2023年度予算に反対//宮本徹議員の反対討論//『動画』です。

2023年03月1日

 

28日、衆院本会議で2023年度予算案の採決が行われ、日本共産党からは宮本徹議員が反対討論を行いました。
自民党・公明党の賛成対数で可決し、参議院に送られました。

本会議での採決に先立つ予算委員会では、宮本徹議員が質疑を行い、「2023年度予算3案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議」を提出しました。

 

 

 

宮本徹議員が本会議で行った反対討論は、以下の通りです。

日本共産党を代表して2023年度予算案に反対の討論をおこないます。

本予算案は、国民の暮らしをそっちのけにして、専守防衛を投げ捨て 、憲法違反の敵基地攻撃能力の保有、異次元の大軍拡をすすめる戦後最悪の予算です。断じて認められません。

政府は、これまで、敵基地攻撃について、他に全然手段がない場合、「法理的に可能」だが、国連の援助や日米安保条約があるもとで、「平生から他国を攻撃する、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨ではない」と答弁してきました。審議の中で、岸田総理はこれまでの答弁との整合性について全く説明できませんでした。

内閣法制局長官だった阪田雅裕氏は、「反撃能力を持つことは、まさに憲法9条が禁じた戦力を持つことです。国民を誤解させて国のかたちを変えようとする昨今の政治は、法治国家の名を汚すもの」と厳しく批判しています。本予算案は、立憲主義を蹂躙するものに他なりません。

予算委員会公聴会で公述人から、「岸田政権は、バイデン政権に追従し、米国の戦争に巻き込まれるリスクを高めている」との指摘がありました。バイデン政権の国家安全保障戦略は、中国を唯一の競争相手と位置づけ、同盟国との連携によって競争に打ち勝つ方針です。アメリカは、攻撃と防御を一体におこなう統合防空ミサイル防衛、IAMDの体制を地球規模で同盟国と協力して築く方針です。日米共同声明では「日本の反撃能力の開発および効果的な運用について協力を強化する」ことが確認されました。そして、岸田政権は安保3文書に、敵基地攻撃能力について、日本への武力攻撃がなくとも、集団的自衛権として行使しうると明記し、本予算ではトマホークはじめ大量の長射程ミサイルを購入・開発しようとしています。これでは、自らすすんで、アメリカの戦争に巻き込まれる道と言わなければなりません。地域の緊張を高め、際限のない軍拡競争になりかねません。

審議の中で、浜田防衛大臣は、日本が攻撃をされていないのに、集団的自衛権として敵基地攻撃能力を行使した場合、相手国からの反撃で「わが国に被害を及ぼす場合もあり得る。大規模な被害が生じる可能性も完全に否定できない」と答弁しました。国民を惨禍に巻き込む、亡国の道です。ミサイル部隊が配備される南西諸島の住民に、戦争を呼び込むものだと不安が広がっています。弾薬庫を全国で130も整備する計画にも不安が高まっています。敵基地攻撃能力保有は撤回すべきであります。

日本には世界に誇る、憲法9条があります。徹底した平和主義の国として、米中双方に緊張を高める行動をやめること、対立の緩和と軍縮を働きかけ、地域の安定した平和をつくることこそ、日本政府の果たすべき役割であります。

さらに、5年で43兆円もの大軍拡の財源確保のために、国民の暮らしを犠牲にすることは断じて許されません。復興特別税の軍拡財源への転用は、復興のために協力している国民を愚弄するものです。国立病院機構や地域医療機能推進機構の積立金は、法律で医療や年金の財源とされています。年金財源が足りないといって、年金を目減りさせながら、年金財源を横取りして大軍拡に流用することは国民の理解を得られません。

 

 

今、物価高で苦しみの中にいる国民・事業者がたくさんいます。高い授業料で進学を断念する若者、奨学金の返済で苦しむ市民がいます。少ない年金のため70を過ぎても年末年始なく働く高齢者がいます。老老介護をしながら、特養ホームの空きを待っている方がいます。大軍拡にあてる巨額の財源を国民生活の支援にまわせば、どれだけの国民が助かるか、想像すべきであります。

岸田政権は子育て予算倍増を掲げましたが、審議では、何をベースに倍増と言うのかすら、明らかにならず、子育て支援の具体的な提案にも、これから検討というばかり、何一つ中身は示されませんでした。10年前の約束であった保育所の配置基準の改善、直ちにやるべきであります。国際公約である大学までの教育無償化を早急にすすめるべきです。障害児福祉を含め子育て施策の所得制限は撤廃し、拡充こそ必要であります。

岸田政権のすすめる子育て支援には大きな問題があります。財源です。新年度から実施される出産一時金の引き上げ自体は当然の施策ですが、その財源として年収153万円、月で言えば12万7500円以上の75歳以上の後期高齢者医療保険料を引き上げようとしています。財源を求めるところが間違っているのではありませんか。

「一億円の壁」をはじめ大企業優遇・富裕層優遇税制をただすべきです。何よりも、大軍拡をやめれば、教育無償化、子育て支援も大胆にできるではありませんか。

今、国民が求めているのは、電気・ガス・食品・飼料をはじめとする物価高騰から、暮らしと生業を守る支援の抜本的な強化です。中小企業や非正規労働者などへの賃上げへの支援です。介護、障害者福祉、子育て支援などの拡充をして誰もが安心して暮らせる社会にすることです。気候危機を打開するために、2030年までのCO2削減目標を引き上げ、再エネ・省エネを抜本的に推進することです。岸田政権のすすめる原発の運転期間延長、新増設など福島の教訓を忘れた原発回帰は断じて許されません。消費税を5%に緊急減税し、インボイスの導入は中止すべきです。

以上、大軍拡予算は撤回し、国民の暮らし最優先の予算に組み替えるべきことを強く求め、討論を終わります。

 

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