志位委員長、岸田総理に提言「日中関係の打開のために」を申し入れ//『動画』です。

2023年03月31日

 

3月30日、志位和夫委員長は岸田文雄総理大臣と会談し「日中両国関係の前向きの打開のためにー日本共産党の提言ー」を申し入れました(総理大臣への申し入れは2018年以来です)。
申し入れには、小池晃書記局長、田村智子副委員長の両参院議員と私が同席しました。

提言は、日中両国間に存在する紛争・緊張・対立を解決し、両国関係の前向きの打開をはかることを両国政府に求めています。

志位氏は、日中関係をめぐり、会談で、岸田総理に、外交努力によって平和と友好の関係を確立することや、中国当局に拘束された日本人男性の早期解放に向けて力を尽くすことを求めました。
志位氏は、日中両国の間にさまざまな緊張や対立があるのは深く憂慮すべき事態だとして、外交努力によって平和と友好の関係を確かなものにするよう求めました。「日中双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」 2008年の日中首脳会談で合意された原則などを示し、この原則を基礎に日中関係の前向きの打開を図ることが大事ですと述べました。

岸田総理は、諸原則は、現在でも維持している重要な原則」と強調し、安定的で建設的な日中関係をつくるための外交に取り組んでいきたいと応じました。

 

 

志位氏は、日中双方は、この合意に背く行動をとらず、合意を具体化する外交努力こそ必要ですと述べました。

また、中国当局に拘束された大手製薬会社の日本人男性の早期解放に向けて力を尽くすよう求めたのに対し、岸田総理は中国側に早期解放などを求めていると説明しました。

 

 

 

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岸田文雄総理への申し入れ全文です。

日中両国関係の前向きの打開のために

  ――日本共産党の提言 

          2023年3月30日  日本共産党幹部会委員長  志位 和夫

                   

 日中両国関係は、双方にとって最も重要な二国間関係の一つであり、双方が平和と友好のために協力することは、日中両国・日中両国民にとっての利益であるのみならず、アジアと世界の平和と発展にとっての利益であることは論をまちません。

 ところが現在、日中両国間に、さまざまな紛争・緊張・対立が存在していることは、深く憂慮すべき事態です。
いかにして日中両国関係の前向きの打開をはかるか。

 日本共産党は、日中両国政府の間には、次の三つの点で平和と友好に向けた共通の土台が存在することに着目し、それを生かして平和と友好を確かなものにしていく外交努力をはかることを、日中両国政府に呼びかけるものです。

                  (1)

 第一は、2008年5月7日、福田康夫首相と胡錦涛主席の日中首脳会談で交わされた「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」です。

 この「共同声明」では、1972年の日中共同声明、1978年の日中平和友好条約、1998年の日中共同宣言を踏まえて、次の重要な合意を明記しています。
「双方は、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを確認した」2008年の「共同声明」で確認された「互いに脅威とならない」ということは、その後の日中首脳会談でも、一貫して繰り返し確認されています。直近では、昨年11月、APEC首脳会談のさいの日中首脳会談でも、この合意が確認されています。「互いに脅威とならない」との合意が交わされ、一貫して確認されてきていることは、両国関係の前向きの打開のうえで重要な意義をもつものです。

                 (2)

 第二は、尖閣諸島の問題についての合意です。
2014年11月7日に行われた「日中関係の改善に向けた話合い」では、4項目の合意が確認されていますが、その3項目目には以下のような合意があります。
「双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで一致した」

 日本共産党は、日本の尖閣諸島の領有の正当性は、歴史的にも国際法上も明確であるということを、詳細な根拠を示して明らかにする見解を発表しています。そのうえで、この問題の解決方法としては、尖閣諸島について領土に関する紛争問題が存在することを正面から認めて、冷静で理性的な外交交渉によって解決することを主張しています。力を背景にした現状変更の動きに対しては、国際法に照らして強く反対しています。
2014年の両国政府の合意で、尖閣諸島等東シナ海での緊張状態について、日中双方が「異なる見解を有している」――紛争問題が存在することを認めたうえで、「対話と協議」を通じて問題を解決することを確認したことは、道理ある方向です。 

                 (3)

 第三は、日本と中国の双方が参加する多国間の平和の枠組みにかかわる共通点です。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ASEAN10カ国と日本・中国・米国・韓国・ロシア・オーストラリア・ニュージーランド・インドの8カ国で構成する「東アジアサミット」(EAS)を、地域の平和の枠組みとして発展させ、ゆくゆくは東アジア規模の友好協力条約を展望するという構想――「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)を提唱しています。
 重要なことは、AOIPに対して、日中両国政府も含めて、「東アジアサミット」に参加するすべての国が賛意を示しているということです。あれこれの国を排除するのではなく、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みを発展させるというASEANの提唱の方向で、両国政府間に一致点があることは大きな希望となりうるものです。 

                 (4)

 このように、日中両国政府の間には、三つの点で、平和と友好に向けた共通の土台が存在しています。
 そうであるならば、この共通の土台をあらためて確認し、この共通の土台にたった外交的努力によって、平和と友好の関係を確かなものにしていくことは、日中両国政府の共通の責任ではないでしょうか。
 とりわけ、日中双方が、「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならない」との2008年の「共同声明」の合意に反する行動をとらず、この合意を誠実に履行・具体化する努力が強く求められています。
 尖閣諸島の問題についても、日中双方が、緊張をエスカレートさせる対応を厳しく自制し、尖閣諸島等東シナ海での紛争問題を、冷静な「対話と協議」を通じて解決する合意を具体化することが必要です。
 日中が参加する多国間の平和の枠組みとしては、日中両国政府は、ASEANと協力して、「ASEANインド太平洋構想」(AOIP)を共通の目標にすえ、この方向を共同で推進していくための外交に本腰を入れて取り組むべきべきです。
 日本共産党は、日中両国政府に対して、以上の点を重視して、日中両国間に存在する紛争・緊張・対立を解決し、両国関係の前向きの打開をはかることを求めるものです。

 

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