「政治とカネ」疑惑を追及。企業・団体献金は全面禁止を!

2015年02月25日

大島委員長

これにて松木君の質疑は終了いたしました。
次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
きょうは、西川農林水産大臣辞任に関連して、政治と金の問題について総理大臣に聞きたいと思います。
西川大臣は、政治と金をめぐる疑惑で辞任しました。辞任後の会見で、幾ら説明してもわからぬ人はわからないと述べ、総理にはわかってもらったとも述べています。
総理は、一体何がわかったと思っているのか、国民の疑惑を招いていたとは認識していないのか、この辺についてまずお聞きします。


安倍内閣総理大臣

政治家は、内閣にいるかいないか、あるいは与党か野党かにかかわらず、常に襟を正し、そして、もし疑問が投げかけられたらしっかりと説明をしていくという責任を果たしていかなければならない、こう思っております。
そこで、西川大臣につきましては、何について私が了解をしたのかということでございますが、西川大臣が献金を受けた相手方が補助金をもらっていたということに関しまして、それは西川大臣は知らなかった、こういう説明をしておられたわけでございますから、その中におきまして、ああ、知らなかったんだろうな、こう思ったわけでございます。
であるならば、法的な面においてはそれは違法ではない、西川さんという受け手にとっては違法ではないわけでありますし、事実、先ほども松木けんこう議員の指摘の中にもあったように、相手方が果たして補助金を受けているのかどうか、あるいは相手の人が日本国籍を持っているのかどうかということも、わからない場合もあるわけでございます。
特に、補助金については、知っているかどうかが構成要件になっているわけでございますが、そこで、今後もこうした出来事を踏まえて慎重にしっかりと対応していくということでございますが、西川さんも、ただ、その中で、国民の皆様にはなかなか御理解いただいていない部分もあるが、これから一生懸命説明をしていきたいとも思っている、こういう話でございました。
同時に、一生懸命、彼は農政改革も取り組んできました。その彼の今まで進めてきた仕事については、私は多とするところでございます。


穀田委員

いずれにしても、総理は、投げかけられた問題について説明する必要があると言っていますし、それから、しかし、知らなかったでは済まないという問題は、国民の多くの方々が思っていることだと思うんです。
そこで、安倍内閣は、昨年五月二十七日、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範を閣議決定しましたね。それを御存じですね。


安倍内閣総理大臣

日にち等正確に覚えておりませんが、閣議決定をしたのは事実でございます。


穀田委員

これですけれども、ここでは、政治家であって国務大臣等の公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する、そのために具体的にということで、営利企業については、報酬を得ると否とにかかわらず、その役職員を兼職してはならない、さらに、政治資金パーティーで、国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する、さらに、関係業者との接触に当たっては、供応接待を受けること、便宜供与を受けることなど国民の疑惑を招くような行為はしてはならないと定めています。
この規範に照らして西川大臣はどうだったのか。
西川氏は、農林水産関係業界から献金を受け、関係業界にパーティー券を買ってもらっています。関係業界の企業の顧問への就任や、安愚楽牧場をめぐる疑惑もありました。
西川大臣は、この大臣規範の精神に照らして問題じゃないのかと思うんですが、いかがですか。


安倍内閣総理大臣

今の御指摘全てについて、西川大臣の顧問等々について、私は承知をしているわけではございませんが、そうした役職については、大臣に就任する際に当然やめられているものと承知をしております。


穀田委員

私が言っているのは、それは規範としてあるわけだから、そういうものが守られなきゃならない、そして、守っているのかどうかも確かめなくちゃならぬというふうに普通は思うんですね。
閣議決定は、その中心は、国民の疑惑を招きかねない行為を定めたものですよね。そういう意味でいいますと、それに照らして問題のある人物を大臣に任命した責任は極めて重いと私は言わざるを得ないと思うんです。その点の答弁を求めます。


安倍内閣総理大臣

このいわば違法性等々については既に西川大臣が答弁をしているとおりでありまして、その点は問題ない、こう考えているところでございますが、しかし、このような形で、急な形で大臣が交代するに至ったことについては、当然、任命責任がある、こう考えているところでございます。


穀田委員

私は、法律に違反していないということで切り捨てるわけにはいかないと思うんですね。
やはり今、規範というところで述べたように、国民の疑惑を招いてはならないとする趣旨がどう貫徹されたのかということが問われると思うんです。
そこで、西川大臣の問題で問われているのは、職務に関連する業界団体や企業から政治献金をもらって政治を行っているのではないかという疑惑なんですね。
これは、この政治と金に関する問題というのは、二十数年前から続いている問題です。総理と私は、御承知のとおり、一九九三年にこの国会に参りました。それで、当時、一九九三年の政治改革の議論の中心問題は、やはり企業・団体献金をどうするかだったわけですね。
その中で、政治改革法案の提案者は、企業・団体献金を禁止する、こう述べました。ところが、先ほど総理は政治家の資金の問題について一言言っていましたけれども、しかし、実際は、政治家個人への企業・団体献金は禁止しましたよ、だけれども、政治家が支部長を務める政党支部には献金してもよいという抜け道がつくられました。今や、政党支部は幾らあるか。十政党で八千九百二十一もあるわけです。
もう一つは、企業・団体献金の受け取りを禁止させたはずの政治家の政治資金パーティーを認めた。
この二つによって企業・団体献金を温存した。このことが、今、相変わらず政治と金をめぐる疑惑が取り沙汰される、繰り返される根源となっている。
総理には、そういう認識はございませんか。


安倍内閣総理大臣

確かに、一九九三年、穀田さんや私が当選したときは、金丸さんの政治資金の問題が大きく議論になっておりました。そういう中において、政治改革を進めていくという中で、小選挙区比例代表並立制とともに、連座制あるいは企業、団体の政治家個人への禁止が決まったところでございます。
ただ、同時に、政党に対する寄附ということについては、企業、団体も政党を通じて、いわばそうした民主主義のコストに対して貢献をしていく道は残しておこうということになったんだろう、こう思うわけでございます。
そしてまた、パーティーについては、先ほど高市大臣が答弁をいたしましたが、これは、政治家が行うパーティーによっての事業収入という形をとり、政治家を応援したいという方々、あるいはその政治家の経綸に触れたいという方々が会費を払ってパーティーに参加するという形がとられたものと承知をしております。
いずれにいたしましても、こうした民主主義のコストをどのように分担をしていくのか。
これは、法人であれば問題があって個人であれば問題がないかということではなくて、例えば、お金をもらって政策をねじ曲げていく、あるいはお金をもらってその人の便宜を政策上図っていく、権力を使って、職務権限を使って図っていくということが問題なのであって、法人そのものに私は問題があるというふうには考えてはいないわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、これは、民主主義のコストをどう分担していくかという議論であり、各党各会派で話し合っていくことではないかと思います。


穀田委員

企業・団体献金については、一九九三年の政治改革の議論の際に、禁止するということが大きな前提として議論になったわけですよね。それが温存して、結局、その後も政治と金をめぐる疑惑が相次いできている経過を直視する必要が私はあると思っています。
そこで、今、二つの抜け道という話をしましたけれども、主要閣僚の国会議員関係政治団体、収支報告書を見てみました。二〇一三年の企業・団体献金と政治資金パーティーの収入はどうなっているか。
安倍総理は、企業・団体献金は三千七百五十六万円、パーティーは八千五百八十万円。麻生副総理は、三千二百二十三万円と五千二百五十三万円。岸田外務大臣は、千四百四十九万円と一億八十万円。甘利大臣は、三千三百五万円と六千百六十万円。菅官房長官は、千七百七十万円と六千七百八十万円。林新農水大臣は、三千五百九十七万円と九千八十三万円。
安倍内閣の主要閣僚は、いずれも、みずから支部長を務める政党支部や資金管理団体で献金を受け、パーティー券を購入してもらうという形で企業、団体から資金を得ている。
これは、政界全体で見ると、こうした企業・団体献金が、二〇一三年、八十七億円、政治資金パーティーは百七十六億円に上っています。二百五十億円を超える巨額が動いているというのが実態です。こうした金によって政治が動かされているのではないかと国民が疑惑を抱くのは当然ではないでしょうか。
私は、今こそ企業・団体献金を禁止すべきだということを思いますが、どうですか、総理大臣。


安倍内閣総理大臣

私たちの活動は多くの方々の支援によって成り立っているわけでございまして、私は、感謝をしながら、そういう方々の期待に応えていきたい、こう思っているわけでございますが、しかし同時に、私はあなたに献金をしているから、これこれこういうことをやってくれということについては決して応じる考えはないわけでございますし、いわば、献金をもらって、あるいはパーティー券を買ってもらって、それでもって政策をどうこうという考え方は全くないわけでございます。
自民党においても、まさに、さまざまな支持団体、自民党に対する献金をいただいている団体があるわけでございますが、しかしながら、私たちが進めている改革については、しっかりと進めていく、大変な御批判をいただきながらも、そういう団体から御批判をいただきながらも、進めていく改革はしっかり進めているところでございます。


穀田委員

先ほどの菅官房長官のところで六千七百八十万円と言いましたが、五千七百八十万円の間違いでした。
今、総理は、支援に感謝していると言いますけれども、やはり、もともと政治改革の議論の中で、御承知のとおり、政党に対する企業・団体献金は禁止をする、本来、個人献金をふやすことが望ましいということまであったわけですよね。それはなぜか。それは、自然人である個人であり、そしてまた、選挙権を持っている主権者たる国民に依拠して資金を集めるというのが本来の筋だという議論が当時されたことは御承知かと思います。
ですから、私は、何度も言うように、この間、結局のところ、政治と金をめぐる疑惑が何度となく繰り返されてきた根源にこの問題があるということを言わざるを得ません。
もう一つは政党助成金の問題であります。
企業・団体献金を温存しながら、毎年三百二十億円の国民の税金がつぎ込まれています。政党の運営を税金に依存することで、政党の堕落、政治の劣化という事態がもたらされています。
私は、企業・団体献金の全面禁止と、そして、政党の運営資金を税金に依存するという政党助成金の廃止、このことにいよいよ踏み切るべきであるということを改めて主張して、質問を終わります。