17日外務委質問その①。CPTTPへの英国加入は、酪農に重大影響。//議定書に反対の討論を行いました。

2023年11月19日

 

英国のCPTPP(環太平洋連携協定における包括的及び先進的な協定)への新規加入を認める議定書が17日の衆院外務委員会で、自民、公明、立民、維新、国民などの賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 

 

質疑に立った私は、CPTPPに関連し、酪農業の危機打開(その①として報告)、CPTPPにセーフガードに位置づけられる繊維産業に関連し、西陣織など伝統産業へのインボイス(適格請求書)制度の影響について(その②として報告)ただしました。

 

 

私は、京都府の酪農家の窮状を紹介。「9月は売り上げから飼料などコストを引いて100万の赤字だった」「八方ふさがり。こんな状況が続けば、全国で酪農家は潰れてしまう」「農民運動全国連絡会(農民連)などが求める搾乳牛一頭あたり十万円の支援を緊急に行うべきだ」と主張しました。

 

 

答弁に立った武村展英農水副大臣は、「経営が良好な農家もある」と述べる始末。私は「酪農業の危機を全く理解していない」と思わず厳しく批判し、「日本から酪農の灯を消すなとの立場で対応すべき」と要求しました。

私は、反対討論を行いました。全文を下段に紹介しています。

 

 

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写真下は、反対討論を行う私。

 

 

CPTPPへの英国の加入議定書に対する討論

私は日本共産党を代表して、CPTPPへの英国の加入議定書に反対の立場から討論を行います。
本議定書は、CPTPPが2018年に発効して以来、11か国以外で初めて新規加入を認めるものであり、英国の参加によって、これまでアジア太平洋地域が中心だった自由貿易圏が、欧州にも広がることになります。
しかし、CPTPP体制の拡大は、関税の原則撤廃や農産物の輸入完全自由化など、多国籍企業優先の際限ない市場開放を「国際ルール」として押し付けるもので、各国の経済主権や食料主権を一層侵害するものです。

政府はCPTPPの発効後、日欧EPA、日米貿易協定など、空前の輸入自由化を次々に強行してきました。英国とも日英EPAを発効し、米を含む全ての農産品の関税を協定発効5年後に見直すことを定めるなど、日欧EPAを超える譲歩を行ってきました。
本議定書も、日英EPAでは、ソフト系チーズや一部調製品への特恵税率の適用は「EUの輸入枠に利用残が生じた場合に限る」としていましたが、これらの品目でも、他の締約国と同じくCPTPP枠の利用を認めることで、英国の輸入枠が事実上、拡大するものとなっています。

英国政府の発表によれば、同国は2022年、日本やカナダなどに乳製品を2400万ポンド輸出していますが、CPTPPに参加することで、今後は、「酪農分野で日本などの低関税へのアクセス拡大の恩恵を受けられるようになる」と強調しています。このことからも、CPTPPへの加入を機に、英国が乳製品の対日輸出を強めることは明らかであります。

新型コロナの感染拡大やロシアのウクライナ侵略などに端を発した世界の食糧危機は、食料の6割以上を海外に依存する日本の危うさを改めて浮き彫りにしました。国内農業は、いまや未曽有の危機に直面しており、多くの農業従事者が経営破綻や離農に追い込まれ、とりわけ酪農は、牛乳を「搾れば搾るほど赤字が増える」状況にあり、資金繰りがつかず、倒産・廃業が加速し、自殺者まで出る深刻な事態にあります。

CPTPPなどの貿易自由化一辺倒、際限ない農産物の輸入自由化が、日本農業に甚大な打撃を与えてきたことに何の反省もなしに、さらに本議定書で一層の市場開放を推進することは断じて許されません。いま強く求められるのは、食料の輸入自由化路線をきっぱり改め、食料自給率の向上を国政の柱に据え、価格保障や所得補償など、政府の責任で大多数の農家が安心して増産に励める条件を整えることです。

以上を指摘し、本議定書に対する反対討論とします。