「倫選特委」で、「政党助成法廃止法案」「政治資金規正法改正案」が審議入り。

2015年05月28日

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27日、衆院「政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する」特別委員会で、日本共産党を代表して、「政党助成法廃止法案」「政治資金規正法改正案」の趣旨説明を行いました。

日本共産党が法案の趣旨説明を行うのは15年ぶりのこと。

私は、「国民は自らの支持政党に寄付する自由と権利を持っているが、政党助成金制度によって自ら支持しない政党に強制的に寄付させられる」「『思想・信条の自由』を侵す憲法違反の制度だ」と主張。

その上で、政党助成金を受け取っている多くの政党が運営資金の大半を政党助成金に依存している実態を示し、「政党助成金は『虚構の多数』をつくり出す小選挙区制とあいまって、政党の劣化や堕落を生み出している。民主主義を壊す有害な制度」と述べ、廃止を呼びかけました。

企業・団体献金全面禁止法案は、パーティー券購入を含む企業・団体からの政治献金を全面的に禁止するものです。

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総選挙で公約した、政党助成金の廃止と企業・団体献金全面禁止が、法案を提出した段階から、審議入りまでこぎつけたわけです。

以下全文を掲載します。 

<政党助成法廃止法案 趣旨説明>

私は、日本共産党を代表して、政党助成法を廃止する法律案について、提案理由及びその内容について説明します。

政党助成制度は、1995年、「政治改革」の名のもとに、小選挙区比例代表並立制とともに導入・施行されました。この制度は、国民に1人当たり250円を負担させ、毎年約320億円もの税金を各党に配分する仕組みであり、この20年間の政党助成金の総額は、約6311億円にのぼります。

そもそも、国民は、自らの思想、政治信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利をもっており、政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものです。ところが、税金を政党に配分する政党助成の仕組みによって、国民は、自ら支持しない政党にたいしても強制的に寄附させられることになります。日本共産党は、このような制度は、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を侵かす、憲法違反の制度であると指摘し、その創設に反対するとともに、一貫して政党助成金の受け取りを拒否してきました。

重大なことは、政党助成制度が、きわめて深刻な形で政党の堕落をまねいていることです。
政党助成金を受け取っている各党の本部収入に占める割合は、自民党が約6割、民主党が約8割、当時の日本維新の会が約7割です。この制度の導入の際には提案者から「税金に過度に依存しないことが必要」との議論がありましたが、いまや政党助成金を受け取っている多くの党が、その運営資金の大半を税金に依存しているのが実態です。また、「5人以上の国会議員を集めれば政党助成金をもらえる」ことから、理念も政策もぬきに、政党助成金目当てに、おびただしい数の新党の設立と解散が繰り返されてきました。

政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくる、ということが基本です。政党が、国民・有権者から「浄財」を集める努力をしないで、税金頼みになっていることから、カネへの感覚が麻痺し、腐敗政治をつくりだす一つの根源になっていることも重大です。

また、この制度は、もともと金権政治一掃をもとめる国民の声をうけ、「企業・団体献金を禁止するから」という口実で導入されました。しかし、実際には、政党本部・支部に対する企業・団体献金が温存され、政党助成金との“二重取り”が続けられています。

このように政党助成金頼みの政党をつくりだす制度は、「虚構の多数」をつくりだす小選挙区制とあいまって、政党の劣化や堕落を生み出しています。民主主義を壊すきわめて有害な制度を続けていいのかが、きびしく問われています。

以上の理由から、政党助成法を廃止するものであります。

<企業・団体献金全面禁止法案 趣旨説明>

続きまして、日本共産党が提出しております政治資金規正法の一部を改正する法律案、すなわち「企業・団体献金全面禁止法案」について、提案理由及びその内容について説明します。

この間、安倍政権のもとで、国の補助金を受けている企業から閣僚への献金をはじめ、「政治とカネ」が問題になりました。このような問題が浮上するたび、「国民に疑惑をもたれてはならない」との議論がおこりますが、今こそ、金権腐敗政治の根源である企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきであります。

20数年前、リクルート事件、ゼネコン汚職など、自民党の金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。当時、細川内閣のもとで提案された「政治改革」法案は、「企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切る」といいながら、実際には、「政党支部への献金は認める」「政治資金パーティーは残す」という二つの抜け道をつくり、企業・団体献金を温存してきました。
直近2013年分の総務大臣届出分と都道府県選管届出分の合計をみると、政界全体への企業・団体献金総額は87億6300万円にのぼり、政治資金パーティー収入の総額は176億4300万円となっています。パーティー券は、その大半を企業・団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。この巨額の政治資金パーティー収入が透明化されていないことも問題です。

そもそも、企業の政治献金は、本質的に賄賂性を持つものです。
国民一人ひとりが、自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。 「企業も社会的存在である」などといって企業の献金を正当化しますが、参政権を持たない企業が政治献金をすることは、国民の参政権を侵害するものです。
営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力で、政治的影響力を行使するなら、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。

こうした状況が、腐敗政治をうみだす温床となり、政治の劣化と政党の堕落をつくりだしています。政党は、何よりも、国民の中で活動し、国民の支持を得て、その活動資金をつくる、ということが基本でなければなりません。

この際、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことは、金権腐敗政治を根絶するうえで不可欠の道であります。
以上が、企業・団体献金の全面禁止を提案する理由です。

次に、法案の内容を御説明申し上げます。

第一に、企業・団体の政治活動に関する寄附の禁止及び企業・団体によるパーティー券購入の禁止であります。
政治団体を除く企業その他の団体は、政党であれ政治家個人に対してであれ、政治活動に関する寄附及び寄附のあっせんを一切してはならないものとします。また、何人も、政治団体を除く企業その他の団体に対して、政治活動に関する寄附をすること又は寄附のあっせんをすることを勧誘し、要求してはならないものとしております。
同時に、政治資金パーティーの対価の支払は、政治活動に関する寄附とみなすものとすることにより、企業その他の団体によるパーティー券購入を禁止するものです。これにより、パーティー収入の公開の対象は、5万円超となります。

第二に、政治団体の代表者に対して、当該政治団体及びその会計責任者が政治資金規正法の規定に違反することのないように、監督する責任を課すこととします。

第三に、収支報告書の公表についてです。
総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会による収支報告書の要旨の公表の期限を、報告書が提出された年の9月30日までとすること、収支報告書要旨の公表を義務化すること、情報公開開示の迅速化をはかることなど、2006年法改正及び07年法改正によって、後退させられた規定を元に戻します。

第四に、政治活動に関する寄附の量的制限の強化です。
個人のする政党・政治資金団体への寄附総額の上限を1000万円とし、政党・政治資金団体以外の者に対してする寄附総額の上限は500万円としています。
また、収支報告書への記載を免れる目的で、分散寄附することを禁止します。
公職の候補者が、政党から受けた政治活動に関する寄附を自らの資金管理団体に対してする「特定寄附」の規定を削除します。

第五に、罰則の強化です。
政治資金規正法に定める法定刑を全体的に引上げます。
政治資金規正法に違反の罪を犯し、刑に処せられた者は、裁判が確定した日から5年間の公民権停止とします。

以上、政治資金規正法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要をご説明いたしました。

何とぞ委員各位のご賛同をお願いいたします。