外務委員会で「マラケシュ条約・シップリサイクル条約」について質問

2018年03月30日

 

28日、外務委員会で「マラケシュ条約、シップリサイクル条約」について質問しました。

マラケシュ条約については、「本の飢餓」と呼ばれる状況、出版物利用に障害のある人たちが社会的孤立や貧困に置かれている状況について、河野太郎外務大臣らの認識を問いました。

河野太郎外務大臣は、「この条約の採択に向けて積極艇に参画していた。日本が締結することにより、我が国の視覚障害者の方々による国内外の著作物の利用機会を促進し、視覚障害等の方々による著作物の利用機会の促進に関する国際的な取り組みに貢献することなると考えている」と答弁。

私は、社会福祉法人「日本盲人会連合」は昨年2月、マラケシュ条約の批准に向けて、文化審議会著作権分科会の小委員会に対し、「著作権法改正に関する意見書」を出し、「著作権法第37条第3項における受益者の拡大」や、「受益者への公衆送信の法定化」「複製が認められている者に関する規制緩和」「テレビ番組への音声解説付与に関する権利制限」に関する意見書を提出しています。この要望に応えるべきだとあらためて主張し、政府として、こうした国内の障害者団体からの要望に「日本が果たさなければならない役割をしっかりと自覚して取り組んでほしい」と要求。

 

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シップリサイクル条約については、「労働者の安全保護、環境保護を目的としており、シップリサイクルの処理能力が要件となっている。現状と条約の実効性」についてを問いました。

私は、インド、パキスタンなどの開発途上国の船舶解体は危険な「ビーチング方式」で行われており、クレーン等の重機が使えずにすべて人手作業で極めて危険な解体方式だ。劣悪な条件のもと、死亡事故が多発し、健康被害、環境汚染か深刻な問題になっていると指摘。

日本の海岸では、ビーチング方式による解体は認められていないのに、「なぜ危険な解体方式を行う開発途上国で日本の船舶の解体を許しているのか。労働コストが安いということで、開発途上国に危険な解体方式による船舶解体を押しつけて良いのか?主要海運・造船国として日本が果たすべき責任は何なのか」と政府の見解をただしました。

外務省鈴木大臣官房地球規模拡大審議官は、開発途上国で日本船舶の解体を行う理由を「人的コストの削減」とした上で、「このような状況はあってはならない」と認めました。

私は、いまやっている開発途上国で危険な作業をやらせることについては自主規制するのが当たり前のことであると指摘しました。

 

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私は、日本の技術力をもってすれば、条約の要件を満たして大型船舶の解体を日本で行うことは可能だとして、国交省は、「シップリサイクルシステム構築に向けたビジョン」の中で、「先進国型リサイクルモデルの開発」として、「十分な解撤能力の確保のため、」外航大型船を我が国でリサイクルする方策及び政策的な支援を検討すべきである。国内における船舶リサイクル事業の再生は、国内での循環型社会の構築という理念への取組みもさることながら、鉄資源の確保やCO2排出削減効果への貢献、雇用の創出、地方経済の活性化など、様々な効果が期待できる」としている。その道を進めることこそ主要海運・造船国である日本の果たすべき役割だと提案。

 

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マラケシュ条約(盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するための条約)、シップリサイクル条約(2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再資源化のための香港国際条約)は、全会一致で可決されました。