところでございます。


穀田委員

その調査をしているという話は、後でもう一遍聞きますよ。
私が言っているのは、今大臣がおっしゃった、島嶼がどれだけあるかとか、それから世界で六番目のあれだとかといって、広大な地域だからという話は、それは前文に書いているんですよ。それはわかっていますよ。問題は、ここで言っている、いわば配置する、沖縄本島、先島諸島にそれぞれ部隊を配置するという検討をしているのかどうかということを聞いているわけですよね。
これは、実は、いろいろなことがあるからといった話では済まされない問題なんですね。
調べてみると、二〇一一年の十一月十五日、参議院予算委員会で当時の一川大臣は答弁していまして、「米軍と自衛隊が沖縄の施設なりを共同的に使用する、共同的に管理するというようなことについては、明確な方針はまだ何も出してはおりませんけれども、」こう言って、そういうことを日米間で一つの方向性を出してはどうかということで「作業部会的なものを昨年の暮れからスタートさせている」として、やはり共同使用を検討しているということを答弁しているんですよね。
だから、南西地域における共同使用について過去継続的に検討されてきたこと、具体的に私が言っているこういう問題がされているのは事実と違うのかということを聞いているわけですね。
その上に立ってさらに見ますと、続いた資料がまたありまして、ここには「沖縄本島における恒常的な共同使用の構想」というふうに書いていまして、見てのとおり、沖縄本島の地図の上に、キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫をこのように赤く塗りまして、共同使用の対象としていることを一目でわかるようにしているわけです。
この文書には、在沖米軍の主力部隊である31MEU、すなわち第三一海兵遠征部隊との連携を重視するとして、キャンプ・シュワブに普通科中隊を、キャンプ・ハンセンに普通科連隊等を配置する案が明記されているんですよ。
さらに、「兵站施設については」とまで書いてあって、嘉手納弾薬庫、キャンプ・ハンセンを共同使用することによって兵たん基盤を強化する、ここまで書いてあるわけですね。
だから、防衛省では、いろいろ検討しているという話を聞いているんじゃないんですよ、辺野古の新基地で米軍と陸上自衛隊との共同使用を検討している、ないしは検討していた事実があるんじゃないかということを聞いているわけです。


中谷国務大臣

その前提で、まず、二〇〇六年の五月に、日米ロードマップにおいて、陸上自衛隊の訓練に使用されるために、このキャンプ・ハンセンにおいて訓練使用ということが記載をされていることを踏まえまして、地元の理解を得て、二〇〇八年の三月から陸上自衛隊による訓練が行われてまいりました。
その他の施設については、現時点において具体的な共同使用のあり方が決まっているものではございませんが、防衛省といたしましては、防衛計画の大綱、また、中期防に基づいてさまざまな検討は実施しているところでございます。


穀田委員

さまざまな検討、いろいろな検討、こうくるわけですけれども、今あった、例えばロードマップの関係でいいますと、それは陸上自衛隊との共同使用が行われているんですけれども、それは確かに、二〇〇六年の五月の米軍再編ロードマップ、麻生さんが当時外務大臣のときでしたけれども、そのキャンプ・ハンセンについて、陸上自衛隊の訓練に使用されると明記されたことを受けて、二〇〇七年度に始まった訓練のことなんですよ。訓練の話なんです、それは。
私が聞いているのは、この資料にある共同使用というのは、恒常的な共同使用、すなわち常駐のことなんですね。だから、それを聞いているわけですやんか。それを、いろいろだの、さまざまだなんて、前の話へ戻したりして、どうなんだという話を県民の前に明らかにすべきじゃないかという立場で聞いているわけですよ。これは本当にけしからぬと私は思うんですね。
さらに、この統合幕僚監部防衛計画部の資料の、さらにまだあるんですね、「南西地域における新たな陸上部隊の配置の考え方」、これですよ。これを見ますと、この表題のページには海上の地図を載せているわけですよ。そして、「米軍来援前の平素」と書いて、「グレーゾーンを中心に、南西地域へ緊急展開又は島嶼を奪回」、奪い戻すということまで、極めて具体的に書いているんですよね。
先ほど防衛大臣がおっしゃったように、そういう中に、実はここに地図があるんですけれども、宮古と石垣、そのところを中心にして、そこに初動対処の新編、新編というのは新しく編成したというわけですけれども、部隊を配置するとまで書いているんですよ。
だから、先ほどおっしゃったように、来年度予算には、石垣島や宮古島の現地調査費として、確かに二千万円計上していますよ。それは先ほどもおっしゃっていましたよ。どこで何の調査をやろうとしているのか。実は、これは自衛隊の初動対処の部隊配置計画の具体化じゃないのかと。では、そこはどうなんですか。


中谷国務大臣

自衛隊の任務というのは、我が国の領土、領海、領空を防衛するということでございまして、防衛計画の大綱に従ってその手段を検討はしているわけでありまして、お示しをいただきました先島における部隊の配置、これにつきましては、現時点の検討状況を踏まえて、まず、平成二十七年度の予算案におきまして、防衛省職員による現地調査費用として約二千万を計上しておりまして、その他の地域等におきましても、その可能性等は検討している段階でございます。


穀田委員

語るに落ちると言っては悪いんだけれども、つまり、では、こういうことをやっているんだということをお認めになるわけですね。つまり、先島の関係を言っているわけだけれども。聞いてください、こっちを見て。そういうことを検討しているんだなと。では、言ってください。


中谷国務大臣

まず、御指摘の文書をきょう突然見せられましたので、いかなる文書かは承知できなくて、お答えはできませんが、いずれにせよ、代替施設における恒常的な共同使用というのは、まずは現時点においてはないということでございます。


穀田委員

現時点ではないと。そういうふうにおっしゃいますけれども、どうも、さっきから文書を何回も出していたわけで、今ごろになって、最後の方になって、どこかのわからぬ文書と。それはお互いに認めておった話で、全然、後ろからアドバイスを受けて、その程度で反論しているようでは本当に困るんですよね。
そこで、ではもう一つ聞きましょう。
これもまた新しい文書だと言うのかもしれませんけれども、突然のといったって、これは、私が言っているのは、いわば南西諸島におけるそういう新しい共同の動きがあるのではないのかということを質問すると言っているわけですし、それをずっとしゃべってきているわけですからね。
もう一つ私は言いたいんですけれども、結局、やはり今言ったように、南西地域における島嶼部で初動を担任する警備部隊の配備先選定に向けての作業とまさしく符合するということは誰の目にも今や明らかだ。
そこで、沖縄における共同使用の拡大を記述しているのは、この今述べた統合幕僚監部の資料だけではありません。二〇一二年七月のもう一つの資料を出しましょう。
防衛省防衛政策局日米防衛協力課の資料、これですけれども、これは、これまた「取扱厳重注意」と書かれているんですけれども、「沖縄における共同使用の拡大案」との表題のページには、これまた沖縄本島の地図の上に、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、これを、陸自の普通科連隊等の配置など、「共同使用の拡大を検討」と明記されているわけですね。
これら防衛省の二つの資料からも、辺野古米軍新基地における陸上自衛隊の恒常的な共同使用を日米で具体的に現在検討しているんじゃないのか。ばくっと、いろいろとかさまざまと言っているんじゃないんですよ。キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、そういうことを含めて、具体的に検討しているんじゃないのか、二つの資料、あるじゃないかと言っているんです。いかがですか。


中谷国務大臣

二枚目の資料も今見せられたわけでございますので、いかなる文書であるかは承知しておりません。
いずれにせよ、代替施設における恒常的な共同使用というのは考えておりません。


穀田委員

今初めて見たとか突然に指摘されたとか、そんな話じゃないんですよ。これは、ずっと続いている防衛の流れの中で、二〇一二年に出された資料なんです。ということは、知らないということは、逆に言うと、それを見てんと仕事をしているのかと言わざるを得なくなりまっせ。これはおかしな話ですやんか。共同使用という新たな問題についてのポイントについて防衛大臣が知らない。そんなことがあってたまりますかいな。
では、逆に、総理大臣に聞きましょう。辺野古の新基地、陸上自衛隊の恒常的な共同使用について報告を受けておられるんですか。どのように承知していますか。


安倍内閣総理大臣

もちろん報告も受けておりませんし、全く考えておりません。


穀田委員

報告も受けていないし、考えてもいないと。しかし、大臣の話では、いろいろ、さまざま検討していると。そして、具体的には、先島諸島の問題についても、その調査費がつけられて、動きがある。しかも、この文書について言うならば、ずっと書かれているということだと思うんですよね。ですから、これは全く私は大事なことだと思うんですね。
沖縄のメディアは、こういう問題に対して、やはり、「政府は地元に説明していない。普天間代替施設をめぐる全容はいまだに判然としないのが実情だ。」と指摘しているわけですね。つまり、このようなことをやっている、検討していて、何をやっているのかわからないということが多くの方々の、メディアも含めた指摘なんですよね。
それで、先ほど言いましたように、「島しょ防衛のため自衛隊の活動拠点を新たに確保するとともに、」「日米が共同使用できる基地を増やし、軍事面の一体化をさらに進めるのが主眼だ。」こうも指摘しているんですね。私は、このとおりじゃないかと思うんです。
総理は、この間、辺野古の新基地建設で沖縄の負担が軽減されるかのような主張と、県民に丁寧な説明をと何回も言っています。ところが、検討していないと。今、さまざま、いろいろとは言うんだけれども、具体的にこういったことを指摘しているのに対して、それは検討していない、聞いてもいない、見たこともないと。これでよく務まるなとは思うけれども。
私は、ロードマップでも明らかにされていない、それから、米軍に加えて自衛隊も恒常的に共同使用することまで秘密裏に検討して軍事的な一体化を進める、このことを指摘されても知らないと逃げる、こんなことが許されるのかと思います。
今まで隠されていた米軍と陸上自衛隊の恒常的な基地共同使用について、今お示ししたように、具体的な資料を出しているわけですよね。それも示したにもかかわらず、疑問に答えようとしないし、明らかにしようとしない。これで何が丁寧な説明とか理解を得る努力とか言えるのかと思うんです。
一方、これから赤嶺議員が質問しますけれども、県民の反対の声を全く無視して基地建設を強行する、こんな強硬な政治は、国民的な反対運動の発展の前に早晩破綻するであろうということを指摘して、終わります。