違法「民泊」を合法化する民泊新法反対!

2017年05月31日

西銘委員長

次に、穀田恵二君。


穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
きょうは、いわゆる民泊新法について質問します。
最初に、この審議の中で、大前提について確認したいと思います。
ことし四月十六日、地方創生大臣の滋賀県での発言が大問題になりました。大臣は、地方創生とは稼ぐことと定義した上で、一番ガンなのは学芸員、普通の観光マインドが全くない、学芸員だけの文化財でやっているとこれから観光立国で生きていくことができないと発言したと。謝罪して撤回したわけだけれども、これはまさに経済利益第一主義の発想であって、民泊問題を考える際にも通底する問題じゃないかと私は考えているわけです。
そこで、まず、観光立国を所管する大臣として、この発言のどこが問題だと思うのか、お聞かせいただきたい。


石井国務大臣

今御指摘がありました山本地方創生担当大臣の発言につきましては、既に謝罪の上、撤回されたものと承知しておりまして、発言そのものに対して私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。
ただ、国土交通省といたしましては、専門的知識を持つ学芸員の方々に観光マインドを持った上で文化財の持つ意義を語っていただくことは、文化財の魅力を伝える上でも重要であると考えておりまして、今後とも、学芸員の方々にも活躍をしていただきながら、文化財の観光面での活用にも取り組んでいきたいと考えております。


穀田委員

どうも肝心なところが抜けていると私は思うんですね。これから観光立国で生きていくことができないとまで言っているわけですよ。そういうふうな物の狭さがあっていいのかということと、やはり、稼ぐことが第一だという考え方はあかんということを言っておきたいと思うんです。
では、聞きますけれども、そもそも、観光立国推進基本法、観光政策審議会答申並びに世界観光倫理憲章に共通する理念とは何か。大きい角度から三点ほど聞きたいと思うんです。
まず大事な点は、観光を通じて平和な社会の構築、多様な文化や宗教の違いを超えた平和的な友好、交流、こういうふうに大体規定しています。大体こういうことだと思うんですけれども、大臣、こうした認識で間違いありませんね。


石井国務大臣

世界観光倫理憲章は、平成十一年に世界観光機関の全ての加盟国により採択された国際規範でありまして、観光が、平和のための重要な影響力、世界の友好と理解をもたらす要素を持つことをかたく確信するとともに、責任ある持続可能な観光を実現するため、各国政府、観光業界等の全てのステークホルダーが取り組むべき自然環境の保護等の事項について規定されているところでございます。
こうした観光に関する国際相互交流、持続可能性については、観光立国推進基本法においても重要な理念として位置づけられているところでございます。
また、平和な社会の構築と、多様な文化や宗教の違いを超えた友好、交流という御指摘でありますが、観光立国推進基本法第二条第三項におきましても、「観光立国の実現に関する施策は、観光が国際相互理解の増進とこれを通じた国際平和のために果たす役割の重要性にかんがみ、国際的視点に立って講ぜられなければならない。」と規定されているところでございまして、観光は、国際相互理解を通じて、平和な社会の構築に大きく貢献するものであると考えております。


穀田委員

平和に貢献するということは確認したと。持続的な問題ということは、後でまたやります。
平和友好という問題でいいますと、中国の観光客も含め、今、トレンドが変わってきています。一時期の爆買いは、関税がかかるということもあり、鳴りを潜めたりして、今、大事なのは、ありましたけれども、地域に住み、人々の生活や文化、暮らしに根づいた観光を楽しむというような形で、世界的にも大きく変化しています。
これは、実はTBSの「あさチャン!」でことし一月三十日に放映された内容ですけれども、中国のことしの考え方は、シーフェイ、肺を洗うんだそうです。日本人が一生行かないだろうと思う都道府県ランキング一位の佐賀県に、これは私が言っているんじゃないんですよ、そういうランキングがあるというだけで。昨年は、中国人宿泊客が一昨年の三倍になったと言われています。特に、佐賀と上海が直行便で結ばれ、一時間半ということもあるけれども、人気は武雄温泉と呼子の朝市、ゆっくりと地方の風情ある暮らしと文化に触れ、肺をきれいにする、これは中国のネット上でも注目されているといいます。
私、先日、佐賀県に伺いましたけれども、今や観光の玄関口となっている佐賀空港に、沖縄を初め世界で墜落事故を起こしているオスプレイを配備する計画があると聞きますが、大臣、観光の発展という目的と逆行しないのかなと。御意見を賜りたい。


石井国務大臣

佐賀空港にオスプレイを配備することにつきましては、これは防衛省の所管でございますので、私からのコメントは控えさせていただきたいと思っております。
佐賀空港につきましては、上海や仁川方面からLCCが就航したこともございまして、訪日外国人が堅調に増加しており、我が国の観光の発展に寄与しているものと考えております。
佐賀空港は、今後も、近隣のアジア諸国を初めとしたインバウンド需要に対する玄関口として、大いに期待できる空港であると考えております。


穀田委員

オスプレイの話になると、どうもだめだけれども……。
何でこんなことを言っているかというと、総理大臣だって、地元の理解が得られていない、こう言うわけですやんか。だから私、観光との関係でどないやと聞いているのであって。しかも、あそこの場合は、漁協と公害防止協定を締結し、有明の海に油を落とさせないということをやっているわけですね。だから、海からしても陸からしても、そういうものを、しかも、自衛隊には使用させないという合意があるわけですよね。だから、そういう合意はきちんと踏まえて対処しますと言ってくれるのやったらまだしも、ほかのことだからかなわんという話は、余りにも情けないと言わなければならないと私は思います。
次に、では、観光立国推進基本法について少し聞きますが、観光受け入れ国について、要するに受け入れる側ですね、そこの観光の目的や理念というのをどううたっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。


石井国務大臣

観光立国推進基本法の前文及び第一条におきましては、観光立国の目的は、二十一世紀の我が国経済社会の発展のために不可欠な重要課題として位置づけられております。
さらに、観光立国推進基本法第二条においては、基本理念といたしまして、一つには、豊かな国民生活を実現するための、住んでよし、訪れてよしの国づくりの認識の重要性、二つ目には、国民の観光旅行の促進の重要性、三つ目には、国際的視点に立つことの重要性、四つ目には、関係者相互の連携の確保の必要性、この四つが規定されているところでございます。


穀田委員

観光立国推進基本法がもう一つ言っているのは、全体として述べているのは、やはり、地域住民が誇りと愛着を持つことのできる地域社会、こうも言っているんですね。ここは忘れてはならないことだと思うんですね。
今ありましたように、中心は、住んでよし、訪れてよしということの実現であることは論をまちません。ですから、観光行政を考える場合、人がたくさん入るか入らないかというのは一つのメルクマールです。だけれども、肝心なことは、何のために観光を推進するかというと、暮らしが豊かになるということを書いているわけですよね。そして、住んでよし、訪れてよしということが基本だということを踏まえなければなりません。
先ほど言いましたように、自分の地域に対する愛着や誇りを持てることと、生活に対する満足度や充実度を満たすことが基本でなければならない。そうでなければ、観光客への真のおもてなしも台なしになるということを言っておかなければなりません。
私は京都に住んでいますが、京都観光総合調査によりますと、京都の宿泊客は、二〇一五年は、外国人客が百三十万人ふえています。一方、日本人客が同じ時期に百十万人減っています。つまり、外国の人はようけ来てんねんけども、日本国民の、先ほど国民の旅行と大臣おっしゃっていましたけれども、そういうこととなると減っている。そして、京都観光に訪れる日本人客の満足度が低下している。いまだかつてないことなんですね。初めて低下をしている。これは、ある意味、京都観光にとって極めて深刻な危機だと言わなければなりません。
その理由を尋ねてみますと、人が多過ぎるということが一番でした。既に観光客が町のキャパシティーを超えているということであって、中長期の視点に立てば、観光発展に逆行するような事態が起こっているということについて、警告と見なければならないと私は考えているわけです。
昨日、参考人質疑において、中林参考人は次のように述べています。地域に歓迎されないような民泊の存在があるというのは、観光にとって長期的に見ても本当に不幸、経済的にも豊かになる道であるというふうには思われない、その地域の人が楽しく住んでいて、ホスピタリティーを発揮できる形での宿泊施設ができていくことが重要だと述べられています。
政府は、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人という数の目標を追い求めるやり方であります。そういうことを言わなければならない。ただでさえ、京都といういわば観光の一つの大きなメッカ、このところで飽和状態になっている状況がある。したがって、将来的な展望を踏まえて、飽和状態にある都市部へのこれ以上の観光客誘致については抑制するという立場に立つべきじゃないんだろうかと私は思うんですが、所見をお伺いしたいと思います。


石井国務大臣

我が国を訪れる外国人の方は、いわゆるゴールデンルートに集中していると言われております。東京、富士山、京都、大阪ということかと思いますけれども、特に京都は観光資源が豊富でありますから、それだけ多くの外国人の方が来るということは、魅力があることの証左でもあろうかと思います。
私どもといたしましては、たくさんの方がゴールデンルートに来ていただくのはありがたい一方で、それをそのままにしておくことではなくて、今後、ゴールデンルートのみならず、全国各地域に誘客を促していくということが地方創生の観点からも重要であると考えておりまして、各地方の観光資源の磨き上げであったり、広域の観光ルートの造成であったり、あるいは海外に対するプロモーションであったりということで、全国各地域にインバウンドをお迎えするような、そういう施策を進めていきたいと考えております。


穀田委員

私が言っているのは、当然それは、全国各地にいろいろ誘致し、誘客するというのはあり得るでしょう。例えば湯布院などでも、一定の規制をかけて、キャパシティーだからこれ以上はということで、やはりいろいろな地域で、自分のところの容量といいますか、キャパシティーを決めながら考えているわけですよね。だから、私は、大都市部における飽和状態にある事態に鑑みて、そういうことをすべきじゃないかと思っているわけです。先ほど述べたように、住む人が豊かになってこそ、住んでよし、訪れてよしの観光立国の理念は実現できる。
そこで、三つ目です。
大きな問題ですけれども、先ほど、日本人宿泊客が百十万人減ったということを言いましたけれども、もう一つの原因は、日本の国民が旅行を楽しむ十分な条件に置かれていないということが反映していると思うんですね。
よく、ヨーロッパにはバカンスの文化があると言う人がいますけれども、実は、年次有給休暇については、国際労働機関、ILOの定めた国際条約百三十二号があります。ヨーロッパ諸国では、これに基づいて、政府が国民に長期休暇を保障しています。しかし、先進国の中でアメリカと日本だけがこのILO百三十二号条約を批准していません。
真の観光立国や観光先進国を目指すのであれば、先ほども大臣がおっしゃったように、国民の旅行を推進する上では、その土台となる休暇をふやすことが必要だ。なぜILO百三十二号条約を批准しないのか、厚労省にお答えをお願いします。


橋本副大臣

お答えをいたします。
御指摘のILO第百三十二号条約は、年次有給休暇に関する条約ということで、現在、三十七カ国が批准していると承知しております。
これは、働く方の年次有給休暇の権利を確保するため、年次有給休暇の権利取得のための最低勤務期間を六カ月とした上で、年次有給休暇は一年につき三労働週以上与えること。この労働週というのは一週間の勤務日数と同じ意味でございまして、週休二日、週五日の勤務ということであれば、三労働週というと十五日ということになります。この条約の表現では、三労働週以上与えること。それから、年次有給休暇の一部は、少なくとも連続した二労働週の休暇とすること、ただし、これは、労使の定めがある場合を除く。ですから、週五日の勤務の場合は連続十日ということになりますが、こうしたことを規定しておるものでございます。
我が国の労働基準法におきましては、初年度に付与される年次有給休暇の日数は原則十日ということになっておりまして、条約で定める三労働週を下回る場合があるということ、また、連続して二労働週の休暇とすることについて特段の規定がないということでございまして、今の我が国の労働基準法など国内法制との整合性との観点から、なお慎重に検討するべき点があるということで、批准していないということでございます。


穀田委員

苦しい答弁をしてはりますけれども、いつも、何か言うと、国際基準と称して、今度でもそうですわ、共謀罪にしても、これを理屈にしてやってくる。こういうときだけ、自分のところの国内法がこうやからできへん。そんなあほな、発想が逆やと。そろえたらよろしいがな、きちっと。だから、そういうときに厚労省がイニシアチブを発揮してやらなきゃならぬということを言っておきたいと思うんですね。
私、ちょうど十一年前、冬柴国交大臣と、冬柴さんも公明党の出身でございます、観光立国推進基本法で議論しました。私が、有給休暇の取得率の向上、偽装請負やサービス残業という違法の根絶、また、安定雇用の確保、社会保障の負担軽減などに取り組むべきじゃないか、これなしにはなかなかそういう旅行というのはできへんよと言ったら、質問に対して大臣は、「もうお説のとおりでございます。」と言っているんですよね。
そこで聞くけれども、この十年間で有給休暇の取得率は大幅にふえたのかということについて一言。


橋本副大臣

お答えいたします。
まず、先ほど労働基準法の話にちょっとお触れいただきました。我が国では、当然ながら、労働基準法の改正ということになれば、労政審等々、労使の入った、関係者の入ったところで御議論いただいて、合意を得るよう努力をするという必要がございますが、なかなかそこで、議論には上がっておりますけれども合意に至っていないという状況があるということは申し添えたいと思います。
その上で、お尋ねの有給休暇の取得率ということでございますが、観光立国推進基本法、これは平成十八年に制定だと思いますが、この年は四六・六%の取得率でございました。直近、数字がございます平成二十七年は四八・七%となっておりまして、いずれにしても、五割を下回る水準で推移しておりまして、この取得の推進をさらに図っていくというのは、私どもとしても重要な課題であると認識しているところでございます。
厚生労働省としては、連続した休暇を取得しやすい夏季、年末年始及びゴールデンウイークのほか、十月を年次有給休暇取得促進期間として集中的な広報を行うなど、休暇を取得しやすい雰囲気づくりに取り組んでいるほか、現在、厚生労働委員会におきまして継続審議となっております労働基準法改正法案におきましては、年次有給休暇のうち年五日間について、企業が、働く方と相談の上で、時季を指定して与えなければならないことを義務づけることなどとしておりまして、厚生労働省としては、今後とも、このような取り組みを通じて、年次有給休暇の取得促進を図ってまいりたい、このように考えております。


穀田委員

都合のいいときいつも労政審を使うんだけれども、要するに、結局、イニシアチブを発揮していないということなんですよ。取得率の変化ですけれども、四六・六から四八・七ですよ。たった二・一%。要するに、拳を振り上げてわあわあ言っている割には、ほとんど変化がない。
大体、取得率を数字であらわさざるを得ないなんという国が少ないんですよ。何でか。ほかの国は取得率が一〇〇%だからなんですよ。そういうことで、五割にも満たないという情けない実態について、恥と思わなあきまへんよ。
そこで、ブラック企業では、先ほど言いましたように、頑張っていろいろなことをやろうとか、五日間とか、企業がなんという話をするけれども、実際は、有給休暇制度があることも知らせず、サービス残業が横行している、過労自殺が後を絶たない、こういう実態があるわけじゃないですか。だから、この根本にメスを入れて、ヨーロッパ並みに労働者が有給休暇を取得できる条件を整備することこそ、日本の観光発展に欠かせないということを指摘しておきたいと思います。
次に、民泊問題で何が起こっているかということについて現状認識をただしたいと思います。違法、無法の実情がどうなっているかという点であります。
まず確認しますけれども、二月二十三日の予算委員会分科会で、住宅を活用したいわゆる民泊について、塩崎厚労大臣は、私の質問に対して、「現状では、旅館業の許可を得ずに宿泊料を受けて人を宿泊させる営業を行えば、旅館業法に違反をする」と答弁されましたけれども、石井大臣も同じ認識ですか。


石井国務大臣

旅館業法の所管は厚生労働省でございますので、所管である厚生労働大臣のお答えのとおりかと存じます。(穀田委員「もう一遍、最後……」と呼ぶ)所管大臣である厚生労働大臣のお答えのとおりであろうかと思っております。


穀田委員

旅館業法と今度のは、お互いに、微妙にというか、結びついているわけだから、違法は違法だということは確かですよね。
そこで、新法で何を立法事由にしているかというと、宿泊者の安全、トラブルの解消、仲介業の規制、下に隠れているものをと先ほど言ってはりましたけれども、ちょっと言葉が正確ではありませんが、そういうものを浮き彫りにさせるんだということだけれども、現状は、違法民泊の所在さえつかめていないということじゃないのか。この現実からまず出発すべきだと私は思うんです。
まず、政府の姿勢としては、所管はと言っているわけですけれども、政府としては、違法、脱法に対してどういう態度で臨むのか、ここが決定的問題であります。
では、聞きますけれども、昨年の十月から十二月、厚生労働省が民泊に関する全国調査を行いました。なぜこうした実態調査に取り組んだのか、その理由と、その結果と特徴はどうだったのかということについて簡潔にお願いしたいと思います。


橋本副大臣

お答えをいたします。
昨年の規制改革実施計画等におきまして、民泊サービスにおける規制改革というのが政府のテーマとして取り上げられたわけでございまして、この民泊サービスは健全な普及を図る必要があるということがございます。
一方で、インターネット仲介業者を通じ、旅館業の許可を得ず行われている事例などが多く見られ、実態が先行し、騒音やごみ出しなど、地域住民とのトラブルといったさまざまな問題が発生しているということも私ども承知をしているところでございます。
そこで、厚生労働省として、まず、民泊サービスの実態の把握が重要であろう、このように判断し、昨年の十月から十二月にかけて、いわゆる仲介サイトに掲載されている物件について、各自治体の協力をいただきながら、全国横断的な調査を行ったものでございます。
調査の結果でございますけれども、調査件数約一万五千件のうち、旅館業法の営業許可を受けている施設が約二千五百件、一六・五%、一方で、無許可で営業を行っていたものが約四千六百件、三〇・六%となります。また、物件の特定ができなかったものや、自治体において調査期間中に調査できなかった、まだ調査中という返事が返ってきたものが約八千件、五二・九%。このようになっております。
また、特徴についてでございますけれども、仲介サイトに詳細な情報がなく、例えば住所みたいなものが明記されていないといった場合があるということです、物件特定ができないものが五割を占めること、また、特に大都市圏の中心市では、許可を得ていたのはわずか二%程度であるということ、無許可物件の物件タイプは五割以上がマンションやアパートの共同住宅であったことなどが特徴として挙げられるかと思います。
以上でございます。


穀田委員

極めて大事な結果が出ていると思うんですね。つまり、特定できないのが多いということと、無許可物件の半数以上が共同住宅だと。二%とおっしゃっていましたけれども、大都市圏においては、営業許可を取得している物件の割合はたった一・八%。これは、いただきました調査室の資料の百五十五ページに書いていて、私も読ませていただきました。
要するに、今言ったように、営業許可をとっている物件の割合は大都市では一・八%、それ以外は違法民泊と言っていいと私は思うんですよね。それで、その数字を見ますと、四千六百二十四あるんですね。それは確かに、全国でいうとそうなんだけれども、それぞれの自治体や府県ごとに見ると、そんなに多くないところも結構あるんですよね。だから、四千六百二十四といって、総体として見たら多いんだけれども、それぞれの府県や自治体にしてみたらそれほどでもない、調べることは可能だと。だって、これは、無許可営業とわかっているわけやから、そういうことに対してどのような対策を打って、その結果どうなったかということをお知らせください。


橋本副大臣

お答えをいたします。
都道府県によって無許可営業の数にすごく差があるということは御指摘のとおりでございます。
この無許可営業者についての対応ということでございますが、これまでも、都道府県と保健所設置自治体において、その実態を把握した上で、営業許可の取得や営業の取りやめ等の指導をまず行うということになります。
今般実施いたしました全国民泊実態調査において、無許可営業者と判断された者が出てくるわけでございますが、そうした者についても、順次、都道府県等において同様の対応がとられているものと承知をしております。


穀田委員

指導したと。だから、その結果どうなったと私は聞いているんですよ。一般論で、自治体に連絡して指導したと。それはやっているでしょう、そのぐらいのことは。せやけども、例えば、マル適マークなんかつけるわけじゃないですか、旅館なんかも含めて。これは不適格なんでしょう。全く違法なわけですよ。あなたのところは違法ですと、違法のワッペンぐらい張るとかやったらよろしいがな、違法ですといって。近隣住民に違法ですと言ってもいいんだけれども。
これは、無許可で取り締まり対象なんだから、四千六百二十四あるうち、どのぐらい対策を打てて、どのぐらいが改善されたのか、言ってほしいと言っているんですよ。


橋本副大臣

お答えをいたします。
旅館業法上、営業許可を受けていなかった事案への対応状況ということでございますけれども、こちらの方、毎年度、厚生労働省としては、各自治体から情報をいただいて把握するということをしております。
ただ、先ほどお尋ねいただいた調査というのは、昨年に行ったわけでございまして、その結果として四千件ほどの無許可があったということでございますが、まだその昨年度の事案の集計をしている状況でございまして、昨年度どうだったのか、その調査の結果に基づいてどうなったのかということにつきましては、まだそこの取りまとめができていない、そのような状況だということでございます。


穀田委員

取りまとめしているから四千六百二十四と出ているんですよ。それを昨年にやっているんですよ。せやから、それはどういう指導をしたのか、何件か違法でなくなったのかということさえも言えないということなんですよ。わかっておったら、先ほどの話じゃないけれども、すぐ労政審だ、あれだって言うじゃないですか、橋本さん。これになると途端に、去年の話で、今、集計している。集計は終わっているというのや。何してんねんと聞いているわけですよ。
何ぼ解決したとか、どないなってるとかって、要するに、それもわからぬということなんですよ。わからぬと正直に言えばいいんですよ。要するに、それほど手が打てていないということなんですよ。それは事実でしょう。手が打てていない。打ったかどうかについては、四千六百二十四を母数にした場合、何件打ったなんということはちょっとわからへんわなと。こういう感じやね。


橋本副大臣

先ほど御答弁を申し上げましたとおり、昨年度の指導の状況でありますとか、その対応につきましては、まだ取りまとめておりませんということでございます。


穀田委員

昨年十月から十二月にやって、まだ取りまとめにかかっていると。その間に、違法民泊が何ぼでもふえるということですわな。ということでしょう。京都なんか、そんな待ってられへんのやわ。言っておきますわ。
では、もう少し、私の住んでいる京都の実態について紹介して、大臣の認識を問いたいと思うんですね。
何で私が京都のことを問題にしているか。私が住んでいるからと違いますねん。京都は、新景観政策に代表されるように、ホテルなどの高さを規制し、三方を山に囲まれ、自然景観と一体化した歴史的な町並みを保存し続けてきたこと、それが国内外から高く評価され、世界的な観光都市となっていること、そして、住民の努力で町と住民の住環境がこれまで守られてきた。それが、違法民泊のばっこで、新聞はどう言っているか。観光民泊無法地帯京都とまで報道しているんですね。だから、全国の象徴的実態として、この問題を何とかせなあかんということを提起しているわけです。
考えたら、私、橋本さんを見て思い出したんだけれども、お父さんの橋本竜太郎さんは、京都へ来て、京都駅のあのひどいビル、これは何やと言うていましたわ。京都が京都でなくなる事態は何とかせんならんねと言って言葉を交わしたことを今ふと思い出しました。だから、そういうことぐらい、みんな、京都は何とかせんならんと思っているわけですやんか。
私、四月末に、直接、簡易宿所と違法民泊が急増している京都市東山区を三時間以上かけて歩いて回りました。出される実態はほんまにひどいものですわ。
まず、住民の安全、安心の問題です。
そこで、皆さんにお配りしている資料を見ていただきたいと思うんです。
まず、資料第一、右の写真を見てほしい。
この写真は、外形上は普通の民家に見えますけれども、バラの造花が不自然に挿してあり、目印かなと思って中をのぞいたら玄関の鍵があったというものなんですね。結局、誰でも自由に出入りができ、鍵のコピーができるということなんですね。
この地には、このほかに、住環境にかかわる被害として非常に深刻で、聞きますと、長屋で、隣の民泊と薄い壁一枚、うるさくて寝られない。万が一出火したら奥の家からは逃げることもできない。路地に置いてある防火用の赤いバケツやプランターにたばこがいっぱい捨てられる。木造の建物のすき間にたばこが突っ込んであるということまであります。左側の写真に描きましたように、ごみ出しも地域のルールなど全く関係なしという実態があって、こういう、上に張らざるを得ないということなんですね。
そこで、次の資料の二を見ていただきたい。
左側の写真は、狭い路地の中に民泊が三軒もできている写真なんです。右の方は、文化住宅の二階が全て民泊に使われているというものであります。
そこで、聞きます。
民泊新法の立法事由は、さっきも何回も述べているように、宿泊者の安全、近隣住民とのトラブル解消というのはありますけれども、届け出だけで民泊を認めた場合、こうした事態がなくなるのかということについてお聞きします。


田村政府参考人

お答え申し上げます。
御指摘いただいておりますように、急速に拡大する民泊サービスについて、もちろん、宿泊ニーズの多様化に対応しなければいけないということはありますけれども、安全面、衛生面のほか、騒音やごみ出しなどによる近隣トラブルが社会問題になっているということにも対処するため、一定のルールをつくって健全な民泊の普及を図るものでございます。
そういう意味で、これまで行政が、どこで何をやっているのか把握できなかったという状態を、まず、届け出制でもって把握できる状態にする。そして、周辺地域の生活環境へのいろいろな悪影響の防止に関して、必要な事項を宿泊者に説明する義務、あるいは周辺住民からの苦情に適切かつ迅速に対応することを義務づけるというようなこと、それから、家主不在型の場合には、住宅宿泊管理業者というものを関与させて、住宅宿泊事業者にかわって適切な措置を講ずることを義務づける、そして、住宅宿泊事業に起因する生活環境の悪化を防止するために、条例により合理的な範囲内で区域を定めて当該事業の実施期間を制限できる、そういった仕組みを設けて、いろいろな地域住民の生活とも調和しつつ、健全な民泊サービスの提供を図ろうとするものでございます。


穀田委員

それは立法趣旨ですやんか。私が聞いているのはそういうことじゃなくて、こういう事態というのは、認めた場合、今のようなことはなくなるのかと聞いているんですよ。立法趣旨は、そういう説明を何回も聞いていますよ。
では、聞きますけれども、たばこの不始末なら普通は消防関係、ごみの放置なら自治体の対応、近隣トラブルが高じれば警察関係と、大枠そういうことになっていますよね。それぞれの対応は個別的だと思うんですが、それぞれにこうした違法、無法な民泊を取り締まる法令上の根拠はどこにあると言えますか。


田村政府参考人

本法案におきまして、住宅宿泊事業者に対し、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項を宿泊者に対して説明する義務を課しておりまして、これにより、騒音の発生やごみ出しルールの不遵守等に起因する近隣トラブルの発生を未然に防止することといたしております。
また、住宅宿泊事業者に対しまして、住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問い合わせについて適切かつ迅速に応じる義務を課すことといたしております。これにより、仮に近隣トラブルが発生した場合でも、円滑な解決を促すこととしております。
さらに、これらの説明義務や苦情対応義務が履行されないことにより引き続き近隣トラブルが発生している場合には、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため、業務改善命令や業務停止命令、廃止命令を行うことといたしております。
このような対応によりまして、近隣トラブルを発生させるような不適切な民泊サービスの提供につきましては、本法案に基づき、厳正に対処していくこととしております。


穀田委員

前半はさっきと同じことをしゃべってんのやね。後半は、対処する、厳正に対処する、迅速に。
何が迅速に対処できますかいな。去年の十月から十二月にかけて調査して、無法が四千六百わかった。各県でいえば五件とか七件。それも対処でけへんと、何ができるっちゅうねんな。あほなこと言ったらあきまへんで。そんな、一般論で誰がわかりますねんな。大体、こういうことを言うと、自治体と警察とかなんとか、すぐこう言うんですよ。
私、調べてみたけれども、この間、新宿で民泊のルールづくりの検討会議が開催されていますよ。そうしたら、警察はどう言っているか。報道では、警察関係者は、一斉に取り締まるべき問題だが、できないままに増殖してしまい、警察力で規制は困難というふうに率直に述べているんですよ。警察がお手上げだと言っているんですよ。
厚労省は何をやっているかというと、二カ月かかって、いまだ無法なものも手出しができない。何が迅速にできんねんな。あかんて、そんなこと言ったって。
だから、私、何回も言うんだけれども、直接聞いてきましたよ。民泊施設に大人数でだっとやってきて、例えば、こんろを持ち込んで焼き肉をやる、狭い路地でバーベキューをやる、そんなことをやったら、住民、隣の方は、堪忍というようなことは言われへんから、例えば、違法民泊として個人の民家でこうした行為がやられていることに対して、住民からの要望があれば消防は立ち入る権限があるのかどうか、どう対応するのか、消防庁にお聞きしたいと思うんですね。
それで、もう一つ。
実際は、何かというと連携と言うんだけれども、苦情を言っても何にもしてくれないというのが住民の思いなんですよ。それで、住民の苦情に現場で直接対応するのは、ある意味で保健所の職員ですよね。だから、増員すると言っているんですよ。だから、厚生労働省もそうなんだけれども、この抜本的増員というのはどの程度の規模を考えているのか。
この二つについて、消防と保健所の話、ちょっと答弁をお願いします。


猿渡政府参考人

お答え申し上げます。
消防法第四条では、火災予防のために必要があるときは、消防署長は、関係者に対して資料の提出を命じ、もしくは報告を求め、または消防職員を立ち入らせ、検査や質問を行わせることができるというふうにされております。
現在、例えばホテル、旅館等に対しましては、通常、定期的に立入検査を行うほか、住民からの通報などの情報提供があった場合にも、火災予防上の必要があるときは、随時検査を行っております。
いわゆる民泊の場合につきましても、立入検査等につきましては、ホテル、旅館等と同等の取り扱いになると考えてございます。


橋本副大臣

お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げましたように、旅館業を無許可で営業する者に対しては、地方自治体の保健所が指導監督を実施するということでございます。
今後の増員の予定ということでお尋ねをいただきましたけれども、これはまず、来年度予算編成における地財措置の問題ということになります。それぞれの保健所の定数等は自治体がやることでございますので、国としてそれに対してどう手当てをするかということになろうと思いますが、住宅宿泊事業法案、今御審議をいただいているこの法案成立後の違法民泊の実態等を踏まえ、地方自治体や関係省庁と連携しながら、保健所の体制整備についてしっかり対応できるように検討してまいりたい、今、このように考えているところでございます。


穀田委員

決意は、橋本副大臣は、対応してまいりたいと思いますと。だって、これだけ時間がかかるのが、それで今度は、財政だ、自治体だ、こう言って、ほんまにこういう超スピードで起こっている事態に対して保健所が対処できるのか。今でも保健所は人を減らしていますやんか。保健所の人は減らすわ、先ほど小宮山さんが言ってはったけれども、保健所がなくなったところもあるわけでっしゃろ。だから、減らしておいて、それで、わっとふやすなんて、誰が信用しますねんな。そういう問題がある。
消防庁は、火災予防でできると。違うねんて。実際に火はないわけですよね。そういうのにはすぐは出ていけないんですよ。そんな一般論をしゃべって、人をごまかそうとして言っているわけじゃないんだけれども、違う話をしても……。私が言っているのは、こういう場合はどうやと限定して言っているわけやから。
一般論の火災予防についてはそのとおりなんですよ。だけれども、こういう事態のときについて、文句を言ったら苦情で出るかといったら、本当に出るというんだったらそう言ってくれたらいいけれども、出やしませんよ、絶対にその程度では。消防署や何かは動かないですよ。それは、火災の危険がある、しかも、相手の方の了解がある、この二つの条件がなければ出ません。そうでしょう。うんと言ってくれたらいいです。そうなんです。
それで、次に、関連して聞くけれども、老朽化した木造建築物が密集する地域や、狭隘道路に面する住宅地への民泊の進出についてであります。
先ほど写真を見せましたやろ。京都市の場合、こうした地域への民泊の進出が著しいんですね。
そこで、国土交通省は、狭小な敷地に高密度に建築物が建て並ぶ地域や、老朽木造建築物が多く存在する地域等では、延焼危険性や避難困難性が高いとして、二〇二〇年を目途に、これをおおむね解消することを方針としてきました。今、新法ができれば、こうした地域での民泊も届け出だけで認めるのか。
先ほど、木造住宅のすき間にたばこが突っ込んであるという事例を紹介しましたけれども、こうした地域に民泊を新たに誘導することが、国土交通省のこの間の、そういう意味でいうと、いわゆる木密を何とかしようといった方針と逆行するんじゃないんですか。大臣にお答えいただきたい。


石井国務大臣

木造密集市街地においては、民泊を実施するかどうかにかかわらず、居住または滞在する方々の安全の確保を図ることが重要と考えております。
このため、国土交通省では、地方公共団体と協力いたしまして、延焼危険性の低減や避難安全性の確保、道路を拡幅するというところも東京都等では実施をしてございます、密集市街地の整備、改善に係る取り組みを推進しているところでございます。
さらに、本法案におきましては、部屋の構造を熟知していない宿泊者が滞在することを想定し、民泊が行われる住宅に対して、宿泊者の安全確保のための措置を求めることとしてございます。
こういった取り組みを通じまして、密集市街地における民泊の宿泊者等の安全確保を図っていく考えでございます。


穀田委員

それは、机上で考えたらそういうことになりますよ。そんな生易しいものと違います。人を助けるとか人が危ないというときに、そんな話で通用するのやったら、消防は要らへんわ。消防団も要らぬ、そんなんやったら。そういう問題なんですよ。
皆さんに資料を配付していますけれども、三と四、これは、京都市の東山区、六原学区というところなんですけれども、六原まちづくり委員会が作成したものです。これが本体なんですね。こういうものをつくっているわけですよ。それは、ほんまにようやってまっせ、どこにどういうものがあるかということだとか。
それから、安心・安全マップといって、こういうものもつくりまして、どこで、自転車注意、歩行者注意、車上狙い注意、痴漢注意、危険箇所、ひったくり注意と、こういうものを全部つくって、どの町内がどうなっているかということまでやっているんですよね。
そして、そういう中であって、今皆さんにお配りしているように、路地があります。京都の場合は、そういう袋小路になっている路地がたくさんあります。まあ、京都ではロージと言うんですけれども、戦火を逃れ、狭い道を挟んだ袋小路に木造住宅が連担している京都市。ところが、京都市のこういう実態のもとなんですけれども、各都市に比べて火災が少ないんです。これはなぜか。
皆さんも、例えば今、大臣もおっしゃったように、どうするのであれ、安全を確保する、避難が大事だ、こう言っていましたわな。ところが、こういう問題が、なぜこれが避難できたり、そういうのができるかというものの中心ポイントは何か。それは、路地、小路、ここに書いていますので解説は省きますけれども、それらが、住民のコミュニティーがしっかりしているからなんですね。火事は絶対出さない、そして、みんなで助け合おうねというコミュニティーがあるからなんですね。
今、この住民のコミュニティーが、違法民泊の虫食い的な進出でばらばらにされている。地域コミュニティーとの関係で、今大臣がおっしゃったように、どうあれこうあれと言っていました、守るべきだ、避難と安全を確保すると。そういうものの一番大事なコミュニティーが、虫食い状態によって壊される。とりわけ、家主不在型民泊を路地に認めたらどないなるか。
そういう危険性についてどう考えるか、所見をお伺いしたいと思います。


石井国務大臣

地域コミュニティーが維持され、地域住民が安心して生活できる環境が守られることは重要であります。
このため、民泊につきましては、地域住民の生活と調和をとりながら行われるよう、安全、衛生面の確保や近隣トラブルの防止などの措置を求めるとともに、家主不在型の民泊に管理業者への委託義務を課すなど、本法案において一定のルールを定めたところであります。
また、空き家が単に放置されており、それがふえていけば、むしろ地域のコミュニティーの崩壊につながると考えております。民泊として活用されることにより、適切に維持管理が行われるという面もあるのではないかと思っております。
さらに、民泊を利用する観光客は、飲食など地域の消費への貢献や、お祭りなどの行事への積極的な参加を通じ、地域コミュニティーの活性化に寄与することも期待されます。
このように、地域コミュニティーに人が集まり、地域の安全性やコミュニティーの活性化に寄与する形で民泊を通じた空き家の有効活用が図られるよう、本法案の適正な運用を図っていきたいと考えております。


穀田委員

空き家を活用するとか、それから、人が来たら地域コミュニティーへ参加するとか、そんなことが現場で起こっていると思いますか。京都の町というのは、当然、町をやって、お祭りもやりますよ、町内会にも入ってくれと言いますよ。
今、民泊をやっているここのところでいうと、多くのところを調べましたよ。その四十五、この間、東山で調べました。大臣がおっしゃるように地域コミュニティーの活性化に寄与しているというのやったら、町内会に全部入っていると思いますか。入っていないですよ。四十五軒のうち、入っているのはたった十四軒なんですよ。そんなもの、どないして地域コミュニティーを守れますねんな。祇園祭りがもうすぐ来ますよ。みんな、そういう問題で、マンションだって、どういうふうにしてそれをやるかということをやっていますよ。
それから、そういう意味でいいますと、今、何で私はこの地図を出したか。皆さん、実は、この地域は、大臣の名前で、平成二十九年度まちづくり月間まちづくり功労者国土交通大臣表彰を受賞した町なんです。あなたが表彰した町なんですよ。ここのところで、事態が大変だということが起こっているんですよ。
ここでは、路地丸ごと民泊になる勢いと。この路地は七軒中五軒が民泊。これでどないしてコミュニティーが保てますねんな。マンション売買の相場はバブル絶頂期よりも高値、売れたらすぐ民泊に変わる、賃貸料が上がり、住民が追い出される、レンタル着物やアイスクリーム屋などが通りに並び、住民が住みにくい町になっている。こういう告発をしているのはこの町なんです。
先ほど述べた六原自治連合会、これを立ち上げて、住んでよかった町、住み続けられる町、これで先ほど言っているわけです。そういう方々が、まちづくりの観点から見ると民泊は飽和状態だ、このまま質の悪い観光地になったら京都が京都でなくなる、こういうふうに、あなたが表彰したこのまちづくりの方々が述べておられるんです。それを真摯に聞くぐらいの度量は必要ですよ。もう住むことができないと。
昨日の参考人質疑で、永山さんは、パリなどの先行事例では、民泊ビジネスの解禁によって、都心部において企業や投資家が投資物件として民泊向きの物件を買いあさることによって、周辺の家賃相場が高騰し、結果、もともとの住民が減少し、地域のコミュニティーが崩壊していると陳述されているじゃありませんか。事態はそういうところまで来ているというんです。
大臣は、新法ができれば、住民が町に住めなくなる事態、町が町でなくなるということにはならないと本当に言い切れるんですか。ああいうことで、えらい調子のいい話をしていましたけれども、本当ですか。


石井国務大臣

私、今お示しいただいた京都のこの地区の現状を正確に承知しているわけではありませんけれども、これを今の状況で放置していけば、ますます事態はひどくなるのではないかと思っております。むしろ、適切に民泊を管理することによって健全な民泊を育成していく、このことによって地域のコミュニティーの維持にも貢献できるのではないか、このように考えてございます。


穀田委員

さっき言った話、よく聞いておりなさい。活性化する、地域がうまくいくと。今、実際にいっていないと言っているんですよ。そういう実態、健全でないと言っているんですよ。あなたは知らないと言うが、あなたが表彰した地域なんですよ。
では、聞きますよ、もう少し。民泊新法で何が変わるか。旅館業法と民泊新法の違いを資料五に出しました。
なぜ民泊では届け出なのか。最低限、許可にすべきじゃないのかと私は思うんですね。
きょう、チラシを持ってきました。日本中小ホテル旅館協同組合、この方々が言っているのは、裏の方に、「この民泊新法は管理者が国土交通省に届け出し、施設の持ち主が地元自治体に届けるだけで、施設に管理者不在のまま、全国どこでも民泊の営業ができるという、国民の安心、安全な生活を根底から覆すとんでもない法律です。」と批判していますよ。
大臣がおっしゃる健全ななどということに対して、これはおかしいんじゃないかという根底からの批判を与えているわけですけれども、大臣はこれにどう答えられますか。


石井国務大臣

私は、現状を放置していたままでは、むしろ、不健全な民泊がどんどんはびこることになりかねない、そのことをしっかりと規制するために今回の法律案を出させていただいているところでございます。


穀田委員

現状を放置したらこうなる。現状を放置しているのはあなた方じゃないですか。大体、先ほど述べた四千何ぼについても何の手も打てない人たちが、どうして無登録のものを全部捉まえることができるんですか。そういう絵そらごとを言ったらあきませんよ。(発言する者あり)
だから、では本当に届け出するのかということなんですよね。例えば、では皆さん、そういうやじを飛ばしてはるけれども、届け出制は、例えば施設について、台所、浴室、便所、洗面設備など、要件がそろっているかどうか、手描きの図面を添付すればよいということになっているんですよね。ところが、この登録は、インターネット登録でできるだけ簡略にと言っているわけですよ。
だから、何か調子のいい話をして、健全なとか、よくなるとか言うけれども、現地の確認さえもしないで、どないしてこんなことができるんですか。一遍やってみたらどうだと。それやったら、やってみろ、そんなことがやれるのやったら。できないんですよ、そんなこと。
次に、防火対策の問題について聞きますよ。では、防火の問題についてやりましょう。
ホテルや旅館業の皆さんは、本当に努力されて、大変ですよ。私、先日、京都の知恩院の関係のホテル、和順会館で防火対策をお伺いしました。お客様の安心、安全を維持するために、毎月の防災訓練や衛生管理のリスクマネジメント、講習、防火基準適合表示、マル適ですね、これを得るために、消防による立入検査、指示に基づく改善を行っているということですね。
こうした規制を民泊に求めずに、住民とお客さんの安全が守られると断言できますか、大臣。


由木政府参考人

お答えいたします。
民泊に対する防火、避難対策について御説明申し上げます。
届け出住宅におきましては、部屋の構造を熟知しない宿泊者が滞在することが想定されることから、火災が発生した場合の円滑な避難を確保するために、住宅宿泊事業者に対する義務といたしまして、本法案におきまして、火災時に停電が起きた際にも宿泊者が円滑に避難経路を認識するための非常用照明設備の設置、さらに、異なる宿泊室で生じた火災を宿泊者がいち早く覚知するための連動型の警報器の設置を求めることとしておりまして、これによって、旅館と同様の安全性を求めることといたしております。


穀田委員

皆さん、そう聞いたら、そうかなと思うでしょう。では、実際に一緒に行きましょう。
これは違うんですよ。火災が起きたときなんですよ。今、旅館業が努力しているのは、起きないようにやっているんですよ。そこに違いがあるということをわからなあかんねんて。そういうことに努力されていることを見ないから、平気でそういうことで、よっしゃと言うわけですよ。
問題をはぐらかしちゃあきませんよ。先ほど述べた日本中小ホテル旅館協同組合は、「旅館業法での営業許可申請では絶対必要となる建築確認検査済み証、消防法令適合通知書、三百六十五日二十四時間常駐の管理者、この人の命にかかわる最重要な営業許可条件が全て削除されています。」ということで、その危険性を訴えているわけですよ。
昨日、永山参考人も、ホテルの一経営者とおっしゃっていました。我々は、過去にわたって安心、安全を何とかしてお客さんに提供したい、地域とその治安を守っていきたい、その一点で、これまでたくさんの規制を受け入れてまいりました、それを守ることで地域に貢献してきたつもりでございますと。ただ、あの民泊法案を読むにつけ、どうしてもそのあたりがないがしろにされている、我々が今まで行ってきた努力というものが認められていないんだなということを感じているのは事実でございますと言っているんですね。そのことを本当に真摯に受けとめなければならないと思います。
ですから、民泊新法というのは、旅館業法上の安全基準を満たさない住宅での宿泊事業を届け出だけで認めるという、余りにもイコールフッティングに欠けることは明白だと思います。
これは家主不在型で特に重要な問題となるが、フロント設置と二十四時間常駐、対面によるチェックイン、チェックアウトの管理について聞きます。
きのうも永山参考人は、民泊の解禁によって我々のこれまでの努力が無になることを恐れている、犯罪を計画する者はホテルでなく民泊を利用しようとすることは明らか、これは永山さんの発言ですよ。昨年のパリ、先日のロンドンでのテロも、犯人グループが他人名義で民泊を予約し、潜伏していたという報道もある、対面しなければ実際に本人が宿泊するかどうかを確かめることはできない、しかも、利用する人が利用人数を偽って大勢で宿泊することがあったり、そういったものまでチェックすることは不可能と指摘された。
大臣は、この指摘にいかがお答えになりますか。


田村政府参考人

本法案におきましては、住宅宿泊事業者または住宅宿泊管理業者に宿泊者名簿の備えつけの義務を課すことといたしております。
宿泊者名簿の記載に当たりましては、宿泊者の氏名、住所、職業等が実際に宿泊する者の情報と同一かつ虚偽ではないことを担保するため、旅券の提示を求める等によりまして本人確認を行うとともに、それが対面またはそれと同等の手段で行われる必要があるというふうに考えております。
本人確認が適正に行われていない場合につきましては、業務改善命令の対象となるとともに、業務改善命令にも従わない場合には、業務停止命令または業務廃止命令の対象となる場合があるというふうに考えております。
こうした措置を講ずることによりまして、住宅宿泊事業の適正な実施を確保してまいりたいと考えております。


穀田委員

まあ、担保にならぬね。だって、それをやる人がいないんだから。いつもそう言うわけだけれども、さっきとも同じじゃないですか。業務を誠実に執行し、それから指導しなんて、指導できてへんやんか。あんな無法があるのに、四千六百何ぼもでけへんのに、何万とある、ごまんとあるものをどないしてしますねんな。誰が見たかて、そういうことはでけへんということがあるから、みんな不安なんですやんか。それで、各政党だって、自分のところの中でいろいろな議論があるわけじゃないですか。
しかも、昨日の質疑で、鍵の受け渡しについてまで言っていますやんか。別の事業者等への再委託も可能といったことを言っているわけですよ。そういう実態をどないして調べますねん。
ですから、こんなことで防げないことは明らかであります。
住居専用地域で、従前は、これらの地域では旅館、ホテル業は営業できなかった。ところが、新法では、住居専用地域にまで、届け出だけで民泊営業を認めることになる。この点も、永山参考人が端的に、家主居住型の民泊はごく一部にすぎない、大多数は国内外の企業や投資家が民泊用に空きマンションを購入し、それを運用する家主不在型、いわゆる投資型の民泊、大手建設会社などが民泊利用を前提とした共同所有の低コストホテルの建設をもくろんでいると指摘しているんですね。これはパリの例から出ているわけですよね。バルセロナでも起きているわけですよね。そうして懸念を表明されている。
だから、住専地域において、このような民泊マンションや共同所有の低コストホテルのようなものの進出をこの法律で食いとめられると、田村さん、自信を持って言えますか。


田村政府参考人

本法案は、住宅を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる民泊について、一定のルールを定めて、各地域においてその健全な普及を図るものでございます。
周辺の生活環境への悪影響の防止の観点については、標識掲示に加えまして、住宅宿泊事業者または住宅宿泊管理業者に対する宿泊者への説明義務や苦情処理義務などの措置により、周辺地域との調和を図ることといたしております。
また、住宅宿泊事業者に非常用照明器具の設置、避難経路の表示等の措置を義務づけ、安全確保のための措置もあわせて講ずることとしております。
なお、本法案における住宅というのは、人の居住の用に供されていると認められるものとして国土交通省令、厚生労働省令で定めるものをいうことにしておりますけれども、専ら民泊に用いるために新築されるマンションについては、入居者の募集が行われているものではなく、人の居住の用に供されていると認められるものではないことから、本法案における住宅の要件に該当しないため、対象にならないものと考えております。


穀田委員

さっきから、説明義務とか、そういうことをやらせますと言うけれども、そんなことができるんだったら苦労せえへんのですよ。そんなもの、現場に行ってごらんなさいよ。
例えば京都なんか、フロント、つまり帳場、私も旅館のせがれなもので、帳場なんですよね。受け付けのとき、許可をとるときは帳場をつくるんですよ。次に行くでしょう。そうしたら、もうあれへんねんね。何になっているかというと、げた箱になっているんですよ。ひどいのになると、段ボールをやってやっている。こんなことが次から次へと起こっている。そうしたら、地元からそういう告発があった、どうすると思いますか。そんなもの、行かれしませんと言うわけですやんか、人がいませんと。
だから、管理者の説明だとか、それからちゃんと厳しく点検しますなんて、誰ができますねんな。今でも、無法、そんなことをやっているのに、蚊帳の外に置くものだ。だから、いろいろ条件をつけるけれども、もはや、今の段階でいえば、これは規制緩和どころの話じゃない。違法民泊を新法で適法にして、全く規制の外に置くものであって、絶対認められぬということを言っておきたい。
最後に、では、仲介業者のことを少し聞きますね。
海外の事業者の問題ですよ。これまで、エアビー、もう本当にいいかげんなところやけどね、ここ。いろいろな理屈をつけて旅行業法上の登録を逃れ続けてきたわけです。
新法ができれば、日本に事業所がない仲介業者の全てを登録させることができるのか、また、納税の義務を果たさせることができるのか、さらに、違法行為をしたときの罰金を支払わせることができるのか、この三つの点について簡潔にお答えください。


田村政府参考人

住宅宿泊事業法案におきましては、日本に事務所のない海外の仲介業者につきましても登録の対象といたしているところでございます。
海外の無登録仲介業者に対しましては、当該事業者のウエブサイト等から連絡先を確認し、書面を送付すること等により、本法案についての周知を行い、住宅宿泊仲介業の登録を促すことといたしております。
さらに、本法案におきましては、住宅宿泊事業者に対し、登録を受けた住宅宿泊仲介業者への委託義務を課すことといたしております。これによりまして、登録を有さない海外の仲介事業者は、我が国において物件の提供を受けられないこととなるため、日本に事務所のない仲介業者に対しましても、十分に登録の取得を促すことができるものと考えております。


穀田委員

それは、TPPの議論のときに、そういうことはできやしないということについて相手は言ってんのやね。そういうのを含めて、今後、ほんまにそのとおりなのかということについては、一つ一つ事実で検証していきたいと思いますし、そうじゃないということを私は言っておきたいと思うんです。一定の時期が来れば、どっちが正しかったか、わかると思います。
エアビーなんて、そう簡単に捉まえられるのやったら苦労せえへんですよ。今まで一つもこのエアビーなんか規制もでけへん人たちが、たかがこんな法をつくって、できると思ったら大間違いでっせ。
最後に一つだけ言っておきたいと思うんですね。
先ほど、健全なものをするから必要だなんて話をしていますけれども、皆さん住民は、違法民泊に対して必死になって対峙しているんですよ。それは、先ほど紹介した六原まちづくり委員会、いわば国土交通大臣推賞の町ですよ。
そのまちづくり、町をやっている方々は、手をこまねいたわけじゃないんですよ。毎月、三十ある町内会長が集まり、対策を協議し、情報を交換し、違法民泊のオーナーと徹底して話し合ってこられた。そこの中で、まず最低限、旅館業法の簡易宿所の許可をとることを求め、次に、地域行事に参加すること、さっきおっしゃっていましたわな。地域行事に参加すること、町内会費を払うこと、これらを求めているんですよ。
どれだけ従ったと思いますか。そんな、みんなやってはんねんて、大臣が言うてるようなことは。しかし、オーナーの半数は、大体、簡易宿所の登録を行うなど、町内会の要望に応じていますよ。いい人もおるんですって。我々、民泊を全部否定しているわけじゃないんですよ。
私のところの東山で、月輪学区のある町内会は、民泊オーナー、管理業者と再々交渉し、町内会との間で協定書、物すごい協定書なんですよ、このぐらいあるんですよ。もうありとあらゆることを書いている協定書なんですね。それを結んでいるんですよ。その内容は、管理者の責務、管理者及び連絡先の明示、利用者による迷惑行為の防止、宿泊施設の運営、玄関帳場と管理人、火災保険、町内活動の参加などとなっており、この協定書確認後、これに反することが二度起こったけれども、また確認書をつくって、もう一度それを実行させるということをやっているんです。
本当に苦労しているんですって。そういう苦労が報われなきゃならぬわけですよ。さっき言ったように、もはや限界だ、ここまで頑張ったけれどもこうなっているということを言っているわけですね。だから、住民の労苦を無駄にしちゃならぬ。だから、ここはしっかり、ノーだということで取り締まるべきだ。
もう一つ、やはり大事なことは、簡易宿所をやっている人たちも努力しているんですね。私も聞きましたよ。京都ホームシェアリングクラブの皆さんは、許可をとって、法を守って頑張っていらっしゃる。私たちは真面目にやっているのに、潜りの施設は絶対許せない、なぜ違法施設が堂々とインターネットのサイトに載っているのか、取り締まることができないのか、こういうふうに言っておられるわけですね。
問題は、ここに何があるか。結局、一番最初、私、もうけと言いましたやんか。もうけがある。不動産賃貸業、ここが暗躍しているというところが大きな特徴だと思います。私は、それを許してはならないと思います。
京都の不動産業界で、さっき言いましたように、七万円の賃貸マンションを民泊にしたら、エアビーなどの仲介業者に売り上げの三分の一の手数料を払っても、月二十万はかたい、だからやると言っているんですよ。こんなふうになっているということを見て、やらなあかん。
最後に、世界の趨勢は、こういった問題がだめだと、ロンドン、パリ、シンガポール、ニューヨークなど世界の各都市においても、一旦規制緩和してみたものの、事態の悪化を前に、規制を強化する方向にかじを切っています。私は、今、民泊新法で違法民泊を適法として、届け出だけで住宅地にまで認めてしまうということは、明らかに世界の流れに逆行し、日本における真の観光発展に逆行することになる、このことを厳しく指摘し、同僚の皆さんのそういう意味での御理解を深めていただくことを切に希望して、終わります。