18日、「京まちシンポ~京のまち いまと明日を考える」で報告

2018年11月20日

 

18日、京都市内で「京まちシンポ~京のまち いまと明日を考える」が開催されました。

シンポジウム冒頭で、二人が問題提起。私は、「京都のまちづくり」「京都における観光と民泊」などについて報告を行いました。問題提起の概要を後段で紹介しておきます。

 

京まちシンポ こくた

 

続いて、山中渡京都市会議員団長が、「いま京都市で何が起こっているか」をテーマに、京都市の開発とまちこわしの現段階についてまとまった問題提起を行いました。

 

kyoumatisinpo

 

*******

 

シンポジウムでは、この間の各地のまちづくり運動の到達が反映され、たくさんのみなさんに発言いただきました。また助言者として中島晃弁護士、中林浩神戸松蔭女学院大学教授から、「問題提起」を深める立場からの助言をいただき、全体として内容と深まりがあるシンポジウムになったかと思います。ありがとうございました。

 

kyoumati zentai

 

私はまとめの挨拶で、「今日の討論を聞いていると、将来への夢が膨らむ思いがします。それは、京都には自治の力が根付いているというか、みなさんが知恵を出し合い、問題打開の方向性を考えあう努力をされている。現場で智恵を尽くし、その努力を交流する。こうした企画を今後も重ねていきたいと思います」と結び、お礼の言葉としました。

 

*******

 

以下が私からの問題提起の項目と概要です。

1、開催の目的:京都のまちづくり・観光について現状と課題、運動方向を自由に議論し方向性を模索

2、「まちづくり」とは何か? ― 景観論争と景観条例の制定の歴史について

(1)住民の営み、生活と生業を基本に考える。住み、生きる、安全は不可分の要素
(2)京都経済とまちづくりは、深く結びついている。経済との相関関係

3、「まちづくり」をめぐるせめぎあいの中心は何か

(1)「住民が主人公」か「資本の儲け第一」か、が一貫した対決の軸
①住み続けることーー追い出し・地上げ等との闘い、生活が豊かになり、生業が発展することが基本でなければならない
②京都のモノづくり・産業が衰退
ア、欠損法人率
イ、激減する中小業者(業種別組合員数の推移)
ウ、大企業の大儲けの実態
エ、京都に住み、暮らす人々は豊かになったか

(2)安倍自公政権と京都市政によるまちこわし
①アベノミクスと京都 ― 大型開発と観光一辺倒(観光立国)。持続的発展に逆行
ア、京都の観光と民泊問題
イ、市内ホテル建設ラッシュと地価高騰 (ホテルの建設ラッシュと相まって ⅰ観光客の飽和状態 ⅱゴミやタバコのポイ捨て、騒音
ⅲ地価高騰と若い世代の市外への流出 ⅳ交通混雑・渋滞問題

②アベノミクスで国と地方のかたちをどう変えようとしているのか
アベノミクスによる、東京一極集中と地方破壊。深刻な京都経済の状況
イ、安倍政権の下、復活が相次ぐ新規・大型開発事業、都市中心部の開発、全国乱開発
ウ、いま、何が起こっているのか(1リニア(京都誘致失敗)中央新幹線を核としたスーパーメガリージョン構想 ⅱ整備新幹線=北陸新幹線延伸(京都のど真ん中)四国新幹線 ⅲ高速道路建設(京都の動き) ⅳ海峡横断道路=下関北九州道路(関門海峡=安倍・麻生道路) ⅴ都市再開発=東京大改造、京都駅再開発 ⅵ観光・物流誘致=大阪万博、カジノIR施設、MICE・巨大物流施設、アクセス道。⑦海外インフラ輸出)

③防災・減災を口実に進められている「国土強靭化」とは何か

④まち壊しを誘導する法的措置と手法
ア、都市再生特別措置法
イ、国家戦略特区都市再生プロジェクト32事業が選
ウ、文化財保護法

(3)まちづくり住民運動の粘り強い展開が、京都を守っている

4、課題と展望

(1)京都経済再生へ(消費税一〇%増税を許さない。深刻な影響=京都中小企業中央会)
(2)公共事業の根本的転換を京都から
①公共事業と言えば新規・大型開発と言う「常識」の転換を。
②インフラ(社会基盤)整備は、防災・減災を柱に。公共施設、道路、橋梁、河川の老朽化対策
③大型開発事業より雇用に役立つ小規模事業、住民生活密着・地域循環型、地元中小零細企業中心へ切り替え、住民の命と暮らしを守り、地域経済再生に役立つ公共事業政策策
④地方自治体の体制、力量の強化は急務(公契約法と条例) 観光対策、「住んでよし、訪れてよしの京都」を根本に据えよう
ア、観光とは何か(観光を通じて平和社会の構築、移動の権利、余暇を楽しむこと、そのための保障をつくる)
イ、観光の目的・理念とは何か(豊かな国民の生活を実現するための「住んでよし。訪れてよし」の国づくり、地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展とも指摘している。
「観光」という非日常を優先するため、住民の「日常」が軽んじられる状況、「良く保存された自然環境や文化遺産は、非常に貴重な観光資源である。観光はそれらの破壊者ではなく、保護者となるべきである」、法的基礎はどこに求めるのか)

(3)違法「民泊」と民泊被害の横行からまちと住民を守る
ア、現状は、違法・無法が増殖(新宿警察)、行政はお手上げ。住民にとって極めて深刻(1住み・暮らす権利が脅かされている。生活権が奪われている ⅱ安全・安心が基本、大前提の旅館業の精神こそ ⅲ民泊新法の下での京都市における「民泊」問題と現在の特徴)
イ、京都の自治の力と、京都市会議員団のパンフ発行の威力(①各町内の運動、マンション管理組合、旅館等々の努力 ②いま市政として何をすべきなのか。ゆるがせにできない諸点 ⅰ、木造密集市街地と火災予防、ⅱ、住宅専用地域対策、ⅲ、マンションでの規制、ⅳ、京都市としての問題解決のための体制強化は待ったなし)
ウ、住民の日々の暮らしを守る「自治」の視点で、観光戦略を考える段階

(4)観光対策の中心に据えるべきものをハッキリと。(「世界観光宣言」)

(5)考え方・哲学。草の根での取り組みの相互交流

5、統一地方選挙。参院選挙での日本共産党の躍進

 

*******

 

11月20日付のしんぶん赤旗・近畿版に掲載されました。

 

20181120 赤旗近畿版