総理の「ウクライナ訪問報告」、衆院本会議で質疑。共産党を代表して質問。

2023年03月25日

24日に開かれた衆院本会議。岸田総理の「インド・ウクライナ・ポーランド訪問報告」に対する質疑が行われました。
日本共産党を代表して、私が質問に立ちまし。

私は、軍事協力の拡大は憲法違反であること、ウクライナ支援は憲法9条を持つ国として「非軍事の人道的支援に徹するべき」こと、「核兵器禁止条約に参加し、唯一の戦争被爆にふさわしい役割を発揮すべきだと主張しました。

質問全文は、以下の通りです。

 

 

私は、日本共産党を代表して、岸田総理のウクライナ訪問報告に対して質問をします。

岸田総理とゼレンスキー大統領による「共同声明」は、「ロシアのウクライナ侵略が、法の支配に基づく国際秩序の根幹を損ない、国連憲章にうたう基本原則、特に主権及び領土一体性の原則に対する重大な違反」であると断じました。これは当然のことです。

ロシアのウクライナ侵略開始1年にあたって開催された国連総会緊急特別会合は、「国連憲章の原則に従ったウクライナの包括的、公正かつ永続的な和平」を求め、そのための「外交努力への支援の倍加」を国際社会に要請する決議案を141カ国の賛成多数で採択しました。
日本政府は、「外交努力への支援」の「倍加」を如何なる形で果たそうとしているのですか。

国連総会決議は、「国連憲章順守の一点で国際社会が団結することの重要性」を強調しました。「民主主義対専制主義」と世界を、あれこれの「価値観」で二分するのではなく、国連憲章順守の一点をさらに多数の国々の声にしていくことこそ、この残虐で無法な侵略戦争を終わらせる最大の力になるのではありませんか。答弁を求めます。

 

 

今、「外交努力の倍加」が求められている時に、岸田総理は、「ウクライナは明日の東アジア」などと称して、ロシアの無法な侵略を口実に、空前の大軍拡を推し進めようとしています。まったく逆ではありませんか。
ウクライナ侵略の最大の責任が、ロシアにあることは言うまでもありません。
しかし、戦争に至った経過と背景をみたときに、ヨーロッパには、欧州安保協力機構(OSCE)という、ロシアも含めた包摂的な平和の枠組みがあり、1999年には紛争の平和的解決の憲章が確認されていました。しかし、NATOの側もロシアの側も、この枠組みを生かさず、軍事対軍事の悪循環に陥っていったのではありませんか。軍事対軍事では平和はつくれない。これが、ヨーロッパの教訓ではありませんか。しかとご答弁いただきたい。にもかかわらず、岸田総理は、歴代政府が建前としてきた「専守防衛」さえ投げ捨て、日本をミサイル列島にする、敵基地攻撃能力のための大軍拡を進めようとしています。断じて許されません。

 

 

次に、日本のウクライナ支援のあり方について聞きます

憲法九条をもつ日本がやるべきは、保健医療、食料、復興、インフラ支援など、非軍事の人道的支援に徹することです。
ところが、岸田総理は、首脳会談でウクライナに「NATOの信託基金を通じた殺傷性のない防衛装備品支援に三〇〇〇万ドルを拠出すること」を表明しました。ウクライナ側は「兵器(ウェポン)」と発表していますが、具体的にどのような兵器を支援するのか、なぜ明確にしないのですか。何を支援するか、その内容は、NATOが決めるのではありませんか。「殺傷性のない」ことをどう担保するのですか。結局、NATOの軍事支援の一部を肩代わりすることになるのではありませんか。明確な答弁を求めます。

そもそも、わが国は憲法九条のもとで「国際紛争を助長しかねない」として「武器輸出禁止三原則」を国是としてきました。これを安倍政権が2014年に撤廃し、武器輸出に道を開いたものです。そのもとで、岸田政権は、紛争当事国であるウクライナにドローンや防弾チョッキなどの防衛装備品を供与し、今回、さらに、NATOを通じた兵器支援を行なおうとしています。なし崩し的に、際限のない兵器輸出を拡大するものであり、憲法九条に反することは明らかではありませんか。

また、両国間の「情報保護協定の締結に向けた調整を開始することで合意した」といいますが、紛争当事国と如何なる軍事情報を何のために共有するのですか。
これまで政府が、米国やNATOなどと締結してきた米国主導の同盟国間の秘密保全体制の拡大ではありませんか。答弁を求めます。こうした軍事協力の拡大も九条の平和主義と相容れません。

 

 

最後に、核兵器の問題です。

岸田総理は首脳会談で、「唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアの核兵器による威嚇は受け入れられない」と述べたと言いますが、他方で、米国の核抑止力に依存し、いざという時に核兵器を使用し、広島・長崎のような惨禍をいとわない立場とは両立し得ないのではありませんか。
国連総会は昨年12月、核兵器禁止条約の第1回締約国会議の開催を「歓迎する」とした決議案を、国連加盟国の約六割にあたる 119カ国の賛成多数で採択しました。「核兵器禁止条約」と題する決議の採択は五年連続です。

日本原水爆被害者団体協議会は、ロシアのウクライナ侵略で核による威嚇が行われているとして、「核兵器をなくすことでしか、核戦争の危機を回避することはできない」と強調し、「戦争による核攻撃を受けた唯一の国である日本政府は、核兵器の禁止から廃絶へ、いまこそ先頭に立って世界をリードするときだ」と述べています。岸田総理、いまこそ、禁止条約に日本が参加して、G7広島サミットにおいても、唯一の戦争被爆国にふさわしい役割を発揮すべきではありませんか。

そのことを強く求め、質問を終わります。