「0増5減」 小選挙区固定化・比例削減ねらう 必要なのは抜本改革

2012年11月15日

穀田委員

まず、本日、委員会の採決を前提にした異例な開催について一言申し上げたい。

民主党は、通常国会において、与野党合意なしに一方的に当委員会を開会し、民主党のみの出席で民主党案の採決を強行しました。民主党は、この間、衆議院選挙制度に関する各党協議を一方的に打ち切り、単独で法案を提出して委員会への付託を強行し、さらに単独で趣旨説明、質疑を行い、採決まで強行しました。これに対して、自民党も公明党も含む全野党は、憲政史上の暴挙として糾弾し、各党間の協議の場を設け、丁寧な議論をやり直すことを提案したのであります。ところが、民主党は、そうした提案を一顧だにせず、全野党の反対で廃案となった同じ法案を昨日提出しました。

党首討論において首相が解散の条件として議員定数削減を発言した途端、民主、自民両党は急遽、議院運営委員会で民主案の委員会付託を決定し、本委員会の開催を決定し、さらに採決まで予定するというありさまであります。議会制民主主義の土台を決める選挙制度にかかわる法案の審議をかくも軽んじて扱うやり方に、強く抗議するものであります。

そこで、質問します。

最高裁は、二〇〇七年参院選挙に関する定数訴訟判決で、四・八六倍の格差を生み出していることを違憲状態と指摘、最大格差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の見直しが必要で、そして、投票価値の平等の観点から都道府県単位の選挙制度自体の見直しを提起しました。これを受けて、二〇一〇年十二月以来、参院議長と各派代表者による選挙制度改革検討会のもとで協議が行われてまいりました。

そこで、一川さんに聞きますが、協議の出発点は、一票の格差解消のためには都道府県ごとの選挙区という制度そのものを見直すことが不可欠であるということでした。その認識を聞きたいと思います。


一川参議院議員

今回の参議院選挙制度の見直しの件につきましては、平成十九年の通常選挙に関する平成二十一年最高裁判決を受けて開始されたというふうに承知いたしております。

先ほど趣旨説明でお話ししましたように、二十二年の通常選挙前には、参議院改革協議会において専門委員会を設置して検討してまいりました。そういう中で、今の議長のもとでは、選挙制度改革に関する検討会を設置し、また、そのもとに選挙制度協議会を設けまして、約十一回にわたりまして協議を重ねてまいりました。私が与党の代表だということで、座長役を務めてまいりました。

そういう中で、いろいろと協議を重ねてまいったけれども、なかなか各会派の考え方が合意に至る見通しが立たないという中でだんだん時間が経過する中で、私案を提出させていただいたということでございます。


穀田委員

その最後のところはいいので、要するに、出発点というのは、結局のところ、解消するためには都道府県単位のやり方について見直す必要があるということについて、不可欠だということがあったということなんですよ。それは、うなずいていますから、そうだと思うんですが。

私たちが、現行制度の抜本改革が不可欠であることを前提に、選挙制度の基本は多様な民意を議席に正確に反映する制度にすること、それから総定数、比例定数ともに削減すべきではないという立場を表明してきたことは御存じのとおりです。

二〇一〇年十二月二十二日、当時の西岡議長は、制度見直しについて、たたき台、試案を提示しました。その柱は、総数二百四十二とする、要するに削減はしないということ、全国九ブロック単位の比例代表制というものでした。これに対し、我が党は検討に値すると述べ、なおかつ、多数の会派がこれをたたき台とすべきだと主張した。

これは協議の経過であって事実だと思いますが、異存ありませんね。簡単に。


世耕参議院議員

お答えいたします。

西岡議長が試案を提出されたということは、一つのハウスの長として初めて具体的な数あるいは具体的な区割りを示して案を提出されたということで、本当にこれは歴史的な提案だったというふうに思います。そして、これを一つのスタート台として、参議院で協議会を十一回開きまして、議論をやってまいりました。

ただ、やはり、今先生もおっしゃったように、あるいは過去の最高裁判決も認めているように、参議院というのは、選挙区は都道府県代表、そして比例区は職能代表という特徴を持って長年やってきたということ、あるいは、ブロックの割り方自体が衆議院のブロックとちょっと違ったりするということで、いろいろな意見が出て、最終的には成案を得られなかったというふうに考えております。


穀田委員

今もありましたように、歴史的なという意味がありましたが、当時、西岡議長は、総定数については、国際比較の資料を示して、議員定数は世界的に見ても多くないと発言したことは、私も重要だと思っていますし、記憶に新しいところであります。

ところが、ことしの七月、突然、座長の一川さんのもとで私案が示されて、各党が合意に至らないまま、協議が一方的に打ち切られました。さきの通常国会の会期末、八月二十八日、一川私案に基づく四増四減法案を民主党と自民党だけで提出して、一方的に委員会を開催し、わずか三時間の委員会審議だけで参議院を可決させました。

しかも、四増四減の中身は、四・七四六倍もの格差を容認するもので、投票の価値の平等という憲法上の要請に応えるものでないことは明らかであります。これまで行われてきた各党間の協議の中でも、民主党は二・九六七倍、自民党は四・四八一倍という案を示していたはずであります。それがどうして格差拡大を容認することになったのか、簡潔にお聞きしたい。お答えください。


一川参議院議員

私たちは、先ほど言いましたように、各会派の幹事長クラスが参加しての協議会で議論を重ねてまいりまして、各会派のいろいろな考え方を持ち寄って意見交換をしてまいりましたけれども、なかなかそれが収束する見通しが立たないという中で徐々に時間が経過し、片や、衆議院の方でも選挙制度のいろいろな検討がなされているという状況の中で、私たちは、この協議会をスタートするときに、各会派の皆さん方の合意として、前国会中に一つの成案を得ようということで、そこのところは合意をしておりました。ですから、だんだん時間が経過する中で、ひとつ、座長として思案をする中でまとめていこうということで取りまとめをさせていただいたということでございますので、御了承を願いたいと思います。


穀田委員

なかなか了承できないです。

前国会で参議院において四増四減案が可決された後の十月十七日、最高裁の大法廷で、一〇年参院選における最大五・〇倍の格差を違憲状態とする判決が出されました。〇七年参院選における判決よりも踏み込んで、今回の判決は、単に一部の選挙区の定数を増減するにとどまらず、都道府県単位で選挙区の定数を設定する現行の方式を改めるなどの立法措置を講じ、できるだけ速やかに不平等状態を解消する必要があると、四増四減案を事実上批判しています。

この指摘をどう受けとめていますか。


一川参議院議員

私たちは、協議会で議論を重ねている間におきましても、最高裁の判決を控えている中で、恐らく判決の中でも厳しい判決が指摘されるのではないか、ある程度のそういう問題意識は持っておりました。

そういう中で、私たちは、当面違憲状態を回避したいという中で四増四減案をつくり、一方、次の次の選挙、二十八年の通常選挙までには抜本改革をやる、しかも結論を得るということを法律の附則の中に明記させていただいたということでございます。


加藤委員長

時間が来ていますので、手短にお願いします。


穀田委員

そういう形で附則に明示したからいいんだというような話はあきまへんで。

結局、四増四減案というのは、これまでの各党間の協議を無視し、抜本改革実施を先送りすることであることは紛れもない事実です。この間の参議院の議論の経過からしても、さらに、最高裁の判決があるもとで、このようなびほう策については許されない。

私は、協議の出発点に返って、制度そのものの抜本改革を進めるべきであるということを改めて指摘して、終わります。