都市再生法案に反対。無秩序な再開発招く

2014年04月15日

穀田委員

コンパクトシティーの関係で質問します。

いわゆるコンパクトシティーは、市街地の郊外への拡散に対する抑制したまちづくりという意味で使われていたと思います。

つまり、大型店の立地を商店街への影響などを勘案して規制していた大店法を廃止するなど、規制緩和によって、大型店や公共施設など大規模集客施設が郊外立地を加速して、市街地が拡散されていきました。片や、中心市街地の商店街がシャッター通りになり、町中に住む人も出ていったりして、中心部が空洞化していった。

こうしたことがあったために、〇六年のまちづくり三法の一つ、都市計画法の改正で、店舗面積一万平米以上の郊外立地の規制など、ゾーニング規制が行われました。その後、大型店の郊外立地がどこまで抑えられているかという問題があります。

四月二日の衆議院経済産業委員会で、我が党の塩川議員の質問に答えて、国交省は、効果はあったとしています。一万平米以上は少なくなりましたが、一万平米未満五千平米以上の大型店の郊外出店は相変わらず減っていません。大型店の郊外進出は変わらずふえていることを塩川議員は指摘しています。

改めて聞きますけれども、コンパクトなまちづくりを進めるためには、やはりゾーニング規制を強化する、例えば規制対象を三千平米以上にするとか、準工業地域も規制対象に加えるとかすべきじゃないかと思うんですが、いかがでありましょうか。


野上副大臣

平成十八年の都計法改正によりまして、今お話がございましたとおり、法令上の制限対象となる大規模集客施設の建築が制限された用途地域における立地件数は、平成十八年は年間十三件であったものが、改正法施行後の五年間の平均で約一件弱に減少をいたしております。

また、商業地域及び近商以外の地域、いわゆる郊外で立地する割合というものは、平成十八年は五一%であったものが、法施行後の五年間の平均で三四%に減少しておりまして、一定の効果があったものと考えております。

また、まちづくりの主体である市町村に対してアンケートを行いましたが、これは全国の約八割の市町村から、十八年改正の内容は現行制度の維持でよい旨の回答をいただいております。

したがいまして、今お話のありましたとおり、全国一律で土地利用規制を強化することが必要という状況ではなくて、地域の課題については地域の実情に応じて、地方自治体が特別用途地域を指定すること等を通じて、きめ細かく対応することが重要であると考えております。


穀田委員

アンケートを行ったことについては、この間も経済産業委員会でお答えになっていました。そのときにも、各地方自治体において制限を課せる、そういう法律もいろいろあるということもおっしゃっていたことだと思います。

そこで、私どもは、本改正案と並んで、先ほど言いましたけれども、改正都市計画法によるゾーニング規制というのが強化が必要じゃないか、これは言ったところです。つまり、そういうゾーニング規制をしなければ、結局のところ、郊外立地など規制してやらないと、コンパクトなまちづくりというのは進まないんじゃないかということを私どもとしては考えています。

郊外立地だけでなく、中心市街地や町中に大型店を仮に誘導するとしても、企業の身勝手を規制するものがなければなりません。中心市街地にいた大型店が、郊外立地するため、周辺への影響も考えず一方的に撤退していった身勝手なやり方も各地で起きたことは事実であります。大型店や商業施設、あるいは不動産ディベロッパーによる開発ビルなど、町中に仮に誘導するとしても、近隣周辺の住民や商店など地域に対する社会的責任を果たさせるルールが、そのための規制が私は必要だと。

例えば日影障害や風害を引き起こす超高層ビルやマンションなど、周辺住民の生活環境を脅かすような建築物を野方図に認めるようなことをすれば町壊しにもなる。これはこの間、当委員会で参考人質疑があった際に、土居参考人も陳述で懸念を表明されたところであります。つまり、誘導だけではだめで、一定の規制がないとあかんのじゃないかというのが全体の土居参考人の意見でもありました。

今回は規制法である都市計画法ではなくて都市再生法の改正になっているという点はなぜなのかということについて、お答えいただきたいと思います。


石井政府参考人

今先生の方から、中心部に大規模なものを持ってくると、日影あるいは高さ等、誘導はした結果、周辺住民に影響があるのではないかというお尋ねがございました。

この点につきましては、都市の中心部におきまして、商業地域その他都市計画の規制が現在決まっております。これをこの誘導でもって、今回のは財政上、金融上の誘導あるいは税制上の誘導でございまして、この都市計画を変えるものではございません。

この都市計画を変える際には、当該都市計画の変更を、公聴会あるいは都市計画審議会等の手続をきちっと踏んでやっていただく必要がございます。

その意味では、先般の土居先生の御指摘は、少し、私どもも説明を十分に先生に申し上げていなかったのかなというふうに、ちょっと懸念をしているところでございます。


太田国務大臣

都市計画法は規制の手法によってまちづくりを実現するものです。一方、今回の制度改正は、計画制度と税財政上の措置を組み合わせた誘導という緩やかな手法によって、特に、大店という以上に、生活に必要な施設の、医療とか介護施設等々の立地の適正化を図り、コンパクトシティーを進めるというものです。このため、都市計画法の改正ではなくて、新たに都市再生特別措置法において位置づけることとしたものでございます。

なお、都市再生特別措置法におきましては、これまで、いわゆるまちづくり交付金制度など、地方都市等の活性化のための支援措置が位置づけられているところでありますが、このため、主に地方都市を念頭に置いてコンパクトシティー化を進める内容を盛り込むことになじむと考えております。


穀田委員

後で規制の問題や生活に必要なという問題についても少し、現実問題を指摘しながら触れたいと思います。

そこで、この間、私も参考人質疑で触れたんですが、大都市の国際競争力とは一体何なのかということについて少し議論をしたいと思うんですね。

法案のもとになった考え方は、都市再構築戦略検討委員会で議論されて昨年七月に中間取りまとめが出されています。その委員会では、このように述べています。「都市整備に関しては、従来から地方都市の中心市街地の整備、大都市の都心部における民間都市開発の促進などの施策が講じられてきたが、今後は、個別の政策課題への対応と併せて、中長期的観点に立って、経済・社会の変化に対応して、都市構造そのものの再構築が必要となっている。」として、さらに、「地方都市・大都市のそれぞれの再構築に向けた取組みを促すこととし、その指針となる総合的な都市再構築戦略」、リノベーションプランと言っているものですよね、を策定したと認識しているわけですね。

中間取りまとめでは、今言ったように、地方都市と大都市と分けて、大都市をさらに、郊外部等における高齢者の増加への対応と国際競争力の向上ということに分けて提案しています。

そこで、今言ったように、国際競争力の向上の部分について聞きます。

まず、大都市部の都市政策、都市のあり方に関して、国際競争力の向上、国際競争力を備えた町とあるわけですけれども、そもそも国際競争力を備えた町というのはどういうものとして考えておられますか。


太田国務大臣

国際競争力というのは、いろいろな言い方があるんでしょうが、国際的な都市の競争が激しくなる中で、海外の企業やそこで働く人材をその都市に呼び込んでくる力であると言うことができるかと思います。

世界から見て魅力のある都市である、世界の激しい都市間競争の中で、日本の誇れる人材と資産を生かして世界から人、物、金を呼び込む、そうした力。

したがって、例えば国際空港へのアクセスがすぐれているなど都市の基盤が整備されている。港湾もそうです。円滑なビジネス活動を支える質の高いオフィス環境が整っている。さらに、国際的な企業に勤務する外国人が快適に暮らせる居住環境や良質な医療、教育などを安心して受けられる生活環境ということが整っている。このような都市であろうと思います。

東京という例をとりますと、港湾あるいは空港、そこの規制、さまざまなもの、また、外国の方々が住み続ける、あるいは住んで企業活動をするということで、家族も抱えているわけでありますが、そこの対応が十分ではないというのが今の現状ではないかというふうに思っているところです。


穀田委員

聞きますと、企業活動が十分にできる環境整備ということですな。国際的な方々が住んで、日本人がどこかに追い出されてしまうというようなことがあってはならぬと私は思っています。

今回の法案では、この国際競争力を備えた町をつくるという視点がどこに入っているのか、お答えください。


坂井大臣政務官

本法案の第二十九条におきまして、民間都市開発推進機構による金融支援の限度額として、その他公益的施設で政令で定めるものの整備費を追加する措置を講ずることとしておりまして、本政令において外国語対応医療施設、外国語対応教育施設等を定めることを想定いたしております。

金融支援の拡充につきましては、平成二十三年に創設されました、都市の国際競争力を図る上で特に有効な地域であります特定都市再生緊急整備地域において措置することを考えているところでございます。


穀田委員

二〇一二年の都市再生特別措置法に書かれてある決定にあるということで、今回は政令で書いている、こういうことですな。だから、今回の中身では、文脈にはもう一つないと。

それから、では、大都市部の国際競争力の強化については、今言いましたように、この法案に関係なく、既に都市再生緊急整備地域などで支援できるということになっているんじゃないか、それはどうですか。


坂井大臣政務官

平成二十三年の法改正でこの制度が創設されておりまして、成長の著しいシンガポールや香港等と比べて国際競争力が相対的に低下をしている日本において、我が都市のこれからの強化につきまして、これまでの施策に加えて、日本再興戦略等においては、先ほど申し上げたような外国語対応医療施設等々の提言がなされております。これらも踏まえて、国土交通省におきましては、この特定都市再生緊急整備地域を利用して、先ほど申し上げたような施設の金融支援、またシティーセールスなどの支援などを行うこととしたところでございます。


穀田委員

簡単に言うと、従来からある都市再生緊急整備地域、六十三地域ですね。それから、そのうち特定都市再生緊急整備地域、十一地域、こういうことで支援できるようになっている。だから、今回の法案というのは都市再生基本方針を前提としておって、どういったまちづくりを目指すのかということについて言うならば、その一部として想定されている国際競争力の強化について言うならば、他の都市再生政策で推進することを想定したものだということがはっきりしたと。

そこで次に、大都市部においても都市機能誘導区域は設定できるのかということについてお聞きします。

今でも各地で大規模再開発事業が行われています。コンパクトなまちづくりを目指すという事業も多いんです。例えば、川崎市中原区の武蔵小杉周辺の再開発事業についてもそれです。

そこで、皆さんに小杉駅周辺地区の開発動向という資料を、A4なので少し見にくいかもしれませんが、配付しています。

武蔵小杉周辺は、資料の図でもわかるように、超高層ビルが乱立しているということになっています。二〇〇六年から二〇一二年の間に、小杉駅南側に、最高百九十八メートルの超高層マンションなど十二棟が建設され、たった六年間で四千二百七十六戸、約一万三千人の町が出現しています。さらに、今後も建設される超高層マンションは八棟、四千四百十二戸、計画人口は一万三千二百人に及ぶとされ、全て完成すれば、超高層マンションは二十棟、八千七百世帯、既建設マンションと合わせると、計二万六千人を擁する超過密都市が生まれるということになりますし、巨大な商業施設も建設中であります。

右の上の方に、小さい字で申しわけないんですけれども、「小杉駅周辺地区のまちづくりについて」というのが囲ってありますよね、コメントが書いてあります。最後の方に「商業・業務・文化交流・医療・文教・都市型居住等の機能を集積させた「歩いて暮らせるコンパクトなまちづくり」を推進しています。」と書いてあります。

コンパクトなまちづくりと書いていまして、こういうこと、つまり、今回の法案はこういうまちづくりというのを想定しているんですか。


石井政府参考人

今回の法案でございますが、先ほど二十九条の話はございましたが、主として、地方都市あるいは高齢化が進む大都市郊外部を念頭に置いてコンパクトシティーを進めることを念頭に置いたものでございます。


穀田委員

念頭はいいんやけど、こういうふうなことも想定しているのかと言っているわけですね。

この超高層マンションなどは、本来、ここの近辺というのは低層住宅地域ですね。高さが二十メートル、それから、二〇〇%が限度だった容積率を六〇〇%にまで引き上げる。都市計画法に規定された再開発等促進区としてやっているわけですね。それで建設できるようにした。今でも、こういう大規模再開発事業を再開発等促進区にしてやることで、超高層ビルやマンションが建てられる。都市再生総合整備事業として予算補助も使って進められている。

そこで、法案との関係で確認しておきたいんですが、容積率の緩和ができる特定用途誘導地区は、武蔵小杉駅周辺で設定している再開発等促進区の周辺で設定できるのか、また、都市再生緊急整備地域の都市再生特別地区や、都市再生整備計画事業の地域などの区域にもできるのかということについてお聞きします。


石井政府参考人

お答え申し上げます。

まず、今回の特定用途誘導地区でございますが、例えば地方都市等では、今後、介護、病院あるいは介護つきの住宅等が不足することが見込まれます。特に大都市周辺の郊外でございますが、このような場合に、その地域の容積率を一律緩和するのではなくて、そのような用途に限って容積率を緩和することができるという初めての制度でございます。

これらについては、さまざまな場所で適用が想定されますので、本法案において、今御指摘のあった例えば武蔵小杉駅周辺で使えないのかと問われました件につきましていいますと、本法案で禁じられているものではございません。

しかしながら、先生の方から御指摘がございましたように、大変大規模な再開発等については、再開発を促進するという観点の、まさにそれに合った形の再開発等促進区で容積率の緩和ができる。これによって、るる小杉駅周辺についてはまちづくりが進められてきたところでございます。

また、先ほど来御指摘の都市再生緊急整備地域等は、このような大規模な再開発が念頭に置かれた地域でございます。

したがいまして、このような地域においては、従来と同様、再開発促進区あるいは都市再生特別地区等の手法を用いることが一般的ではないかというふうに考えております。


穀田委員

今、石井都市局長からあったように、一般的にはそういうことでやるんだけれども、最初の方にありましたように、これも排除されない。ですから、これでやってもできるということだと思うんですね。だから、私は、こういう形で巨大開発事業に活用されるおそれがあるということを指摘しておきたいと思うんですね。

そこで、この開発計画を位置づけたのが、川崎市の都市計画の基本であります都市計画マスタープラン、小杉駅周辺まちづくり推進地域構想なんですね。背景には、建設、不動産ディベロッパー、この思惑が色濃く反映されています。

小杉駅周辺は、東急東横線や目黒線、JR南武線、横須賀線が交差するターミナル駅で、東京にも横浜にも近く、これだけアクセスのよい場所は首都圏でもまれだというふうにディベロッパーが言っているぐらいなんですね。地価の高騰も追い風になっていて、まさに彼らにとって最適の開発地域であります。もともと、日本電気、東京機械製作所、不二サッシといった大企業が立地していた場所で、これらの企業が移転したために広大な遊休地が生まれました。そこに目をつけたのがディベロッパーで、日本の建設、不動産業界の主なゼネコン、不動産大企業が開発に乗り出しています。

この再開発事業では、周辺に古くから住み続けている地域住民の生活環境に多大な悪影響が起きています。開発区の一つ、小杉二丁目の開発では、川崎市の都市計画審議会の審議の際に、計画の見直しを訴える、そういう意見書が三万九千二百九十七通、約四万通もの提出があったほどであります。

先ほども、住民の意見を聞くということなども一つの大事なことだとありましたけれども、周辺地域住民の意見や要望、声を事実上無視して、建設、不動産ディベロッパーが身勝手にも都市再開発事業を進めるやり方を放置していいのかということが問われます。

もちろん、地方自治体の開発推進姿勢にも私は問題があると思います。先ほどもありましたけれども、国交省は社会資本整備交付金を交付して支援していますけれども、こういう住民の合意形成が不十分な案件を無条件に支援するのか私は疑問に思うし、やはりこういうものについては調査、検証して、アドバイス、指導すべきじゃないのかと思うんですが、いかがですか。


井上政府参考人

お答え申し上げます。

市街地再開発事業などのまちづくりで地域のあり方が大きく変わるという御指摘なんだと思います。そういう事業においては、とりわけ地域住民の方々、地権者の方々の理解を得るための合意形成をしっかり丁寧に行っていくということは大変重要だというふうに思っております。

一方で、まちづくりでございますので、きちっと手続を踏んで、決めるところは決めて進めていかなければいけないという側面もあることでございまして、例えば、再開発事業につきましては、都市再開発法におきまして手続が定められておりまして、事業に関する都市計画決定を経て、例えば組合施行であれば地権者の方々が三分の二以上の同意で組合を設立する、こんな手続が定められているところでございます。

どういう段階で次の手続に入るのか、それに補助をしていくのか、これにつきましては、地元のことを一番御存じの公共団体、この場合ですと川崎市がまず主体的に判断をされるべきだというふうに思っております。私どもの方は、そういう市の判断を尊重して交付金等については手続を進めてまいりたいと思います。


穀田委員

そこで、手続を踏んでおればということなんですけれども、決めることは決めると。でも、ここの都市計画審議会の採決では、賛成多数で可決されたものの、都計審の会長が、プロセスが一番問題だ、市が市民とともに歩んでいないことが問題を複雑にしている、市が今後考えるべき大事なことだと厳しい意見をつけたほど異例だったんですね。

そして、今、住民の意見という話がありましたけれども、計画地から半径五百メートルの地元の方々は住民アンケートをとっていますが、回答五百五十九のうち、超高層反対というのは九三%なんですね。もともとここは、建てるときは二十メートルの高さ制限があるわけですよね、自分のところでいえば。二十メートルの高さ制限を遵守すべきだというのは六三%にも上っているわけですね。

さらに、小杉三丁目東地区の開発では、先ほど地権者という話がありましたけれども、三名の地権者が、市当局や準備組合から何の相談もなく立ち退き、明け渡しを伴う再開発手続が進められるなど、地上げ的やり方まで行われているんですね。だから、決めるところは決めるなんということで、問題点が多々あることについて見過ごすわけにはいかないということは一つ言っておきたい。

そこで起きている影響は何かということについて少し触れたいと思うんです。

小杉・丸子まちづくりの会など、地域住民が立ち上げた団体のアンケート結果によりますと、小杉駅周辺七棟の複合的な日影被害を二千六百戸、約四千五百人が受けることになることが判明しています。さらに、壁のように建ち並ぶ超高層マンションによって、午前午後、わずかの日照しかない住宅も出ることが予想されています。

地元の意見では、個別規制、一つずつ建てますわね、そういうものの個別規制が守られても、複数の建物の日影が重なることによって深刻な日照被害が起こされる危険がある。日影は、用途地域ごとに規制基準が定められているが、超高層建築物では、その後は、当該用途地域をはるかに超え、一キロメートル前後に達する。影を落とす時間は短いが、複合すれば、複合的日影というんですけれども、多数の住宅が日照を脅かされる。超高層ビル、マンションの時代、日影規制の考え方を根本から改めなければならないんじゃないかという意見が出ています。

また、風の被害もそうなんですね。さっきのアンケートで聞き取った人の約八割が、この風害を受けている。転んで、けがや骨折した人も多数出ている。周辺の商店やコンビニでも、ドアが壊れるだとかガラスが割れるなどの被害が出ている。自転車置き場では自転車が倒れるなどの被害が出るなど、広範囲に及んでいる。

昨年の五月七日には、武蔵小杉駅近くの街路樹が強風で倒れ、住民団体が市長に風害対策を緊急に申し入れるなどの事態が発生しています。市は、街路樹の剪定を行うなど、当面の糊塗策を講じざるを得なかった。

先ほど井上住宅局長が答弁したように、もちろん、川崎市が第一義的に調査、検証し、改善策を講じるべきことは言うまでもありません。しかし、今述べたように、国交省としても、こういう超高層ビル、マンションの環境被害を調査、検証し、市や事業者に対して改善措置をとるように指導すべきじゃないんでしょうかね。答弁願います。


坂井大臣政務官

川崎市におきましては、川崎市環境影響評価に関する条例に基づきまして環境アセスメントが行われておりまして、この中で、御指摘の風や日照への影響についても評価が行われておりまして、そこには、複合的に評価をするという方向で評価をしているということを聞いております。

また、川崎市におきましては、この中で、平成十二年以降に環境アセスメントを行った事業につきましては、建設後の事後的な評価もあわせて義務づけるとともに、必要に応じて勧告を行えるものであると聞いております。

例えば、風の影響が大きいと判断された場合には、植栽を行う等の対策を講じるよう指導しているということでございます。

したがいまして、議員御指摘の調査につきましては、この事後的な評価制度によって把握されるものと考えておりまして、川崎市における取り組みを注視してまいりたい、こう考えております。


穀田委員

行えると書いているので、行ったという話じゃないんですよ。

だから、今、注視していきたいとありましたので、これは、こういう問題が、今後、複合的な超高層ビルがつくられて、一つ一つでいうとそれはアセスをやるんだけれども、複合的なという問題については、新しい問題としてきちんとそれは国交省としても考えなくちゃならぬと思うんですね。

ですから、私、都市再生政策によるコンパクトなまちづくりという名前で行われている市街地の再開発事業はかくのごとしだということで、町壊しを誘発することについて、土居参考人もおっしゃったわけですけれども、懸念されるということを事実として私は言っているわけです。

だから、こういう現実があるもとで、大型店だとか不動産ディベロッパーなどの身勝手なやり方について規制することなしでは、容積率緩和などによる誘導策を進めれば、さらに町壊しを助長することが危惧されるということを指摘しておきたいと思います。

あと、最後に、地域公共交通について一、二質問したいと思います。

地域公共交通を担うバス事業の問題です。

この間、重大な事故が相次いでいます。二〇一二年五月の関越道高速ツアーバス事故を初め、ことしも三月三日に北陸自動車道で高速バス事故がありました。

報道その他によっても、運転手は、十一日連続勤務、二月の休みは三日、昨年十二月からことし一月にかけ、十三日連続勤務を一日の休みを挟んで三回繰り返していたということが言われています。高速バスの運転をする前は定期バスの運転までしていた、背景にはバス運転手の人手不足があったのではないかと言われています。

バス運転手の人手不足の状況はどうなっているのか、お答えをいただきたい。


田端政府参考人

お答えいたします。

御指摘のバス運転者の人手不足につきましては、近年、バス事業において、厳しい経営環境や他業種より長い労働時間、あるいは大型二種免許取得者の高齢化などを背景としまして、乗り合いバス事業者などで運転者の確保が難しくなっている状況があるものと認識をしております。

例えば、日本バス協会加盟のバス事業者を対象としました昨年のアンケート調査によりますと、中規模ないし大規模の事業者のうち約七割が現在不足していると回答しております。また、所在地の都市規模を問わず、半数以上の事業者がやはり不足と回答してございます。また、十八年度以降に採用された運転者のうち、五年以内の離職者が三割を超えたなどの回答も寄せられているところでありまして、このような傾向が継続いたしますと、将来的にバス輸送の安定的な継続にも支障が生ずる事態が懸念されますので、早急な対策が必要不可欠であると認識をしております。

このため、昨年十二月、労使関係者からも御要望がございますし、学識経験者、教育関係者にも参加いただいて、自動車局内にバスの運転者の確保、育成に向けた検討会を設置いたしまして、現在、鋭意検討作業を進めております。

本年六月を目途に検討の成果を取りまとめてまいりたいと考えております。


穀田委員

今あった検討会でも、事故を起こした宮城交通の社長が委員として出席し、資料を提出しています。

見ますと、要員確保が困難だというのは、三大都市圏でも七二%、政令指定都市でも六七%、地方都市でも六一%といって、本当にこれはえらいこっちゃなんですね。

結局、運転手不足によって、高速路線の運行回数の削減をしたり、それから休日出勤率が高どまりするなどについて、こういったことも宮城交通は報告しています。

人手不足の背景として、国交省も、今ありましたけれども、経営状況、それから労働時間の長時間化、それから二種免許取得者の減少、高齢化と挙げているわけですよね。

今、田端自動車局長からお話があった日本バス協会も、運転手の待遇が労働条件に対して魅力的でなくなっていることが運転手の確保を困難にしているということを言っています。

路線バスの運転手の年間の労働時間は二千五百四十四時間、全産業と比べて四百時間も長い。それに対して年収は四百四十六万と、全産業男子の平均五百三十万円を大きく下回っています。

ですから、労働条件の低下が人手不足を生み、人手不足でさらに長時間労働を強いられるという悪循環に陥っているんじゃないかということが一つ。

もう一つは、人手不足は、この業界における、市場競争を優先したコスト削減、リストラ一本やりの経営が大きな要因でもあると私は考えるんですね。

したがって、経営のあり方を含めて指導監督をする段階にあるし、そういう必要があるんじゃないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。


高木副大臣

人手不足あるいはまた労働環境などを含めて、安全運行という質問かというふうに思いますけれども、関越道の事故、先ほど御指摘ございましたけれども、それを踏まえまして、昨年八月に運転者の乗務に関する安全基準を強化いたしました。現在、六千社以上事業者があるわけでございますけれども、新基準の遵守徹底を国交省で図っているところでございます。

また、乗り合いバスの運賃に関しましては、事業者が申請する運賃の上限を国土交通省が審査して認可する制度となっておりますけれども、人件費は適正なのかどうか、あるいはまた人数がしっかりと反映されているのかなどの審査もしっかりと行っているところでございます。

また、委員御案内かと思いますけれども、赤字系統の路線バスにつきまして、この運行費に対しましては、いわゆる地域公共交通確保維持改善事業によって国費補助を行っているところでございまして、これらの政策を今後とも引き続き行っていって、しっかりバックアップしていかなきゃと思っております。

また、先ほど局長がお答えいたしましたけれども、検討会でございます。この検討会において今種々検討しているところでございますけれども、六月に予定する取りまとめに向けまして、経営のあり方という委員の御指摘でございますが、こういった観点も十分に踏まえた形で取りまとめをしていきたいというふうに考えているところでございます。


穀田委員

今、私言いましたけれども、経営のあり方という点ではそういうことを含めてやっていただけるということなんですが、考え方なんですけれども、住民の足である、地域公共交通のバス運行を支える労働者の育成、確保、これは決定的な問題なんですね。

それで、これはこの間この委員会でも議論になりましたけれども、建設業の技術・技能労働者の育成確保対策が議論になりましたよね。それと同様に、適正な賃金、労働時間などを改善する具体的な対策が必要だと思っています。国交省も、文書によりますと、輸送人員の減少による収入減を人件費削減によりカバーしてきた結果だ、こういうふうに指摘しているわけですね。

だから、これを逆転させるという意味では、末端における労働条件、労働時間、適正な賃金、こういった点の改善を図るための手だてをしっかりとる、それをきちんとフォローするということが必要だということを述べて、終わります。


梶山委員長

これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

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梶山委員長

ただいま議題となっております両案中、まず、内閣提出、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。

これより討論に入ります。

討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。


穀田委員

都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

本法案は、住宅や医療や福祉、商業施設などを町の中心に誘導するため、当該施設の容積率や用途制限の緩和などを行うことにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援するというものであります。

いわゆるコンパクトシティーは、大店法廃止など規制緩和によって大型店などの大規模集客施設が郊外への立地を加速して、市街地が拡散し、中心市街地が空洞化していったことから、郊外拡散を抑制した集約型のまちづくりという意味で使われてきました。

市街地の拡散を抑制するため、二〇〇六年に、改正都市計画法により、大型店の郊外立地を抑制するなどのゾーニング規制が強化されてきました。しかし、大型店の郊外立地は依然として続き、大資本の商業、不動産事業者は、利益最優先で、所構わず郊外、市街地に大規模施設の出店、建設を進めています。

本法案は、こうした事業者の身勝手を規制する仕組みが弱く、これまでの規制緩和路線への反省も、住民、商店主らの生活への影響に対する配慮も不十分なままです。これが反対する第一の理由です。

反対の第二の理由は、特定用途誘導地区における容積率緩和による立地誘導策を導入することは、高層ビル等が乱立する大規模再開発事業を促進し、無秩序な都市再開発を招くおそれがあるからです。

これまでも、コンパクトなまちづくりの名で、都市の中心部に超高層マンションや業務ビル、大型店などを誘致した大規模再開発事業が実施されてきました。大都市部では、都市再生の名による大規模再開発事業が住民不在のまま進められており、これと連動、誘発することが懸念されます。

以上で反対討論を終わります。