「これでいいのか京都!京都の現在と未来を考える懇談会」(私の報告要旨を掲載)

2019年12月9日

 

8日、「これでいいのか京都!京都の現在と未来を考える懇談会」にパネリストとして参加し、報告しました。パネリストは、私の他に中島晃・弁護士、中林浩・神戸松蔭女学院大学教授が務めました。

京都が京都であり続けるための、まちづくりの意見交換としてとても有意義な会合でした。

 

待ちシンポ こくたうっぷ

 

私は、まず「現市政のもとで何が起こっているのか」について、3つの角度から述べしました。
第一に「現京都市政が規制緩和・大型開発と自治体財産の投げ売りで、大手資本へ奉仕する市政である」こと、
第二に「この市政が市民の暮らしと営業に重大な打撃を与えている」こと、
第三に、いま「京都が京都でなくなる事態に遭遇している」との3つの点について、事例を挙げ端的に紹介しました。

とくに、「インバウンド頼みの政策に傾注していることによって、本来の経済対策がおろそかになり、京都経済の落ち込みが激しい」こと、「急激な地価高騰で、お年寄りも若者も住めないまちとなりつつある」ことを強調しました。

 

待ちシンポ 全景

 

その上で、「まちづくりとは何か」として、「住民が主人公か、資本の儲けが第一か、これがまちづくりの一貫した対決の軸」であると指摘し、同時に、「住民の自治、運動と結んで共同を広げれば、こうした事態を変えることができる」と力説しました。
また、「現在の、住民の声や意見に耳を貸さない市長ではなく、来春の2月2日には、福山和人市長の実現で、住民に冷たい京都市政を変えよう」と呼びかけました。

 

待ちシンポこくた

 

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途中、懇談会の会場でもある聖護院の門跡・門主の宮城泰年師があいさつ。「仏教人として、みなさんと心をともにし、50年後、100年後に誇れる京都、その歴史と景観を守っていきたい」と強調されました。

 

宮が泰年

 

また、福山和人京都市長選予定候補があいさつ。「京都市が、官邸の言うがままの観光政策、インバウンド政策をとったことにより、外資や東京、大阪の大手資本が高級ホテルを建設しているが、京都市民には何の恩恵もない。それどkろか市民が住めない、暮らせないまちになっている。その苦しみに向き合おうとしない姿勢になっている。市政のあり方が根本的に間違っている」と指摘し、「市民の暮らしと京都を守る市政をご一緒につくろうではないですか。あと2ヵ月、市政転換のために全力を尽くします」と決意を述べました。

 

福山和人

 

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以下は、報告要旨です。

「これでいいのか京都!京都の現在と未来を考える懇談会」での報告。

一、現市政のもとで、何が起きているのか

(1)規制緩和・大規模開発と自治体財産の投げ売りで大手資本への奉仕の市政

都市再生特別措置法(2002年制定)に基づく、「都市再生緊急整備地域」の指定。都市計画の規制緩和。民間資本が自由に開発を進められる地域が短期間に12㌶から162㌶へ。京都駅周辺で、三エリアで再開発プロジェクト。大手資本へ土地と空間を提供。
 小学校跡地等も次々とホテル建設に提供。愛着の番組小、外観の保存約束も反故に。
 清水小(東山) ―― 契約事業者は、NTT都市開発(東京)とプリンスホテル。
 立誠小(中京) ―― ヒューリック(東京) *無鄰庵西側もヒューリック社。
 白川(元粟田)小(東山) ―― 住友商事(東京)
 植柳小(下京) ―― 安田不動産。タイ、ラグジュアリーホテル「デュシタニ」建設。

(2)市民の暮らしと営業に重大な影響と打撃
①京都の経済がいびつに。京都の「モノづくり」と産業が衰退。インバウンド頼みで、ほんらいやるべき経済対策を怠った結果
 ■京都の大企業上位10社の内部留保 ―― 2012年5兆7264から、2018年8兆2559億円(1・44倍化)
 ■事業所減少―― 政令市ワースト2(1位は大阪)。毎年700件倒産。2009年比でマイナス12・7七%(2016年、総務省「経済センサス」)。
  →1991一年比で事業所減少率マイナス31・3%。25年間で事業所は三分の一激減
  →小売業事業所数、1997七年2万0257が、2016年1万3765。33%減
 ■働く人々の現状はどうか?
  →勤労世帯一世帯あたりの1ヵ月の実収入――2013年57・3万円が、2017年43・2万円(マイナス14万円)、同消支  出はマイナス8・3万円
  →非正規雇用率 ―― 政令市ワースト1。42・0%(2017年、総務省「就業構造基本調査」)
②ホテルの建設ラッシュ、地価高騰と若い世代の市外流失
 ■路線価四年連続高騰 ―― 2019年の最高路線価は上京、左京、中京、東山、下京、右京、伏見で急上昇。最高は東山が前年比43・5%の異常な上昇
 ■京都市内からの流出(乙訓を含む府南部、滋賀、大阪との転出入) ――2018年は、20歳代2145人流出超過、子育て世代の30歳代では、1349人流出超過。2016年に30歳代で1183人の流出超過が問題になって以降、この傾向が加速。 ③交通混雑と渋滞問題(住民の切実な思いが、井戸端会議風に語られるほど沸騰している)   

(3)「京都が京都でなくなる」事態に遭遇している
①景観破壊と粘り強い住民の闘い→京都が「新景観政策」に示されるように、ホテルなどの高さを規制し、三方を山に囲まれ、自然景観と一体にした歴史的なまち並みを保存し続けてきた。国内外から高く評価され世界的な観光都市となってきた。いずれもが住民の努力でまちと住民の住環境がこれまで守られてきたこと。下鴨神社、無鄰庵、仁和寺等々。
②観光公害(アベノミクス観光政策による弊害が如実に)
 ■外国人宿泊観光客数――2010年98万人が、2018年450万人へ急増。しかし、ホテル、旅館など観光関連産業の法人市民税は前年比6000万円の減少(二〇一八年度)
 ■日本人観光客数は、2015年の4156万人から、2018年3338万人に激減。京都観光の「満足度」が明確に低下している。
 ■住民追い出し、地域コミュニティの破壊→簡易宿所(2014年460、今2990)やヤミ民泊(2000)周辺での騒音、ゴミ散乱、宿泊客とのトラブル等、防犯や火災の不安。

一、まちづくりとは何か
(1)住民の営み、生活と生業を基本に考える。住み・生きる・安全は不可分の要素。
 総称して「まちづくり」。町並みと景観・自然だけと違う。
  「まちづくりは、まちのあり方を求める自治の領域です。・・・住民の合意にもとづき、住民が決定し、住民が責任を負う領域のこと」(「まちづくり都市 金沢」山出保)
(2)京都経済とまちづくりは、深く結びついている。経済との相関関係。
 大都市で古い都で、訪れたい都市。観光産業。伝統・地場産業が広く根付いている。
 職住一体のまち。寺社仏閣のまち。
 学問、文化・文化財と自然の調和。(世界遺産と環境 →三山に囲まれた京都の景観)
(3)「住民が主人公」か「資本の儲け第一」かが、まちづくりの一貫した対決の軸

一、私たちの提案。市長が変われば、市民の暮らしと京都のまちを守ることができる
(1)根本姿勢の問題。「住民が主人公」の立場を堅持すること。
 まちづくりへの住民参加の制度を確立する
(2)住民の自治・運動と結んでともに歩むところに最大の特徴と強み。共同を広げる。
 市長ができること。政治的アピールが最も大事だ
 観光の目的・理念を「住んで良し、訪れて良し」への施策転換。(客・ホテル)総量規制
  「良く保存された自然環境や文化遺産は、非常に貴重な観光資源である。観光はそれらの破壊者ではなく、保護者となるべきである」(観光審議会答申)
 公共交通優先、市内へのマイカー流入規制。
 公有地の住民の意見を第一にした公共的活用。
 新景観条例に基づく施策の実行。都市計画の規制緩和、大規模開発計画の見直し。
(3)経済行政の根本的転換が可能になる。
 モノづくりのメッカ京都経済の再生のため「中小企業振興基本条例」の制定。
 公共事業のあり方の転換と自治体の目的の「福祉の向上」での社会保障の下支えこそ。
  京都では、高速道路、北陸新幹線は中止の言明を。
 インフラ(社会基盤)整備は、防災・減災を柱に。公共施設、道路、橋梁、河川の老朽化対策=維持・更新事業こそ最優先すべし。
 国保料の引き下げ。学校給食。子育て支援。学生支援の独自策など。
 防災のまちづくり。消防力の強化、災害対策関連の部署の充実。
 公契約条例の制定。
 ユネスコ世界遺産、文化財の保護

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