予算委員会分科会、「文化財保護」について林文科大臣にただす

2018年02月25日

 

23日に行われた衆院予算委員会分科会=文部科学委員会で、「文化財保護について」質問。文化財の「保護」と「活用」、文化財保護のための技術者・技能者の育成、「原材料」の確保について文部科学省と文化庁の取り組み姿勢をただしました。

 

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(1)2017年12月8日に発表された文化審議会の「第一次答申」(「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」)では、「文化財の保存と活用に関する基本方針」として、「文化財の『保存』と『活用』は互いに効果を及ぼしあい、文化財の継承につなげるべきで、単純な二項対立でない」としている。これを受けて、文化財保護法改正案説明概要では、文化財を「経済振興の核」としている。これは、文化財の「保存」に重点を置いてきた従来方針を、経済振興即ち「儲かること」を基準にする大後退だと批判。

 

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(2)同「第一次答申」では、「文化財を守る技術者・技能者や原材料の確保などに係る現行制度の見直しと今後着手すべき施策」、「文化財修理に関して、職人等の資質を担保する仕組みなど修理事業の質の維持向上と人材育成の質の施策」など重要な課題としながら、「中長期的観点から検討すべき課題」としている。私は、「中長期的観点から」どころか、この点での施策の具体化こそ「喫緊の課題」と考える。

 

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(3)文化財保護のためのさしあたっての提案

1、文化財保護のための技術者・技能者の育成についての提案
①大手企業への一括発注でなく分野・工事種類毎に「分離・分割発注」を基本とするよう制度改善をすべき。
②安定した仕事の確保の見通しと申請実務の煩わしさの解消の観点から、工事の「複数年契約」を奨励・指導すべき。

2、伝統技術の継承への補助の拡充、事業者の社会的評価の向上に努めるべき。
文化財保護を支える選定保存技術「保持者・保存団体」について、業界や関係団体の意見をよく聞き、保存団体の伝承者養成の努力への正当な評価を行ない、補助枠の拡大と一つ一つの団体への補助金の引き上げを行うべき。

3,文化財の「原材料」の確保について
①重要文化財の修復には原則として「国産漆の使用」を求めているが、産地の再生(例えば夜久野町)などに、国として本格的な支援を行うべき。
②植物性資材とともに、深草土など「鉱物性資材」の確保を支援すべき。

 

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(4)林芳正・文科大臣の答弁
「今日は、いろいろご提案いただきました。すぐにできることはすぐやるという精神で取組みたい」と述べました。