外務委質疑② 核抑止力論、日本政府が国連に提出した「核兵器関連決議案」を事実に基づいて批判

2020年11月16日

13日に行った外務委員会質疑の続報・第2弾

私は、日本政府の核兵器禁止条約の批准を求め、政府の「核抑止力」論を批判し、日本政府が国連に提出した核兵器に関する決議案の内容と各国の反応をただしました。

国連で2017年7月に採択された「核兵器禁止条約」の批准が50カ国に達し、来年1月22日に発効することが確定。ところが、菅内閣は「条約に署名する考えない」と繰り返し、背を向ける立場を示し、「日本政府は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取り組みをリードする使命を有している」というなら、従来の態度をあらため、速やかに条約を署名し、批准すべきではないか、と質問。

茂木敏充外務大臣は、「我が国を取り巻く安全保障環境が、いっそうの厳しさを増す中で、抑止力の維持・強化を含めて、現実の安全保障上の脅威に適正に対処しながら、地道に現実的に核軍縮を前進させる道筋を追求していくことが適切と考える」と答弁。

 

 

私は、日本政府提出の核問題の決議案についてもただしました。

私は、「茂木大臣は11月4日の衆院予算委員会で、10月15日に提出した決議案について『おそらく、昨年よりも多くの国の賛同を得て採択されることになる』と答弁した。ところが、(国連)第1委員会での採択結果は、『昨年よりも多くの賛同を得る』どころか、昨年に比べ、「賛成」が9カ国減って139カ国。「共同提案国」も30カ国減って26カ国。その逆に「棄権」は7カ国増えて33カ国。「反対」も1カ国増えて5カ国になったではないか」と指摘。
茂木大臣は、「予想通りでなかったことは率直に認めたい。真摯に受け止める」と答弁せざるを得ませんでした。

國場幸之助大臣政務官に対して、「日本の決議案に『棄権』した33カ国の中には、NATO加盟国はフランス以外はないか」と質問。

國場大臣政務官は「ベルギー、カナダ、ドイツ、オランダ、ノルウェー及びスペイン」と回答(写真下)。

私は、「日本政府の国連決議は、核兵器廃絶を「究極目標」としている。この「究極」論は、2000年のNPT再検討会議で、非核保有国の厳しい批判によって、核兵器国が取り下げざるをえなかった「破綻済み」の主張だ」と結論づけました。

 

 

私は、「核抑止力」について、政府の見解を厳しく批判しました。

河野前外務大臣のブログで、「(核兵器)禁止条約への参加は『日本国民の生命や財産が危険にさらされても構わないと言っているのと同じだ』と述べているが、茂木大臣も同様の見解か」と問い、さらに河野氏は「もし核を使えば自らも同様の、あるい、それ以上の堪え難い報復にあうと認識させることが必要」「こうした考えが抑止という」とも述べているが、どうかと質問。

茂木大臣は「ニュアンスが違う」と述べるだけでした。

私は、政府が立脚している「核抑止力」論なるものを次のように批判しました。

核抑止力とは、一体何か、いざという時には核兵器を使用する、核のボタンを押すというのが抑止力の本質だ。すなわち、いざという時には、広島・長崎のような非人道的な惨禍を引き起こしても許されるという立場だ。被爆を体験した国が、その惨禍を他国に与えてよいとすること自体が、非人道的であり、反道徳的と言わねばならない。いったいどういう理由で、広島・長崎を再現することが許されるのか

 

 

茂木大臣は「使わせないようにする。そのために抑止がある。核兵器等を使わせない、それによって非人道的な惨劇が起こらないような状態をつくるために、抑止というのが存在していると思う」と答えました。

 

 

私は、核兵器禁止条約は「核兵器の使用の威嚇」すなわち「いざという時に使うぞ」という脅しによって安全保障を図ろうとする核抑止力も禁止している。世界の多数の国が、この流れに合流しているときに、唯一の被爆国である日本政府が、「核の傘」にしがみつき、これに背を向ける態度は、極めて異常だ。このような政府が「唯一の戦争被爆国」を看板にして、「橋渡し」を説くのは欺瞞そのものであり、核保有大国の「お先棒担ぎ」でしかない、と指摘しました。