被災地における高速道路無料化問題について質問

2012年03月21日


穀田委員

まず最初に、被災地における高速道路無料化問題について聞きます。

宮城県議会で、三月十六日、被災地域の高速道路無料化措置の継続を求める意見書が全会一致で採択されています。内容は、一つは、被災地域の高速道路無料化措置を国費により引き続き実施してほしい。二つ目は、被災地の復旧復興に協力しようとするボランティアの車両については引き続き無料化をということです。

これは壊滅的被害を受けた被災地域の早期復旧復興を実現するために、当然と私は思います。そこで、要望に応えた対応が必要だと思うんですが、いかがですか。


菊川政府参考人

お答え申し上げます。

二点、東北地方の高速道路の無料開放の話、それから、ボランティア車両の無料化についての御質問でございました。

まず、平成二十三年度の第三次補正予算によりまして、昨年の十二月一日から実施しております無料開放でございますが、大変厳しい財政状況ということで、平成二十四年度の予算としては計上されておりません。

四月以降の無料開放の扱いにつきましては、特に原発事故による避難者を対象にした支援などについて、現在の措置の見直しを含めまして、今、高速道路会社と検討を進めているところであります。

それから、ボランティア車両を含む災害派遣等の従事車両につきましては、震災直後から、関係自治体と高速道路会社の協議に基づきまして、無料通行措置を実施してきております。現在は、岩手、宮城、福島の三県で実施しております。

四月以降のボランティア車両の扱いにつきましては、これまでの利用実績や制度の趣旨などを踏まえまして、関係自治体あるいは高速道路会社で協議を行って、今、検討を進めているところでございます。


穀田委員

大臣、いずれも協議を行っている、そんな悠長なことをよく言うなあと私は思う。被災地の復興というのは緒についたばかりじゃないですか。瓦れきもたくさん残っているとみんな心配しているときに、関係自治体と高速道路会社と協議中だ、利用実績云々かんぬん。そういう官僚的答弁、官僚的と言っちゃ悪いけれども、ようこんなこと言うてるなと、はっきり言って私は思いますよ。だって、被災地の三県の避難者というのは三十万を超えているわけでしょう。そして、被災地や避難者に対する支援は今後も重要な課題と、何回も大臣はおっしゃっているわけじゃないですか。

そして、ボランティアは要らないのか。そんなことはないですよ。ボランティアはまだまだ受け入れる必要があるし、そのための、被災地復興のための高速道路の料金無料化だったはずですね。これ、三月三十一日が迫っているわけですよ。きょうは何日ですか。二十一日じゃないですか。あと十日しかないんですよ。知らせる必要もあるわけだし、ましてやボランティア車両については、一言もそういう話はせえへんわけやけれども、被災県の要請を受けて、もともと予算措置に関係なく、もちろん高速道路会社と相談する必要はありまっせ、だけれども、無料は大臣の告示に基づいて高速道路会社に実施させてきたものなんですよ。

したがって、期限切れの三月末も迫っている、そういうことで、やるというぐらい言ってくれなければ立つ瀬がないですよ、各県議会だって。どうですか。


前田国務大臣

一年十日になりますけれども、この間、ボランティアの方々がどれだけ大きな役割を果たしていただき、また被災を受けた方々が勇気づけられたことか、その辺のところは、本当にありがたいことでございます。

今、道路局長から答えました。もちろん関係者があるわけでございますから、鋭意協議を続けておりますが、ある意味まだ十日もありますので、必ずちゃんとした答えを出してくれと要請しておりますので、もうしばしお待ちをいただきたいと思います。


穀田委員

この問題は、他党からも一番目の話がありまして、それで検討すると言って、あれからもう過ぎてますねんで。こういうときだけはいつも周知期間とかなんとか言って、やるときはどうのこうの言って、こういうのはすぱっとやってくれないと、しかも、そういう方々が新しい年度を含めて、希望してやろうとしている、そういうときじゃないですか。そういうときに希望を与え、次からもやるという話を、大臣がそれこそすぱっと、まだ十日もありますではなくて、十日もあるけれども、さっさとせなあきませんわなというのが筋やと私は思いまっせ。(前田国務大臣「そういう趣旨です」と呼ぶ)では、やってもらうということにします。

それから二つ目に、本法案について議論したいと思います。

先ほどもありましたけれども、東日本大震災で、東京初め首都圏で五百十五万人もの帰宅困難者、滞在者が発生したことを踏まえて、首都直下大地震に備えて大都市部の防災対策を強化することはまさに緊急の課題です。帰宅困難者が集中する大規模駅とその周辺を防災エリアとして対策を強化し、自治体やビル所有者、鉄道事業者などが協力して、避難経路や避難場所、食料等の備蓄倉庫を確保するなどは非常に大事なことであって、必要な対策だと思います。そういう立場から、私ども、この法案には賛成したいと思います。

だけれども、問題は、それを確実に実施するかどうか、実効性を伴うものになっているかどうかということが肝心だと思うんですね。その観点から質問したいと思います。

法案は、安全確保計画の策定や協議会への参加などは、いわゆるできる規定としています。協議会や安全確保計画の対象となるのは都市再生緊急整備地域だけれども、おのおのの地域は、大規模主要駅があるなど帰宅困難者や滞在者が集中する地域です。当然、防災上も重要な地域であって、大震災発生時には必ず大混乱が起こるということが確実視される地域であります。そういう重要な地域なのだから、安全確保計画の作成は絶対に必要です。だから、できるじゃなくて、きちんと義務づけるべきじゃないのか。それはいかがでしょうか。


加藤政府参考人

お答えします。

都市再生緊急整備地域は、六十三地域指定されておりますが、これはもともと、都市開発事業等を通じまして、緊急かつ重点的に市街地の整備を図るということでやってきておるわけでございますが、今までのところ、各地域によって都市機能の集積程度には差がございます。したがいまして、大規模な災害が発生した際の想定としても、非常に大きな麻痺が起こるというところもあれば、比較的そうでもないといったようなところもございまして、一律ではないというふうに考えております。

また、自発的な民間主体の取り組みとしても、例えば東京駅ですとか新宿駅などの駅周辺等の地域単位での防災対策は、任意の協議会等が既にスタートしておりまして、その中でいろいろな取り組みをされているところであります。したがいまして、そうした取り組みを取り込んだ形で、今回提案しております都市再生安全確保計画をつくっていただくということが実際上有効なのではないか。

したがって、一律に、また画一的に計画の策定を義務づけるのではなくて、今申し上げたような民間主体の動きのあるところを支援した方がより効果的であるのではないかというふうな考え方によるものでございます。


穀田委員

それは誰が考えても意見が違いますよ。そんなふうに誰も思いません。一律的な話をしろと言っているんじゃないんです。

大体、できる規定だということは、普通皆さんがその内容を見ますと、つくらなくてもいいという印象も受けるんですよ。絶対につくらなければならないと義務づけなければ国民の不安は拭えないわけです。それで、民間に任せておけばというふうな、もちろん、そこがやっていることについては当然いいことですよ。だけれども、では、自分のところの地域はどうなっているという話を多くの方々は知るはずがないじゃないですか。だから、国民の不安はなかなか払拭できないということになるんです。

では、もう一つ聞きます。

鉄道事業者や施設所有者を協議会の構成員に加えることができると、これまたできる規定なんですね。では、入らなくてもいいのかとなります。大規模駅や周辺の大規模集客施設には、当然、帰宅困難者などが集中します。その帰宅困難者というのは何なのかというと、鉄道事業者や大規模集客施設の利用者じゃありませんか。その方々を安全に誘導したり、退避場所を提供したり、安全を確保するのは事業者の当然の責務であって、仕事じゃありませんか。東日本大震災のときに、駅のシャッターをおろしたりして利用者を締め出したなんということがあったけれども、とんでもないことです。

大体、鉄道事業者や施設所有者等については協議会にきちんと入ってもらって、社会的責任を果たしてもらう必要がある。その意味からも参加を義務づけるべきではないのか。いかがですか。


加藤政府参考人

お答えします。

都市再生緊急整備協議会は、国、地方公共団体が入って組織するものです。したがいまして、ただいま穀田先生がおっしゃられましたように、確かに法律上は、参加できる者として、鉄道事業者ですとか大規模ビルの所有者等を掲げておりますが、これは制度上のたてつけとして、そういう制度構成にはなっておりますが、国も当然入っておりますし、先ほど申し上げましたように地方公共団体も入っております。したがいまして、御懸念のようなことがないように、国としても強力に参加の呼びかけをしていきたいというふうに考えております。


穀田委員

誰がそんなの信用しますかいな。懸念のないって、懸念があったから言っているわけじゃないですか。実際に締め出したところがあったわけでしょう。そういうことをよう言うなと思う。国が入ったからって、民間企業に対しては、それは民間企業がお決めになることですといつも言うてはりますやんか、前田さんは。こういうときだけ、そんな適当な話をしたらあきまへんで。

やはりそういうお願いベースで言っている限り、帰宅困難者対策を確実に実施できるのかというのは疑問を抱かざるを得ません。だから私はここに実効性があるのかという問題を指摘しているんだということを見ていただきたいと思うんです。

先ほど、加藤さんは、こう取り組んで進んでいるとかなんとか言っていますけれども、新聞はどう言っているか。首都圏と中部、近畿圏の九政令指定都市と東京二十三区で、そういう協定を交わしたところは八区市の八十三事業者にとどまっていると。日本に何ぼ事業者がありますかいな。ごまんとありまっせ。それがこんな、八十三しかやっていないものを、それでいいんだみたいに話しておったら誰が信用しますかいな。

だから東京都の条例だって、大規模な集客施設、駅等の利用者保護も努力義務として、一応ここは義務という言葉を使っているんですよ。もちろん法律的には、義務と努力義務とできるとは、大した違いはないとかいろいろあるでしょう。だけれども、できるというよりも、少なくとも責任を求めるという感じがします。ここにやはり基本的な考え方の違いがあるんじゃないかなと私は率直に思います。

そこで、東日本大震災の余震が相次いで、気象庁も、今後もM七クラスの地震が発生するおそれはある、こう警戒を呼びかけています。そして、首都直下地震でも震度七の揺れが生じる可能性が指摘されていて、何かというとインセンティブ、何かあればこれでできますよというんじゃなくて、先ほど言ったように、本来、そういう方々の安全を守るというのは、人を集めている、それから利用してもらう、そういう人たちの責務だという立場から詰めていかなければならないということをあえて言っておきたいと思うんです。

次に、実際起こる問題について少し問いたいと思います。混乱の防止、避難経路、退避施設にかかわって、高齢者や子供、障害者などのいわゆる災害弱者対策の問題であります。

ある自治体の災害時要援護者対策のマニュアルで、視覚障害者の災害時のポイントという項を見ますと、「白杖を使用して周囲の安全を確認する。」と、視覚障害者本人に向けアドバイスをしています。ところが、東日本大震災当日は全体の混み合いが大変だったものだから、視覚障害者は白杖が使えなかった、白いつえを使うことができなかったと証言しているんですね。

また、聴覚障害者からは、外見からすぐわかるというわけではない、わかりにくい、だから災害時に、耳が聞こえないことを周囲に知ってもらわなければ情報を得ることができないということが述べられています。

首都直下地震帰宅困難者等対策協議会では災害弱者対策が議論されていますか。

〔委員長退席、小宮山(泰)委員長代理着席〕


長谷川政府参考人

お答えいたします。

今お話がございました首都直下地震帰宅困難者等対策協議会でございますけれども、障害者、高齢者、妊婦、または乳児を連れた方などのいわゆる災害時要援護者が帰宅困難者となる場合の対応につきましても、もちろん検討の対象といたしております。

その上で、三月九日に中間報告が取りまとめられておりますけれども、まだ中間報告でございますので、具体的な細かい中身にはなっておりませんが、この中で、例えば、大規模集客施設や駅などにおいては、その施設内の待機に係る案内あるいは安全な場所への誘導手順を検討する際に、災害時要援護者への対応についてもあらかじめ検討しておくこととか、それから帰宅困難者等の一時滞在施設の運営体制を定める際には、やはり災害時要援護者への対応をあらかじめ検討しておくこととか、あるいは帰宅困難者の搬送に際しましては、帰宅困難者の全てを搬送することは現実的ではございませんので、災害時要援護者を中心とした搬送を優先的に検討していくことなどをとりあえず盛り込んでいるところでございます。

今後、この協議会におきまして、これらの課題に対する具体的な対応についても検討を進めてまいりたいと考えております。


穀田委員

今のお話を聞いてわかるのは、今後の検討課題とされているということが結論なんですよ。

それで、搬送の問題がありましたけれども、これは当たり前のことなんですね。問題は、搬送というのはいつ起きるか。いいですか。まず救助活動を行います。それらが一旦落ちついてからでないと搬送というのはできないんですよ。だから、この帰宅困難者の原則というのはどういうことかとお聞きすると、まず動かないでくれ、こうきます。そうすると、動かないでくれというときから搬送までの期間をどうするかという問題なんですよ。それはやはり、情報提供や、そういう意味での滞在施設におけるどういう配慮が必要かとか、それから安全対策、先ほどありましたけれども、待機場所への誘導。先ほど私が問題提起しましたように、聴覚障害者、視覚障害者、さまざまな方がおられます。そういうものをしっかりとやらなければならない。

なぜ議論になっていないんですか。


長谷川政府参考人

この協議会はたしか昨年の九月ごろからやっていると思いますけれども、これまでに何回か会合を行いまして、ようやく最近、中間取りまとめまで来たところでございます。

そして、今後、例えば帰宅困難者のガイドラインですとか、幾つかガイドラインづくりをしていきたいというふうに考えておりまして、そういった中で具体的な方策等についても検討してまいりたいと思っております、まだ最終報告ではございませんので。


穀田委員

最終報告でない、中間報告だというのは知っていますよ。だけれども、報道などでは、内閣府担当者は「帰宅困難者全体の数が大きいので、まずは健常者の対策をまとめる」という報道まであるぐらいなんですよ。だから私は懸念を提起しているんですよ。

それで、検討課題だと。それは検討課題なのはわかっているんですよ。どういう議論をしているか。議論をしていないじゃないかと言っているわけですよ。しかも、今の話を聞いていると、先ほどの報道を見ましても後回しという印象を受けるわけですよ。私は、より困難をしょわされている障害者など、災害弱者の視点の立場から帰宅困難者対策を考えるべきだ。少なくとも、同時に対策を考えることこそ基本にすべきだ。

では、もう一点聞きます。過日実施された帰宅困難者対策訓練では、障害者対策は実施されましたか。


長谷川政府参考人

お尋ねの、二月三日に東京都などが主催しました帰宅困難者対策訓練のことだと思いますけれども、一時滞在施設への円滑な誘導の検証などが行われたとお聞きしております。

その中では、災害時要援護者を念頭に置いて、例えば外国人に向けた、英語によって、むやみに移動しないことを呼びかけることですとか、あるいは、お話にもございましたが、さまざまな情報提供手段を用いて、高齢者にも活用しやすい手段は何であったかなどを検証するといった項目が訓練されたと伺っております。


穀田委員

何回聞いても、要援護者というけれども、外国人の話とお年寄りの話は出るけれども、障害者の話は必ず出ないわけです。本当にいつも、彼はわざと言っているわけじゃなくて、ないからこういうことになるんですよ。

中央防災会議の総合防災訓練大綱はどう言っているかというと、災害時要援護者の避難支援訓練として、「災害時要援護者本人の参加を得ながら実施し、」とわざわざ書いているんですよ。しかし、私が、全国でやっているときに実際どれだけ参加しているんだと聞くと、内閣府の防災担当に聞いても、わからないということなんですね。だから、ほとんど行われていないんじゃないかと私は推察します。

阪神・淡路大震災のときに、障害者に広くアンケートを行って、災害時における障害者への対応を研究した日本障害者リハビリテーション協会は、今後の課題として次のように述べています。九五%の人が避難訓練をしたことがなかった、そして、健常者と障害を有する人々と共同で訓練をする必要がある、こう指摘しているんですね。

この際、私は、安全確保計画の中に災害弱者対応をきちんと位置づけることが重要じゃないか。あわせて、首都直下地震帰宅困難者等対策協議会の構成メンバーに参加してもらうとか、ワーキングチームをつくり対策を練るとか、こういったことが必要じゃないでしょうか。これは大臣に伺っておきたいと思います。


前田国務大臣

ぜひ検討をさせていただきます。


穀田委員

今後の検討課題みたいにせずに、必ず議論をしてこれは入れると、これぐらいのことを、だって、肝心の当事者の話が聞けない、当事者が入らない。それは全体の会議かどうかというのは別ですよ。見ていると、これ全部、実施する側なんですよ。いわば避難する方々、帰宅困難者の意見をどう反映させるかという観点から物を言っているんです。いかがですか。


前田国務大臣

御趣旨はよくわかりますので、国土交通省限りというわけにはいかない面がありますので、その辺、しっかり協議をさせていただいて、御趣旨のことを取り入れていきたい、こう思います。


穀田委員

趣旨を入れていただくということなので、今後、少しこれは見守りながらやっていきたいと思うんです。

やはりこれは、平常時にバリアフリーがどれほど進んでいるかということの試金石なんですね。肝心なときにどうなるかという問題なんですよ。そこは指摘しておきたいと思います。

この法案の問題点、最後に一つ、二つ言っておきたいんです。

これは、人がたくさん集まる地域の対策を考えたものなんですね。そこで聞きますが、一日当たり乗降人員が二百五十万と日本で三番目、ターミナル別帰宅困難者数が八万五千人と日本で五番目とされる池袋駅は対象になっていますか。


加藤政府参考人

現時点では、池袋は都市再生緊急整備地域に指定されておりませんので、本法案に基づく計画は策定できないこととなっております。


穀田委員

なっていないということでしょう。

それで、いただいた資料を見ますと、例えば、北千住百五十万人、六位、高田馬場八十八万人、十位、埼玉大宮駅六十万人、十五位、上野駅五十七万人、十六位、これは全部対象外なんですね。

今お話ししたように、都市再生緊急整備地域のほかにも大規模駅は存在しているわけですね。だから、緊急整備地域内に限定せずに、実際と実情に合わせてエリア防災地域を定めるべきではありませんか。


加藤政府参考人

都市再生緊急整備地域に指定されていない地域についても、都市再生とあわせた避難者、帰宅困難者対策の必要性が高い場合には、新たな地域指定は可能でございますので、それについては、地元の公共団体の意向も踏まえて検討していくことになるものと考えております。

それ以外の地域については今回の法案の対象にはなりませんけれども、同じように地方公共団体が地域防災計画に基づいていろいろな取り組みを行っておりますので、それについては、今回の施策に倣って、各種の支援方策を講じてまいりたいというふうに考えております。

〔小宮山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕


穀田委員

やはり、今の考え方でいくとうまくいかないですよ。

この法律は、もともと、規制緩和等による大規模な都市再開発を促進することを主な目的にしているんですよ。だから、そのために建築物の安全確保等を目的にした建築基準法の容積率規制などについて緩和策がとられてきたんですね。片や、防災対策を確実に実施しようとすれば、建築物の耐震基準など安全規制の強化が重要になってくる。だから、これまでの規制緩和の方向を変えずに規制的側面の強い防災対策を実施しようとしても実効性は確保されない、ここが最大の問題なんですね。

したがって、私はやはりこの機会に、大規模地震時の避難者対策や帰宅困難者対策については、災害発生時に確実に機能させるようにするために、災害対策関係法として位置づけた法制とすべきではないかと思うんですが、いかがですか。大臣と言っているんだから、せめて副大臣が答えてくれなくては。


加藤政府参考人

済みません、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

地方公共団体は、災害対策基本法に基づきまして、当該地方公共団体の地域に係る防災計画であります地域防災計画により、当該地方公共団体の住民の安全確保を中心とした防災対策を進めてきたところでございます。

一方、大都市の交通結節点など都市機能が集積した地域におきましては、その地域の存する地方公共団体の地域の外からの就業者、来街者等が多数存在いたします。また、大規模震災が発生した場合には、人的、物的被害も非常に大きくなるというふうに予想されます。

したがいまして、今既にございます都市再生特別措置法に基づく、国や地域の民間事業者等も参画した協議会の枠組みを活用して、民間都市開発と連動した施設整備等の対策を講じることが効果的だと考えておりまして、今回、都市再生特別措置法の改正により措置しようとするものでございます。

また、都市再生特別措置法の目的の改正も、今回あわせて行わせていただいておりまして、都市の防災に関する機能の確保を明示することとさせていただいているところでございます。


穀田委員

どう言おうがこう言おうが進んでいない。そういうことをやって、結果、進んでいないということは先ほど言ったとおりなんですよ。そこの最大のネックは、大型の都市開発を促進するという法律の中に防災を当てはめることから無理が生じているんですよ。

私どもは、そういう意味でいえば、現実的に処理する必要があるから、実際のエリアの状況を踏まえてやるべきだ、こういうことまで提案しているんですよ。

ところが、あなた方はどうなっているかというと、都市再生本部がまとめている人口・機能集積エリアにおけるエリア防災のあり方とりまとめという中で、規制手法ではなく、エリア防災への協力に対するインセンティブを付与することで取り組みを促進してもらうとしています。

結局、実効ある防災対策の手法が問題になっているわけですよ。誘導策、これで少し、何かやってくれたらやります、そういう餌という言い方は悪いけれども、そういうやり方じゃなくて、まず根本的に考え方を変えないとだめです。防災、地域住民を守るということから、国からいえば国民を守るということが必要です。

最後に、私、一言だけ言っておきたいと思うんです。

この際、大規模駅だとか大規模集客施設、そういうことが計画される大規模再開発事業の地域については、やはりエリア防災を強化する上で、計画段階から、環境アセスと同様に、防災対策に関する環境影響評価、すなわち防災アセス、こういうものを実施するよう義務づける仕組みが必要じゃないかということを提案して、終わります。