外務委にて、林外相に「『日ロ原子力協定』の見直し」を迫る。

2022年03月5日

 

4日、外務委員会が開かれました。私は、先日の林芳正・外務大臣所信を受けて「国連決議について」「ロシアの『核抑止力の国家政策方針』について」「日露原子力協定について」の3項目をただしました。

 

 

国連決議は、「国家間の法の支配を促進するうえで、国連憲章が最も重要であることを再確認する」とし、ロシアがウクライナで軍事作戦を行うと宣言したことや、核戦力の準備態勢を強化する決定を行ったことを糾弾したと紹介。

 

国連憲章は前文で、「言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害」から、国家の領土保全や政治的独立を定め、領土を巡る軍事的威嚇や武力行使を禁じている。今回のロシアの侵略は、この国連憲章を踏みにじる暴挙であり、二度の世界大戦を経て、築かれた平和秩序を根底から脅かすものだと強調しました。

 

 

各国大使の演説から浮かび上がったのは、「大国の横暴」に対する「小国」の怒りだったと述べ、ジャマイカの大使は、「その国の大きさや地位に関わらず、全ての国に安全な環境をもたらしてくれるよう設計されたのが、国際法の枠組みと国連憲章だ」と発言。
サモアの大使は、「世界平和の維持と規則に基づく国際秩序の尊重を確保するためのツールがある。その焦点は国連憲章の前文にあるに違いない」と発言。
このように、「小国」の存立の基礎として国連憲章を強く主張したのが特徴的だったと思うと報告。

 

 

さらに、わが党は、ロシアが2014年にクリミア併合を強行したときも、2008年にグルジアの一部の「独立」を一方的に承認し軍事侵攻したときも、国連憲章、国際法に反する行動として厳しく批判してきたと述べました。

 

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次に、「ロシアの『核抑止力の国家政策指針」についてただしました。
プーチン大統領は、ロシアが核保有大国であることを誇示し、「攻撃が行われれば核兵器で応える」と公言しているが、ここで言う「攻撃」とは、通常兵器による攻撃のことだ。まったく許されない暴言だ。

 

プーチン大統領は2020年6月、核兵器をどのような場合に使用するかを定めた「核抑止力の国家政策指針」と題する大統領令に署名し、その内容を公表した。 そこには「核兵器使用への移行条件」として、ロシアや同盟国に対する核兵器や大量破壊兵器による攻撃に加えて、通常兵器による攻撃があった場合も核兵器を使用すると定めている。

唯一の戦争被爆国である日本政府として、ロシアが2020年に、核兵器の先制使用を公然と国家の指針に掲げたことに対して厳しく批判したことはあるかと問いました。

 

 

林外相は「明確なコメントを発していなかった」と認めざるを得ませんでした。

 

 

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最後に、「日露原子力協定」についてただしました。

私は、岸田総理は「ロシアとの関係をこれまで通りにしていくことは、もはやできない」と述べたが、日本政府はロシアとの間で原発輸出を可能とする原子力協定を締結している。
他国を核兵器で威嚇するような国に対し、核物質や関連資機材、技術を輸出するような枠組みを、このまま維持し続けることなど、到底許されない。「ロシアとの関係をこれまで通りにしていくことは、もはやできない」と言うなら、ロシアとの原子力協定こそ見直すべきではないかと提起。

 

 

さらに、ロシア軍がウクライナ侵攻後、チェルノブイリ原発を制圧し、首都キエフにある放射性廃棄物処理施設(ザポロジエ原発施設)を砲撃する(質問直前にそのニュースが報じられました)中で、原発輸出を可能とする「日露原子力協定」の維持は許されないと批判し、見直しを迫りました。

林大臣は、「平和的利用の法的確保の枠組みであり、現時点で見直しは考えていない」と繰り返し答弁。

 

 

私は、IAEA(国際原子力機関)が3日に採択したロシアへの非難決議で「原子力施設や民間人に直接的な脅威を与え続けている」と批判していることをあげ、「ロシアが『原子力の平和的利用』を遵守しているなどありえない」と追及。

 

 

さらに、岸田文雄総理が外務相当時の参院外交防衛委員会で、原子力協定について「当該国の政治情勢、治安情勢について勘案し、枠組みの整備を検討する」と答弁していたことを指摘し、「今日の状況に照らし、もはや成り立たない」と批判。

 

 

 

 

林大臣は「今後の対応については状況の推移などが大変不透明で、いま申し上げることは難しいが岸田外務相が答弁したことは、政府としては、その方針で臨まなければならないと思う」と答えました。

 

 

私は、ロシアとの原子力協定を維持し続けることは、当時の岸田外相の答弁に照らしても、もはや成り立たない。他国を核兵器で威嚇するような国に対し、核物質などを輸出するような枠組みを、このまま維持し続けることは許されない。

ロシアとの原子力協定の見直しを強く求めると、あらためて主張しました。

 

 

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質疑の様子は、衆議院ライブラリーから視聴できます。