27日、衆院本会議 入管法を自・公・維で採決強行

2018年11月28日

 

27日、自民・公明・維新の3党は本会議で山下貴司法務大臣不信任決議案を反対多数で否決した後に、再開された法務委員会で外国人労働者の受け入れを拡大する「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」(入管法)を強行採決し、夜の本会議に緊急上程し、本会議の採決を強行しました。

法務委員会での採決後、6野党会派の国対委員長会談を開催し、大森衆院議長に対し、この暴挙に抗議し「本会議の開催はすべきではない」と申し入れを行いました。

しかし、20時半に本会議が再開され、自民・公明・維新の3党による賛成多数で「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」(入管法)可決され、参議院に送られました。

 

藤野

 

日本共産党からは藤野保史議員が反対討論を行いました。反対討論は以下の通りです。

私は、日本共産党を代表して、入管法等改正案に対して断固反対の討論を行います。

反対する理由の第一は、議会制民主主義を踏みにじる審議のすすめ方です。本法案の審議は、21日の法務委員会で始まったばかりであり、審議をすればするほど問題が明らかになっています。世論調査でも、日を追うごとに「今国会の成立にこだわるべきではない」という意見が増え、いまや8割を超えています。いま国会がやるべきことは、この国民の声に応えて徹底的な審議を行うことです。ところが、政府与党は、安倍総理の外遊日程にあわせて委員会の審議日程を決め、本案を採決しようとしています。これは国会を政府の下請け機関におとしめるものであり、言語道断です。

第二に、本法案が「人手不足」を理由に、外国人労働者雇用の調整弁にするものである点です。本案は、受入れ業種や規模・人数など具体的なことは全て「省令以下」に委ねる白紙委任法であり、法案として体さえなしていません。本案で新設される「特定技能1号の」在留資格は、1年ごとの更新制であり、在留の前提となる雇用契約は1年以下、たとえば3ヶ月の短期契約も可能です。さらに、本案は派遣契約を排除していません。結局、本案は、「5年」を上限としつつ、雇用契約や在留期間を短期で繰り返す外国人の非正規労働者を作り出すものものです。これは外国人労働者を雇用の調整弁とするものにほかならず、断じて認めることはできません。

第三に、本法案が、安価なおくといt労働力としての技能実習生を使い続けるために、ウソにウソを重ねる欺まん的な法案となっている点です。政府は、技能実習制度について、国際貢献を建前としながら、実際には劣悪な労働条件で働かせてきました。本音と建前を使い分ける欺まん的な受け入れを続けてきたことが、矛盾を拡大させ、多くの技能実習生を苦しめています。

安倍総理は、本法案で技能実習生の実態が改善されるかのような答弁をしていますが、本法案には技能実習生の処遇を改善する規定は一つもありません。22日の参考人質疑では、「母国や日本国内のブローカー規制がまったくない」「人材派遣ビジネスが横すべりしてくるのではないか」などの指摘が相次ぎましたが、こうした課題は野放しのままです。

本法案は実習生からの移行を前提としています。実際、受け入れ先14業種のうち13業種が実習生からの移行を前提とし、その多くが8割から10割の移行を見込んでいます。山下大臣の「半年遅れれば、数万の方々が帰国してしまう」という答弁は、法案が、今いる技能実習生を使い続けようとするものであることを如実に示しています。

失踪した技能実習生からの聴取票は、実習生の実態を解明するために不可欠の資料です。その提出を政府・与党が拒否する中でも、野党が884枚の聴取票を調べたところ、86%以上が最賃割れだということも分かりました。暴力やセクハラなど人権侵害の実態も浮き彫りになっています。こうした実態を踏まえて、徹底した審議を行うことこそ、国会の責務です。

劣悪な実態にある技能実習生をそのまま使い続けるために、本法案を無理やり押しとおすことは二重三重に許されません。断固反対であることを強く主張して、討論を終わります。