JAL不当解雇撤回闘争、高裁判決は誤りだ!

2014年06月11日

穀田委員

私は、またJALの問題について質問します。

五月三十日の当委員会で、私は、JALの整備で半年で十六回ものトラブルが相次ぎ、簡単に言うと車検に当たるような重整備を五日間ストップさせた問題を取り上げました。大臣は、国交省として、日本航空がこれまでに行った個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認をするとともに、今後、必要に応じて、さらに状況をしっかり把握して厳しく指導するなどして監督を強めたいと答弁しました。

そこで聞きたいんですが、その後、個々の事案に対する再発防止策の実施状況について確認したのか。今後、状況をしっかり把握して厳しく指導監督を強めたいとも答えたけれども、状況把握はどのように進み、指導監督はどのように強めたのか、まずお聞きしたいと思います。


太田国務大臣

日本航空におきましては、五月十九日から五日間、羽田の整備センターにおける重整備をとめて、関係部門とのグループミーティング等を行ったというふうに承知をしています。

この措置は、現場で航空機整備に従事する各人に基本動作の徹底を図るとともに、現場の意見をくみ上げて、整備ふぐあいの再発防止を図ることを目的としたと聞いております。

日本航空からは、この五日間の活動を踏まえまして、安全への信念、決意を全社員で共有する、安全に対する意識改革を図る、この意識面とともに、整備品質を確保するための改善を進めると。具体的にどういうことかということも確認をさせていただきましたけれども、隣の作業員との連携を図っていくんだとか、チームというものの中で考えていくんだとか、あるいは作業手順を変えるということだとか、そうしたことを柱とした是正対策を実施するという報告を受けております。

国交省としましては、個々の事案に対する是正対策の実施状況について監視をし、これらの進捗状況についても報告を求めることとしております。これらを踏まえまして、引き続き、安全運航のために必要な整備体制が確保できますよう、指導監督をしてまいりたいと思っております。


穀田委員

もう一つ聞きます。

五日に、今度は、日航でコンピューターシステムでトラブルが発生しています。国内便で百七十四便が欠航するという障害が起こっています。旅客機に載せる貨物のバランスを自動的に計算するシステムでのトラブルということだけれども、原因について国交省はつかんでおられますか。


田村政府参考人

お答え申し上げます。

今般の日本航空のシステム障害は、プログラムのふぐあいによりまして、サーバーの中で本来上書きされて消去されるべきデータが消去されずに過去のデータが蓄積され続けたことによりまして、システム全体のスローダウンが生じたことによるものであるというふうに聞いております。

日本航空におきましては、今後、ソフトウエア開発元よりふぐあいを修正するプログラムを入手し、社内で十分な研修を行った上でシステムに反映させる予定であるというふうに聞いております。それから、その修正プログラムが反映されるまでの間においても、データの滞留状況を常時監視し、復旧手順を関係者間で共有することにより、同様のトラブルを回避する体制をとっているというふうにも聞いております。

国土交通省といたしましては、再発防止を徹底するよう同社に対して指導してまいりたいというふうに考えております。


穀田委員

このトラブルがどういうトラブルかということも言ってくれなきゃだめですよ。そう言っているんだから、私。

要するに、機体の重心や荷物の重量を自動計算するシステムなんですよね。こういうことが狂っている。こういう問題が起こったときに、やはりどういう対応ができるかということなんですよね。

私、何回もこの間質問していますけれども、JALで安全運航を脅かすトラブルが相次いでいる。今私が述べたシステム障害については、手作業での対応を余儀なくされたもとで、どうした対応をするかということなんですよね。これは私、今度、不当解雇で闘っている原告団のそういうパイロットの団長に聞いたんですけれども、すぐにバランス計算できるベテランパイロットがいなくなっているということが一つ大きな原因となっているんじゃないかということを聞きました。

この間述べた整備のトラブルは、JALの大リストラで整備不足、それからベテラン整備士が少なくなって安全意識や技術力も十分に継承されていないなどが背景にあるんじゃないかということを私は指摘したところであります。安全運航にとってかなめとなるのは、直接運航にかかわる運航乗務員、整備士、それから客室乗務員など、航空労働者なんですね。その熟練した技能、経験を有するベテランの存在が私は大事だと思うんです。日航の、JALの大量人員削減、人減らしが、相次ぐトラブルの背景にあることは明白だと私は思います。

そこで、先週、JALの不当解雇裁判の控訴審、高裁判決がありました。残念ながら、地裁の判決を踏襲し、原告敗訴の判決でした。

原告側が、整理解雇が強行された時点で目標とされた必要人員体制が既に実現していたこと、当時の最高経営責任者である稲盛和夫会長が解雇の必要性がなかったことを認めていたこと、これは私も何回か当委員会で指摘しました。ベテラン乗務員の解雇によって安全運航が脅かされていること、労働条件と航空の安全の確保のために頑張ってきた労働組合活動家を直接狙い撃ちで排除し、弱体化を狙った不当労働行為であったことなどを詳細に立証し、解雇の不当性を明らかにしました。

これらの争点に対して会社側はまともな反証もしなかったにもかかわらず、判決は、原告側の主張、立証を完全に無視して、会社の側の主張のみ採用しています。

私たち日本共産党は、この判決は、国民の権利を守るべき司法がその本来の責務を投げ捨てたものであって、解雇自由に道を開く、労働者全体への大きな攻撃だと位置づけて、厳しく抗議しているところであります。

そこで、この問題について少し深めてみたいと思うんですね。

この不当整理解雇という問題は、JALが経営悪化して再建が検討されてきたときから、私はこの委員会で何度も質問してまいりました。その立場からしまして、どうしても納得できない問題について確認しておきたいことがあります。

そもそもこの問題は、経営破綻状態に陥ったJALを会社更生法手続によって再生するとしたものであります。そこで、人員削減も必要とした更生計画に基づいて手続が進められたわけだけれども、問われたのは人員削減そのものではなくて、整理解雇までする必要があったのか、整理解雇は人員削減の手段、方法であって、その手段、方法を選ばなければ更生できなかったのかということが問われているわけですね。

私は当委員会で質問しました。整理解雇に関する問題について厚生労働省からも答弁があって、使用者の経営上の都合による解雇という特徴から、力の弱い労働者を保護するため、会社が好き勝手に解雇権を濫用しないようにするため、人員整理が必要かどうか、解雇を回避したかなど四要件があるということもはっきりしました。述べていただきました。

会長の稲盛氏は、解雇は必要なかったと裁判でも証言していたのに、更生計画で決めたことだから解雇は必要だと言っているわけですよね。解雇時点では必要削減数は達成していたんじゃないかと原告が詳細な数字を挙げて立証しても、会社は何も反論しなかったけれども、更生計画で決めたことだからと高裁も追認しました。

改めて確認したいんですけれども、更生計画を幾ら読み返してみても、整理解雇の文字はない。全体の人員を減らすのは記載しているけれども、整理解雇までは記載していないと私は見ているんだが、記載しているかどうか確認したい。


田村政府参考人

お答えいたします。

国土交通省として確認できる範囲においては、日本航空の更生計画の中に、いわゆる整理解雇という文言は含まれていないと認識しております。


穀田委員

そうなんです。整理解雇なんて書いてないんですよ。

では、先ほどちょっと言いましたけれども、会社更生手続を選択したのは経営者の側の判断なんですよ。だから、その原因は経営者の失敗にあって、労働者にはそもそも非がないことを忘れてはならない、ここが出発点だということを私は強調したいと思うんですね。

そこで、答弁のように、更生計画は、全体の人員削減はあっても、当時、グループで、たしか一〇年三月末で四万三千七百十四名でしたか、それを三万二千名台にするという話でした。その手続や方法までは記載していないし、当然解雇の記載はないわけです。会社側は、希望退職などでも人員の削減の目標を達成しなかったから整理解雇に踏み切ったと言われているけれども、そこまでは書いていないわけですね。

そこで、人員削減を問題にするとすれば、全体数がどうだったのか、ここを明らかにするのは当然なんですね。原告側は、実際の労働者数を示して、全体の削減数は達成していたと主張していたにもかかわらず、その事実はどうかも立証せずに、目標に達していなかったと会社側の言い分を高裁は丸のみにしました。

こんな事実に反する理屈がまかり通れば、会社が更生計画をつくれば、整理解雇しようが何しようが有効だということになるじゃありませんか。企業がどれほど利益を上げていても、再生、再建に必要だと言いさえすれば幾らでも労働者の首を切れることになる。さらに、経営破綻した会社に限らず、業績悪化を理由に、人員削減を含む再生計画などを会社が立てれば、解雇の必要性が容認され、解雇自由が拡大されるおそれがあるというのがこの判決の持っている意味なんですね。

経営上の理由による一方的な解雇から労働者を守るための整理解雇法理というのは、根底から形骸化されてしまうことは必定だと私は考えますが、こういった考え方について、大臣の感想、意見を聞きたいと思います。


田村政府参考人

過去の判例に基づき示されております、いわゆる整理解雇の四要件の一つに、人員削減の必要性が挙げられているということでございますけれども、JAL整理解雇に係る一審及び二審の判決におきましては、日本航空の更生計画に基づく人員削減についても、この要件に合致するという判断が示されたというふうに承知をしております。

いずれにいたしましても、整理解雇の四要件を満たしていたかどうかということは、これは裁判の主要な争点となっていることでございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと考えております。


穀田委員

それは困るんですよ。それは、田村局長はコメントを差し控えるかしらぬけれども、政治家としての大臣は、今の流れの中で、会社がそういうことさえ認定すれば解雇できるという事態をつくっていいのかということが問われているんじゃないかということを言っているんですよ。どうですか。


太田国務大臣

政治家としても、これは整理解雇の四要件を満たしているかどうかについては、これは裁判の主要な争点となっておりますので、コメントを差し控えるべきだと思います。


穀田委員

いや、そうじゃなくて、そういうことが論理として生かされれば、そういうことになるじゃないかと。つまり、業績が悪化すれば整理解雇をしても構わないという論理としてなるじゃないか、それはおかしいのと違うかと私は言っているんですよ。

では、もう一つ聞きますけれども、事実に反することを前提に判断している部分があります。これは国会のやりとりを明らかにしますから、よく聞いておいてください。

高裁判決は、主要債権者は被控訴人における人員削減施策に特に多大な関心を示しておりとか、整理解雇を実施すると公表しなければリファイナンス契約の締結に応じない可能性が高いなどとしているんですね。そして、管財人の経営判断を合理性が認められると結論づけたわけであります。

そもそも、銀行等が整理解雇を求めていた事実があるのかということなんですよ。この話でいうと、整理解雇を実施すると公表しなければ応じない、こう言っているわけです。

では、その銀行等が整理解雇を求めた事実はないと私は断言したいと思うんですね。それはなぜか。私の質問に答えているからですよ。人員削減と整理解雇は違います。銀行等が関心を示したとするならば、人員削減施策であって、その手段である整理解雇までは求めていないんですよ。

この点について、整理解雇が強行されて間もない二〇一一年三月九日、当委員会で私は質問しました。私が稲盛会長の発言を引いて、「整理解雇は銀行などとの約束だと言っているようだけれども、銀行などが本当にそう言っているんですか。」と聞いたんです。そして、「計画の確実な実施の中に、整理解雇をしろということを言っているのか」ということを質問しました。そうしたら、当時の参考人、企業再生支援機構の常務取締役水留浩一氏はどう答弁したのか。その部分について国交省は読み上げてほしい。


田村政府参考人

ただいま御質問の、二〇一一年三月九日の穀田先生の御質問に対する水留参考人の答えぶりでございますけれども、「個別具体的に整理解雇に対して要望をお聞きしたこともありませんし、先方からそのことについて何かコメントをいただいたこともありません。」というふうに議事録に書いてございます。


穀田委員

私は、それを二回ただしているんですよね。しつこくやったんですよね。

今、お話あったように、「個別具体的に整理解雇に対して要望をお聞きしたこともありませんし、先方からそのことについて何かコメントをいただいたこともありません。」と言っているわけですね。だから、裁判で使っている話は全くうそだということが、国会の中での答弁で言ったこととの関係でいえば、はっきりしているというふうに言えると思うんですね。

だから、こういうことがもし通用するとすると、結局、コメントもないわ、銀行も言っていないにもかかわらず、整理解雇しないと銀行などが融資してくれないと判断した管財人の心情をおもんぱかって、その経営判断は合理性があるなどと認めているのが高裁の判決なんですよね。

そうしますと、事実をゆがめてまで管財人側を擁護する、これでは公正中立な判断が求められる司法の責務を投げ捨てたものと言わざるを得ない。だって、国会でそんな事実はないと言っているわけだから、それをしんしゃくして勝手に判断するなどというのは全く許せないと私は思うのであります。

しかも、債権者の賛成票を得なければということを理由にして、いわば銀行の、そういう更生計画を認める際に、そういうことを出さなければ賛成票がふえへんなんていうようなことを平気で言っているんですよね。それは事実にも反しているということを今言いましたけれども、やはり、希望退職募集によって大幅な人員削減の実行が行われた。

そして、当時、皆さんは御存じないかもしれませんけれども、二〇一〇年の十月時点での収益の見込みは、当初の六百億円をはるかに超えた利益が上がるということは確実だと言われていた。だから、最高益に達する経営の実態もあったということからしても、そういうことは成り立たないということを私は言っておきたいと思うんですね。

そこで、ではもう一つ言いますけれども、この問題はそれだけにとどまらない問題がある、こういう判断は深刻な問題をはらんでいると言わなければなりません。

銀行から整理解雇の要求はなかったのは事実だけれども、会社が整理解雇したいとき、事実でなくても銀行が要求しているからという理由さえつければ整理解雇が認められることになるわけですね。だって、国会でそういうことはないと言っていて、しかし、裁判所ではそういう論陣を張る、そういう事実があったというようなことを言う、そういうことですからね。だから、そういう理由さえつければ整理解雇は認められることになる。

さらには、銀行が実際に整理解雇を要求した場合には、解雇の必要性があると認められることになる。つまり、銀行が融資条件に整理解雇を求めれば解雇できるようになる。余りにも整理解雇を安易に認めることになるんじゃないか、まさに首切り自由への布石になるんじゃないかと私は懸念するわけですね。

これは、整理四要件の問題に対する裁判の結果ではなくて、そういうことがもし起こればそうなるじゃないかということについてはどう思いますか。


田村政府参考人

まさに今御質問の点、整理解雇実施の可否について、この四要件を満たしているかどうかということについては、先ほどもお答え申し上げましたように、裁判の主要な争点になっているところでございまして、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。


穀田委員

大臣、ちょっと違う話でしょう。

私が言っているのは、国会で私がこういう質問をしたら、そういう事実はないと言っている。ところが、裁判では、そういうことを事実として言っている。これは明らかに間違っている。そうすると、事実でないものを使ってやってええのか。その場合、銀行がそういうことを言えば整理解雇してええのかという論理につながるけれども、どう思わはるか、こう聞いているんですよ。


太田国務大臣

まさにそこは裁判の主要な争点となっていますから、これからどういう推移になるか私はわかりませんけれども、コメントは差し控えるべきだと思っております。


穀田委員

ちょっと違うんだよね。

裁判の結果について言っているんじゃなくて、まず、裁判の中の問題でいえば、私が言った事実は、違うことでうそを言っている、これはもう明々白々なんですよ。それは、同じそういう管財人との関係を含めて言っているから、それは事実じゃないとはっきりしている。そうすると、事実でないことを理屈にして銀行が言ったら整理解雇ができるというようなことになりはしないか、それはどう思わはるかと言っているわけなんですよ。


太田国務大臣

これは、一般論で言えばという形ではない具体的な問題ですから、私は、裁判の主要な論点であるので、コメントは控えるべきだというふうに判断をします。


穀田委員

一般論というんじゃなくて、私は、こういう論理がまかり通ればえらいことになるという、いわば今日の解雇の問題にかかわる、そういう裁判上の問題から発してはいるけれども、この問題の論理の問題を主張しているわけですよね。残念だと思います。そういう答えしかないというのは、そういう問題についての語る言葉がないと言わざるを得ないと思いますね。

私は、では、もう一遍言いますけれども、銀行の債権者の関心というのは、更生計画が履行されるかどうかだったんですよ。だから、先ほど言いましたけれども、二〇一〇年の年末を迎えた時点では、業績予想というのはすこぶる順調で、一千億円を超す利益が見込まれているんですよ。全体の人員削減を求めていたけれども、大みそかに整理解雇によって首切りを行った百六十五名の人件費は、JALの経営総額に占める割合は、まさに微々たるものなんですね。それから、上げられた六百億円という利益からしても、〇・〇三%ぐらいにすぎず、問題にならなかったわけなんですね。ですから、そういう角度からいっても、本当に今ひどいということを言わなければならないと思います。

そこで、ではもう少し、また判決の問題について聞きますけれども、高裁のパイロット訴訟の判決では、運航従事経験の多い者、簡単に言うとベテラン労働者ですね、これが減少するということは、運航の安全確保の点において一定の影響を及ぼさないとは言えない、こうは認めているんですね。

認めていることだったら話はできるでしょう。国交省の認識はどないですか。ベテランの減少というのは運航の安全確保に影響があると認識していますか。


坂井大臣政務官

航空会社の事業計画の認可に当たりましては、事前に安全運航に必要な運航体制や整備体制が確保されているということを確認することとしておりまして、操縦士につきましても、十分な能力、経験を有する者が必要数確保されていることを確認いたしております。

このため、国土交通省といたしましては、現時点で日本航空においてベテランの減少が運航の安全に影響を及ぼしているとは認識をしておりません。


穀田委員

違うことまで言っているんだけれども、一般論として、要するに、国交省として、ベテランの減少というのは困るよねということを言っているだけなんですよ、私は。

そういうものについて言えば、国際的にも、人選基準の問題、首切りの場合のそういうことからしてもおかしいということが論証されている。そして、ベテランの意味はあるということを言いたいわけで、今は、JALのところでどうやこうやなんていう話をしているんじゃないんですよね。

では、JALの話をしてもいいんだけれども、今、パイロットだけじゃありません。(発言する者あり)違う、個別の話という話をしているんですよ。

やはり客室乗務員も、先日私が指摘しましたように、新人を千八百二十名も採用しているということで半数近くにも及んでいて、チームワークに起因する不安全事例が多発していると。だから、整備のトラブルは、安全運航に欠かせない、そういう乗務員といったところまで減らしているからこそ、こういうことが起きているんだと私は思っています。

そこで、現にJALは、中期計画で六十歳以上の採用まで検討しています。ですから、何でこの問題を今しゃべっているかというと、JALは、首切りの場合の人選基準として、パイロットを年齢で切って、ベテランをターゲットにしました。ところが、国交省は今、パイロット不足で、機長の働くことのできる年齢を上げようとしているんですね。

それから、同じく人選基準で、病欠歴を理由にしています。これはとんでもないことだと思うんですけれども、体調不良時に無理をせず乗務を取りやめることを自主的に申告することは、安全上必要なことなんですね。JALも当時は推奨していた話なんです。今、国交省は、人員不足に対応して、風邪薬などの服用の規制緩和までして乗務させようとしている、検討している。

今までやってきたことは一体何なんだと。明らかに首切りの人選基準が空の安全に有害であったことを、今日の国交省の規制緩和策をめぐる動向からも、はしなくも証明されるようになったということが言えると思うんですね。

それで、さっき言いましたように、客室乗務員は不足している。今、私は、最後に大臣に聞きたいんですけれども、確かに係争中ではあろうけれども、今、ベテランを職場に戻すこと、先ほど言いましたように、前回も質問しましたように、整備の関係も、客室も、それからパイロットも、全部不足しているという実態の中にあって、私は、まずベテランを職場に戻すこと、即戦力であって、訓練期間も短くて乗務できる客室乗務員は戻すべきだと思うんですね。

その点で、ILOが二〇一三年十月に出したフォローアップ見解は重要だと思います。解雇した労働者が職場復帰されていないもと、客室乗務員九百四十名、それは二〇一二年の十月時点ですが、採用を行っていることからしても、経済的理由による解雇の後に、再び雇用されることを目的とした採用計画をつくるべしと。さらに、今後の採用計画が、全ての労働組合との協議が確実に実行されることを期待するとしています。

ですから、私は、戻すべきだということと、もう一つ、自主解決の道を模索して国交大臣がイニシアチブを発揮することが必要じゃないか、以上のことについての提案をするわけだけれども、いかがでしょうか。


太田国務大臣

日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に係る問題でありますので、日本航空において適切に対処すべきものというふうに考えているところです。このため、行政としては関与することは適切ではない、このように考えております。

いずれにしましても、判決が確定していない上、労使関係の問題でもあることから、コメントすることは適当ではない、このように考えております。


穀田委員

最後に一言言っておきますけれども、大臣、私は、歴代大臣にこの問題をずっと質問してきました。でも、この問題は係争中、問題はいろいろある、だけれども円満に解決すべきだと。しかも、稲盛会長のああいった発言について見ると、要するに、整理解雇をしなくてもいけたんだという発言などについては、それはひどいと言ってきたんです、みんな歴代の大臣は。

ですから、私は、個別の企業の問題のことではあるかもしれないけれども、まさに今、日本の航空業界が抱えている諸問題からして、やはり、争議は争議としてそれはあるでしょう、だけれども、その問題にかかわっているんじゃなくて、少なくとも、今不足しているさまざまなベテランを何とかするという問題や、自主解決のための手だてをつくってあげるというぐらいのことはすべきだ、そのことが空の絶対安全ということについての基準となるだろうと思います。

終わります。