安全性・公共性確保の公的責任を果たせ 空港運営権の民間売却を批判

2013年05月24日

穀田委員

私は、いささか皆さんとは違った角度から質問をしたいと思います。

国や地方自治体が保有、管理している空港は、国民共有の財産であることは誰もが認めるところであります。そして、公共性と安全性が確実に確保されなければなりません。

本法案は、土地等の保有と空港施設等の運営権を上下分離し、上部の運営権を民間事業者に売却することを目的としています。空港施設運営権は、施設の利用料金をみずからの収入として収受できるもので、滑走路の着陸料や空港ビル、駐車場その他の施設の使用料などで収益を上げることが可能であるということになります。

そもそも、それでは、空港の管理運営を国など公的主体が担ってきたのはなぜか。それは、空の玄関口として、住民の足として高い公共性を有し、安全、安心の拠点や、地域の観光や産業振興の拠点などの役割を担っているからにほかなりません。これは、空港運営のあり方に関する検討会報告書にも叙述されています。公共性と安全性の確保がとりわけ重要だからであります。

そこで、公的主体が管理し、維持し、運営をしてきたというのは、そこに根本があると私は考えます。そのために必要な財源も、使用料などを取って確保してきていたものを、それを今回、収益を上げる部分を切り離して民間に委託するということであり、ということは、公的に管理する必要がなくなったということなのでしょうか。お聞きします。


太田国務大臣

全くそういうことではなくて、先ほど西岡先生からお話があったことにも関連するんですけれども、空港というものは公共性と安全性というものがまず基本にあるんだと思います。

したがって、今回の法律は、今までの航空法にあります安全の担保、それから空港法にあります利用者の利便性の担保、この二つの法律というものをしっかりと、管理する人に義務をかけているということがまず基本にあって、その上で、国は設置管理者として、空港の安全性、利用者利便確保のために空港運営権者を監督していく。そして、受けた者たちが義務をかけられてしっかりやるということが踏まえられてこの法律の体系になり、その上で、民間の力を入れて、空港自体、また周辺の地域の活性化も含めて、今の時代に対応したまちづくりも含めてやっていくということが基本的な趣旨であります。

そういう点でいって、安全とか公共性ということがいささかもおろそかになることはあってはならないし、しないということが大事だというふうに思います。


穀田委員

あってはならないのは当然なんです。

ただ、どうも皆さんから話を聞いていると、要するに、もうかるところはコンセッションが成立する可能性があるというのは、誰が考えたってそう言っているんですよね。となると、もうからないところは来ないということですわな、だって、もうかるんやったら全部やるわけで。ただ、赤字空港が今たくさんあって、しかも、もうからないところがあって、皆さんが言っているようにコンセッションが成立しないところもあると考えているということは、そういうことですわな。

そうしますと、結局、収益が上がる空港施設運営権を売却するということであって、買う側にすれば、民間資本に対して利益を上げる手段を提供するということになるということは理の当然なんですね。

だから、先ほど言いましたように、赤字しか見込めない、あるいは収益が上がるのが困難な空港の運営を買い取るところなどというのがあろうはずがないわけですね。

民間の資金を活用などといっていますけれども、民間からすれば、もうけにならないところに資金を出すことはあり得ない。したがって、確実にもうかるところしか資金は出さない。だとすると、利益の上がる部分をわざわざ民間に提供し、利益獲得のために利用、活用させるということになる、それは理の当然ではありませんか。


太田国務大臣

言葉は、もうかるところはやるというんですが、自然状態でもうかる、もうからないというんじゃなくて、日本社会の仕組みというものは、自然にもうかるんじゃなくて、今はもうからないけれども、利益を得るように工夫をすればできるんだ、私たちにやらせてくれればそうなるんだという、価値をつくり出していくということが民間の力をかりるということだと思います。

今の自然状態でももうかるところをそのままやったらもうかるじゃなくて、もうかるということがないと思っていても、民間の人がやれば価値を生み出すということになるんだ、これが日本の経済だと私は思います。


穀田委員

経済論の違いは大きいと思うんですが、しかし、結局のところ、利益を得る工夫は公ではできないということを今言ったにすぎないんですよ、だから、先ほど田村局長も、じくじたる思いがあるという話、公的責任と民間との違いの話をしていましたけれども。

大臣がおっしゃるように、今もうかるとか、今はもうかっているとか、今後もうかるなんという話をしているんじゃなくて、二十年、三十年でもうかるということを見越して、少なくとも、現在は赤字空港がたくさんある。これが全部もうかるというふうにできるんだったら、みんな売れるじゃないですか。それをみんな、誰もが売れるなんて思っていないということからしても、明らかであります。

だから、もうかるところはどうぞお使いください、今後もうかる可能性を見出したらどうぞお使いください、我々公では利益を得る工夫ができません、簡単に言えばこういうことですわな、という結論を今おっしゃったということだと思います。(発言する者あり)それは正しいと思うんですね、今ありましたから。

そこで、そんなふうに何でもかんでもうまくいくかという話をこれからしたい。

収益優先の民間事業となれば、防災、老朽化、安全対策が縮小される懸念がある。民間事業者が運営権を獲得することは、当然、空港運営においても利益を優先する経営手法がとられるということにほかなりません。

運営権を買い取った民間事業者は、利益を確保するため、収益向上策とともに、管理運営上のコスト削減を講じるが、株主や投資者への配当を優先するため、収益部分への投資が優先され、維持更新や安全投資、人件費など非収益部門を抑制しがちである。これは、古今東西明らかであります。

もともと、空港を含めた公共インフラにかかわる管理運営は、必要以上の利益を上げることを目的とはしていないため、民間事業として成立しにくいとされてきました。こうした事業で利益を上げようとすれば、維持更新、安全投資などを抑制し、コスト削減することが懸念される。

例えば、空港の場合、今は国の職員が指揮している消防活動などの保安防災や、運航に必要な飛行場情報に係る防災情報通信機器の常時更新、さらには、航空灯火を含む滑走路の維持管理などが安全確保上も欠かせません。これらがコスト削減対象になるおそれはありませんか。


田村政府参考人

航空機の安全な離発着に支障のないように空港サービスを提供するというのは、空港事業の基本でございます。このために必要となる維持管理を適切に行うというのが民間委託の大前提であって、しかも、事業者にとっての責務であるということであります。

こうした認識に基づいて、本法案におきましては、航空法の特例規定を置いて、運営権者に対して、空港保安管理規程の策定など空港の安全や保安の確保に関して義務づけを行っているところでございます。

それから、民間委託に当たりましては、国は、各空港ごとに定める運営事業の実施方針の中で、運営者に求める維持管理の水準を設定して、そして、これを航空会社等から成る協議会の意見を聴取した上で策定することにしているわけでございます。

さらに、国は、委託先の民間事業者との間で事業契約を締結する際に、実施方針に基づいた維持管理の水準を事業契約の中に詳細に定めまして、必要な監督、点検、そして検査というのを行ってまいるということでありまして、御懸念のようなことが起きないようにしっかりと確保していくということでございます。


穀田委員

御懸念がないように確保していきたい、それは決意はわかるんやけれども、事実をよく見ないとあかん。

私、同じような話を当時の道路公団の運営の民営化の際にもお聞きしました。結果はどうだったでしょう。例えば、民営化された中日本高速道路会社が引き起こした笹子トンネル事故は、点検もずさんでした。しかし、会社は維持管理コスト三割減を経営計画に上げていたではありませんか。

この間の予算減で航空局はどう言っているか。直接人命にかかわらない機器更新や性能向上を先延ばしせざるを得ないとしてきているんですね。

先ほど、基本だとか大前提だとか責務だとか、言葉は何ぼでも言えるけれども、事実、やっていることは何か。公的管理でさえ、予算の削減は、維持更新、安全投資に影響を及ぼしているじゃありませんか。収益優先の民間事業となれば、防災、老朽化、安全対策が縮小される懸念が増すのは当たり前だと言わなければなりません。

大体、きょう皆さんに、全員には配られていませんけれども今後配られるでありましょう、この法案に付そうとする附帯決議の案文にさえも、空港運営権者がコスト減を行うことにより、安全性が低下することがないようにと書かざるを得ないほど、みんな心配しているということのあらわれは、私が言っているだけじゃないということを証明しているじゃありませんか。

では、次に、空港周辺の騒音防止など環境対策についても聞きましょう。

法案では、騒音など環境対策については、先ほど局長からもありましたように、民間事業者にも義務づけるとしています。しかし、周辺自治体と騒音防止等の協定を結ぶ相手は、これまでの国から民間事業者になります。どこまで環境保護が確保されるのか、細部にわたって改めて民間事業者と協議することになります。

伊丹空港では、まだ相手も定まっていないため、周辺住民は不安感を強めています。

これまでの国との協定から後退させないという保証、担保はどこにあるのか、お聞かせください。


田村政府参考人

本法案では、運営権者が環境対策事業を実施することになった場合には、騒音防止法上の特定飛行場の設置者に係る責務規定を運営権者に適用することで規制する仕組みを規定しております。

さらに、国と運営権者との間で締結される事業契約の中で、空港周辺の環境対策、騒音対策等の具体的な実施内容を明記して、これを運営権者に義務づけるということで、その実施を担保することとなるわけでございます。契約の中に具体的にどのような内容を明記するのかにつきましては、地元の御意見を踏まえて決定してまいる所存でございます。


穀田委員

その話も、例の伊丹の統合のときの話でもありましたけれども、その当時でももう少しはっきりしておったんですね。「大阪国際空港の会社化後にあっても、国土交通省は責任を持って、同空港の運営会社が協定の趣旨に則り同空港の安全・環境対策を適正に実施するための方策を講じるものとする。」と明記させていただいている、ここまで前回は言っておったんですね。きょうはそこまでも言わないということからしても、前の答弁ぐらいきっちり見てやってこなあきませんで。

共通しているのは、今度の問題はあくまでも民間の協定なんですよ。しかも、今局長は地元とか、大臣もいつも、地元、こう言うんですけれども、地元住民とはなっていないんですよ。そこがまたみそでして、余り格好のいい話だけしちゃあかんということだけ言っておきたいと思うんですね。

民営化された成田空港ではどうか。周辺自治体との騒音対策等の協定は、成田空港会社との民間同士の協定となっており、国は協定主体者ではありません。

LCCの発着時間を延長するため、午後十一時までとされてきた離着陸時間を午前零時まで認めることになりましたけれども、自治体、住民との協議相手は成田空港会社でありました。そういう意味でも、余り縛りがきくかどうかということについては、そんなに胸を張って大言壮語できるような状態じゃないということだけ言っておきたいと思うんです。

そこで、もう一つは公共性の問題です。

日本には空港は九十七あります。空港管理会社は四、国管理が二十八、地方自治体管理は六十五になります。国管理空港のうち、二〇一〇年度の収支では十六空港が赤字で、地方自治体管理空港は多くが赤字だと見られています。このうち、空港管理運営権を売却し、民間委託できるのは、利益が上がる、また、先ほどの大臣の話でいいますと、上げる見込みを必死になって出そうとする、こういうことでなるんだろうと思うんですが、対象とならざるを得ない。

現在は、仙台空港、広島空港、皆さんからありましたように、昨日、香川も来ておられました。そういう地元知事が積極的に要望していると言われています。

しかし、周辺県は危機感を抱く、こんな報道があります。民営化で空港同士の競争が激しくなる、企業が運営する空港は利用客をふやすかもしれないが、ほかの空港はますます運営が苦しくなりかねない、山形県は客をとられかねないとの危機感を募らせるということで、四月二十六日付の新聞は報道されています。この心配はある意味で当然だと思うんです。

このような周辺の空港管理者の危機感をどのようにして払拭するのか、お答えいただきたいと思います。


田村政府参考人

今回の法案は、意欲のある地域が、空港を核としてさらにポテンシャルを伸ばしていきたい、こういうことを支援する仕組みでございますので、そういう意味では、ある程度の競争が生じるということ自体は、これは否定すべきものでもないというふうに思います。

ただ、運営委託が行われない国管理空港については、先ほどから御答弁申し上げておりますように、国が引き続き責任を持って管理運営を行っていくということでもございますし、しかも、今ある体制の中で、私どもも、コストの削減、運営の効率化というようなことについては努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。


穀田委員

理屈の話をするつもりはないんですけれども、今の話でいくと、もうからないところはやはり国が責任を負う。そうしますと、引き続き努力して、さっきもコストを削減すると言っているわけだけれども、余り成功しないとなると、結局、国が持っているものはいつも失敗しているなといって、また批判されるという堂々めぐりになりますね、これは下手をすると。ですから、結局、味のいいところは持っていかれる、あとは私らがやりますわという話はだめだぜということを私は言っているわけですね。

だから、民間活力の導入で一部の空港が成功しても、その他の空港は、競争に敗れて運営も困難になるということがあり得る。地方路線を中心に不採算路線の廃止が相次ぐ現状では、空港経営そのものが破綻する危険性も看過できません。

先ほどお話があったように、空港は、それ単独で成り立つものではなくて、ネットワークを形成して初めて機能を果たすものであります。空港同士の競争激化によって他の空港が破綻すれば、ネットワークも壊れ、不採算路線に対する廃止縮小の圧力が増大する。そうなれば、国民の足としての公共性を奪うことになりかねないという懸念を私は表明しておきたいと思っています。

もう一つ、法案には、民間の能力を活用したとあるように、民間活力導入ありきで、過大な需要予測のもと二期事業を進め負債を拡大した関空事業など、過去に失敗した民活方式の検証もないままに空港の民間委託を推し進めようとするものだと私は判断します。

空港運営権を民間資本に売却する仕組みは、巨額の負債を抱える関空の救済のためにつくられました。関空の巨額負債の大もとは、本来、国の責任でつくるべき国際空港を、民間活力、民活路線によって株式会社方式で推進したことにあります。さらに、過大な需要予測に基づく二期事業を進め、負債を拡大しました。

当時の自民党政権や関西財界などは、関空建設で関西経済は活性化するとバラ色に描いてきました。しかし、りんくうタウンの破綻を初め、周辺の地域経済は衰退し、ある意味で惨たんたる状況に陥っています。

この民活方式の失敗を検証しないまま他の空港に拡大しようとしています。まず総括、検証をすべきではないんでしょうか。お答えいただきたい。


太田国務大臣

関空が失敗と、そういう短い言葉で断言されるということは、恐らく、地元の多くの方からも、それは納得できない話ではないかというふうに思います。

関空が株式会社として設立されて、民間が積極的に参加して、国、地方、民間一体で弾力的、効率的な企業的経営を可能とする協力体制が望ましいという判断から、関空が株式会社として設立されたのだと思います。

こうして整備された関空ではありますけれども、当初想定の需要を下回っていて、一・三兆円もの負債を抱えて、戦略的な経営や前向きな投資の実行が困難な状況になっていたということは、私は事実として認めなくてはならないと思いますが、しかし、今、関空は、完全二十四時間運用の関西の国際、国内ネットワークの拠点空港として機能していて、関西圏の経済、国民生活を支える基盤施設である、これまた事実であろうというふうに思います。

さらに、一昨年には、関空・伊丹経営統合法が制定されまして、昨年七月から新会社が両空港を一体的に運営している。

このような状況のもとで、関空の経営は、平成十七年に開港以来初めて経常利益が黒字となった。その後、平成二十年には再び赤字になったものの、二十二年度以降は黒字を着実に回復している状況にありまして、昨年度は過去最高の黒字となっています。

現在、関空は、コンセッションの前段階、こう言えると思いますけれども、これをLCCの拠点化による旅客ネットワークの拡大や貨物ハブ空港戦略等の施策を進めていって、大事な空港としての機能を果たすという方向に持っていくことだというふうに私は思います。


穀田委員

最初の方にありましたように、膨大な負債を抱えて、それは国が面倒を見た、そして、それは世界の人たちの交通全体がふえますから、それはふえるのは当たり前なんですよ。ただ、そういう大きな失敗をしでかして、バラ色に描いて、りんくうタウン、これを万々歳と言ったことはほとんどうまくいっていないということは、誰もが認めているところであります。

そこで、私は、この統合のときにも当時の大畠大臣に質問しましたけれども、結果的にはどうかと言われますと、御指摘のような側面があったと答弁したことを思い出します。それが、今の大臣でいいますと、えらい万々歳みたいな話をしていますけれども、そうはならぬということを言っておきたいと思うんです。

国交省は、特に外国の空港の事例などをもってコンセッション方式を成功例として宣伝しますけれども、空港民営化の失敗事例も少なくありません。

英国では、BAAが七空港株式売却による完全民営化を実施したけれども、二〇〇六年には六つの空港をスペインの建設会社に売却、航空不況等で収益が悪化し、空港のサービスも低下と言われたものです。特にヒースロー空港のサービス低下が問題になって、二〇〇九年にはガトウィック空港を売却、スタンステッド空港の売却も政府から勧告されていると言われています。

カナダのトロント空港やアルゼンチンの空港なども、需要予測が外れ、経営能力欠如、各種手数料の値上げ、サービス低下などの理由で失敗しています。

海外の事例で民営化が失敗した事例はないのか、アメリカでは民営化している空港はあるのか、簡単にお答えください。


田村政府参考人

今御質問の件でございますけれども、イギリスにおきましてもフランスにおきましても、民間への運営委託ということで非常に大きな失敗があったというお話は聞いておりません。

もちろん、失敗事例として挙がるものにアルゼンチンの空港の事例というのが挙がるわけでございますけれども、これは、過大な需要予測で買い手側が非常に高額の落札をした、後で市場環境の変化で非常に困ってしまった、こういうふうなことでございます。

そういう意味では、今後の民間委託に当たりましては、民間との対話等のプロセスを通じて、適切な運営権対価を設定するということによりまして、民間委託の確実な実施を担保してまいりたいと思っています。

それから、アメリカにつきましては、これまでのところ、州政府や自治体が管理している空港がほとんどなのでございますけれども、パイロットプロジェクトとして民営化を進めるという動きになっております。

以上でございます。


穀田委員

日本も自治体管理が多いんですよね。それだけは言っておきます。

アメリカでは、今お話があったように、民営化は進んでいない。二〇〇〇年代以降、一件のみ民営化に取り組んだ空港があったけれども、旅客数の落ち込みで撤退し、公的機関が運営している。

世界民営化の動きということで、こういう問題を研究しているところはあるんですね。それによると、やはり失敗例があるんですよ。そこはちゃんと見ておかなければならないと思います。

最後に一つだけ質問しておきますけれども、空港ビルだとか、管理運営というのは既に三セクや民間委託が行われているわけですよね。だから、今回の法案では滑走路や空港ビルを一体に運営するということを考えていますけれども、民間事業者でなければ一体運営できないわけじゃないんですよね。国や地方自治体が一体的に管理すれば赤字経営も解消される、そういうはずだと私は考えます。

空港ビル管理の民間委託こそやめて、国や地方自治体が一体的に管理運営する方向に切りかえるべきではないか。アメリカだって州でやっているわけですから、そういうことの可能性はあると私は考えます。

もう一つ、先ほど来議論になっていましたけれども、プール管理をどうしていくかという問題があるわけですね。私は、先ほど答弁を聞いていましたけれども、何を柱としてこの問題を考えるのかということが大事だと思うんですよ。つまり、特会のことについてこれから議論するというのはあるんですけれども、こういう問題については、何を基礎に据えて考えるかということぐらいはないと、それ任せにはならぬと思うんですね。

その二つだけお聞きしたいと思います。


田村政府参考人

ただいま御質問をいただきましたように、経営の一体化の主体というのは、民間でなきゃいけない、こういうものではないだろうというふうに思います。もちろん、国や自治体というものが主体となるということも、それは可能性としてはあり得る。

ただ、そもそも経営一体化をする目的ということを考えますと、着陸料等の各種料金というものの引き下げ、あるいは空港ビルの使い勝手、こういったものをパッケージにして、そして柔軟に航空会社と誘致交渉をするというようなこと。それから、空港運営を効率化していく。それは、例えば複数年契約をやっていくとか、もろもろの努力があり得ると思いますけれども、着陸料等の低廉化を実現していく、こういうことが狙いでございます。

そういう意味では、そういうことに関して、民間のノウハウを活用していこうというのが本法律案の狙いであり、目的であるということでございます。


太田国務大臣

空港整備勘定につきましては、先ほども御答弁させていただきましたが、特別会計制度の改革に関する政府全体の中で考えていきたいというふうに思っています。


穀田委員

同じ答えですよね。

私、今、よく聞いてわかったけれども、もろもろの努力をしたい、ノウハウがある、学んでやったらいいじゃないですか。それはでけへんという宣言をして、例えば田村局長が、うちではできませんと言うのだったらわかります。そんなことを国交省の中で言ったらだめですよ。国交省の職員というのは立派な方はたくさんいらっしゃるんだし、地方自治体だって立派な方はいますよ。もろもろの努力はできないことはないと言っておきたいと思うんです。

最後に一言だけ言っておきますが、特会のお話がありましたよね。やはり柱をどう据えるのかということが私は大事だと思うんですね。

私は、やはり、今まで九十七もつくってきて、多過ぎるのをつくってきた財源となってきたわけでしょう。そういうやり方が正しかったのかということを一つ反省するということと、同時に、空港整備の財源としての比率は減少しているわけですよね。だから、空港の整理を含めた見直しとともに、維持更新など防災、老朽化対策や、離島路線等に維持確保などの安全性と公共性の確保を優先させるためには、どの程度どんなことが必要かということを考えて適正化を図っていく必要がある、その礎石をきっちり据える必要があるということだけ申し上げて、終わります。