有村大臣に「閣議で消費税増税の中止意見を述べよ」と要求

2014年10月29日

穀田委員

日本共産党の穀田恵二です。
有村大臣は所信挨拶の中で、「消費者の安全、安心を確保する消費者行政は、消費の拡大、ひいては、経済の好循環を達成するためにも、重要な役割を担っています。」こう述べました。消費拡大、経済の好循環を達成するために頑張るということだと思うんですが、そのためには、今、日本経済、国民の生活はどういう状況なのか、正しい認識が大前提だと思います。その点できょうは議論をし、ただしていきたいと思っています。
消費税の税率が四月に五%から八%に引き上げられて丸六カ月になります。増税によって消費者物価は大きく上昇しました。八月の全国消費者物価指数は前年同月比三・一%上昇、これは十五カ月間連続の上昇です。一方、八月の勤労者世帯の実収入は実質前年比五・四%減と、十一カ月間連続減少しています。この間、わずかに名目賃金は上昇しましたが、それを上回る物価上昇で、結局、実質賃金は低下している。
しかも、物価上昇の中身を見ると、食料品、電気代、ガソリン代など、生活必需品の物価上昇率が高い。実質賃金の上がらない家庭には大変厳しい負担になっていると言わなければなりません。
今日の物価高に対する大臣の認識をまず伺いたいと思います。


有村国務大臣

お答えいたします。
消費税率の引き上げについては、担当ではないことでありますので、お答えする立場にはないですが、総理がそう遠くない将来にお決めになられることだと認識をしております。
委員の御指摘の消費者物価については、この十月の消費者物価の報告のとおり、月例経済報告のとおり、四月以降緩やかに上昇していたが、足元は上昇テンポが鈍化しているという認識を私も共有しております。
特に、生活関連物資については物価の上昇が見られますし、このことについては動向として引き続き注視しなければならない状況にあるというふうに認識をしております。


穀田委員

担当ではないというような話でされると、閣僚と違ったのかと思いますよね。消費者担当として、消費者全体が、動向や価格や、それが消費税増税によってどういう影響があるのかということを見るのは、それは最低限の仕事だと思いますよ。
大臣がおっしゃったように、鈍化しているという認識は共通しているとかなんとか言っていましたけれども、私は、消費者物価上昇率が名目賃金上昇率より高い、この事実を指摘しているわけですね。だから、これは、消費税増税による影響であって、暮らしが大変だという実態なんですよ。
博報堂のネット調査によりますと、消費税増税後の主婦の約六割が買い控えをしたと答えているんですね。また、増税をきっかけにとるようになった消費行動はという問いに対して、チラシをよくチェックする、外食を控える、割引券やクーポンの利用等が上位を占めていると報道されています。
これを裏づけるように、増税後戻らない消費に危機感を示すスーパー、コンビニなど大手小売業のトップの発言が相次いでいますから、こういう認識が必要なんだということを私は言っているわけですね。
そこで、では、増税後も消費はふえているのかという問題について、消費の角度から少し聞いてみたいと思うんですね。
アベノミクス、三本の矢により始まりつつある経済の好循環、これは私が言っているんじゃないですよ、日本再興戦略で言っているんですけれども、ほんまかいなと誰もが思うわけだけれども、一過性のものに終わらせず、持続的な成長軌道につなげるべきということで閣議決定しているんですよね。
その中で、「日本経済は、この一年間で、大きく、かつ確実な変化を遂げた。」とし、「「経済の好循環」が動き始めた。このような環境の下で、本年四月には、十七年ぶりに消費税率を引き上げ、経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。人々の将来への「期待」に灯がともり、澱んでいたヒト・モノ・カネが成長に向かって動き始めたのである。」ということを言っているんですね。
これには、私、ここにおられる自民党の方々も地方の出身の方も多いわけだから、こんなのどこの話かいなと思うものばかりですよね。
それで、「消費税率を引き上げ、経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。」とか、「ヒト・モノ・カネが成長に向かって動き始めた」と、大臣もこういう認識のもとにあるのか、そして消費者の消費はふえているのかということについて、認識をお伺いしたいと思います。


有村国務大臣

委員御言及いただきました本年六月の閣議決定、「日本再興戦略」改訂二〇一四、「経済成長と財政再建の両立に向けた第一歩を踏み出すことにも成功した。」とされています。内閣の一員として、同様の認識を持っております。
ただ、御指摘いただきましたように、アベノミクスが全国津々浦々にということは、そのような実感がまだまだないというのも市井の偽らざる声でございまして、それをどのように広げるかということについては、課題が、これからまだまだ伸び代があるというふうに認識をしています。
消費者の安全を確保して、その不安を払拭して、安心して消費できる環境を整えることが、消費の拡大、経済の好循環を達成するために極めて重要だと認識をしております。


穀田委員

そうすると、同様の認識だということだと、私はちょっと納得できないんですよね。
では、聞きますけれども、四―六期のGDP速報値は九月八日に発表されました。そこの中で、特に消費の問題を私は聞いたんだけれども答えがなかったので、個人消費の落ち込みが大きくて、年率換算では一九・〇%の減となっているわけですよね。前回の消費税増税直後、一九九七年の四―六期には一三・二%の減なんですね。これを大きく超えて、過去二十年間で最大の落ち込みとなっている。
そうしますと、この落ち込みは、政府が言うところの増税前の駆け込み需要の反動減であって、大臣はこの状況を想定内だと考えているんですか。大臣の見解をお聞きします。


有村国務大臣

確かに、委員が御指摘のように、GDP成長率、特に個人消費は、駆け込み需要の反動があったというふうに認識をしています。そして、その後、やはりなかなかに消費が落ち込んでいて、天災も多かった、それから土日の雨も多かったということで、決して楽観できる状況ではないというふうに認識をしております。


穀田委員

楽観できないのは、それは確かなんですよ。問題は、この状況というのはある意味で想定内なのだというふうに理解しておられるのかということを聞いているんですよ。


有村国務大臣

私が担当として、想定はこの域だということを発表しているわけではないですけれども、予断を許さない状況であるというふうに存じます。
その上で、総理がこれから景況感ということをしっかり判断される時期でございますので、このことに関しては、私自身、閣僚の一員でございますので、それに影響し得るような発言は控えさせていただきます。


穀田委員

それは違うでしょう。自分の見解を持って堂々と議論して、あかなんだらあかん、いいんだったらいいというふうにやったらいいんじゃないですか。それは、お互いに影響を与えつつやるということが本質的な議論と違いますか。赤澤さんもうなずいておられるから、そうだと思うんだけれども。
それで、私は、そうなってくると話が違うと思うんだよね。公式の見解を今言われたけれども、緩やかな回復基調は続いているという見方は変えていないわけですよね、安倍さんは。
増税を見越して、一月から三月期の個人消費は前期に比べ二・〇%ふえたわけですよね。しかし、増税後の四―六期は一転、五・一%の落ち込みで、国内総生産、GDPは、実質成長率が年率換算は七・一%という大幅な下落なんですね。これは、東日本大震災時の六・九%を超えて、とても経済の好循環が動き始めたとは言えない状況となっている。これは誰でもそう思うんですよ。
しかも、その実態は、増税前の駆け込み需要の反動減という段階にとどまらないという実態が問題なんですね。これは、先ほど私が述べたように、今の物価高が、実質賃金の下がっている家庭に対して、大変厳しい負担になっているという深刻な状態が広がっています。大臣、ちょっと、答弁書を見てんと。
総務省の家計調査の中身をよく見てみると、特に所得の低い階層の実収入、消費が大きく落ち込んでいるというのが特徴なんですね。収入階層別に五段階に分けた中の最も低い第一分位、収入でいうと四百三十三万円以下、平均収入三百三十万円世帯の落ち込みが一番激しくなっているんですね。これは、既に私どもの大門議員が参議院の予算委員会で質問されたし、御存じかと思うんです。
特に重視しなくちゃならぬのは、働く女性の四三%が年収二百万に満たない状況に置かれているという問題なんですよね。
だから、この二つを重ね合わせると、この層がいかに消費税増税の打撃を受けているのか明白だと思うんですね。
したがって、男女の賃金格差をなくすために、非正規雇用から正社員への道を大きくすることなど、男女参画大臣の仕事であるということについては今言っておきたいと思うんですね。それは頑張っていただかなきゃならない。
そこでもう一つ、次に、では、中小業者、中小零細業者に与える影響はどうかという問題です。
森前大臣は、四月一日にスーパーを訪れて、価格に転嫁できているか視察したと報道されました。私は、当委員会でこの点について質問したんですけれども、視察の立場が違うんじゃないかということを言ったわけですね。同時に、実際の中小零細企業が価格に転嫁できない苦労、上げたら客が減る、上げなんだら税金は払えへんという現実を見ることが大事じゃないかと指摘したわけですね。
大臣は、中小零細企業が消費税を価格に転嫁できていると認識していますか。率直な認識をお答えいただきたいと思います。


有村国務大臣

転嫁できるように努めていかなければならないというふうに思っております。


穀田委員

それは、はっきり言って、答弁になっていないんじゃないですか。
要するに、転嫁できていると思うか、現実はどうなっているのやという話を聞いています。(発言する者あり)


有村国務大臣

今お声が飛んでいますけれども、そもそも、中小零細企業の消費税転嫁の状況については経産省ということで、お答えを最短にさせていただきました。
転嫁できているかどうかということですが、経済産業省が実施した消費税の転嫁状況の九月の月次モニタリング調査によったら、全九千七百七十五事業者から、全く転嫁できていないと回答した事業者は、事業者間取引で四・三%、消費者向け取引では五・三%という数値が出ています。全て転嫁できていると回答した事業者は、事業者間取引で八二・七%、消費者向け取引では七三・四%ございます。
そういう意味では、全てできているかといえば、全てできている状況ではないというふうに私自身認識をしております。関係省庁が連携して消費税の転嫁対策に取り組んでいくことが極めて重要だと認識をいたしております。
〔委員長退席、冨岡委員長代理着席〕


穀田委員

経産省のアンケートに基づいてお答えになったわけだけれども、ということは、そういう認識で同様だということですな。
要するに、七三%近くのところは転嫁できている、だから、ほとんど転嫁できていると思っているということですな。


有村国務大臣

そのような意図で申し上げたわけではなかったんですが、全て転嫁できているかといえば、全て転嫁できているという状況ではないというふうに先ほども申し上げました。


穀田委員

全て転嫁できているとは思えないということは、圧倒的なところはできているということですな。


有村国務大臣

データが経産省さんの九月の直近のモニタリング調査でございますので、その数値、全て転嫁できている八二・七、消費者向け七三・四をどのように解釈するかによって受けとめ方は異なってくると思います。
客観的に申し上げて、全てが転嫁できているという状況ではないというふうに私も認識をしております。


穀田委員

消費者にとって極めて大事だから、あなたの、大臣の認識を聞いているので、それは、経産省の資料はそうです。
私、配りましたけれども、全国商工会連合会、実際にやっておられる方々の、ことしの五月から六月、九月の二度、全国中小・小規模事業者に対して、消費税の価格転嫁等の実態把握を目的として調査したものであります。
これによれば、消費税八%の引き上げが行われた四月以降、一回目の調査で、全体の四一・一%の中小・小規模企業が消費税引き上げ分を転嫁できていないと答えています。二回目の調査でも同様に、約四割、四〇・九%が転嫁できていないと回答しています。
見ていただくとわかるわけですが、中身をさらによく見てください。規模の小さな事業者ほど転嫁できていない。これは、一部転嫁できない、全くできていないを含むという数字ですけれども、あります。例えば資料一ですね。個人事業者では四二・七%、資本金五百万円以下の法人では三三・二%が転嫁できていないと答えておる。つまり、グラフを見ますと、資本が大きくなるにつれて転嫁できないという答えは減っています。さらに、課税売上高を見ても、一千万円以下の事業者の実に四八・三%が転嫁できないと答えています。
さらに、先ほど大臣は、今後の話、総理の話として言っていましたけれども、今後の見通しに対して、転嫁できると答えているのは、一回目の調査の三三・三%から若干減って、三二・一%。転嫁できるかわからない、今後も転嫁できないと不安を抱えている事業者が、四二・一%から四二・八%へ逆にふえているわけですね。資料三のところを見ますと、今後の転嫁状況の見込みについても、一千万円以下の規模の場合では四八・七%が難しいと言っているわけですよね。
こういう実態、事業者の声、これが直接、消費者にとって極めて大事な問題としてかかわりがあるのではないのか。だから、全て転嫁できているわけではないとかじゃなくて、およそ半数の方々が困難だと。しかもそのことは、そこにおる、働いている方々が、営業なさっている方々も含めて、極めてつらい選択をしているということの背景を見る必要があるわけですね。だから、経産省の、ええところの話だけちょこっと持ってくるということ自体に、私は、その大臣の考え方の根本にちょっと違うところがあるなということを思うんですが、いかがですか。


有村国務大臣

委員の御指摘で、価格転嫁ができた理由というのには、以前よりも消費税の転嫁への理解が定着しているという回答も多い、また、消費税を分けることにより交渉しやすくなったというのもあるのですが、価格転嫁ができない理由として、取引先との力関係で立場が弱かったためと、まさに問題意識を委員がおっしゃっていただきました。そういうところの声も実際に出ています。買いたたきや減額や本体価格での交渉拒否などの転嫁拒否行為ということも報告をされています。
その上で、各省庁、都道府県、中小企業団体に相談窓口を設置して、転嫁拒否等に対する相談対応を強化します。我が消費者庁としても、便乗値上げに関する情報や、相談窓口を設置いたしております。また、事業者に対しても、約二十万事業者に対して転嫁特別措置法の遵守について要請文書を発出しております。公取と経産省、それから私たち消費者庁が連携をして要請文書を発出しております。
引き続き、この分野に関しては、関係省庁と連携をして、おっしゃるように、中小、小規模という弱い立場に置かれる方が転嫁で泣き寝入りをすることのないように、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。(発言する者あり)


穀田委員

そういう決意は誰でも言うんですよ。よしというあれが飛んでいますけれども、そういう実態でなかったから大変なんですよ。四八%の人たちが転嫁できないという見込みを示していることにどう心を寄せるかという問題なんですよ。
今見てきたように、労働者の賃金が減っている、物価が上がっている、営業をなさっている方々が大変だ、こういう状況を見たときに、今、消費税増税で国民生活はかつてない危機に瀕していると私は思うんですね。だから、国民の間には、今、経済がさらに悪化することへの不安とともに、消費税の再増税はやめるべきだという声が渦巻いています。
首相は、一〇%の消費税増税について総合的に判断すると述べているんですが、総合的にという中には国民の意見も入るのか、判断の材料になるのかということをお聞きしたいんですね。
つい直近の世論調査を見てみたいと思うんです。先ほど、大臣は、地方にはどうのこうのとか言っていましたけれども、そうじゃないんですよ。景気回復を実感せず、共同通信では八四・八%がそう答えているんですね。それから、消費税増税反対は、毎日が七三%、朝日も七割を超えている、読売も日経も、いずれも七〇%を超えているんですね。予定どおり上げるというのはわずかに二〇%台で、いずれも反対の意見が七割を超している。
消費者行政をつかさどる大臣として、国民の声を反映させるべきじゃないのか、さらなる消費税増税はやめるべきだと閣議で意見を述べるべきじゃないのかと私は思うんですが、いかがですか。
〔冨岡委員長代理退席、委員長着席〕


有村国務大臣

当然、総理がお仕えになられている、内閣が仕えるのは主権者たる国民でございます。その国民の皆さんの声を聞くということは、当然なされていくことだと認識をしております。


穀田委員

だから、国民の声はこのように出ているんだが、消費者行政、つまり、消費というのは、収入があって可処分所得があって、これが消費に回るわけですわね。それで、あなたは拡大する、こう言っているわけですやんか。それが縮小している。これは増税したらまた縮小するんじゃないか。だから、消費者行政をつかさどっている大臣としては、今の段階では上げるべきじゃないんじゃないかということを言うのかと言っているわけですよ。それとも、上げろと言っているのか。どっちを言おうとしているのか聞いているんですね。


有村国務大臣

最終的にこれは総理がお決めになられることでございますが、消費者の担当の大臣としては、消費税の是非について、物価に関連が出てくることですから、その動向も踏まえて御判断くださいということは言っていかなければなりません。


穀田委員

もう一度聞きますけれども、物価の判断という話は、上がっているわけですね。二%を超えて上がっているわけですよ。しかも、実質賃金は下がっている。消費の土台である収入が下がっているという現実で、大臣は、消費の拡大ということを言っておられる。これで拡大していないと。ということは、消費の拡大で好循環をもたらそうという大臣の所信表明とは違う事態が起こっている。では、これはあきませんねと言うんですねと聞いているんですよ。論理の話をしているんですよ。


有村国務大臣

大変恐縮でございますが、消費者担当大臣としては、やはり、消費の拡大ができるような状況を御判断くださいということを申し上げることに尽きると思います。


穀田委員

それでは、消費者の立場に立って物を言うてるとか、それから、所信で消費の拡大で好循環だなんという話は、一体全体、何のために言うてんのやと言わざるを得ませんわね。
私は、先ほど述べたように、全国商工会連合会は、アベノミクスの効果により、回復基調とよく言われているが、地域の中小・小規模企業にとっては、引き続く原材料の高騰や商圏人口の減少に伴う購買力の低下などにより、いまだ景気回復の実感を得ているとは言いがたい状況が続いている、かかる状況を踏まえると、消費税率一〇%への引き上げについては、慎重に判断すべきである、ここまで言っているわけですね。
私は、今まで述べたように、生活実感、営業している者の実感、そして実質賃金が下がっている、こういったことからすれば、再増税すれば国民生活に決定的な打撃を与えることは明白であり、実質賃金が下がっているもとでさらなる増税で所得を奪うことは、日本経済の土台を壊すことになる、絶対やめるべきだということを述べて、質問を終わります。