予算委分科会。金閣寺敷地内にある幻の塔=「北山大塔について」質疑

2022年03月2日

 

ホームページをご覧のみなさん。「北山大塔」を、ご存じですか。

私も、ここ数年にして、「京都民報」や研究者、友人の弁護士を通じて知りました。
17日に行われた予算委員会・第4分科会(文部科学省所管)で、“幻の塔”と言われる「北山大塔」について質問。
私が質問した趣旨や思いなどを交えて報告します。

足利義満が建立した鹿苑寺(金閣寺)は、有名な舎利殿(金閣)があります。
その同じ境内に、高さ110メートルを超す七重の塔、「北山大塔」があったとされています。
ユネスコの世界記憶遺産でもある東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)において、1404年に「北山大塔」の起工式が行われたと記述されています。ロマンある話ですよね。

第1弾として「北山大塔」についての質疑の内容を、遅くなりましたが報告します。

 

 

私は、北山大塔の存在の可能性を三つの点から迫りました。

一つは、金閣寺の敷地を調査した「第25次 京都市内遺跡発掘調査報告書」です。この報告書で、いままで巨大な建設物を建てるような土台である「基壇」が柔らかくて重量を支えられないとしていた見解を、「土質の柔らかさは風化によるもの、むしろ密であった」と覆したこと。

二つに、同じ敷地内から焼けた木片が発見されて、炭素量の年代分析から鎌倉期の木片に間違いないことされ、焼けた太い柱の内側の部分であること。

三つに、2016年に発見された「九輪」(2019年に九州国立博物館で開催された「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」で展示。その際の図録は資料として掲載)は、北山大塔が存在した物的証拠に他ならない。

以下は質問のやり取りです。

文化庁が指導し京都府・市が行った2021年調査、そのまとめ「第25次 京都市内遺跡発掘調査報告」によると、「堆積はむしろ密で、土質の柔らかさは後世の風化によるもの」と判断された。「堆積は柔らか」でなく「むしろ密」、すなわち、巨大な建造物である北山大塔を支える土壇であったと、これまでの見解を覆し再評価するものとなっている。こうした認識で間違いないか、と質問。

 

 

末松信介文科大臣は、「ご指摘の通り。あったと記録がある」としつつ、「否定はできないが判断するには情報が少ない」と回答。

 

 

私は、さらに「九輪」について質問。

京都市の埋蔵文化研究所の保管庫を訪問して、重さ8㌔以上ある「九輪」の一部を実際に手に取り歴史のロマンを感じたことや、文化庁所管の九州国立博物館で「九輪」が展示された際に掲載された図録では「本品は、この北山大塔の九輪と考えられ、これまで記録上の存在だった北山大塔の実在を裏付けるものである」と記していることを紹介。「北山大塔が存在した物的証拠である『九輪』の歴史的・学問的価値を認め、国の重要文化財に指定すべきだ」と要求しました。

 

 

末松大臣は、「九輪の全体構造を特定できるだけの情報はないが、『見て来い』と今日、指示を出した。文化庁として保存活用を図っていきたい」と述べました。

 

 

同じく北区にある「建設残土等の投棄・盛土問題について」も質問しました。報告は第2弾にて。

 

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写真下は、予算委員会第4分科会質問の際に、提出した資料です。

 

 

 

 

 

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この下の資料は、「九州国立博物館図録『室町将軍 戦乱と美の足利十五代』」より
「北山大塔」に関する記述です。