28日の外務委質疑。定置網の減価償却期間、柔軟対応を確約。沿岸漁業の支援を提案

2021年04月30日

28日に行われた外務委員会では「大西洋マグロ類保存条約改定議定書について」「定置網漁の支援について」「クロマグロの資源管理と小規模沿岸漁業について」を質問。

今回の「大西洋マグロ類保存条約改定議定書」の改正には、魚種を拡大するもので、漁業の資源管理や予防原則を明文化するなど重要な点があるため、「マグロ類の高度回遊性の資源管理、中長期の影響を見据えた漁獲規制、ルール作り」について、外務省としての取り組みを確認。

 

 

茂木敏光大臣は「条約域におけるマグロ類に関する漁獲高の設定、保存管理に積極的に貢献している」とし、「本議定書の策定過程でも日本は中心的な役割を果たしてきた。マグロだけでなく、様々な海産物について、漁獲、漁業、消費という面でも主要国の立場でルール作りに指導的役割をこれからも果たしていきたい」答弁(写真下)。

 

 

私は、「FAO(国連食糧農業機関)の持続的漁業の行動規範、SDGsやWCPFC条約(中西部太平洋マグロ類条約)でも、小規模伝統的漁法の存続に特別の配慮を明記しており、これは世界に常識だ」と強調。そのうえで「資源管理と予防原則の大切さ、これをしっかりと踏まえて、今後も取り組みを強めていくべきだ」と指摘。

次に、「定置網漁の支援について」質問。

私は、京都の伊根町での聞き取りをもとに、伝統的な定置網漁の位置づけ、小規模沿岸漁業者の果たす役割についての農水省の認識をただしました。

 

 

葉梨康弘・農林水産副大臣は、「定置網漁と沿岸漁業者は、日本の食卓に欠かせない多種多様な魚類に安定供給に貢献している」、「漁村の活性化、日本の食文化の形成、日本の行事に彩を添えており重要な役割を果たしている」と答弁(写真下)。

 

 

これを受け、私は、「しかし、現実は大変厳しい。先に紹介した舟屋のまち伊根町でも、かつて200数十隻の船が操業していたが、今では15隻ほどに激減している。全国的には、沿岸漁業に関わる経営体数は、1988年には18万あったが、2018年には7万4000にまで激減している」と指摘し、定置網漁を営む沿岸漁業者への援助の方策を提案。

一点目は定置網へのリース補助制度の恒久化を提案。この補助制度について、大変喜ばれている制度だが、「一回きりの補助でなく、次の更新時に再度補助できるよう恒久的制度とすべき」と提案しました。

 

 

二点目として、定置網の減価償却期間が3年間となっている点に関しての改善を要求。
まず現場の意見を直接聞いてもらいたいと述べ、同時に「国税庁は期間の延長について水産庁からの検討要望があれば、検討するか」、さらに、「現行制度内でも『漁網』について、耐用年数の適用を長くして償却する方途はないのか」とただしました。

 

 

国税庁の重藤哲郎課税部長(写真上)は、「減価償却限度額について国税局長の認定を受け、償却率に応じて3年ではなく、長い場合は20年まで延ばせる」と答えました。

私は、「制度を関係団体や関係者に広く周知すべきだ」とし、「制度が広く知られていないことを前提に、水産庁としても事業者が税務署と相談できるように、親身で、きめ細やかな対応をすべきだ」と求めました。

葉梨副大臣は「切実な要望があることを初めて聞いた。関係者や団体のお話も承り、その上で検討したい」と答弁。

最後に、クロマグロの資源管理と小規模沿岸漁業ついて「漁獲枠の上限は、まき網など大規模漁業優遇となっている」と批判し、是正を要求。大型まき網船が不法操業を繰り返す実例をあげ、調査・指導とともに、「監視員の乗船、監視カメラの設置義務付けなど有効な対策を」と求めました

 

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28日の議題となった、「日・セルビア租税条約」「日・ジョージア租税条約」「日・ジョージア投資協定」には反対。「日・OECD特権・免除に関する改正交換公文」については賛成の意を明らかにした討論にも立ちました。
以下、紹介します。

 

 

私は日本共産党を代表して、日・セルビア、日・ジョージアの2つの租税条約及び日・ジョージア投資協定に反対の立場から討論を行います。

2つの租税条約は、これまでの租税条約と同じく、投資所得に対する源泉地国での課税限度税率を軽減又は免除する措置を講じています。これは、日本の大企業とその海外子会社が、当該国での外資優遇税制の利益を十二分に受けつつ、さらに「外国税額控除制度」や「外国子会社配当益金不算入制度」によって、源泉地国での課税が劇的に軽くなるなど、税制優遇措置を二重、三重に享受することを可能とするものです。

日・ジョージア投資協定は、日本の多国籍企業の海外展開を促すために、相手国との間で投資環境の整備を図るものです。本協定に盛り込まれたISDS条項は、進出先の国の制度や政策の変更によって、損害を受けたと主張する外国企業が、その国の政府を相手取り損害賠償を求めて提訴できる取り決めです。これは、一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながりかねません。

なお、日・OECD特権・免除に関する改正交換公文については、現行の交換公文を改め、OECD東京センターの日本人職員の給与・手当への課税免除などを付与するためのものであり、賛成です。

以上を述べ、2つの租税条約及び日・ジョージア投資協定に対する反対討論とします。