こくた恵二のこだわりエッセー

―― 私の"宝物" ――「作家・井上ひさしさんからのおくりもの」

井上ひさしさん

私の机の中にはある"宝物"が入っている。亡くなった作家・井上ひさしさん直筆の総選挙における私への推薦状と、譲り受けたペリカンの万年筆である。
   推薦状は、遅筆と言われた井上さんが、二〇〇九年総選挙に間に合わせて送って頂いたもの。
   実は、二〇〇三年の総選挙で苦い思い出がある。
   「東京の井上ひさしですが、穀田さんの応援に来ました。いまJR京都駅です。街頭でも屋内でも応援出来ればと思ってかけました」という電話に、私の選挙事務所のスタッフが、「東京の方の応援はありがたいのですが、東京でご活動を」とお断りしたのだった。
   その夜、ゆり夫人から顛末をお聞きし、「『作家の』と言わなかった井上が悪いのよ」との言葉に慰められたが、切歯扼腕すると同時に冷や汗をかいたものだった。    その後、推薦の言葉を頂戴することになった。
   もちろん推薦文は、いつもギリギリだったが、チラシや選挙公報に使用出来た時は、ほっとした。
   ペリカンの万年筆は、一九九七年の暮だったか?神戸新聞ホールで阪神・淡路大震災被災者支援集会の楽屋裏で頂戴した。
   これまた亡くなった作家の小田実さんと三人で懇談した時だった。小田さんが「被災者救援の市民=議員立法運動をずっと一緒にやってきた。「人間の国」めざす熱い"同志"だよ」といつもの早口で笑って私を紹介した。すると、井上さんは「赤旗新聞で活躍をよく知っていますよ」と、被災者の生活再建、公的支援、市民・議員共同立法という新しい試み、国のあり様など次々と話が弾んだ。
   「今使っている万年筆で申し訳ないが、『モノ書きの心』をもらってくれないか、感謝の気持なんだ」と、愛用のペリカンを託してくれたのだ。
   小田さんが「もらっておいたら良いよ」と口添えしてくれた。
   以来、私の宝物として、時々顔を見せては、私を励ましてくれている。

(「中京区後援会ニュース」への投稿)

 

| コメント (2) | トラックバック (0) | Update: 2012/05/18

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コメント

素敵な宝物ですね。
短い文章だけれど、味わい深いですね。
ところで、私も穀田さんのメッセージ入りの絵馬を
宝物にしています。(ウフフ)

 尼たまさん、早速の感想のメールありがとうございます。
 文章をおほめいただき、恐縮しております。
 ただ、私ごときのメッセージ入り絵馬を宝と言っていただくと、少しどころかおおいに、恐縮の連続です。

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